河川生態学

科目基礎情報

学校 岐阜工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 河川生態学
科目番号 0159 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 環境都市工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 1
教科書/教材 河川工学(川合・和田・神田・鈴木共著,コロナ社,2002)
担当教員 和田 清

到達目標

以下の各項目を到達目標とする。
① 多自然型川づくりの意義と流れ・構造物・土砂・植生の関係について理解する
② 河川生態系の構造と機能(階層構造,物質循環,生息場の条件など)について理解する
③ 湖沼生態系の構造と機能(温度成層と循環による湖沼類型,生物相など)について理解する
④ 流況・流砂改変がもたらすダム下流の生態系の変化について理解する
⑤ 河川環境保全策(流況・流砂改変の対応策,貯水池水質への対応策,生態的連続性の分断への対応策などを含む)について理解する
⑥ 河川生態環境評価法、生態系ネットワーク,順応的管理の考え方を理解する

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1河川生態環境工学のフレームを理解し,流れ・構造物・土砂・植生の相互関係について,正確(8割)に説明できる.河川生態環境工学のフレームを理解し,流れ・構造物・土砂・植生の相互関係について,ほぼ正確(6割)に説明できる.河川生態環境工学のフレーム,流れ・構造物・土砂・植生の相互関係の基本的な知識が無い.
評価項目2河川生態系の階層構造,物質循環,生息場の条件などの水域生態系の構造と機能について正確(8割)に説明できる.河川生態系の階層構造,物質循環,生息場の条件などの水域生態系の構造と機能についてほぼ正確(6割)に説明できる.河川生態系の階層構造,物質循環,生息場の条件などの水域生態系の構造と機能の基本的な知識が無い.
評価項目3湖沼生態系の構造と機能を理解し,温度成層と循環による湖沼類型,湖沼型と生物相などについてほぼ正確(6割)に説明できる.湖沼生態系の構造と機能を理解し,温度成層と循環による湖沼類型,湖沼型と生物相などについてほぼ正確(6割)に説明できる.湖沼生態系の構造と機能,温度成層と循環による湖沼類型,湖沼型と生物相などの基本的な知識が無い.
評価項目4流況・流砂改変がもたらすダム下流の生態系の変化について正確(8割)に説明できる.流況改変がもたらすダム下流の生態系変化についてほぼ正確(6割)に説明できる.流況・流砂改変がもたらすダム下流の生態系の変化についての基本的な知識が無い。
評価項目5河川環境保全策,流況・流砂改変の対応策,貯水池水質への対応策,生態的連続性の分断への対応策について正確(8割)に説明できる.河川環境保全策,流況・流砂改変の対応策,貯水池水質への対応策,生態的連続性の分断への対応策についてほぼ正確(6割)に説明できる.河川環境保全策,流況・流砂改変の対応策,貯水池水質への対応策,生態的連続性の分断への対応策の基本的な知識が無い。
評価項目6生物の多様性(bio-diversity)を理解し,河川生態環境評価法、生態系ネットワーク,順応的管理の考え方について,正確(8割)に説明できる.生物の多様性(bio-diversity)を理解し,河川生態環境評価法,生態系ネットワーク,順応的管理について,ほぼ正確(6割)に説明できる.生物の多様性(bio-diversity),河川生態環境評価法、生態系ネットワーク,順応的管理の基本的な知識が無い。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
河川の治水,利水および自然環境機能とそれらを有効に発揮させるための科学技術を主題とし,川を見る視点,生態系も考慮した近年の河川環境変化とその要因分析,河川・湖沼生態系の基本的な考え方についての基礎知識を習得する.また,河川生態系を考える上で必要な環境調査・評価手法,流れと土砂と河川構造物や植生の機能、生態系ネットワークについて理解する。
授業の進め方・方法:
授業は「オムニバス方式」で実施する。第1回〜第7回、第15回:和田、第8回〜第14回:大石・末吉(非常勤講師等)
内容が広範囲に及ぶので要点を理解し,各自学習ノートを充実させて復習を十分行なうこと.
提出物は紙ベースと電子データ(LMS:Moodle)がある。
注意点:
成績評価の方法:
総得点数250点=平常試験100点+定期試験100点+課題(レポート)提出50点
総得点率によって評価を
学習・教育目標:(D-3 環境系)100%
JABEE基準1(1):(d)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 新河川法の目指す方向(治水・利水・環境) 新河川法の基本理念について理解している。(教室外学習)21世紀型の河川管理について整理する。
2週 川の姿と成り立ちと仕組み:物理基盤から川を捉える(流域と河川の流況形成,流砂・土砂移動と河道の物理形成)
河川の多機能(治水・利水・親水・生態系保全)を理解している。(教室外学習)この多機能について整理する。
3週 川の姿(物理基盤)と生態系(セグメント,瀬と淵,微生息場所) 河川の物理的環境をダイナミックに把握するフレームワークを理解している。(教室外学習)このフレームワークを整理する。
4週 洪水の撹乱と生物多様性(河川の生態学的な区分,河川連続体仮説) 洪水の撹乱と生物多様性について理解している。(教室外学習)河川の生態学的な区分,河川連続体仮説について整理する。
5週 水域生態系の構造と機能(1)
(河川生態系の階層構造,セグメントごとの河川単位形状と生息場の対応関係,微生息場の類型と成因,河川生物の分布現象と調査方法)
河川生態系の階層構造、セグメントごとの河川単位形状と生息場の対応関係について理解している。(教室外学習)この水域生態系の構造と機能に関する演習を行う。
6週 水域生態系の構造と機能(2)
(河川生態系の機能,河川生物の生息場条件,河川生態系における物質循環,栄養螺旋,水質浄化の諸過程,河川環境評価手法)
河川生態系における物質循環、河川環境評価手法について理解している。(教室外学習)この水域生態系の構造と機能に関する演習を行う。
7週 水域生態系の構造と機能(3)
(湖沼生態系の構造と機能,湖沼の成因による分類,湖沼の温度成層と循環による湖沼類型)
湖沼生態系の構造と機能、湖沼の温度成層と循環について理解している。(教室外学習)この水域生態系の構造と機能に関する演習を行う。
8週 水域生態系の構造と機能(4)
(湖沼型と生物相ならびに物質循環の関係,ダム湖生態系の特徴)
ダム湖生態系について理解している。(教室外学習)この水域生態系の構造と機能に関する演習を行う。
2ndQ
9週 ダムによる物理環境(流況・流砂)の変化 (河川におけるフィルターとしてのダム,流況・流砂の計測,ダム湖の改変と下流への影響)
ダム湖の改変について理解している。(教室外学習)この水域生態系の構造と機能に関する演習を行う。
10週 流況・流砂改変がもたらすダム下流の生態系の変化(ダム下流の底質環境と付着層,底生動物の変化,外来種) 流況・流砂改変がもたらすダム下流の生態系の変化について理解している。(教室外学習)この水域生態系の構造と機能に関する演習を行う。
11週 貯水池プランクトンと底生動物群集
(濾過食者の増加,水質環境と河川底生動物への影響)
貯水池プランクトンと底生動物群集について理解している。(教室外学習)
この水域生態系の構造と機能に関する演習を行う。
12週 ダム下流の河川環境保全策(河川環境の整備と保全,流況・流砂改変の対応策,貯水池水質への対応策,生態的連続性の分断への対応策) ダム下流の河川環境保全策について理解している。(教室外学習)生態的連続性の分断への対応策について整理する。
13週 モニタリングと順応的管理(米国グレンキャニオンダムの人工洪水,粒状物質と生物の流下過程,総合土砂管理,アセットマネージメント) モニタリングと順応的管理について理解している。(教室外学習)人工洪水、総合土砂管理、アセットマネージメントについてまとめる。
14週 河川生態環境評価法(生物の生息域の健全性に関する環境評価手法の開発)
生物の生息域の健全性に関する河川生態環境評価法について理解している。(教室外学習)河川生態環境評価手法について整理する。
15週 まとめ
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学建設系分野水理河川における生態系の保全と復元について理解している。2前1,前12
環境環境影響評価の目的を説明できる。2前14
環境影響評価の現状(事例など)を説明できる。2前14
環境影響指標を説明できる。2前14
生態系の構造と機能を説明できる。2前2,前3
生物多様性の現状と危機について、説明できる。2前5
生態系の保全手法を説明できる。2前8
生態系や生物多様性を守るための施策を説明できる。2前10,前12

評価割合

試験課題・小テスト合計
総合評価割合20050250
得点200 50250