生命科学

科目基礎情報

学校 岐阜工業高等専門学校 開講年度 平成28年度 (2016年度)
授業科目 生命科学
科目番号 0004 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 先端融合開発専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 『自分を知る、いのちの科学』(伊藤明夫著、培風館、2005)を教科書として用いる。
担当教員 横川 隆志

到達目標

生命の仕組みについて生化学、細胞生物学、
分子生物学の立場から学ぶ。生物は有機分子の
集合体であり、一つ一つの構成要素が精巧なナ
ノマシーンであるといえる。これらが生体シス
テムの中で巧妙に相互作用することにより細胞
における代謝や増殖、生体における遺伝、進化
という生命の特徴が具現化する。まず、このよ
うな生物の基本的な事象を理解する。さらに、
病気のメカニズム、バイオテクノロジーの進歩
による先端医療の現状、地球環境問題など、現
代社会の中における生命化学の概要を把握する
とともに、生命倫理を思索できるようになるこ
とを期待する。具体的には以下の項目を目標と
する。
① 生命を構成する有機分子に関する理解
② 生命の最小単位である細胞に関する理解
③ 生命の設計図である遺伝子に関する理解
④ 生物の発生や遺伝に関する理解
⑤ 生体の三大システムに関する理解
⑥ 病気と医療に関する理解
⑦ 地球環境と生命に関する理解
達成度評価の基準:
個々の事柄について単に暗記するのではなく、それらが取り巻く
現象を理解することできたかを評価の対象とする。総合的に6 割以
上のレベルに達していること。
① 生命を構成する有機分子の構造と機能に関して理解し、ほぼ
正確(6 割以上)に説明することができる。
② 細胞の特徴について理解し、ほぼ正確(6 割以上)に説明する
ことができる。
③ 分子生物学の基本を理解し、ほぼ正確(6 割以上)に説明する
ことができる。
④ 生物の発生や遺伝について理解し、ほぼ正確(6 割以上)に説
明することができる。
⑤ 生体の三大システムである、ホルモン系、神経系、免疫系に
ついて理解し、ほぼ正確(6 割以上)に説明することができ
る。
⑥ 病気の発症メカニズムとその先端治療について理解し、ほぼ
正確(6 割以上)に説明することができる。
⑦ 地球環境と生命との相互作用について理解し、ほぼ正確(6 割
以上)に説明することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1生命を構成する有機分子 の構造と機能に関して理 解し、ほぼ正確に説明す ることができる。 生命を構成する有機分子の 構造と機能に関して理解 し、6 割以上正確に説明す ることができる。 生命を構成する有機分子の 構造と機能に関して理解し ていない。
評価項目2細胞の特徴について理解 し、ほぼ正確に説明する ことができる。 細胞の特徴について理解 し、6 割以上正確に説明す ることができる。 細胞の特徴について理解し ていない。
評価項目3分子生物学の基本を理解 し、ほぼ正確に説明する ことができる。 分子生物学の基本を理解 し、6 割以上正確に説明す ることができる。 分子生物学の基本を理解し ていない。
評価項目4生物の発生や遺伝につい て理解し、ほぼ正確に説 明することができる。 生物の発生や遺伝について 理解し、6 割以上正確に説 明することができる。 生物の発生や遺伝について 理解していない。
評価項目5病気の発症メカニズムと その先端治療について理 解し、ほぼ正確に説明す ることができる。 病気の発症メカニズムとそ の先端治療について理解 し、6 割以上正確に説明す ることができる。 病気の発症メカニズムとそ の先端治療について理解し ていない。
評価項目6病気の発症メカニズムと その先端治療について理 解し、ほぼ正確(6 割以 上)に説明することがで きる。 病気の発症メカニズムとそ の先端治療について理解 し、6 割以上正確に説明す ることができる。 病気の発症メカニズムとそ の先端治療について理解し ていない。
評価項目7地球環境と生命との相互 作用について理解し、ほ ぼ正確に説明することが できる。 地球環境と生命との相互作 用について理解し、6 割以 上正確に説明することがで きる。 地球環境と生命との相互作 用について理解していな い。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
授業の進め方・方法:
授業はコンピューター画像も使用しながら、所々質問を交えて行うので講義内容を予習
すること。さらに、必要に応じて課題を与えるので、必ずレポートを提出すること。
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 生命の起源 —化学進化説 —
生命の起源 —化学進化説 —
生命の起源についての仮説の一つである化学進化説につ
いて理解する。特に、原始地球の状態を加味したユーリ
ー・ミラーの実験やオパーリンのコアセルベート説につ
いて整理しておく。
2週 細胞の構造と細胞小器官の働き
原核細胞と真核細胞との形態上の相違点を列挙してまと
めておく。真核細胞の細胞小器官(オルガネラ)の形態
と機能について説明ができるようにする。
3週 生物を構成する有機低分子
核酸、アミノ酸、糖質および脂質を構成する元素を列挙
してまとめておく。核酸、アミノ酸、糖質の各々につい
て、重合体ができるときの結合様式を整理しておく。リ
ン脂質により生体膜ができる理由を考えておく。
4週 遺伝子の構造と機能 生命の設計図である遺伝子DNA の二重らせん構造の特徴
について説明できるようにする。遺伝情報のセントラル
ドグマについて簡潔にまとめておく。遺伝子の突然変異
とタンパク質の機能の変化について整理しておく。
5週 酵素と代謝 生体触媒である酵素の特性について説明できるようにす
る。グルコースからATP が産生されるまでのエネルギー
代謝について整理しておく。産生されたATP が生体内で
どのような生命現象に利用されるかまとめておく。
6週 生物の発生と分化 減数分裂の仕組みについてまとめると共に、生殖細胞の
染色体の組合せの多様性について説明ができるようにす
る。受精卵から胚盤胞をへて各臓器の細胞へ分化する過
程を整理しておく。
7週 優性遺伝と劣性遺伝 メンデルの法則と対立遺伝子の概念についてまとめてお
く。血液型と優性遺伝、フェニルケトン尿症と劣性遺
伝、血友病と伴性遺伝の関係について整理しておく。
8週 老化と寿命 染色体のテロメアと細胞の寿命との関係についてまとめ
ておく。老化の原因の一つと考えられている活性酸素の
発生メカニズムについて整理しておく。
2ndQ
9週 ホルモン系の仕組み
ホルモンの化学構造と作用様式について整理しておく。
ホルモン系のフィードバック制御機構について理解した
上で、生体のホメオスタシスの概念について血統調節機
構を例にしてまとめておく。
10週 免疫系の仕組み 免疫に関する歴史的な事象を整理しておく。自己と非自
己の概念を理解し、細胞性免疫と体液性免疫の仕組みに
ついてまとめておく。抗体の多様性について説明ができ
るようにする。
11週 神経系の仕組み 脳の構造と神経系の仕組みについてまとめておく。神経
細胞で発生する電気信号の特徴について整理しておく。
シナプスにおける情報の伝達様式について理解した上
で、記憶のメカニズムについて説明ができるようにす
る。
12週 癌と感染症 ガン遺伝子とガン抑制遺伝子の特徴についてまとめてお
く。ウィルスの特徴について整理しておく。HIV ウィル
スによりエイズが発症する理由について説明ができるよ
うにする。
13週 バイオテクノロジーとクローン生物 遺伝子組換えを可能にした基礎技術を理解し整理してお
く。遺伝子組換え作物の安全性についてまとめておく。
ES 細胞の特徴を理解し、クローン生物の作製手順の概略
を整理しておく。
14週 先端医療と生命倫理 伝子診断の有効性と問題点についてまとめておく。ES
細胞の再生医療への利用について整理しておく。ヒトク
ローン胚の作製の倫理的な問題点について議論ができる
ようにする。
15週 フォローアップ等(期末試験の解答の解説な
ど)
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題合計
総合評価割合100100200
期末100100200
000