生命科学

科目基礎情報

学校 岐阜工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 生命科学
科目番号 0012 科目区分 専門 / 必修
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 先端融合開発専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 生物と科学 生物に挑む科学の歩み (木内一壽 編著 培風館 2018)
担当教員 横川 隆志

到達目標

生命の仕組みについて生化学、細胞生物学、分子生物学の立場から学ぶ。生物は有機分子の集合体であり、一つ一つの構成要素が精巧なナノマシーンであるといえる。これらが生体システムの中で巧妙に相互作用することにより細胞における代謝や増殖、生体における遺伝、進化という生命の特徴が具現化する。まず、このような生物の基本的な事象を理解する。さらに、病気のメカニズム、バイオテクノロジーの進歩による先端医療の現状、地球環境問題など、現代社会の中における生命化学の概要を把握するとともに、生命倫理を思索できるようになることを期待する。具体的には以下の項目を目標とする。
① 生命を構成する有機分子に関する理解
② 生命の最小単位である細胞に関する理解
③ 生命の設計図である遺伝子に関する理解
④ 生物がエネルギーを生み出す仕組みに関する理解
⑤ バイオテクノロジーに関する理解
⑥ 生体の三大システムに関する理解
⑦ 気候変動と生物多様性に関する理解
達成度評価の基準:
個々の事柄について単に暗記するのではなく、それらが取り巻く
現象を理解することできたかを評価の対象とする。総合的に6 割以
上のレベルに達していること。
① 生命を構成する有機分子の構造と機能に関して理解し、ほぼ
正確(6 割以上)に説明することができる。
② 細胞の特徴について理解し、ほぼ正確(6 割以上)に説明する
ことができる。
③ 分子生物学の基本を理解し、ほぼ正確(6 割以上)に説明する
ことができる。
④ 生物がエネルギーを生み出す仕組みについて理解し、ほぼ正確
(6 割以上)に説明することができる。
⑤ バイオテクノロジーの原理やその恩恵について理解し、ほぼ正確
(6 割以上)に説明することができる。
⑥ 生体の三大システムである、ホルモン系、神経系、免疫系に
ついて理解し、ほぼ正確(6 割以上)に説明することができ
る。
⑦ 気候変動と生物多様性の関連について理解し、ほぼ正確(6 割
以上)に説明することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1生命を構成する有機分子の 構造と機能に関して理解し ほぼ正確に説明することが できる。 生命を構成する有機分子の 構造と機能に関して理解し 6 割以上説明することがで きる。 生命を構成する有機分子の 構造と機能に関して理解し ていない。
評価項目2細胞の特徴について理解し ほぼ正確に説明することが できる。 細胞の特徴について理解し 6 割以上説明することがで きる。 細胞の特徴について理解し ていない。
評価項目3分子生物学の基本を理解し ほぼ正確に説明することが できる。 分子生物学の基本を理解し 6 割以上説明することがで きる。 分子生物学の基本を理解し ていない。
評価項目4生物がエネルギーを生み出 す仕組みについて理解し、 ほぼ正確に説明することが できる。 生物がエネルギーを生み出 す仕組みについて理解し、 6 割以上説明することがで きる。 生物がエネルギーを生み出 す仕組みについて理解して いない。
評価項目5バイオテクノロジーの原理 やその恩恵について理解し ほぼ正確に説明することが できる。 バイオテクノロジーの原理 やその恩恵について理解し 6 割以上説明することがで きる。 バイオテクノロジーの原理 やその恩恵について理解し ていない。
評価項目6免疫や神経などの生物ネッ トワークについて理解し、 ほぼ正確に説明することが できる。免疫や神経などの生物ネッ トワークについて理解し、 6 割以上説明することがで きる。 免疫や神経などの生物ネッ トワークについて理解して いない。
評価項目7生物多様性の重要性ついて 理解し、ほぼ正確に説明す ることができる。生物多様性の重要性ついて 理解し、6 割以上説明する ことができる。 生物多様性の重要性ついて 理解していない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
生命の仕組みについて生化学、細胞生物学、分子生物学の立場から学ぶ。生物は有機分子の集合体であり、一つ一つの構成要素が精巧なナノマシーンであるといえる。これらが生体システムの中で巧妙に相互作用することにより細胞における代謝や増殖、生体における遺伝、進化という生命の特徴が具現化する。
授業の進め方・方法:
授業はコンピューター画像も使用しながら、所々質問を交えて行うので講義内容を予習すること。さらに、必要に応じて課題を与えるので、必ずレポートを提出すること。
注意点:
JABEE 基準1(1):(a)、(b)、(c)

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 生命の起源 —化学進化説 —

生命の起源についての仮説の一つである化学進化説について理解する。特に、原始地球の状態を加味したユーリー・ミラーの実験やオパーリンのコアセルベート説について整理しておく。
2週 細胞の構造と細胞小器官の働き
バクテリア、アーキア、真核細胞の相違点を列挙してまとめておく。真核細胞の細胞小器官(オルガネラ)の形態と機能について説明ができるようにする。
3週 生物を構成する有機低分子
核酸、アミノ酸、糖質および脂質を構成する元素を列挙してまとめておく。核酸、アミノ酸、糖質の各々について、重合体ができるときの結合様式を整理しておく。リン脂質により生体膜ができる理由を考えておく。
4週 遺伝子の構造 生命の設計図である遺伝子DNA の二重らせん構造の特徴について説明できるようにする。
5週 遺伝情報の発現 遺伝情報のセントラルドグマについて簡潔にまとめておく。遺伝子の突然変異とタンパク質の機能の変化について整理しておく。
6週 酵素と代謝 生体触媒である酵素の特性について説明できるようにする。
7週 生物がエネルギーを生み出す仕組み
葉緑体やミトコンドリアで、生物がどのようにエネルギーを生み出しているか説明できるようにする。
8週 バイオテクノロジー 遺伝子組換えを可能にした基礎技術を理解し整理しておく。ゲノム編集について説明できるようにする。
2ndQ
9週 細胞周期
細胞の増殖がどのように制御されているか理解し、がん化との関連性についてまとめておく。
10週 ホルモン系の仕組み ホルモンの化学構造と作用様式について整理しておく。ホルモン系のフィードバック制御機構について理解した上で、生体のホメオスタシスの概念についてまとめておく。
11週 神経系の仕組み 脳の構造と神経系の仕組みについてまとめておく。神経細胞で発生する電気信号の特徴について整理しておく。シナプスにおける情報の伝達様式について理解し説明ができるようにする。
12週 免疫系の仕組み 免疫に関する歴史的な事象を整理しておく。自己と非自己の概念を理解し、細胞性免疫と体液性免疫の仕組みについてまとめておく。抗体の多様性について説明ができるようにする。
13週 生物多様性 気候変動により生物多様性が失われるリスクについてまとめておく。
14週 先端医療と生命倫理 遺伝子診断の有効性と問題点についてまとめておく。ヒトクローン胚の作製の倫理的な問題点について議論ができるようにする。
15週 フォローアップ等(期末試験の解答の解説な
ど)
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学ライフサイエンス/アースサイエンスライフサイエンス/アースサイエンス太陽系を構成する惑星の中に地球があり、月は地球の衛星であることを説明できる。4
地球は大気と水で覆われた惑星であることを説明できる。4
陸地および海底の大地形とその形成を説明できる。4
地球の内部構造を理解して、内部には何があるか説明できる。4
マグマの生成と火山活動を説明できる。4
地震の発生と断層運動について説明できる。4
地球科学を支えるプレートテクトニクスを説明できる。4
プレート境界における地震活動の特徴とそれに伴う地殻変動などについて説明できる。4
地球上の生物の多様性について説明できる。4
生物の共通性と進化の関係について説明できる。4
生物に共通する性質について説明できる。4
植生の遷移について説明でき、そのしくみについて説明できる。4
世界のバイオームとその分布について説明できる。4
日本のバイオームの水平分布、垂直分布について説明できる。4
生態系の構成要素(生産者、消費者、分解者、非生物的環境)とその関係について説明できる。4
生態ピラミッドについて説明できる。4
生態系における炭素の循環とエネルギーの流れについて説明できる。4
熱帯林の減少と生物多様性の喪失について説明できる。4
有害物質の生物濃縮について説明できる。4
地球温暖化の問題点、原因と対策について説明できる。4

評価割合

試験課題合計
総合評価割合100100200
期末100100200