量子力学

科目基礎情報

学校 岐阜工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 量子力学
科目番号 0024 科目区分 専門 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 先端融合開発専攻 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 岩波基礎物理シリーズ5 量子力学 (原康夫・岩波書店)を教科書とする(同シリーズ「量子力学」新装版も同内容)。
担当教員 坂部 和義,上原 敏之

到達目標

以下の各項目を到達目標とする。
① 量子論の必要性を理解する
② 古典力学から量子力学へ移行する方法の理解
③ 波動関数の物理的意味と古典論との対応の理解 
④ 1次元束縛問題の理解
⑤ 1次元散乱問題の理解
⑥ 中心力場中の状態と角運動量の理解
岐阜高専ディプロマポリシー:(D)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1アインシュタインの関係式とド・ブロイの関係式に関する問題をほぼ正確に解くことができる。アインシュタインの関係式とド・ブロイの関係式に関する問題を6割以上解くことができる。アインシュタインの関係式とド・ブロイの関係式に関して理解していない。
評価項目2シュレーディンガーの波動方程式をほぼ正確に古典論から導出できる。シュレーディンガーの波動方程式を6割程度正確に古典論から導出できる。シュレーディンガーの波動方程式を古典論から導出する方法を理解していない。
評価項目3確率解釈と確率保存およびエーレンフェストの定理との関係をほぼ正確に説明できる。確率解釈と確率保存およびエーレンフェストの定理との関係を6割程度正確に説明できる。確率解釈と確率保存およびエーレンフェストの定理との関係を説明できない。
評価項目4井戸型ポテンシャルやフックポテンシャルの場合の波動方程式を理解でき,問題をほぼ正確に解くことができる。井戸型ポテンシャルやフックポテンシャルの場合の波動方程式を理解でき,問題を6割以上解くことができる。井戸型ポテンシャルやフックポテンシャルの場合の波動方程式を理解していない。
評価項目5階段ポテンシャルとトンネル効果の問題をほぼ正確に解くことができる。階段ポテンシャルとトンネル効果の問題を6割以上解くことができる。階段ポテンシャルとトンネル効果を理解していない。
評価項目6角運動量の固有状態を数学的にほぼ正確に扱える。角運動量の固有状態を数学的に6割程度正確に扱える。角運動量の固有状態を数学的に扱うことができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
量子力学の基本を習得することにより、物質の性質を微視の世界から理解するための基礎知識を得て、先端技術を理解できる素養を身につける。
授業の進め方・方法:
教科書から基本的に大切な部分を抜き出して板書をしながら授業を進める。式の意味を知るためにグラフやシミュレーションも利用する。
ノートを充実し必ず復習をすること。理解すべき式の基本的な計算方法は、レポートで確認する。
英語導⼊計画:Technical terms
注意点:
授業の内容を確実に⾝につけるために、予習・復習が必須である。
なお,成績評価に授業外学修の内容は含まれる。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 量子力学の必要性1
(原子の大きさ、原子の不安定性、光の2重性、
光電効果、アインシュタインの関係式、
プランク定数、コンプトン散乱)
(授業外学習・事前)
(授業外学習・事後)量子力学の概要の理解(4時間)
2週 量子力学の必要性2
(電子の2重性、ヤングの実験、波動関数と
確率密度、ド・ブロイ波長)
(授業外学習・事前)前回講義の復習(1時間)
(授業外学習・事後)課題レポートの作成(3時間)
3週 波動方程式
(弦を伝わる波、自由粒子の波動関数と
波動方程式)
(授業外学習・事前)前回講義の復習(1時間)
(授業外学習・事後)課題レポートの作成(3時間)
4週 演算子・2重性
(運動量演算子、ハミルトニアン、固有値、
固有関数)
(授業外学習・事前)前回講義の復習(1時間)
(授業外学習・事後)課題レポートの作成(3時間)
5週 シュレーディンガー方程式
(時間に依存するシュレーディンガー方程式、
時間に依存しないシュレーディンガー方程式)
(授業外学習・事前)前回講義の復習(1時間)
(授業外学習・事後)課題レポートの作成(3時間)
6週 確率の保存,対応原理
(ハミルトニアンのエルミート性、
位置の期待値とその時間微分、
運動量期待値とその時間微分、
エーレンフェストの定理)
(授業外学習・事前)前回講義の復習(1時間)
(授業外学習・事後)課題レポートの作成(3時間)
7週 物理量と期待値
(物理量と演算子、固有関数を用いた波動関数の
展開、エルミート演算子、エルミート演算子の
固有関数が正規直交系をなすこと)
(授業外学習・事前)前回講義の復習(1時間)
(授業外学習・事後)課題レポートの作成(3時間)
8週 1次元束縛問題
(無限に深い井戸型ポテンシャル、
基底状態、励起状態、量子数、
深さ有限な井戸型ポテンシャル)
(授業外学習・事前)前回講義の復習(1時間)
(授業外学習・事後)課題レポートの作成(3時間)
2ndQ
9週 1次元束縛問題
(調和振動子、生成消滅演算子、交換関係、
数演算子、基底状態、励起状態、量子数、
零点エネルギー、エルミート多項式)
(授業外学習・事前)前回講義の復習(1時間)
(授業外学習・事後)課題レポートの作成(3時間)
10週 1次元散乱問題
(確率の流れ、階段型ポテンシャル)
(授業外学習・事前)前回講義の復習(1時間)
(授業外学習・事後)課題レポートの作成(3時間)
11週 1次元散乱問題
(トンネル効果)
(授業外学習・事前)前回講義の復習(1時間)
(授業外学習・事後)課題レポートの作成(3時間)
12週 中心力ポテンシャル中の電子
(球座標でのシュレーディンガー方程式、
動径方程式、角度方程式)
(授業外学習・事前)前回講義の復習(1時間)
(授業外学習・事後)課題レポートの作成(3時間)
13週 水素原子
(主量子数、ボーア半径、ラゲールの陪多項式)
(授業外学習・事前)前回講義の復習(1時間)
(授業外学習・事後)課題レポートの作成(3時間)
14週 角運動量
(交換関係、昇降演算子)
(授業外学習・事前)
(授業外学習・事後)全講義の復習(4時間)
15週 期末試験
16週 期末試験の解答の解説など (授業外学習・事前)
(授業外学習・事後)期末試験の誤答箇所の再解答(4時間)

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。4
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。4
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。4
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。4
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。4
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。4
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。4
物体に作用する力を図示することができる。4
力の合成と分解をすることができる。4
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。4
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。4
慣性の法則について説明できる。4
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。4
運動方程式を用いた計算ができる。4
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。4
仕事と仕事率に関する計算ができる。4
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。4
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。4
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。4
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。4
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。4
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。4
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。4
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。4
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。4
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。4
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.4
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。4
力のモーメントを求めることができる。4
角運動量を求めることができる。4
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。4
重心に関する計算ができる。4
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。4
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。4
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。4
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。4
波の重ね合わせの原理について説明できる。4
波の独立性について説明できる。4
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。4
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。4
波の反射の法則、屈折の法則、および回折について説明できる。4
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。4
共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。4
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。4

評価割合

試験課題合計
総合評価割合10050150
得点10050150