システム制御工学基礎

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 システム制御工学基礎
科目番号 2018-15 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 機械工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 JSMEテキストシリーズ 制御工学 日本機械学会(著)
担当教員 三谷 祐一朗

到達目標

1. DCモータに対してモデリングすることができる.
2. 一次遅れ要素におけるPID制御系を設計することができる.
3. PLCを用いてPID制御器を実装できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
DCモータに対してモデリングすることができる.□微分方程式や伝達関数を用いて,DCモータに対する複数種類のモデリングを行い,その結果を比較して妥当性を検討することができる.□微分方程式や伝達関数を用いて,DCモータに対するモデリングができる.□微分方程式や伝達関数を用いて,DCモータに対するモデリングができない.
一次遅れ要素におけるPID制御系を設計することができる.□一次遅れ要素における複数種類のPID制御系を設計することができ,その性能を評価することができる.□一次遅れ要素におけるPID制御系を設計することができる.□一次遅れ要素におけるPID制御系を設計することができない.
PLCを用いてPID制御器を実装できる.□PLCを用いて複数種類のPID制御器を実装できる.□PLCを用いてPID制御器を実装できる.□PLCを用いてPID制御器を実装できない.

学科の到達目標項目との関係

【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
世の中に存在するフィードバック制御のおよそ8~9割はPID制御であると言われている.それは,PID制御が直感的に理解でき,たとえ制御対象がモデリングされていなくても,比較的容易にフィードバックゲインを調整して安定な制御を構築できるからである.それゆえ,生産現場におけるPID制御パラメータの調整は必ずしも最適ではないのが現状である.ここでは,制御対象としてDCモータを取り上げ,モデリングに基づくPID制御系の設計と実機への実装および,制御効果の評価を行う.
授業の進め方・方法:
反転授業および,PBL形式のアクティブラーニング (AL) を実施する.Matlab / Simulinkを活用した制御系のシミュレーション,およびPLCとサーボモータを活用したフィードバック制御システムの制御を行う.到達目標(課題)を設定し,グループ内で調査・ディスカッションすることで,目標達成を試みる.重要な点は,目標を達成することよりむしろ,複数の学生がコミュニケーションを通じて,自ら専門知識を学習し活用できる能力を獲得することである.
注意点:
1.試験や課題レポート等は、JABEE 、大学評価・学位授与機構、文部科学省の教育実施検査に使用することがあります。
2.授業参観される教員は当該授業が行われる少なくとも1週間前に教科目担当教員へ連絡してください。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 1)シラバス説明,moodleのコンテンツ紹介,授業概要・方法(反転授業,PBL,アクティブラーニング)
2)アクティブラーニングの実践(問題提起):PID制御系設計手法の復習「DCモータにおける速度制御仕様を満たす制御系の設計問題」
3)グループワーク(題に対して実現する方法(手順)をディスカッション)
アクティブラーニング形式の学習が実施でき,能動的な専門知識の学び方を実践することができる.
2週 1)前回提示した課題:「DCモータにおける速度制御仕様を満たす制御系の設計問題」の再確認.
2)前回の結論:DCモータの回転速度制御においては,一次遅れ要素で近似できる」を踏まえ,実機にてPID制御系を設計する際に必要なことを検討:微分方程式における物理定数の導出(実測).
3)全ての物理定数(回転慣性,インダクタンスなど)を精度良く実測するのは困難.そこで,制御対象が一次遅れ要素と近似できる事を利用し,モデリングする方法を検討:時定数・ゲイン定数を実測すれば,微分方程式における係数が求まる.
DCモータのモデリングとその方法を説明できる.
3週 1)前回提示した課題:「DCモータの速度制御(目標値一定)」の再確認・内容の振り返り.
2)実験の実施をイメージし,手順を箇条書きにする.班ごとに発表.
3)実験装置の全体配置図と役割の概要を把握,実験の流れを再検討.
4)実験に必要な事柄の確認:
(1)MATLAB/Simulinkを使った制御系の設計・シミュレーション
(2)PLCを使ったラダー図(回路)の作成
(3)表示器(タッチパネル)の画面作成
5)DCモータの回転速度制御に必要な技術
(1)エンコーダの信号の読み取り(A・B・Z相)
(2)PWMとは
DCモータのモデリングのための実験ができる.
4週 1)CX-Programmerの使い方(ラダー図の基本)
2)MATLAB/Simulinkの使い方(制御例・一次遅れ要素に対するPID制御)
1)基本的なシーケンス制御のラダー図を描くことができる.
2)MATLAB/Simulinkを用いた基本的な制御系の設計ができる.
5週 1)表示器の使い方(プログラムの作成・ダウンロード方法)
2)MATLABによる一次遅れ要素のPID制御系設計
3)PLCを用いたラダー図の基本
1)基本的なシーケンス制御のラダー図を描くことができる.
2)MATLAB/Simulinkを用いた基本的な制御系の設計ができる.
6週 DCモータのPID制御に向けた作業の継続 DCモータにおけるPID制御の設計方法が説明できる.
7週 1)エンコーダを用いたDCモータの回転速度の取得
2)DCモータの回転速度の,表示器を用いたグラフ化
3)MATLABによるPID制御系の設計(閉ループ系を1次系・2次系とする)
エンコーダを用いたモータのモデリングができる.
8週 前半の総まとめ,進捗確認,後半へ向けての方針の作成 1)DCモータのモデリング,およびPID制御系の設計方法についての基礎的な問題を解くことができる.
2)実機を用いたDCモータのモデリング手法が説明できる.
2ndQ
9週 前期中間試験の返却・コメント,他の班員の担当内容・他の班の作業内容の相互確認 試験結果に基づき,自己の理解度を向上させる事ができる.
10週 1)温度制御を例にしたPIDAT命令
2)DCモータにおけるPID制御システムの構築
PLCを用いた,PID制御の実装方法の概要を説明できる.
11週 1)エンコーダを用いたモータの回転速度の測定
2)モータの回転速度の表示器へのグラフ表示
PLCへのPID制御の実装ができる.
12週 PIDAT命令に必要なパラメータ設定方法 PLCへのPID制御の実装における必要なパラメータを説明できる.
13週 PID制御実験と結果の分析 DCモータにおけるPID制御結果を分析することができる.
14週 PID制御実験と結果の分析,レポート作成 PID制御結果を分かりやすく報告することができる.
15週 総まとめ 今まで学習してきたことを活用し,与えられた課題の解決方法や結果をまとめ,考察するができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

前期中間試験前期末試験レポート態度合計
総合評価割合30303010100
評価割合30303010100