電磁気学Ⅲ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 電磁気学Ⅲ
科目番号 2018-172 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気電子工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 金原粲監修,"専門基礎ライブラリー 電磁気学",実教出版,2007. 高木,猪原,佐藤,高橋,向川,"大学1年生のための電気数学(第2版)",森北出版,2016.
担当教員 嶋 直樹

到達目標

電磁気学の物理学的および数学的表現を理解し,以下に示す項目を行えるようになることを目標とする.
1.基本的なベクトル解析の数学表現を理解し,計算することができる.
2.磁性および電流が作る磁界について式を立て解くこととができる.
3.電流および移動する電荷に働く力,電磁誘導について式を立て解くこととができる.
4.変位電流およびマクスウェル方程式について式を立て解くこととができる.
5.電磁気学の応用事例を挙げ取り上げ,それを説明することができる.(B1-3)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1.基本的なベクトル解析の数学表現を理解し,計算することができる.□ベクトル解析における基本的な演算を誤りなく行うことができる. □ベクトル解析における基本的な定理を説明し,また,誤りなく解くことができる.□ベクトル解析における基本的な演算を行うことができる. □ベクトル解析における基本的な定理を説明し,また,解くことができる."□ベクトル解析における基本的な演算を行うことができない. □ベクトル解析における基本的な定理を説明し,また,解くことができない."
2.磁性および電流が作る磁界について式を立て解くこととができる.□磁性について誤りなく式を解き,説明することができる. □電流が作る磁界について誤りなく式を解き,説明することができる."□磁性について式を解き,説明することができる. □電流が作る磁界について式を解き,説明することができる.""□磁性について式を解くことおよび説明することができない. □電流が作る磁界について式を解くことおよび説明することができない."
3.電流および移動する電荷に働く力,電磁誘導について式を立て解くこととができる.□電流,移動する電荷に働く力について誤りなく式を解き,説明することができる. □電磁誘導ついて式を誤りなく式を解き,説明することができる. □磁界のエネルギーについて誤りなく式を解き,説明することができる."□電流,移動する電荷に働く力について式を解き,説明することができる. □電磁誘導ついて式を解き,説明することができる. □磁界のエネルギーについて式を解き,説明することができる."□電流,移動する電荷に働く力について式を解くことおよび説明することができない. □電磁誘導ついて式を解くことおよび説明することができない. □磁界のエネルギーについて式を解くことおよび説明することができない."

学科の到達目標項目との関係

実践指針 (B1) 説明 閉じる
実践指針のレベル (B1-3) 説明 閉じる
【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
電磁気学は力学,熱力学と並ぶ物理学の重要な基礎であり,さらには電気回路,電子回路,電気機器などの電気電子工学における根幹たる重要な分野である.本科目では電磁気学IIで学ぶ静電界に続き静磁界,電磁誘導について学ぶ.さらにマクスウェルの方程式について学び,その簡単な応用として平面波について学ぶ.また,電磁気学における法則を表現するための重要な表現方法であるベクトル解析について,表現方法と簡単な計算方法についてもまなぶ.
授業の進め方・方法:
・座学による授業を基本とする.
・適宜,小テストを行う.基本的に小テストの評価は課題点として成績に勘案する.
・到達目標5(B1-3)は夏期休暇中の課題として評価する.この課題はGoogle Classroomより提出すること.
・試験範囲,過去問題,配付資料はMoodleコースに掲載する.
注意点:
・到達目標5(B1-3)の課題の評価が不可の場合は,科目成績も不可とする.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
ベクトルの表現と演算
ベクトル場とスカラー場,ベクトルの表現,ベクトルの演算
2週 ベクトルと座標系 直交座標系と各種座標系
3週 ベクトル関数の積分1 線積分,面積分,体積積分
4週 ベクトル関数の積分2 面積分,体積積分
5週 ベクトル関数の微分1 偏微分,全微分,勾配
6週 ベクトル関数の微分2 発散,回転
7週 ベクトル解析における定理1 ガウスの定理
8週 ベクトル解析における定理2 ストークスの定理
2ndQ
9週 磁性体と磁界 磁性体
10週 電流と作る磁界 直線電流が作る磁界
11週 電流と作る磁界 アンペールの法則
12週 電流と作る磁界 アンペールの法則を用いた磁界の計算
13週 電流と作る磁界 ビオ・サバールの法則
14週 電流と作る磁界 ビオ・サバールの法則を用いた磁界の計算
15週 電流と作る磁界 アンペールの法則とビオ・サバールの法則
16週
後期
3rdQ
1週 電流に働く力 フレミングの左手の法則,電流に働く力,ローレンツ力
2週 磁性体1 磁気双極子,磁石,磁性体
3週 磁性体2 磁界の境界条件
4週 磁気回路 磁気回路
5週 電磁誘導1 ファラデーの電磁誘導の法則
6週 電磁誘導2 誘導起電力の発生
7週 電磁誘導2 空間に生じる誘導電界
8週 相互誘導,自己誘導1 相互誘導
4thQ
9週 相互誘導,自己誘導2 自己誘導
10週 相互誘導,自己誘導3 磁界のエネルギー
11週 マクスウェルの方程式1 変位電流
12週 マクスウェルの方程式2 マクスウェルの方程式(積分型)
13週 マクスウェルの方程式2 マクスウェルの方程式(微分型)
14週 平面波1 波動方程式の解
15週 平面波2 平面波
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3前1
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。3前1
恒等式と方程式の違いを区別できる。3前1
角を弧度法で表現することができる。3前2
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3前2
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3前2
2点間の距離を求めることができる。3前1
内分点の座標を求めることができる。3前2
2つの直線の平行・垂直条件を利用して、直線の方程式を求めることができる。3前2
放物線、楕円、双曲線の図形的な性質の違いを区別できる。3前2
簡単な場合について、不等式の表す領域を求めたり領域を不等式で表すことができる。3前2
積の法則と和の法則を利用して、簡単な事象の場合の数を数えることができる。3
簡単な場合について、順列と組合せの計算ができる。3
等差数列・等比数列の一般項やその和を求めることができる。3
総和記号を用いた簡単な数列の和を求めることができる。3
ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。3前1
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。3
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。3前1
問題を解くために、ベクトルの平行・垂直条件を利用することができる。3
空間内の直線・平面・球の方程式を求めることができる(必要に応じてベクトル方程式も扱う)。3
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。3
平面内の回転に対応する線形変換を表す行列を求めることができる。3
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。3
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。3
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。3
合成関数の導関数を求めることができる。3
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。3
逆三角関数を理解し、逆三角関数の導関数を求めることができる。3
関数の増減表を書いて、極値を求め、グラフの概形をかくことができる。3
極値を利用して、関数の最大値・最小値を求めることができる。3
関数の媒介変数表示を理解し、媒介変数を利用して、その導関数を求めることができる。3
簡単な場合について、曲線で囲まれた図形の面積を定積分で求めることができる。3
簡単な場合について、曲線の長さを定積分で求めることができる。3
簡単な場合について、立体の体積を定積分で求めることができる。3
2変数関数の定義域を理解し、不等式やグラフで表すことができる。3
合成関数の偏微分法を利用して、偏導関数を求めることができる。3
簡単な関数について、2次までの偏導関数を求めることができる。3
偏導関数を用いて、基本的な2変数関数の極値を求めることができる。3
2重積分の定義を理解し、簡単な2重積分を累次積分に直して求めることができる。3
極座標に変換することによって2重積分を求めることができる。3
2重積分を用いて、簡単な立体の体積を求めることができる。3
簡単な1階線形微分方程式を解くことができる。3
定数係数2階斉次線形微分方程式を解くことができる。3後1
簡単な1変数関数の局所的な1次近似式を求めることができる。3
1変数関数のテイラー展開を理解し、基本的な関数のマクローリン展開を求めることができる。3
オイラーの公式を用いて、複素数変数の指数関数の簡単な計算ができる。3後1
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電磁気磁性体と磁化及び磁束密度を説明できる。4後2
電流が作る磁界をビオ・サバールの法則を用いて計算できる。4前13
電流が作る磁界をアンペールの法則を用いて計算できる。4前11
磁界中の電流に作用する力を説明できる。4後1
ローレンツ力を説明できる。4後1
磁気エネルギーを説明できる。4後11
電磁誘導を説明でき、誘導起電力を計算できる。4後6
自己誘導と相互誘導を説明できる。4後11
自己インダクタンス及び相互インダクタンスを求めることができる。4後11

評価割合

A:定期試験 B:小テスト・課題レポート 合計
総合評価割合7228100
1.基本的なベクトル解析の数学表現を理解し,計算することができる.18624
2.磁性および電流が作る磁界について式を立て解くこととができる.18624
3.電流および移動する電荷に働く力,電磁誘導について式を立て解くこととができる.18624
4.変位電流およびマクスウェル方程式について式を立て解くこととができる.18624
5.電磁気学の応用事例を挙げ取り上げ,それを説明することができる.(B1-3)044