応用物理Ⅱ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 応用物理Ⅱ
科目番号 2020-168 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電気電子工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 前期はテキスト配布。後期:適宜プリントを配布。参考書としてバイザー著現代物理学の基礎(好学社)を用いる。
担当教員 駒 佳明,設楽 恭平,住吉 光介

到達目標

1.実験の内容,結果およびその背景にある物理現象について正しく理解し,関連する諸量を計算できる。
3.自然現象における現代物理学の役割を理解して、相対論・量子論に基づいた基礎的な量を評価することができる。(B1-3)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1□実験に関する物理現象について正しく説明でき,応用的な事例について関連する諸量の計算ができる。□実験に関する物理現象について正しく説明でき,関連する諸量の計算ができる。□実験に関する物理現象について正しく説明できない。
評価項目2(B1-3)□相対論に基づいて諸量の計算ができる。 □量子論に基づいて諸量の計算ができる。 □量子力学に基づいて諸量の計算ができる。□相対論に基づいて基本の計算ができる。 □量子論に基づいて基本の計算ができる。 □量子力学に基づいて基本の計算ができる。□相対論に基づいた評価ができない。 □量子論に基づいた評価ができない。 □量子力学に基づいた評価ができない。

学科の到達目標項目との関係

実践指針 (B1) 説明 閉じる
実践指針のレベル (B1-3) 説明 閉じる
【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
前期は,1-3年で履修した物理I,物理IIおよび工業力学を応用して,重要な物理現象に関する実験について学ぶ。同時に,実験データの解析や誤差の扱いについても学ぶ。後期は現代物理学の講義を行う。古典力学から現代物理学への発展を話題として、相対論と量子力学の基礎的な問題を取り扱い、ミクロ世界のエッセンスを習得することを目的とする。本講義を通して,物理の基礎知識を自らの工学分野に応用できることに加え,自らの専門分野の課題の解決に数学的手法を適用できることを学ぶ。
授業の進め方・方法:
前期は,実験の内容を中心に講義と演習を行う。
後期は,現代物理学における基礎的な事項を講義により学ぶ。相対論・量子論・量子力学と概念を紹介するとともに具体的な問題を解きながら理解を深める。
注意点:
前期は演習課題と到達度確認テスト1で評価する。後期は到達度確認テスト2,到達度確認テスト3で評価する。授業目標2(B1-3)が標準到達基準(満点の60%)以上で,かつ前後期の評価点が60点以上の場合に合格とする。評価基準はルーブリックによる。評価については、評価割合に従って行う。ただし、適宜再試や追加課題を課し、加点することがある。この科目は学修単位科目であり、1単位あたり30時間の講義を実施する。併せて1単位あたり15時間の事前学習・事後学習が必要となる。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,誤差論 安全に実験することの重要性について理解できる。誤差と有効数字の概念を理解できる。
2週 振動論
単振動,減衰振動,強制振動と共振の実験を理解し,結果の解析ができる。
3週 レーザー光の回折
レーザー光を用いた回折の実験を理解し,結果の解析ができる。
4週 電気抵抗の温度計数の測定 電気現象を電子の運動として理解できる。温度を変化させながら電気抵抗を測定する実験を理解し,結果の解析ができる。
5週 光電効果とプランク定数の測定
光の粒子性とプランク定数の関係を理解できる。光電効果に関する実験を理解し,プランク定数を求めることができる。
6週 電子の比電荷の測定
ローレンツ力による電子の等速円運動の実験を理解し,電子の比電荷を求めることができる。
7週 水素原子スペクトルとプランク定数の測定
水素原子のスペクトルを観測する実験を理解し,プランク定数を求めることができる。
8週 放射線基礎 放射線に関する基礎的な内容を理解できる。

2ndQ
9週 放射線応用
放射線に関する応用的な内容を理解できる。
10週 光速度の測定
光速度測定に関連する実験を理解できる。
11週 誤差論演習
誤差論について理解を深める。
12週 振動論演習
振動論について理解を深める。
13週 電気抵抗と電子の比電荷の演習 電気抵抗と電子の比電荷について理解を深める。
14週 光電効果と水素原子の演習
光電効果と水素原子について理解を深める。
15週 放射線の演習
放射線について理解を深める。
16週 到達度確認テスト1

後期
3rdQ
1週 現代物理学とは 相対性理論におけるエネルギーを扱うことができる
2週 空間と時間 ローレンツ収縮、時間の伸びを扱うことができる
3週 ローレンツ変換 相対論における時空・速度の変換を扱うことができる
4週 4次元運動量 相対論におけるエネルギー・質量を扱うことができる
5週 光の粒子性 光子の運動量・エネルギーを扱うことができる
6週 粒子の波動性 ド・ブロイ波長、箱の中の粒子を扱うことができる
7週 波動と粒子性のまとめ
8週 到達度確認テスト2
4thQ
9週 不確定性原理 ハイゼンベルグの思考実験にもとづいて位置と運動量の関係を理解できる
10週 量子力学1 波動関数、確率密度分布を扱うことができる
11週 量子力学2 無限井戸型ポテンシャル問題において波動関数を扱うことができる
12週 量子力学3 無限井戸型ポテンシャル問題において位置の期待値を扱うことができる
13週 量子力学4 無限井戸型ポテンシャル問題において期待値、固有値を扱うことができる
14週 到達度確認テスト3
15週 量子力学のまとめ
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3
因数定理等を利用して、4次までの簡単な整式の因数分解ができる。3
分数式の加減乗除の計算ができる。3
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。3
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。3
複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。3
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。3
因数定理等を利用して、基本的な高次方程式を解くことができる。3
簡単な連立方程式を解くことができる。3
無理方程式・分数方程式を解くことができる。3
1次不等式や2次不等式を解くことができる。3
恒等式と方程式の違いを区別できる。3
2次関数の性質を理解し、グラフをかくことができ、最大値・最小値を求めることができる。3
分数関数や無理関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
簡単な場合について、関数の逆関数を求め、そのグラフをかくことができる。3
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。3
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3
対数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
角を弧度法で表現することができる。3
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。3
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
三角比を理解し、簡単な場合について、三角比を求めることができる。3
一般角の三角関数の値を求めることができる。3
2点間の距離を求めることができる。3
積の法則と和の法則を利用して、簡単な事象の場合の数を数えることができる。3
簡単な場合について、順列と組合せの計算ができる。3
等差数列・等比数列の一般項やその和を求めることができる。3
総和記号を用いた簡単な数列の和を求めることができる。3
不定形を含むいろいろな数列の極限を求めることができる。3
無限等比級数等の簡単な級数の収束・発散を調べ、その和を求めることができる。3
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。3
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。3
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。3
合成関数の導関数を求めることができる。3
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。3
逆三角関数を理解し、逆三角関数の導関数を求めることができる。3
関数の増減表を書いて、極値を求め、グラフの概形をかくことができる。3
極値を利用して、関数の最大値・最小値を求めることができる。3
簡単な場合について、関数の接線の方程式を求めることができる。3
2次の導関数を利用して、グラフの凹凸を調べることができる。3
関数の媒介変数表示を理解し、媒介変数を利用して、その導関数を求めることができる。3
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。3
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。3
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。3
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。3
簡単な場合について、曲線で囲まれた図形の面積を定積分で求めることができる。3
簡単な場合について、曲線の長さを定積分で求めることができる。3
簡単な場合について、立体の体積を定積分で求めることができる。3
2変数関数の定義域を理解し、不等式やグラフで表すことができる。3
合成関数の偏微分法を利用して、偏導関数を求めることができる。3
簡単な関数について、2次までの偏導関数を求めることができる。3前3
偏導関数を用いて、基本的な2変数関数の極値を求めることができる。3
2重積分の定義を理解し、簡単な2重積分を累次積分に直して求めることができる。3
極座標に変換することによって2重積分を求めることができる。3
2重積分を用いて、簡単な立体の体積を求めることができる。3
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。3前2
簡単な1階線形微分方程式を解くことができる。3前2
定数係数2階斉次線形微分方程式を解くことができる。3前2
独立試行の確率、余事象の確率、確率の加法定理、排反事象の確率を理解し、簡単な場合について、確率を求めることができる。3
条件付き確率、確率の乗法定理、独立事象の確率を理解し、簡単な場合について確率を求めることができる。3
1次元のデータを整理して、平均・分散・標準偏差を求めることができる。3
2次元のデータを整理して散布図を作成し、相関係数・回帰直線を求めることができる。3
簡単な1変数関数の局所的な1次近似式を求めることができる。3
1変数関数のテイラー展開を理解し、基本的な関数のマクローリン展開を求めることができる。3
オイラーの公式を用いて、複素数変数の指数関数の簡単な計算ができる。3
自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3前2
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3前2
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3前2
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3前2
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3前2
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3前2
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前2
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前2
物体に作用する力を図示することができる。3前2
力の合成と分解をすることができる。3前2
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3前2
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3前2
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。3前2
慣性の法則について説明できる。3前2
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3前2
運動方程式を用いた計算ができる。3前2
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3前2
運動の法則について説明できる。3前2
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3前2
最大摩擦力に関する計算ができる。3前2
動摩擦力に関する計算ができる。3前2
仕事と仕事率に関する計算ができる。3前2
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3前2
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前2
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前2
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3前2
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3前2
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3前2
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3前2
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3前2
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3前2
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3前2
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3
力のモーメントを求めることができる。3前2
角運動量を求めることができる。3前2
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3前2
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3前2
重心に関する計算ができる。3前2
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3前2
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3前2
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3
横波と縦波の違いについて説明できる。3
波の重ね合わせの原理について説明できる。3
波の独立性について説明できる。3
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。3
自然光と偏光の違いについて説明できる。3
光の反射角、屈折角に関する計算ができる。3
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。3前4
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3前1
安全を確保して、実験を行うことができる。3前1
実験報告書を決められた形式で作成できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前2,前12
熱に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前4,前13
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前3,前5,前7,前10
光に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前3,前5,前7,前10
電磁気に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前4,前6,前12,前13
電子・原子に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前5,前6,前7,前8,前9,前12

評価割合

前期演習課題到達度確認テスト1到達度確認テスト2到達度確認テスト3ポートフォリオその他合計
総合評価割合15352525000100
基礎的能力15352525000100
専門的能力00000000
分野横断的能力00000000