回路理論Ⅱ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 回路理論Ⅱ
科目番号 2020-193 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電気電子工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 回路理論基礎  柳沢 健 共著 電気学会およびプリント
担当教員 西村 賢治

到達目標

電圧や電流そしてインピーダンスの複素表記やベクトルといった概念を身につけることは、回路理論を学ぶにおいて非常に大切である。本授業では微積を含む式で回路を記述するところから始め、そこから記号法を導入し、複数の計算方法を理解していくことで、さまざまな回路を解析できるようになる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
1微積を含む式、含まない式それぞれで回路方程式を立てられる。微積を含む式、含まない式どちらでも回路を理解して回路方程式を立てられる。微積を含む式、含まない式それぞれで回路方程式を立てられる。微積を含む式、含まない式どちらでも回路方程式を立てられない。
2共振回路、逆回路などの動作を理解できる。共振回路、逆回路などの動作を十分良く理解できる。共振回路、逆回路などの動作を理解できる。共振回路、逆回路などの動作を理解できない。
3二端子対回路の各種パラメータを導出できる。二端子対回路の各種パラメータを十分良く理解して導出できる。二端子対回路の各種パラメータを導出できる。二端子対回路の各種パラメータを導出できない。

学科の到達目標項目との関係

【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
正弦波交流をベクトルに変換し、交流電圧、電流、電力、インピーダンス、アドミタンスのベクトル記号法を習得すると同時に、いろいろな手法で回路方程式を立てて解析する能力を高める。最後に4つの数値で回路の基本性質を表す二端子対回路について学ぶ。

なお試験の日程や学生の理解度によって多少進度を調節する可能性がある。
授業の進め方・方法:
教科書に準じた資料を用意し、それに沿って授業を行う。
2年生の回路理論Iで演習主体の授業を受けたので、この授業では、理屈としてなぜそうなるのか、例えば記号法で回路方程式を立てられる理屈を理解する。微積を含む回路方程式、記号法による回路方程式の意味を理解することで、回路の具体的な解析を行う。
注意点:
評価については、実施できた試験について評価割合に従って行う。ただし、昨今の事情により、定期試験を例年通り実施できるか不透明なので、適宜再試や追加課題を課し、加点することがある。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 本授業の概要説明と交流回路の復習 これまでの回路の復習をかねて今年度に学ぶ概要を把握する
2週 電圧源と電流源の置き換え 等価回路で置き換える理屈を理解する
3週 抵抗、コイル、コンデンサの特性 受動素子の1つ1つの特性を理解する
4週 正弦波交流の表現 正弦波交流の式と位相や周波数、周期の関係を図と対応させて理解する
5週 受動素子の交流特性 受動素子ごとに電力消費のあるなしについて数式で表現できるようになる
6週 交流電力と実行値 交流電力と位相の関係を図で理解し、あわせて実効値の概念を学ぶ
7週 簡単な組み合わせ回路の電流、電圧、位相特性の計算 複数の素子がある回路の回路方程式について理解する
8週 ここまでのまとめ 試験の解説や演習を主体として、ここまでの内容を振り返り、複数の考え方や視点があることを知って、理解を深める
2ndQ
9週 正弦波の複素表記 正弦波を複素数表記、極座標表記、極表記(指数表記)で置き換えられるようになる
10週 複素数の計算 上記の話の続き
11週 複素数のフェザー表示 上記の話の続き
12週 インピーダンスとアドミタンスについて インピーダンスとアドミタンスの両方の視点から回路を理解する
13週 イミタンスとベクトル図 インピーダンスとアドミタンスを複素平面上にあらわして、位相と図の関係他を理解する
14週 有効電力、無効電力、皮相電力 交流で学ぶ、有効電力、無効電力、皮相電力をと図の関係を理解する
15週 複素電力 交流で学ぶ、有効電力、無効電力、皮相電力と複素電力の関係を理解する
16週 前期のまとめ 演習を主体として、ここまでの内容を振り返り、複数の考え方や視点があることを知って、理解を深める
後期
3rdQ
1週 LC共振回路 共振回路、共振状態について直列、並列の違いを理解する
2週 RLC共振回路 抵抗がある場合の共振回路について直列、並列の特質を理解する
3週 共振の鋭さについて 共振を理解した後に、共振の具体的な意味について理解する
4週 ベクトル軌跡 回路の素子の変化によるインピーダンスやアドミタンスの変化や軌跡の書き方を理解する
5週 ベクトル軌跡 ベクトル軌跡の書き方を理解する
6週 可逆定理、双対性、逆回路、定抵抗回路 回路に対して成り立つ諸特性や定理を理解する
7週 テブナンの定理、ノートンの定理 同上
8週 ここまでのまとめ 試験の解説や演習を主体として、ここまでの内容を振り返り、複数の考え方や視点があることを知って、理解を深める
4thQ
9週 補償回路 回路に対して成り立つ諸特性や定理を理解する
10週 補償回路 回路に対して成り立つ諸特性や定理を理解する
11週 二端子対パラメータ 二端子対パラメータ、特にZやYパラメータについて理解する
12週 二端子対パラメータ 二端子対パラメータ、特にFパラメータについて理解する
13週 二端子対パラメータの相互変換 各パラメータの相互変換について理解する
14週 二端子対パラメータの相互変換 同上
15週 演習 1年分の内容について演習形式で振り返り、内容を理解する
16週 一年のまとめ 演習を主体として、ここまでの内容を振り返り、複数の考え方や視点があることを知って、理解を深める

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3前1
分数式の加減乗除の計算ができる。3前1
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。3前1
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。3前1
複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。3前1
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3前9
簡単な場合について、円の方程式を求めることができる。3後4,後5
行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。2後11,後12,後13
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。3後11,後12,後13
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。3後11,後12,後13
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。2後12,後13
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。3前5,前6
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。3前5,前6
合成関数の導関数を求めることができる。3前5,前6
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。3前5,前6
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。3前5,前6
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。4前4
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。4前9,前11
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。4前3,前5
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。4前5
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。4前9,前10,前11
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。4前7,前12,前13
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。4前7,前12,前13
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。4後1,後2,後3
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。4前5,前14
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。4前2,後7
電磁気静電容量を説明でき、平行平板コンデンサ等の静電容量を計算できる。3前3
コンデンサの直列接続、並列接続を説明し、その合成静電容量を計算できる。3前3

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力600000060
専門的能力400000040
分野横断的能力0000000