概要:
理論と実験は工学の勉学にはともに不可欠なものである。講義は理論が中心となるが、理論を確認するには必ず実験が必要である。また、実験結果の中から新しい重要な理論が生まれることもある。実践的な技術者教育を目指す高専における"学生実験"は極めて高い位置付けの科目である。本授業では,3年生までの同科目に引き続き電気電子工学に関するテーマの実験を行う。前期はPBL方式で実施する。後期は通常の実験であり、5つの実験テーマをそれぞれ2週に亘って行う。内容は更により専門的になり、授業内容に限定しないテーマもあるので、学生が自ら疑問点を見つけてポイントを絞り、その問題解決に当たる能力が必要になる。なお、班により実験の順番が入れ替わる。
授業の進め方・方法:
(1) 合格するのは、定められたすべての報告書を、定められた期間内にすべて提出した学生である。事前に合理的な相談があった場合、提出期限は延ばすことがある。
(2) 全ての報告書を出した学生の評価点は、各担当者がそれぞれの報告書に出した点数を平均したものである。
(3) 各報告書の評価の内訳は、実験に取り組む姿勢(40%)、提出時期(30%)、報告書の内容(20%)、口頭試問への対応(10%) である。
授業目標1が標準基準(6割)以上で、かつ科目全体で60点以上の場合に合格とする。評価基準については、ルーブリックによる。
注意点:
評価については、評価割合に従って行います。ただし、適宜再試や追加課題を課し、加点することがあります。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス 実験内容説明、資料の作り方の説明 |
PBLの学習目標や到達目標を説明できる プロジェクトの遂行に必要な知識を調査できる
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2週 |
技術者倫理教育 企業活動理解 |
工学者に必要な技術者倫理と企業活動について説明できる
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3週 |
安全教育 プロジェクト実習 |
実験を行う際の安全について説明できる プロジェクト単位設定した課題を理解し、説明できる
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4週 |
プロジェクト実習 |
プロジェクト単位で課題に用いる機器やソフトウェアを理解し、使用できる
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5週 |
プロジェクト実習 |
プロジェクト単位で課題に用いる機器やソフトウェアを理解し、使用できる
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6週 |
プロジェクト実習 |
プロジェクト単位で課題に用いる機器やソフトウェアを理解し、使用できる
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7週 |
プロジェクト実習 |
プロジェクト単位で課題に用いる機器やソフトウェアを理解し、使用できる
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8週 |
プロジェクト実習 |
プロジェクト単位で課題に用いる機器やソフトウェアを理解し、使用できる
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2ndQ |
9週 |
プロジェクト実習 |
プロジェクト単位で課題に用いる機器やソフトウェアを理解し、使用できる
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10週 |
プロジェクト実習 |
プロジェクト単位で課題に用いる機器やソフトウェアを理解し、使用できる
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11週 |
プロジェクト実習 |
プロジェクトごとに定めた課題について設計、制作、評価を行うことができる
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12週 |
プロジェクト実習 |
プロジェクトごとに定めた課題について設計、制作、評価を行うことができる
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13週 |
報告書と発表スライド作成 |
プロジェクトで行った成果を報告書やパワーポイント資料にまとめることができる。
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14週 |
報告書と発表スライド作成 |
プロジェクトで行った成果を報告書やパワーポイント資料にまとめることができる。
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15週 |
発表会 |
プロジェクトで行った成果を口頭発表で報告できる
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16週 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
オリエンテーション(1) |
本プログラムの学習・教育目標,授業概要・目標,スケジュール,評価方法と基準等の説明
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2週 |
オリエンテーション(2) |
各実験テーマごとに,安全教育,実験内容,事前準備等について説明
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3週 |
過渡現象(1) |
R−L,R−C,R−L−C回路の過渡現象について解析解を求め,実験により事象を確認する.
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4週 |
過渡現象(2) |
得られた解析解,実験波形等からレポートを作成する
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5週 |
フィードバック制御系の構成と時間応答(1) |
フィードバック制御系の基本構成と時間応答についてパラメータの変更による現象を測定する
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6週 |
フィードバック制御系の構成と時間応答(2) |
実験データを基にレポートを作成する
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7週 |
空気の絶縁破壊(1) |
空気の絶縁破壊を理解するとともに高電圧実験装置の操作法を修得する
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8週 |
空気の絶縁破壊(2) |
実験データを基にレポートを作成する
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4thQ |
9週 |
誘導電動機と直流分巻電動機の特性(1) |
誘導電動機の基本測定を行い,等価回路定数を求める.直流電動機は始動及び速度制御を実施し,運転操作を理解する
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10週 |
誘導電動機と直流分巻電動機の特性(2) |
実験データを基にレポートを作成する
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11週 |
薄膜作成技術と特性評価(1) |
抵抗加熱蒸着法の原理ならびに排気系統(真空ポンプの種類と用途)を理解する 抵抗加熱蒸着装置を操作し、金属薄膜の作製を行う
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12週 |
薄膜作成技術と特性評価(2) |
実験データを基にレポートを作成する
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13週 |
報告書整理 |
再検討,再提出扱いとなったレポートを完成させる
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14週 |
報告書整理 |
再検討,再提出扱いとなったレポートを完成させる
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15週 |
総括 |
総括 授業アンケートの実施
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 工学基礎 | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法) | 物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。 | 3 | 後4,後6,後8,後10,後12 |
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。 | 3 | 後3,後5,後7,後9,後11 |
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。 | 3 | 後4,後6,後8,後10,後12 |
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。 | 3 | 後4,後6,後8,後10,後12 |
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。 | 3 | 後4,後6,後8,後10,後12 |
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。 | 3 | 後4,後6,後8,後10,後12 |
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。 | 3 | 後4,後6,後8,後10,後12 |
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。 | 3 | 前3,後2 |
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。 | 3 | 前3,後2 |
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。 | 3 | 前3,後2 |
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。 | 3 | 前3,後2 |
技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史 | 説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。 | 3 | 前2 |
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。 | 3 | 前2 |
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。 | 3 | 前2 |
社会における技術者の役割と責任を説明できる。 | 3 | 前2 |
環境問題の現状についての基本的な事項について把握し、科学技術が地球環境や社会に及ぼす影響を説明できる。 | 3 | |
環境問題を考慮して、技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。 | 3 | |
国際社会における技術者としてふさわしい行動とは何かを説明できる。 | 3 | |
過疎化、少子化など地方が抱える問題について認識し、地域社会に貢献するために科学技術が果たせる役割について説明できる。 | 3 | |
知的財産の獲得などで必要な新規アイデアを生み出す技法などについて説明できる。 | 3 | 前1 |
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。 | 3 | |
技術者を目指す者として、諸外国の文化・慣習などを尊重し、それぞれの国や地域に適用される関係法令を守ることの重要性を把握している。 | 3 | |
全ての人々が将来にわたって安心して暮らせる持続可能な開発を実現するために、自らの専門分野から配慮すべきことが何かを説明できる。 | 3 | |
技術者を目指す者として、平和の構築、異文化理解の推進、自然資源の維持、災害の防止などの課題に力を合わせて取り組んでいくことの重要性を認識している。 | 3 | |
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。 | 3 | 前2 |
専門的能力 | 分野別の工学実験・実習能力 | 電気・電子系分野【実験・実習能力】 | 電気・電子系【実験実習】 | 電圧・電流・電力などの電気諸量の測定が実践できる。 | 3 | 後3 |
抵抗・インピーダンスの測定が実践できる。 | 3 | 後3 |
オシロスコープを用いて実際の波形観測が実施できる。 | 3 | 後3 |
電気・電子系の実験を安全に行うための基本知識を習得する。 | 3 | 前3,後1 |
重ねの理を適用し、実験結果を考察できる。 | 4 | 後3 |
インピーダンスの周波数特性を考慮し、実験結果を考察できる。 | 4 | 後3 |
共振について、実験結果を考察できる。 | 4 | 後3 |
分野横断的能力 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 汎用的技能 | 書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。 | 3 | 前13,前14 |
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。 | 3 | 前13,前14 |
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。 | 3 | 前13,前14 |
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。 | 3 | 前13,前14 |
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。 | 3 | 前13,前14 |
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。 | 3 | 前15 |
態度・志向性(人間力) | 態度・志向性 | 態度・志向性 | 周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。 | 3 | 前3 |
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。 | 3 | 前3 |
目標の実現に向けて計画ができる。 | 3 | 前3 |
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。 | 3 | 前3 |
社会の一員として、自らの行動、発言、役割を認識して行動できる。 | 3 | 前3 |
法令やルールを遵守した行動をとれる。 | 3 | 前2,前3 |
他者のおかれている状況に配慮した行動がとれる。 | 3 | 前2,前3 |
技術が社会や自然に及ぼす影響や効果を認識し、技術者が社会に負っている責任を挙げることができる。 | 3 | 前2,前3 |
自身の将来のありたい姿(キャリアデザイン)を明確化できる。 | 3 | 前1,前2 |
その時々で自らの現状を認識し、将来のありたい姿に向かっていくために現状で必要な学習や活動を考えることができる。 | 3 | 前1,前2 |
企業等における技術者・研究者等の実務を認識している。 | 3 | 前1,前2 |
企業人としての責任ある仕事を進めるための基本的な行動を上げることができる。 | 3 | 前1,前2 |
企業における福利厚生面や社員の価値観など多様な要素から自己の進路としての企業を判断することの重要性を認識している。 | 3 | 前1,前2 |
企業には社会的責任があることを認識している。 | 3 | 前1,前2 |
企業活動には品質、コスト、効率、納期などの視点が重要であることを認識している。 | 3 | 前1,前2 |
技術者として、幅広い人間性と問題解決力、社会貢献などが必要とされることを認識している。 | 3 | 前1,前2 |
技術者が知恵や感性、チャレンジ精神などを駆使して実践な活動を行った事例を挙げることができる。 | 3 | 前1,前2 |