線形回路解析

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 線形回路解析
科目番号 2018-298 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 前期:4
教科書/教材 電気回路Ⅱ 遠藤 勲,鈴木 靖 共著 コロナ社、ドリルと演習シリーズ 電気回路 上原 正啓 著 電気書院
担当教員 大沼 巧

到達目標

1.システムの線形性を説明できる
2.基本回路の過渡現象をラプラス変換を用いて解き、解の物理的意味を説明できる
3.線形回路網の回路方程式を立てることができ、それを行列で表現できる
4.一端子対回路網の性質を説明でき、簡単な回路合成ができる
5.二端子対回路網を行列によって表現し、フィルタに応用できる(C1-3)
6.分布定数回路の基礎方程式を代表的な境界条件の下に解き、伝送線路に応用できる(C1-3)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1□システムの線形性を具体例に基づいて説明できる□システムの線形性を説明できる□システムの線形性を説明できない
評価項目2□複雑な回路の過渡現象をラプラス変換を用いて解くことができる □解の物理的意味についてグラフや図を用いて説明できる□基本回路の過渡現象をラプラス変換を用いて解くことができる □解の物理的意味を説明できる□基本回路の過渡現象をラプラス変換を用いて解くことができない
評価項目3□線形回路網の回路方程式を行列を用いて立てることができる □行列演算によって回路方程式を解ける□線形回路網の回路方程式を立てることができる □それを行列で表現できる□線形回路網の回路方程式を立てることができない □それを行列で表現できない
評価項目4□一端子対回路網の性質をイミタンス関数を用いて説明できる □複数の方法で回路合成ができる□一端子対回路網の性質を説明できる □簡単な回路合成ができる□一端子対回路網の性質を説明できない □回路合成ができない
評価項目5(C1-3)□二端子対回路網をZ, Y, Fパラメータを用いて表現できる □二端子対回路を応用してフィルタの周波数特性を解析できる□二端子対回路網を行列によって表現できる □フィルタに応用できる□二端子対回路網を行列によって表現できない □フィルタに応用できない
評価項目6(C1-3)□分布定数回路の基礎方程式を代表的な伝送線路を想定した境界条件の下に解くことができる □解の意味について考察できる□分布定数回路の基礎方程式を代表的な境界条件の下に解くことができる□分布定数回路の基礎方程式を代表的な境界条件の下に解くことができない

学科の到達目標項目との関係

実践指針 (C1) 説明 閉じる
実践指針のレベル (C1-3) 説明 閉じる
【本校学習・教育目標(本科のみ)】 3 説明 閉じる
【プログラム学習・教育目標 】 C 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 近年、世界的なエネルギー問題や環境問題が深刻化し、産業界においても、様々な角度からこれらの問題に対する対策を進めている。一方、工学技術の進展に伴い情報のデジタル化が進み、発展した情報技術を活用して、エネルギーや資源を有効に活用する”エネルギー革命”が今まさに起こっているところである。その中で、極めて効率的な変換や伝送が可能な電気エネルギーの担う役割は非常に重大であり、材料や設計技術、解析技術の進展も相まって、従来用いられなかった用途にまで電気回路の活用の場が広がっている。
本講義では、3年までに学んだ電気回路理論を、線形回路として解析学的な立場からまとめ、電気エネルギーや信号の伝送に利用可能な”伝送回路”としての取り扱い方を学ぶ。そのために、まず電気回路網を線形システムの一つと捉え、ラプラス変換や複素関数等を用いて、線形回路の入出力関係を様々な解析的手法によって表現する。次に、通信ケーブルや送電線などを取り扱う際に必要となる分布定数回路の考え方を学ぶ。最後に、これら線形回路の解析、調査、設計を行う際に重要となる考え方として、様々な信号の本質的な特徴を捉えるフーリエ変換の基本を身につける。本講義で学習する信号の取り扱い方法は、線形システム論の上に成り立っており、電気回路のみならず様々な線形現象の基礎となる考え方である。
授業の進め方・方法:
授業は原則として講義と演習を交互に行う。講義は主に板書により進め、適宜プロジェクターを活用して映像や応用例を紹介する。演習の時間はグループ活動を伴い、教えあったり質問や議論をすることにより理解を深める。演習問題はドリルなどを中心に出題し、個々に作成する課題ファイルに綴じて提出する。課題の一覧表を配布するので、未提出課題がないか自分で管理すること。演習では、できる限りドリルに付属の解答を参照せず、質問や議論を行うことを推奨する。授業への参加度は加点対象とする。
注意点:
1. 試験や課題レポート等は、JABEE 、大学評価・学位授与機構、文部科学省の教育実施検査に使用することがある。
2. 授業参観される教員は当該授業が行われる少なくとも1週間前に教科目担当教員へ連絡する。
3. 授業目標5、6(C1-3)が標準基準(6割)以上で、かつ科目全体で60点以上の場合に合格とする。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
基本回路の過渡現象
線形回路の定義と性質を説明できる。
2週 基本回路の過渡現象 RLC回路の過渡現象を微分方程式を用いて解析できる。
3週 基本回路の過渡現象 基本的なラプラス変換を求めることができる。
4週 基本回路の過渡現象 RLC回路の過渡現象をラプラス変換を用いて解析できる。インパルス応答の意味を理解し回路解析に利用できる。
5週 一端子対回路 イミタンス関数の性質を説明できる。正実関数の判定ができる。
6週 一端子対回路 リアクタンス関数、RC回路、RL回路の回路合成ができる。
7週 二端子対回路 二端子対回路網を行列によって表現できる。
8週 二端子対回路 二端子対回路網のZ、Y、Fパラメータが求められる。
2ndQ
9週 二端子対回路 フィルタの周波数特性を求め、その性質を説明できる。
10週 分布定数回路 分布定数回路の考え方を理解し、基本式を導出できる。
11週 分布定数回路 正弦波定常状態における一般解を求め、その意味を説明できる。反射、特性インピーダンスについて説明できる。
12週 分布定数回路 整合終端における境界条件を適用し、インピーダンス整合と関連させて、解の意味を説明できる。
13週 分布定数回路 短絡終端、開放終端における境界条件を適用し、定在波と関連させて、解の意味を説明できる。
14週 まとめ 前期のまとめができる
15週 まとめ 前期のまとめができる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。4
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。4
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。4
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。4
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。4
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。4
網目電流法を用いて回路の計算ができる。4
節点電位法を用いて回路の計算ができる。4
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。4

評価割合

試験課題レポート合計
総合評価割合60400000100
基礎的能力0000000
専門的能力6040000100
分野横断的能力0000000