概要:
電気回路を学ぶ上で最も大事なことは、抵抗、コイル(インダクタ)、コンデンサ(キャパシタ)の各素子における電圧と電流の関係をよく理解することである。直流回路においては、電圧と電流の関係はオームの法則しかないので理解は容易であるが、電圧・電流が時間的に変化する交流回路においては、コイルやコンデンサの電圧と電流の関係を、微分積分によって表すことが必要となる。また、正弦波交流回路では、電気回路の解析に、複素数やベクトルの考え方を用いることで、複雑な計算を容易にしている。さらに大規模な回路網の解析においては、行列・行列式が強力なツールとなる。このように、回路の理論解析を行う上で、数学表現に基づく物理現象の理解が非常に重要であり、このときに利用する様々な解析手法は、電気回路のみならず制御、力学、通信工学などにも通ずる、基本的な工学の考え方に基づいている。本授業では、数学を応用して、電気回路の基礎から交流理論、回路計算手法、周波数解析などを学ぶと同時に、多くの例題や問題を解くことによって、問題解決のための工学的なスキルを養う。
授業の進め方・方法:
授業のテーマに沿った解説を行い、関連する演習問題を解く。授業の一部に反転授業を取り入れ、順次発表の機会を作る。
全4回の定期試験、課題、およびノート(定期試験後に回収)によって総合的に評価する。また、授業への参加度に応じて加点する。
注意点:
1.試験や課題レポート等は、JABEE 、大学評価・学位授与機構、文部科学省の教育実施検査に使用することがあります。
2.授業参観される教員は当該授業が行われる少なくとも1週間前に教科目担当教員へ連絡してください。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
ガイダンス・電気回路概説 |
基本的な電気回路の用語を挙げることができる
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2週 |
基本回路素子における電圧と電流の関係 |
R,L,Cの電圧と電流の基本関係式が説明できる
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3週 |
基本回路素子の直列接続と並列接続 |
R,L,Cをそれぞれ接続した場合の合成値の計算ができる
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4週 |
直流回路 |
直流回路の基本法則に基づく回路計算ができる
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5週 |
正弦波交流 |
正弦波の基本諸特性を図を用いて説明できる
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6週 |
正弦波交流の発生 |
発電機による正弦波交流電圧の発生原理を説明できる
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7週 |
基本回路素子における正弦波交流電圧と電流の関係 |
R,L,Cの各素子を正弦波交流電源に接続した場合に流れる電流を求めることができる
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8週 |
演習 |
基本回路の計算ができる
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2ndQ |
9週 |
交流回路の計算(瞬時値を用いる方法) |
R,L,Cの基本回路について瞬時値を用いた回路計算ができる
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10週 |
インピーダンスとアドミタンス |
回路素子をインピーダンスとアドミタンスに置き換えて計算することができる
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11週 |
交流回路の計算(フェーザを用いる方法) |
R,L,Cの基本回路についてフェーザを用いた回路計算ができる
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12週 |
交流回路の計算(複素数を用いる方法) |
R,L,Cの基本回路について複素数を用いた回路計算ができる
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13週 |
演習 |
様々な交流回路の回路計算ができる
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14週 |
交流回路の電力 |
交流電力の計算ができる
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15週 |
演習 |
前期の内容について回路計算ができる
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16週 |
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後期 |
3rdQ |
1週 |
合成インピーダンス,合成アドミタンス |
複数の交流素子が接続された回路の計算ができる
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2週 |
分圧と分流 |
分圧と分流を使った回路計算ができる
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3週 |
交流電源 |
電圧源と電流源の等価変換を用いた回路の解析ができる
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4週 |
回路理論における諸定理 |
様々な定理を用いた回路計算ができる
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5週 |
交流ブリッジ回路 |
交流ブリッジ回路の計算ができる
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6週 |
グラフ理論による回路網の解析 |
回路網のグラフから木と補木を定めて節点と閉路を設定できる
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7週 |
回路網方程式の立て方 |
閉路方程式と節点方程式を立てることができる
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8週 |
演習 |
交流回路の基本計算ができる
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4thQ |
9週 |
周波数特性 |
電源の周波数が変化した場合のインピーダンスや電流などの変化を調べることができる
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10週 |
共振回路 |
共振条件を示し共振周波数と共振の鋭さを求めることができる
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11週 |
ベクトル軌跡 |
回路の諸量が変化したときのベクトル軌跡を求めることができる
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12週 |
相互誘導現象 |
相互誘導現象を説明できる
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13週 |
相互誘導回路 |
相互誘導回路の計算ができる
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14週 |
変圧器 |
変圧器について説明できる
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15週 |
演習 |
後期の内容について回路計算ができる
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 数学 | 数学 | 数学 | 複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。 | 3 | |
簡単な連立方程式を解くことができる。 | 3 | |
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。 | 3 | |
角を弧度法で表現することができる。 | 3 | |
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。 | 3 | |
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。 | 3 | |
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。 | 3 | |
三角比を理解し、簡単な場合について、三角比を求めることができる。 | 3 | |
一般角の三角関数の値を求めることができる。 | 3 | |
簡単な場合について、円の方程式を求めることができる。 | 3 | |
ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。 | 3 | |
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。 | 3 | |
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。 | 3 | |
行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。 | 3 | |
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。 | 3 | |
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。 | 3 | |
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。 | 3 | |
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。 | 3 | |
合成関数の導関数を求めることができる。 | 3 | |
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。 | 3 | |
極値を利用して、関数の最大値・最小値を求めることができる。 | 3 | |
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。 | 3 | |
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。 | 3 | |
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。 | 3 | |
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。 | 2 | |
簡単な1階線形微分方程式を解くことができる。 | 2 | |
オイラーの公式を用いて、複素数変数の指数関数の簡単な計算ができる。 | 3 | |
自然科学 | 物理 | 波動 | 共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。 | 3 | |
電気 | オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。 | 3 | |
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。 | 3 | |
ジュール熱や電力を求めることができる。 | 3 | |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電気回路 | 電荷と電流、電圧を説明できる。 | 3 | |
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。 | 3 | |
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。 | 3 | |
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。 | 3 | |
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。 | 3 | |
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。 | 3 | |
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。 | 3 | |
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。 | 3 | |
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。 | 3 | |
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。 | 3 | |
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。 | 3 | |
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。 | 3 | |
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。 | 3 | |
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。 | 3 | |
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。 | 3 | |
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。 | 4 | |
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。 | 4 | |
理想変成器を説明できる。 | 4 | |
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。 | 4 | |
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。 | 3 | |
網目電流法を用いて回路の計算ができる。 | 3 | |
節点電位法を用いて回路の計算ができる。 | 3 | |
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。 | 3 | |