計算機工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 計算機工学Ⅰ
科目番号 2018-331 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 プリント ハードウェア記述言語によるデジタル回路設計の基礎 木村誠聡 数理工学社 講義資料URL http://www2.denshi.numazu-ct.ac.jp/~nagasawa/
担当教員 (D科 非常勤講師),長澤 正氏

到達目標

1. デコーダ、8bit加算器などの組み合わせ回路が設計できる。
2. n進カウンタなどの基本的な順序回路が設計できる。
3. 交通信号のようなシーケンス制御回路や、ストップウォッチ程度の論理回路が設計できる。
4. 前述のような基礎的な回路をVHDL言語で設計できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1デコーダ、8bit加算器などの組み合わせ回路が設計できる。□与えられた仕様から入出力関係を導き 、遅延時間、ハザード等を考慮した回路設計ができる。□与えられた仕様から入出力関係を導き、 回路を設計できる。□与えられた真理値表から回路を設計できない。
n進カウンタなどの基本的な順序回路が設計できる。□任意の状態遷移をするカウンタの設計ができ、遅延時間、セットアップタイム、ホールドタイムから最大動作周波数を考察できる。□バイナリアップダウンカウンタの設計ができ、セットアップタイム、ホールドタイムを説明できる。□バイナリアップダウンカウンタの設計ができない。
交通信号のようなシーケンス制御回路や、ストップウォッチ程度の論理回路が設計できる。□与えられた仕様から、マンマシンインタフェース、組み合わせ回路、順序回路などの基本回路にブロック分割でき、それぞれのブロックを設計できる。□基本設計によりにブロック分割された、それぞれのブロックの仕様から回路を設計できる。□基本設計されたのちの各ブロックに於いて、真理値表や状態遷移表を提示された回路の設計ができない。
前述のような基礎的な回路をVHDL言語で設計できる。□VHDL言語で交通信号のようなシーケンス制御回路や、ストップウォッチ程度の回路が記述でき、シミュレーションにより確認できる。□組み合わせ回路をif文、case文で記述できる。clockのエッジによって遷移する順序回路を記述できる。component文による会葬設計ができる。□VHDL言語によるif文、case文,による組み合わせ回路、 clockのエッジによって遷移する順序回路を記述できない。

学科の到達目標項目との関係

【本校学習・教育目標(本科のみ)】 3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本講義では実践的な論理回路設計の能力を身につける事を目標とする。前期には、2学年の計算機基礎で学習した論理回路の知識をもとに,基本的な組み合わせ回路、順序回路の設計法について述べる。後期には基本的な回路を組み合わせた応用例、ストップウォッチや信号機などのシーケンサについて述べる。また、実際の設計ではデバイスの遅延時間やセットアップタイム、ホールドタイムなどを考慮しなければならないこと、フェイルセーフの考え方などについて述べる。また、後期後半ではVHDL言語による回路の設計を学ぶ。講義ではいくつかの設計課題が出される。課題は演習室のコンピュータ上で回路を作成し、実際にFPGAを使って回路を実現し動作確認するという実践的な方法で実施される。
授業の進め方・方法:
前半の論理回路記述の講義ではハンドアウトのプリント、後期のVHDL言語の講義では専門書を使用する。ただし、教科書というより参考書で、その本に沿って講義をするのでなく、設計時に参考にするものであ。講義ではいくつかの設計課題が出される。課題は演習室のコンピュータ上(EDAソフトquartusII)で回路を作成し、シミュレーションを経て、実際にFPGAを使って回路を実現し動作確認するという実践的な方法で実施される。
注意点:
定期試験の成績を70%、課題30%として評価する。
1.試験や課題レポート等は、JABEE 、大学評価・学位授与機構、文部科学省の教育実施検査に使用することがあります。
2.授業参観される教員は当該授業が行われる少なくとも1週間前に教科目担当教員へ連絡してください。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス、2進数,ブール代数、カルノー図の復習 2進<->10新変換ができる。ブール代数の意味、カルノー図の役割が説明できる
2週 ゲート回路、ド・モルガンの定理の復習 and,or,notゲートの動作を説明できる。ドモルガンの定理を示すことができ、証明できる。
3週 フリップフロップの種類、エッジトリガ型の動作 D、T、JKフリップフロップのの動作、エッジトリガ型の動作を説明できる。
4週 論理デバイス、ファンイン、ファンアウト TTL, CMOS, PLD等のICの種類と内部の回路を説明できる。ファンイン、ファンアウト条件を満足しているか判定できる。
5週 スレショルド電圧,遅延時間、セットアップ,ホールドタイム スレショルド電圧の意味を説明できる。論理回路の遅延時間を計算できる。順序回路の最大動作周波数を求めることができる。
6週 スイッチ入力
quartus-IIの使い方
チャタリングの意味を説明できる。チャタリング除去回路を示し、動作原理を説明できる。quartus-IIで回路図作成ができる。
7週 組み合わせ回路の設計 7セグメントLEDデコーダの設計ができる
8週 組み合わせ回路の演習
遅延時間計算の演習
組み合わせ回路が設計できる。遅延時間が計算できる。
2ndQ
9週 組み合わせ回路の演習
遅延時間計算の演習
組み合わせ回路が設計できる。遅延時間が計算できる。
10週 組み合わせ回路の設計 7セグメントLEDデコーダの回路をquartus上で回路図作成、コンパイルしてFPGAに実装できる
11週 加算回路の設計 全加算器が設計でき、複数ビットの加算器に拡張できる
12週 加算回路の設計 8bit加算回路をquartus上で作成、コンパイルしFPGAに実装できる
13週 順序回路の設計(同期式回路、2のn乗進カウンタ) 同期式の回路について説明できる。2のn乗進カウンタを設計できる
14週 順序回路の設計(n進カウンタ) 任意の状態遷移をするN進カウンタを設計できる
15週 順序回路の設計(n進カウンタ) ジョンソンカウンタを使った順序回路を設計できる
16週
後期
3rdQ
1週 順序回路の設計演習
(チャタリング除去回路、同期回路)
quatus上でチャタリング除去回路、同期回路を実装し動作を確認できる
2週 順序回路の設計演習
(前縁検出回路)
quatus上で前縁検出回路を設計し、シミュレーションにより動作を確認できる。
3週 順序回路の設計演習
(N進カウンタ)
quatus上でN進カウンタを設計し、シミュレーションで動作の確認ができる
4週 順序回路の設計演習
(N進カウンタFPGA実装)
スイッチ押下でカウントするN進カウンタを、7segデコーダとともにFPGA上に実装し動作を確認できる
5週 リングカウンタ、ジョンソンカウンタ リングカウンタ、ジョンソンカウンタによるシーケンス回路を設計できる
6週 ハザードについて ハザードが発生するメカニズムを説明でき、回路への影響を説明でき、回避の方法を示すことができる
7週 順序回路の設計演習
順序回路が設計できる。
回路からタイミングチャートが書ける。
8週 順序回路の設計演習 タイミングチャートから回路が設計できる
4thQ
9週 VHDL言語の基本構文 VHDL言語で全加算器を記述でき、シミュレーションできる
10週 VHDL言語でのチャタリング除去回路の設計演習 VHDL言語でのチャタリング除去回路を記述でき、シミュレーションできる
11週 VHDL言語 if文Case文 if文を使ってand or selector 回路を、Case文で7セグメントLEDデコーダを記述できる
12週 VHDL言語 8bit加算器 全加算器をcomponentとして8bit加算回路を記述できる
13週 VHDL言語 16進カウンタ case文を使ったカウンタ回路が記述できる。シミュレーションで確認できる。
14週 VHDL言語 n進カウンタ 算術演算ライブラリを使ってカウンタが記述できる。プリスケーラ、n進カウンタ、7segデコーダをcomponennt文で接続し動作を確認できる
15週 VHDL言語 階層設計 コンポーネント文による階層設計ができる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学情報系分野計算機工学基数が異なる数の間で相互に変換できる。3
整数を2進数、10進数、16進数で表現できる。4
基本的な論理演算を行うことができる。4
基本的な論理演算を組合わせて、論理関数を論理式として表現できる。4
論理式の簡単化の概念を説明できる。4
簡単化の手法を用いて、与えられた論理関数を簡単化することができる。4
論理ゲートを用いて論理式を組合せ論理回路として表現することができる。4
与えられた組合せ論理回路の機能を説明することができる。4
組合せ論理回路を設計することができる。4
フリップフロップなどの順序回路の基本素子について、その動作と特性を説明することができる。4
レジスタやカウンタなどの基本的な順序回路の動作について説明できる。4
与えられた順序回路の機能を説明することができる。4
順序回路を設計することができる。4
メモリシステムを実現するために考案された主要な技術を説明できる。3
ハードウェア記述言語など標準的な手法を用いてハードウェアの設計、検証を行うことができる。4
分野別の工学実験・実習能力電気・電子系分野【実験・実習能力】電気・電子系【実験実習】論理回路の動作について実験結果を考察できる。3
ディジタルICの使用方法を習得する。3

評価割合

試験課題合計
総合評価割合7030100
基礎的能力10515
専門的能力502070
分野横断的能力10515