概要:
哲学とは、何の制約もなく、あらゆる物事について自由に考察する営みのことである。そうだとすれば、哲学史は、いわゆる哲学者と呼ばれる天才が考え抜いた思考の残骸に他ならない。哲学を学ぶことは、哲学者の思考をなぞることではなく、ましてや、哲学者の考えを自分の考えのように思いこむことでもない。人生や仕事で、大きな問題を抱えた時、自分自身で考え抜くための方法論を学ぶことである。本講義では、論理的に考えるとは何かという問題と、想像するとは、どういうことかという問題を哲学の立場から解説することに焦点をあてつつ、芸術や建築、政治哲学、脳科学、サブカルチャーと多岐にわたる領域を縦横無尽に横断し哲学的思考を習得することを目指す。
授業の進め方・方法:
本講義では、中村雄二郎『哲学の現在』(岩波新書、1977年)を元にレジュメを配布する。レジュメ・スライド(パワーポイント使用)を使用し、講義形式で授業を進める。質問や意見はリアクションペーパーに記入してもらい翌週授業で回答する。また、ディスカッションの機会を設け人前で意見を述べる訓練も行う。自学自習では、小論文の書き方を教授するので最終目標として小論文が書けるようになることを目指し、レポート提出を行う。講義内容は、感性とは何か、という問題を哲学的に解説する。授業態度40%、後期期末試験50%、ディスカッションへの参加10%として評定を行う。自学自習については随時レポートを提出する。合格基準について、授業目標3(A2-3)が標準基準(6割)以上で、かつ科目全体で60点以上の場合に合格とする。評価基準については、成績評価基準表による。
注意点:
この科目は学修単位科目であり、1単位あたり15時間の対面授業を実施します。併せて1単位あたり30時間の事前学習・事後学習が必要となります。
評価については、評価割合に従って行います。ただし、適宜再試や追加課題を課し、加点することがあります。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
講義の説明ならびに小論文の書き方。 |
小論本の書き方を理解することができる。
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2週 |
考えるとは何か? |
「知ること」と「考えること」の違いを理解することができる。
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3週 |
生きることと考えること。 |
自由とは何か選択とは何かを理解し、考えることと「よく生きる」ことの関係を理解することができる。
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4週 |
批判的精神とは何か? |
批判的な心構え、権威を疑う精神を学び、さらに、自己に対しての批判的精神を身に着けることができる。
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5週 |
判断するために必要なこと。 |
事実と価値、「ある」と「べし」の違いを理解することができる。
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6週 |
知識と知恵の分裂。 |
近代科学がもたらした「知識」と「知恵」の分裂を理解し、主客二元論の問題を理解することができる。
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7週 |
ことばの相のもとに。 |
言葉と世界の関係を理解し、専門用語と日常言語の違いを理解することができる。
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8週 |
感覚と知覚が開示するもの。 |
「感覚」「知覚」「判断」の関係を学び、「感性」の働きを理解することができる。
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2ndQ |
9週 |
見る・聞く・さわる。 |
五感を統合させる共通感覚(コモンセンス)について理解することができる。
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10週 |
イメージと想像力。 |
クリエイティブな活動には想像力が必要であり、想像はどのように為されるのかを理解することができる。
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11週 |
芸術と哲学。 |
芸術史と哲学史は、相関関係があり、何が芸術の主題であったかを哲学との関係で理解することができる。
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12週 |
建築・服飾と哲学。 |
建築・服飾と近代的精神の関係を学び、政治・哲学がどのように反映しているかを理解することができる。
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13週 |
心身二元論と物理主義。 |
AI・脳科学の発展を通して心とは何かを考察することができる。
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14週 |
ディスカッション |
人前で論理的に意見を述べることができる。
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15週 |
ディスカッションⅡ |
考え方が如何に多様であるかを学び、複眼的視座に立つことができる。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文・社会科学 | 社会 | 公民的分野 | 人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。 | 3 | 前1,前3,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12 |
自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理を理解し、基礎的な政治・法・経済のしくみを説明できる。 | 3 | 前4,前6,前7,前8,前12 |
現代社会の考察 | 現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。 | 3 | 前1,前2,前3,前6,前7,前8,前9,前10,前13,前14,前15 |
工学基礎 | グローバリゼーション・異文化多文化理解 | グローバリゼーション・異文化多文化理解 | それぞれの国や地域の経済的・社会的な発展に対して科学技術が果たすべき役割や技術者の責任ある行動について説明できる。 | 3 | 前4,前6,前7,前9,前10,前12 |