概要:
電気回路を学ぶ上で最も大事なことは、抵抗、コイル(インダクタ)、コンデンサ(キャパシタ)の各素子における電圧と電流の関係をよく理解することである。直流回路においては、電圧と電流の関係はオームの法則しかないので理解は容易であるが、電圧・電流が時間的に変化する交流回路においては、コイルやコンデンサの電圧と電流の関係を、微分積分によって表すことが必要となる。また、正弦波交流回路では、電気回路の解析に、複素数やベクトルの考え方を用いることで、複雑な計算を容易にしている。さらに大規模な回路網の解析においては、行列・行列式が強力なツールとなる。このように、回路の理論解析を行う上で、数学表現に基づく物理現象の理解が非常に重要であり、このときに利用する様々な解析手法は、電気回路のみならず制御、力学、通信工学などにも通ずる、基本的な工学の考え方に基づいている。本授業では、数学を応用して、電気回路の基礎から交流理論、回路計算手法、周波数解析などを学ぶと同時に、多くの例題や問題を解くことによって、問題解決のための工学的なスキルを養う。
授業の進め方・方法:
授業のテーマに沿った解説を行い、関連する演習問題を解く。授業の一部に反転授業を取り入れ、順次発表の機会を作る。
全2回の定期試験、課題(反転授業を含む)によって総合的に評価する。また、授業への参加度に応じて加点する。
注意点:
評価については、評価割合に従って行います。ただし、 適宜再試や追加課題を課し、加点することがあります。
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 数学 | 数学 | 数学 | 複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。 | 3 | 前10,後9 |
簡単な連立方程式を解くことができる。 | 3 | 後3,後4,後5 |
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。 | 3 | 前9 |
角を弧度法で表現することができる。 | 3 | 前5 |
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。 | 3 | 前5,後9 |
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。 | 3 | 前5 |
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。 | 3 | 前5 |
三角比を理解し、簡単な場合について、三角比を求めることができる。 | 3 | 前5 |
一般角の三角関数の値を求めることができる。 | 3 | 前5 |
簡単な場合について、円の方程式を求めることができる。 | 3 | 後11 |
ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。 | 3 | 前9,後11 |
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。 | 3 | 前9,後11 |
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。 | 3 | 前9,後11 |
行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。 | 3 | 後4,後5 |
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。 | 3 | 後4,後5 |
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。 | 3 | 後4,後5 |
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。 | 3 | 前2,前8 |
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。 | 3 | 前2,前8 |
合成関数の導関数を求めることができる。 | 3 | 前2,前8 |
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。 | 3 | 前2,前8 |
極値を利用して、関数の最大値・最小値を求めることができる。 | 3 | 前4 |
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。 | 3 | 前8 |
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。 | 3 | 前8 |
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。 | 3 | 前8 |
オイラーの公式を用いて、複素数変数の指数関数の簡単な計算ができる。 | 3 | 前9 |
自然科学 | 物理 | 波動 | 共振、共鳴現象について具体例を挙げることができる。 | 3 | |
電気 | オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。 | 3 | 前3,前4,後9 |
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。 | 3 | 前3,前4 |
ジュール熱や電力を求めることができる。 | 3 | 前4 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 電気・電子系分野 | 電気回路 | 電荷と電流、電圧を説明できる。 | 3 | 前1 |
オームの法則を説明し、電流・電圧・抵抗の計算ができる。 | 3 | 前4,後4,後5,後6,後7 |
キルヒホッフの法則を用いて、直流回路の計算ができる。 | 3 | 前4,後6,後7 |
合成抵抗や分圧・分流の考え方を用いて、直流回路の計算ができる。 | 3 | 前4 |
ブリッジ回路を計算し、平衡条件を求められる。 | 3 | 前4 |
電力量と電力を説明し、これらを計算できる。 | 3 | 前4 |
正弦波交流の特徴を説明し、周波数や位相などを計算できる。 | 3 | 前5,後9 |
平均値と実効値を説明し、これらを計算できる。 | 3 | 前5 |
正弦波交流のフェーザ表示を説明できる。 | 3 | 前11,後3 |
R、L、C素子における正弦波電圧と電流の関係を説明できる。 | 3 | 前2,後3 |
瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。 | 3 | 前13,後3 |
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。 | 3 | 前12,後3,後9,後10,後11 |
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。 | 3 | 後1,後3,後10,後11 |
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。 | 3 | 前12,後3,後4,後5,後6,後7 |
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。 | 3 | 後1,後2,後3 |
直列共振回路と並列共振回路の計算ができる。 | 4 | 後9,後10 |
相互誘導を説明し、相互誘導回路の計算ができる。 | 4 | 後12,後13 |
理想変成器を説明できる。 | 4 | 後14 |
交流電力と力率を説明し、これらを計算できる。 | 4 | 前14 |
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。 | 3 | 前4,後3 |
網目電流法を用いて回路の計算ができる。 | 3 | 後4,後6 |
節点電位法を用いて回路の計算ができる。 | 3 | 後5,後6 |
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。 | 3 | 前4,後3 |