応用物理Ⅰ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 応用物理Ⅰ
科目番号 2020-334 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 初歩から学ぶ力学Ⅰ,Ⅱ (大日本図書)
担当教員 勝山 智男,(物理科 非常勤講師)

到達目標

1. 微分,積分,ベクトルを用いて,質点の運動を定量的に扱うことができ、運動方程式をたてて解くことができる。2. 等速円運動および力学的エネルギー保存則を理解して、方程式を扱うことができる。3. 質点2体系や剛体の運動を,1質点の運動と対比させながら理解でき,2体系および剛体の運動の典型的な例について運動方程式をたてて解くことができる。4. 運動方程式を微分方程式として捉えることができ,様々な具体例(落下運動,単振動,減衰振動,強制振動)の運動方程式をたてて解くことができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1質点運動の応用的な例について微分,積分,ベクトルを用いて運動方程式を書いて解くことができる。質点運動の基礎的な例について微分,積分,ベクトルを用いて運動方程式を書いて解くことができる。質点運動の基礎的な例について微分,積分,ベクトルを用いて運動方程式を書くことができない。
評価項目2等速円運動および力学的エネルギー保存則の応用的な例について方程式を書いて解くことができる。等速円運動および力学的エネルギー保存則の基礎的な例について方程式を書いて解くことができる。等速円運動および力学的エネルギー保存則の基礎的な例について方程式を書くことができない。
評価項目32体系および剛体の運動の応用的な例について運動方程式を書いて解くことができる。2体系および剛体の運動の基礎的な例について運動方程式を書いて解くことができる。2体系および剛体の運動の基礎的な例について運動方程式を書くことができない。
評価項目4質点運動の応用的な例について運動方程式を微分方程式として書いて解くことができる。質点運動の基礎的な例について運動方程式を微分方程式として書いて解くことができる。質点運動の基礎的な例について運動方程式を微分方程式として書くことができない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
前期は,1年次で学んだ物理を基礎とし,数学で学んだ微積分やベクトルなどの解析的な方法を用いて,質点の力学を定量的に扱う。1年次で学んだ力学および微積分やベクトルなどの復習,およ単元ごとのまとめと演習を行う。後期は,2体系および剛体の運動,振動運動へ拡張する。特に,運動方程式を微分方程式として捉えて解析することに力点を置く。本講義を通して,物理の基礎知識を自らの工学分野に応用できることに加え,自らの専門分野の課題の解決に数学的手法を適用できることを学ぶ。
授業の進め方・方法:
前期は,1年次における基礎的な概念を、微分・積分・ベクトルなどを用いた解析的な方法により一般化して、科学技術への応用へ向けた物理学の法則を学んでいく。1年次の復習とともに解析的な手法の実例を扱い、演習プリントにより実際に計算をしながら授業を進めていく。後期は,講義および演習を中心に行う。講義中は集中して聴講するとともに,積極的に演習に取り組むこと。
注意点:
評価については、評価割合に従って行います。ただし、 適宜再試や追加課題を課し、加点することがあります。中間試験を授業時間内に実施することがあります。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 質点の力学(運動学)1 微分による直線運動の位置,速度,加速度の計算ができる
2週 質点の力学(運動学)2 積分による直線運動の位置,速度,加速度の計算ができる
3週 質点の力学(運動学)3 ベクトルによる平面運動の位置,速度,加速度の計算ができる
4週 質点の力学(運動学)4 位置,速度,加速度のまとめと演習
5週 運動の法則1 微分を含む運動方程式を扱うことができる
6週 運動の法則2 積分を用いて運動方程式を扱うことができる
7週 運動の法則3 運動方程式のまとめと演習
8週 前期中間演習
2ndQ
9週 等速円運動1 角速度,向心力を扱うことができる
10週 等速円運動2 万有引力の法則と惑星の運動を扱うことができる
11週 等速円運動3 等速円運動のまとめと演習
12週 力学的エネルギー1 位置エネルギー・運動エネルギーを扱うことができる
13週 力学的エネルギー2 保存力とポテンシャルを扱うことができる
14週 力学的エネルギー3 微分・積分を用いてエネルギーを扱うことができる
15週 力学的エネルギー4 力学的エネルギーのまとめと演習
16週
後期
3rdQ
1週 二体系の力学 重心と相対運動(力学Ⅱ第3章)の計算ができる
2週 二体系の力学 衝突の計算ができる
3週 二体系の力学 回転運動と角運動量の計算ができる
4週 質点系と剛体の力学 剛体 (力学Ⅱ第4章)の計算ができる
5週 質点系と剛体の力学 慣性モーメントの計算ができる
6週 質点系と剛体の力学 回転運動の運動方程式の計算ができる
7週 質点系と剛体の力学 回転運動のエネルギーと仕事の計算ができる
8週 後期中間演習
4thQ
9週 極座標 座標変換ができる
10週 物体の運動と微分方程式 落下運動の計算ができる
11週 物体の運動と微分方程式 単振動の計算ができる
12週 物体の運動と微分方程式 減衰振動,強制振動の計算ができる
13週 物体の運動と微分方程式強制振動 振動運動の一般的計算ができる
14週 物体の運動と微分方程式 惑星の運動の計算ができる
15週 後期のまとめ
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3
因数定理等を利用して、4次までの簡単な整式の因数分解ができる。3
分数式の加減乗除の計算ができる。3
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。3
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。3
複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。3
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。3
因数定理等を利用して、基本的な高次方程式を解くことができる。3
簡単な連立方程式を解くことができる。3
無理方程式・分数方程式を解くことができる。3
1次不等式や2次不等式を解くことができる。3
恒等式と方程式の違いを区別できる。3
2次関数の性質を理解し、グラフをかくことができ、最大値・最小値を求めることができる。3
分数関数や無理関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
簡単な場合について、関数の逆関数を求め、そのグラフをかくことができる。3
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。3後12
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3後12
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3後12
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3後12
対数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3後12
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3後12
角を弧度法で表現することができる。3後11
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3後11
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。3後11
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3後11
三角比を理解し、簡単な場合について、三角比を求めることができる。3後11
一般角の三角関数の値を求めることができる。3後11
2点間の距離を求めることができる。3
内分点の座標を求めることができる。3
2つの直線の平行・垂直条件を利用して、直線の方程式を求めることができる。3
簡単な場合について、円の方程式を求めることができる。3後14
放物線、楕円、双曲線の図形的な性質の違いを区別できる。3後14
簡単な場合について、不等式の表す領域を求めたり領域を不等式で表すことができる。3
等差数列・等比数列の一般項やその和を求めることができる。3
総和記号を用いた簡単な数列の和を求めることができる。3
不定形を含むいろいろな数列の極限を求めることができる。3
無限等比級数等の簡単な級数の収束・発散を調べ、その和を求めることができる。3
ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。3後1
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。3後1
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。3後1
問題を解くために、ベクトルの平行・垂直条件を利用することができる。3後1
空間内の直線・平面・球の方程式を求めることができる(必要に応じてベクトル方程式も扱う)。3後1
行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。3
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。3
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。3
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。3後9
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。3後9
平面内の回転に対応する線形変換を表す行列を求めることができる。3後9
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。3
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。3
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。3
合成関数の導関数を求めることができる。3
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。3
逆三角関数を理解し、逆三角関数の導関数を求めることができる。3
関数の増減表を書いて、極値を求め、グラフの概形をかくことができる。3
極値を利用して、関数の最大値・最小値を求めることができる。3
簡単な場合について、関数の接線の方程式を求めることができる。3
2次の導関数を利用して、グラフの凹凸を調べることができる。3
関数の媒介変数表示を理解し、媒介変数を利用して、その導関数を求めることができる。3
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。3
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。3
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。3
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。3
簡単な場合について、曲線で囲まれた図形の面積を定積分で求めることができる。3後14
簡単な場合について、曲線の長さを定積分で求めることができる。3
簡単な場合について、立体の体積を定積分で求めることができる。3
2変数関数の定義域を理解し、不等式やグラフで表すことができる。3
合成関数の偏微分法を利用して、偏導関数を求めることができる。3
簡単な関数について、2次までの偏導関数を求めることができる。3
偏導関数を用いて、基本的な2変数関数の極値を求めることができる。3
2重積分の定義を理解し、簡単な2重積分を累次積分に直して求めることができる。3後5
極座標に変換することによって2重積分を求めることができる。3後5
2重積分を用いて、簡単な立体の体積を求めることができる。3後5
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。3後10
簡単な1階線形微分方程式を解くことができる。3後10
定数係数2階斉次線形微分方程式を解くことができる。3後11,後12,後13
簡単な1変数関数の局所的な1次近似式を求めることができる。3後11
1変数関数のテイラー展開を理解し、基本的な関数のマクローリン展開を求めることができる。3後11
オイラーの公式を用いて、複素数変数の指数関数の簡単な計算ができる。3後11
自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3前1,後1
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3後1,後2,後3
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3前1,後1
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3前3,後1
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3前2,後1,後9
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3前1
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前2,後10
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前3,後10
物体に作用する力を図示することができる。3前7
力の合成と分解をすることができる。3前7
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3前7
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3前7
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。3前7
慣性の法則について説明できる。3前7
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3前7
運動方程式を用いた計算ができる。3前7
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3前7
運動の法則について説明できる。3前7
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3前5
最大摩擦力に関する計算ができる。3前5
動摩擦力に関する計算ができる。3前5
仕事と仕事率に関する計算ができる。3前12
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3前12
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前13
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前13
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3前15
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3後2
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3後2
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3後2
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3前9
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3前9
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3前9
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3前10,後14
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前10,後14
力のモーメントを求めることができる。3後3
角運動量を求めることができる。3後3
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3後3
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3後4
重心に関する計算ができる。3後4
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3後5
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3後6
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学力は、大きさ、向き、作用する点によって表されることを理解し、適用できる。3後1
一点に作用する力の合成と分解を図で表現でき、合力と分力を計算できる。3後1
一点に作用する力のつりあい条件を説明できる。3後1
力のモーメントの意味を理解し、計算できる。3後3,後4,後6
偶力の意味を理解し、偶力のモーメントを計算できる。3後3,後4,後6
着力点が異なる力のつりあい条件を説明できる。3後3,後4,後6
重心の意味を理解し、平板および立体の重心位置を計算できる。3後1
速度の意味を理解し、等速直線運動における時間と変位の関係を説明できる。3前1,後10
加速度の意味を理解し、等加速度運動における時間と速度・変位の関係を説明できる。3前1,後10
運動の第一法則(慣性の法則)を説明できる。3前5
運動の第二法則を説明でき、力、質量および加速度の関係を運動方程式で表すことができる。3前5
運動の第三法則(作用反作用の法則)を説明できる。3前5
周速度、角速度、回転速度の意味を理解し、計算できる。3前9
向心加速度、向心力、遠心力の意味を理解し、計算できる。3前9
仕事の意味を理解し、計算できる。3前12,後7
てこ、滑車、斜面などを用いる場合の仕事を説明できる。3前12,後7
エネルギーの意味と種類、エネルギー保存の法則を説明できる。3前15
位置エネルギーと運動エネルギーを計算できる。3前15
すべり摩擦の意味を理解し、摩擦力と摩擦係数の関係を説明できる。3前13
運動量および運動量保存の法則を説明できる。3後2
剛体の回転運動を運動方程式で表すことができる。3後6
振動の種類および調和振動を説明できる。3後11
不減衰系の自由振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。3後12
減衰系の自由振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。3後12
調和外力による減衰系の強制振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。3後12
調和変位による減衰系の強制振動を運動方程式で表し、系の運動を説明できる。3後13

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力10000000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000