工学数理Ⅱ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 工学数理Ⅱ
科目番号 2022-317 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 なし
担当教員 鄭 萬溶,大庭 勝久

到達目標

<前期>
1.フーリエ級数展開の考え方を理解し,関連の計算ができる.
2.剛体の運動を理解し,運動方程式を立てられる.
3.力学系の運動方程式を立てそれを解くことができ,その挙動特性を理解できる.
4.行列の基本性質,固有値解析,対角化について理解し,関連の計算ができる.
5.多自由度系の運動について運動方程式を立てその挙動特性を理解できる.
<後期>
6.一般化座標,一般化力,ラグランジュの運動方程式について説明できる.
7.ラグランジュの運動方程式を立て,それを解くことにより力学的な解析をすることができる.(B1-3)
8.変分問題に対するオイラーの方程式を立て,それを解くことができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 フーリエ級数展開の考え方を理解し,関連の計算ができる.フーリエ級数展開を理解し,それを活用し矩形波および三角波による応答を計算できる.フーリエ級数展開の考え方を理解し,フーリエ係数を求めることができる.フーリエ級数展開の考え方を理解していなく,フーリエ係数を求めることができない.
評価項目2 剛体の運動を理解し,運動方程式を立てられる.棒,円盤,球の慣性モーメントを計算でき,それらの回転運動に対する運動方程式を立てられる.慣性モーメンドの概念を理解でき,棒や円盤の慣性モーメントを求めることができる.剛体の運動を理解していなく,物体の慣性モーメントを求めることができない.
評価項目3 力学系の運動方程式を立てそれを解くことができ,その挙動特性を理解できる.機構学的基礎により並進運動と回転運動によって構成される系の運動について理解し,解析的に解くことができる.単純な並進および回転系に対して運動方程式を立てそれを解くことができる.単純な並進および回転系に対して運動方程式を立てそれを解くことができない.
評価項目4 行列の基本性質,固有値解析,対角化について理解し,関連の計算ができる.行列の基本性質,固有値解析,対角化などについて十分理解し,活用できる.行列の基本性質,固有値解析,対角化などについて理解し,関連の計算ができる.行列の基本性質,固有値解析,対角化などについて理解していなく,関連の計算ができない.
評価項目5 多自由度系の運動について運動方程式を立てその挙動特性を理解できる.多自由度振動系の運動について十分理解し,関連の計算ができる.多自由度振動系の運動方程式を立てそれを解くことができる.多自由度振動系の運動方程式を立てて解くことができない.
評価項目6 一般化座標,一般化力,ラグランジュの運動方程式について説明できる□一般化座標,一般化力を理解し,ラグランジュの運動方程式を導出することができる.□一般化座標,一般化力,ラグランジュの運動方程式について説明できる.□一般化座標,一般化力,ラグランジュの運動方程式について説明できない.
評価項目7 ラグランジュの運動方程式を立て,それを解くことにより力学的な解析をすることができる.(B1-3)□ラグランジュの運動方程式を立て,それを解くことにより力学的な解析をすることができる.□ラグランジュの運動方程式を立てることができ,それを解くことが概ねできる.□ラグランジュの運動方程式を立てることができない.
評価項目8 変分問題に対するオイラーの方程式を立て,それを解くことができる.□変分問題に対するオイラーの方程式を立て,それを解き,運動の特徴を考察することができる.□変分問題を理解してオイラーの方程式を立て,それを解くことができる.□変分問題を理解して,オイラーの方程式を立てることができない.

学科の到達目標項目との関係

実践指針 (B1) 説明 閉じる
実践指針のレベル (B1-3) 説明 閉じる
【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる
【プログラム学習・教育目標 】 B 説明 閉じる

教育方法等

概要:
有限要素法の普及とコンピュータの高性能化によりさまざまな分野と場面でCAEが利用されている.特に力学における進化が目覚しく医療分野や宇宙開発分野においても広く利用されている.その基礎として,多自由度系の運動に対する解析法について学習することは重要になっている.この授業では,その基礎として必要となる,行列,固有値解析,対角化などの基礎知識について学習する.
<後期>
解析力学とはNewton力学を一般化したものであり,座標の取り方に依存せず統一的に運動を記述することが可能な方法である。本講義では,力学問題を解析的に解く上で有効な解析力学の基礎を解説する。また,変分原理,オイラーの方程式,最小作用の原理についても学習する.
授業の進め方・方法:
授業は講義を中心に適宜学習内容について解説し,議論する.数学と力学の関連について学習させ,数学が専門科目でどのように活用されるかを理解してもらいモチベーション向上につなげる.授業用ノートとは別に課題用のノートを用意してもらい,適宜課題を課すので翌週の授業開始時に提出することとする.授業時間に理解が不十分だった場合,オフィスアワーを活用し,補うこととする.
注意点:
この科目は学修単位科目であり、1単位あたり30時間の対面授業を実施します。併せて1単位あたり15時間の事前学習・事後学習が必要となります。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 フーリエ級数 級数展開の考え方を理解し,フーリエ級数を用いて正則でない周期関数を級数展開し三角関数の和で表現できる.
2週 面積,体積,重心 重積分を用いて面積,体積,重心を求めることができる.
3週 剛体の運動 慣性モーメントの求め方を理解し,棒,円盤,球の慣性モーメントを計算できる.
4週 剛体の運動 円筒,球,球殻の慣性モーメントを計算できる.
5週 振り子の振動 振り子や剛体振り子の違いを考え,それが固有振動数や運動にどのような影響を及ぼすかを理解する.
6週 並進運動と回転運動による力学系 具体的な力学系を扱い,運動方程式の立て方と固有振動数の求め方について理解できる.
7週 並進運動と回転運動による力学系 Newton法,エネルギー法,ラグランジュ法について学習し,それらにより運動方程式を立てられる.
8週 滑車による回転・並進運動 滑車による回転・並進運動系に対して運動方程式を立て,固有振動数を計算できる.
2ndQ
9週 行列の基本性質 行列の基本性質を理解し,関連の計算ができる.
10週 線形変換と逆行列 線形変換の応用について考え,逆行列の意味を理解し,計算ができる.
11週 固有値と固有値解析 固有値と固有値解析について理解し,関連の計算ができる.
12週 対角化 対角化の意味を理解し,関連の計算ができる.
13週 2自由度振動系の自由振動 2自由度振動系の運動方程式を立てその応答を計算できる.
14週 多自由度系への拡張 2自由度振動系を多自由度振動系に拡張して,固有振動数と周波数応答関数を求めることができる.
15週 多自由度系への拡張 多自由度系における周波数応答関数を理解し,活用できる.
16週
後期
3rdQ
1週 後期授業ガイダンス,解析力学について 解析力学の特徴について説明できる.
2週 解析力学の基礎(1) 平面極座標における物体の速度・加速度を求めることができる.平面極座標による運動方程式について説明できる.
3週 解析力学の基礎(2) 平面極座標の場合の一般化力、一般化座標と一般化力について説明できる.
4週 解析力学の基礎(3) ラグランジュの運動方程式、エネルギー保存則について説明できる.
5週 演習 中心力場における運動方程式を立てることができる。
6週 ラグランジュの運動方程式(1) ラグランジュ方程式を用いて力学問題を解くことができる.
7週 ラグランジュの運動方程式(2) ラグランジュ方程式を用いて力学問題を解くことができる.
8週 ラグランジュの運動方程式(3) ラグランジュ方程式を用いて力学問題を解くことができる.
4thQ
9週 ラグランジュの運動方程式と束縛(1) 時間に依存する束縛条件を持つ問題を解くことができる.
10週 ラグランジュの運動方程式と束縛(2) 散逸がある場合の運動方程式を導出し、解くことができる.
11週 演習 振子の運動をラグランジュ方程式から解くことができる.
12週 変分原理(1) 関数と汎関数の違いを説明できる。オイラーの方程式について説明できる.
13週 変分原理(2) オイラーの方程式を立て、解くことができる.
14週 変分原理(3) ハミルトンの原理について説明できる.
15週 演習 解析力学と変分原理について、基本的な問題を解くことができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3前1
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。3前1
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3前1
ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。3後2,後3,後5
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。3後2,後3,後5
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。3後2,後3,後5
問題を解くために、ベクトルの平行・垂直条件を利用することができる。3後2,後3,後5
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。3前9,前10,前11,前12
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。3前9,前10,前11,前12
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。3前9,前10,前11,前12
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。3前9,前10,前11,前12
平面内の回転に対応する線形変換を表す行列を求めることができる。3前9,前10,前11,前12
簡単な場合について、立体の体積を定積分で求めることができる。3前2
2重積分の定義を理解し、簡単な2重積分を累次積分に直して求めることができる。3前2,前3,前4
極座標に変換することによって2重積分を求めることができる。3前2,前3,前4
2重積分を用いて、簡単な立体の体積を求めることができる。3前2,前3,前4
専門的能力分野別の専門工学機械系分野力学運動の第一法則(慣性の法則)を説明できる。4後1
運動の第二法則を説明でき、力、質量および加速度の関係を運動方程式で表すことができる。4後1
運動の第三法則(作用反作用の法則)を説明できる。4後1
周速度、角速度、回転速度の意味を理解し、計算できる。4後5
向心加速度、向心力、遠心力の意味を理解し、計算できる。4後5
エネルギーの意味と種類、エネルギー保存の法則を説明できる。4後4
位置エネルギーと運動エネルギーを計算できる。4後4
動力の意味を理解し、計算できる。4後4
剛体の回転運動を運動方程式で表すことができる。4前6,前7,前8
平板および立体の慣性モーメントを計算できる。4前3,前4

評価割合

定期試験レポート課題ノートチェック態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合70255000100
基礎的能力0000000
専門的能力70255000100
分野横断的能力0000000