線形回路解析

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 線形回路解析
科目番号 2022-319 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 前期:4
教科書/教材 電気回路Ⅱ 遠藤 勲,鈴木 靖 共著 コロナ社、ドリルと演習シリーズ 電気回路 上原 正啓 著 電気書院
担当教員 大沼 巧

到達目標

1.システムの線形性を説明できる
2.基本回路の過渡現象を時間領域で解くことができる
3.基本回路の過渡現象をラプラス変換を用いて解き、解の物理的意味を説明できる
4.一端子対回路網の正実関数の判定ができ、簡単な回路合成ができる
5.二端子対回路網を行列によって表現し、回路解析に応用できる(C1-3)
6.分布定数回路の基礎方程式を代表的な境界条件の下に解き、伝送線路に応用できる(C1-3)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1□システムの線形性を具体例に基づいて説明できる□システムの線形性を説明できる□システムの線形性を説明できない
評価項目2□複雑な回路の過渡現象を時間領域で解くことができる□基本回路の過渡現象を時間領域で解くことができる□基本回路の過渡現象を時間領域で解くことができない
評価項目3□複雑な回路の過渡現象をラプラス変換を用いて解くことができる □解の物理的意味についてグラフや図を用いて説明できる□基本回路の過渡現象をラプラス変換を用いて解くことができる □解の物理的意味を説明できる□基本回路の過渡現象をラプラス変換を用いて解くことができない
評価項目4□一端子対回路網の性質を説明できる □正実関数の判定ができる □複数の方法で回路合成ができる□一端子対回路網の正実判定ができる □簡単な回路合成ができる□一端子対回路網の性質を説明できない □回路合成ができない
評価項目5(C1-3)□二端子対回路網をZ, Y, Fパラメータを用いて表現できる □二端子対回路を組み合わせて回路解析に応用できる□二端子対回路網を行列によって表現できる □回路解析に応用できる□二端子対回路網を行列によって表現できない □回路解析に応用できない
評価項目6(C1-3)□分布定数回路の基礎方程式を代表的な伝送線路を想定した境界条件の下に解くことができる □解の意味について考察できる□分布定数回路の基礎方程式を代表的な境界条件の下に解くことができる□分布定数回路の基礎方程式を代表的な境界条件の下に解くことができない

学科の到達目標項目との関係

実践指針 (C1) 説明 閉じる
実践指針のレベル (C1-3) 説明 閉じる
【本校学習・教育目標(本科のみ)】 3 説明 閉じる
【プログラム学習・教育目標 】 C 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 近年、世界的なエネルギー問題や環境問題が深刻化し、産業界においても、様々な角度からこれらの問題に対する対策を進めている。一方、工学技術の進展に伴い情報のデジタル化が進み、発展した情報技術を活用して、エネルギーや資源を有効に活用する”エネルギー革命”が今まさに起こっているところである。その中で、極めて効率的な変換や伝送が可能な電気エネルギーの担う役割は非常に重大であり、材料や設計技術、解析技術の進展も相まって、従来用いられなかった用途にまで電気回路の活用の場が広がっている。
本講義では、3年までに学んだ電気回路理論を、線形回路として解析学的な立場からまとめ、電気エネルギーや信号の伝送に利用可能な”伝送回路”としての取り扱い方を学ぶ。そのために、まず電気回路網を線形システムの一つと捉え、ラプラス変換や複素関数等を用いて、線形回路の入出力関係を様々な解析的手法によって表現する。次に、通信ケーブルや送電線などを取り扱う際に必要となる分布定数回路の考え方を学ぶ。本講義で学習する信号の取り扱い方法は、線形システム論の上に成り立っており、電気回路のみならず様々な線形現象の基礎となる考え方である。
授業の進め方・方法:
授業は原則として講義と演習を交互に行う。講義は主に板書により進め、適宜Microsoft365を活用して映像や応用例を紹介する。Teamsを活用しオンラインでの質問も随時受け付ける。演習はドリルなどを中心に行い、moodleの小テストを活用して理解度の確認をする。授業への参加度は加点対象とする。授業動画と課題へのリンクをmoodle上に集約する。
注意点:
この科目は学修単位科目であり、1単位あたり30時間の対面授業を実施します。併せて1単位あたり15時間の事前学習・事後学習が必要となります。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
線形とは
線形回路の定義と性質を説明できる。
2週 基本回路の過渡現象 過渡現象がなぜ起きるのか、何のために過渡現象を解析するのかを説明できる。
3週 基本回路の過渡現象 RL回路, RC回路の過渡現象を微分方程式を用いて解析できる。
4週 RLC回路の過渡現象 RLC回路の過渡現象を微分方程式を用いて解析できる。
5週 ラプラス変換 基本的なラプラス変換を求めることができる。
6週 ラプラス変換による過渡現象解析 RLC回路の過渡現象をラプラス変換を用いて解析できる。
7週 インパルス応答 インパルス応答の意味を理解し、回路解析に利用できる。
8週 一端子対回路網(正実関数) イミタンス関数の性質を説明できる。正実関数の判定ができる。
2ndQ
9週 一端子対回路網(部分分数展開による回路合成) リアクタンス関数、RC回路、RL回路の部分分数展開による回路合成ができる。
10週 一端子対回路網(連分数展開による回路合成) リアクタンス関数、RC回路、RL回路の連分数展開による回路合成ができる。
11週 二端子対回路網(Z行列・Y行列) 二端子対回路網のZ、Yパラメータが求められる。
12週 二端子対回路網(F行列) 二端子対回路網のFパラメータが求められる。
13週 二端子対回路網(フィルタ) フィルタの周波数特性を求め、その性質を説明できる。
14週 分布定数回路の電信方程式 分布定数回路の考え方を理解し、基本式を導出できる。正弦波定常状態における一般解を求められる。
15週 分布定数回路の解析 整合終端、短絡終端、開放終端における境界条件を適用し、整合や定在波と関連させて、解の意味を説明できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学電気・電子系分野電気回路瞬時値を用いて、交流回路の計算ができる。4前14
フェーザ表示を用いて、交流回路の計算ができる。4前13,前14
インピーダンスとアドミタンスを説明し、これらを計算できる。4前8,前13,前14
キルヒホッフの法則を用いて、交流回路の計算ができる。4前3,前4,前6,前7,前14
合成インピーダンスや分圧・分流の考え方を用いて、交流回路の計算ができる。4前3,前4,前6,前7,前14
RL直列回路やRC直列回路等の単エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4前3,前6,前7
RLC直列回路等の複エネルギー回路の直流応答を計算し、過渡応答の特徴を説明できる。4前4,前6,前7
重ねの理を用いて、回路の計算ができる。4前9,前10,前11,前12
網目電流法を用いて回路の計算ができる。4前9,前10,前11,前12
節点電位法を用いて回路の計算ができる。4前9,前10,前11,前12
テブナンの定理を回路の計算に用いることができる。4前9,前10,前11,前12

評価割合

定期試験課題小テスト合計
総合評価割合602020100
基礎的能力0000
専門的能力602020100
分野横断的能力0000