概要:
本科目では、哲学および倫理学の主要テーマについて、トピック横断的に学習を行う。「哲学」とは、真理を探究する知的な営みの総称であるが、とりわけそれが「哲学」と呼ばれる場合には、他の個別の諸学問の枠に収まらない根源的な問題や、基礎概念の検討などを扱う分野を指す。また、哲学の一分野でもある「倫理学」は、人と人との関係を定めるルール・規範を主題的に扱う分野である。本科目では、哲学の基礎的な問題および、倫理学の考え方の枠組みを、トピック横断的に学ぶとともに、関連するトピックを概観することで、哲学および倫理学の問題意識や考え方を、身の回りの事象を理解するための材料とし、自らの判断や行為に役立てられるようになることを目指す。
授業の進め方・方法:
本講義では、教員が作成したレジュメを配布して授業を進める。授業に際しては、おもにレジュメおよびスライドを使用し、講義形式で授業を進める。質問や意見については、毎回の授業の最後にコミュニケーションペーパーに記入してもらい、翌週の授業でフィードバックする。また、授業内でメディアなどを用いたワークの機会を設け、自ら考察を行い人前で意見を述べる訓練も行う。自学自習では、最終目標として専門用語を用いた論述ができるようになることを目指す。講義内容は、哲学および倫理学で問題とされてきたテーマを、トピック横断的に扱う。期末試験85%、コミュニケーションペーパーの提出15%として評定を行う。
注意点:
評価については、評価割合に従って行います。
この科目は学修単位科目であり、1単位あたり15時間の対面授業を実施します。併せて1単位あたり30時間の事前学習・事後学習が必要となります。
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週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
後期 |
3rdQ |
1週 |
哲学の役割は何か? |
哲学という学問分野がどのようなものであり、哲学の問いはどのような性格のものであるかを説明することができる。
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2週 |
なぜこの机はこの机なのか? |
プラトンのイデア論、アリストテレスの形相質料論などの内容について説明することができる。
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3週 |
普遍的なものは実在するのか? |
中世の普遍論争がどのようなものであり、いかなる主張が展開されていたかについて説明することができる。
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4週 |
世界を認識するとはどういうことか? |
おもに近世哲学史において、認識論の問題を通じて問題とされてきた事柄について説明することができる。
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5週 |
夢と現実はいかにして区別できるのか? |
おもに近世哲学史において、「経験」および「世界」というものがどのようにして捉えられてきたかを説明することができる。
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6週 |
何かが存在するとはどういうことか? |
おもに「存在」という概念が哲学史を通じてどのように捉えられてきたかを説明することができる。
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7週 |
なぜ美しいものはみんなで共有したくなるのか? |
おもに美学において問題にされてきたような、美しいものをめぐる判断の特殊性について説明することができる。
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8週 |
なぜ倫理学が必要なのか? |
倫理学という学問分野がどのようなものであり、倫理学が扱う問題はどのような性格のものであるかを説明することができる。
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4thQ |
9週 |
道徳は人それぞれなのか? |
規範に関する文化的相対主義の考え方および、合意形成のためのポイントについて説明することができる。
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10週 |
最大多数の最大幸福はベストな選択なのか? |
功利主義の考え方およびその問題点、それらに対する功利主義の立場からの応答について説明することができる。
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11週 |
なぜ嘘をついてはいけないのか? |
義務論の考え方およびその問題点、それらに対する義務論の立場からの応答について説明することができる。
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12週 |
「よい性格」とはどのようなものか? |
徳倫理学の考え方およびその問題点、それらに対する徳倫理学の立場からの応答について説明することができる。
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13週 |
資源の配り方にはどんなルールがあるのか? |
おもに配分的正義の問題について、医療資源の配分をモデルとして、配分の基準の類型について説明することができる。
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14週 |
なぜ世界には悪が存在するのか? |
「悪の問題」および人間が悪をなすメカニズムに関して、哲学史上どのような論争が行われてきたかを説明することができる。
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15週 |
なぜ道徳的でなければならないのか? |
Why Be Moral?問題について、倫理学史においてどのような議論が行われてきたかを説明することができる。
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16週 |
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分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 人文・社会科学 | 社会 | 公民的分野 | 人間の生涯における青年期の意義と自己形成の課題を理解し、これまでの哲学者や先人の考え方を手掛かりにして、自己の生き方および他者と共に生きていくことの重要性について考察できる。 | 3 | 後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後15 |
自己が主体的に参画していく社会について、基本的人権や民主主義などの基本原理を理解し、基礎的な政治・法・経済のしくみを説明できる。 | 3 | 後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15 |
現代社会の考察 | 現代社会の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について人文・社会科学の観点から展望できる。 | 3 | 後1,後2,後3,後6,後8,後13,後14,後15 |
工学基礎 | グローバリゼーション・異文化多文化理解 | グローバリゼーション・異文化多文化理解 | それぞれの国や地域の経済的・社会的な発展に対して科学技術が果たすべき役割や技術者の責任ある行動について説明できる。 | 3 | 後1,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15 |