計算機工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 計算機工学Ⅰ
科目番号 2023-330 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 3
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 配布資料
担当教員 勝呂 元美,(D科 非常勤講師)

到達目標

1. デコーダ、8bit加算器などの組み合わせ回路が設計できる。
2. n進カウンタなどの基本的な順序回路が設計できる。
3. 交通信号のようなシーケンス制御回路や、ストップウォッチ程度の論理回路が設計できる。
4. 前述のような基礎的な回路をVHDL言語で設計できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1デコーダ、8bit加算器などの組み合わせ回路が設計できる。□与えられた仕様から入出力関係を導き 、遅延時間、ハザード等を考慮した回路設計ができる。□与えられた仕様から入出力関係を導き、 回路を設計できる。□与えられた真理値表から回路を設計できない。
n進カウンタなどの基本的な順序回路が設計できる。□任意の状態遷移をするカウンタの設計ができ、遅延時間、セットアップタイム、ホールドタイムから最大動作周波数を考察できる。□バイナリアップダウンカウンタの設計ができ、セットアップタイム、ホールドタイムを説明できる。□バイナリアップダウンカウンタの設計ができない。
交通信号のようなシーケンス制御回路や、ストップウォッチ程度の論理回路が設計できる。□与えられた仕様から、マンマシンインタフェース、組み合わせ回路、順序回路などの基本回路にブロック分割でき、それぞれのブロックを設計できる。□基本設計によりにブロック分割された、それぞれのブロックの仕様から回路を設計できる。□基本設計されたのちの各ブロックに於いて、真理値表や状態遷移表を提示された回路の設計ができない。
前述のような基礎的な回路をVHDL言語で設計できる。□VHDL言語で交通信号のようなシーケンス制御回路や、ストップウォッチ程度の回路が記述でき、シミュレーションにより確認できる。□組み合わせ回路をif文、case文で記述できる。clockのエッジによって遷移する順序回路を記述できる。component文による階層設計ができる。□VHDL言語によるif文、case文,による組み合わせ回路、 clockのエッジによって遷移する順序回路を記述できない。

学科の到達目標項目との関係

【本校学習・教育目標(本科のみ)】 3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本講義では実践的な論理回路設計の能力を身につける事を目標とする。前期には、2学年の計算機基礎で学習した論理回路の知識をもとに,基本的な組み合わせ回路、順序回路の設計法について述べる。後期には基本的な回路を組み合わせた応用例、ストップウォッチや信号機などのシーケンサについて述べる。また、実際の設計ではデバイスの遅延時間やセットアップタイム、ホールドタイムなどを考慮しなければならないこと、フェイルセーフの考え方などについて述べる。また、後期後半ではVHDL言語による回路の設計を学ぶ。講義ではいくつかの設計課題が出される。課題は演習室のコンピュータ上で回路を作成し、実際にシミュレータを使って回路を実現し動作確認するという実践的な方法で実施される。
授業の進め方・方法:
前半の論理回路記述の講義、後期のVHDL言語の講義では配布資料を使用する。
講義ではいくつかの設計課題が出される。課題は演習室のコンピュータ上(EDAソフトquartusII)で回路を作成し、シミュレーション動作確認するという実践的な方法で実施される。
注意点:
定期試験の成績を70%、課題30%として評価する。
1.評価については、評価割合に従って行います。ただし、 適宜再試や追加課題を課し、加点することがあります。
2.中間試験を授業時間内に実施することがあります。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
デジタルとアナログ
コンピュータの中のデータ
デジタルとアナログ、及びコンピュータの中のデータの格納形態等説明できる。
2週 デジタル集積回路概要
 半導体デバイスの動作原理による分類
 半導体デバイスの機能による分類
半導体デバイスの動作原理及び機能による分類を説明できる。
3週 半導体デバイスの電気的特性概要
 最大定格と推奨動作条件
 電気的特性の用語と記号
半導体デバイスの電気的特性の概要を説明できる。
4週 半導体デバイスの電気的特性(DC特性)
 スレッショルド電圧
 ファンイン/ファンアウト
電気的特性(DC特性)のスレッショルド、ファンイン/ファンアウトの説明ができる。
5週 半導体デバイスの電気的特性(AC特性)
 遅延時間
 セットアップホールド時間
電気的特性(AC特性)の遅延時間、セットアップホールド時間の説明ができる。
6週 半導体デバイスの接続性検討(1) 半導体デバイスの接続性について検証し、説明ができる。
7週 半導体デバイスの接続性検討(2) 半導体デバイスの接続性について検証し、説明ができる。
8週 ブール代数、ドモルガンの定理の復習
組み合わせ回路と順序回路、同期回路
ブール代数、ドモルガンの定理、組み合わせ回路と順序回路、同期回路について説明できる。
2ndQ
9週 組み合わせ回路の設計 
アンドオアセレクタ、LEDデコーダ
組み合わせ回路のアンドオアセレクタ、LEDデコーダ回路を設計できる。
10週 組み合わせ回路の設計演習 
アンドオアセレクタ、LEDデコーダ
組み合わせ回路のアンドオアセレクタ、LEDデコーダ回路をシミュレーションにて動作確認ができる。
11週 組み合わせ回路の設計 
加算回路、減算回路
組み合わせ回路の加算回路、減算回路の設計ができる。
12週 組み合わせ回路の設計演習 
加算回路、減算回路
組み合わせ回路の加算回路、減算回路をシミュレーションにて動作確認できる。
13週 順序回路の設計
同期式5進バイナリカウンタ回路
順序回路の同期式5進バイナリカウンタ回路の設計ができる。
14週 順序回路の設計演習
同期式5進バイナリカウンタ回路
順序回路の同期式5進バイナリカウンタ回路をシミュレーションにて動作確認できる。
15週 順序回路の設計演習
同期式n進バイナリカウンタ回路
順序回路の同期式n進バイナリカウンタ回路を設計し、シミュレーションにて動作確認できる。
16週
後期
3rdQ
1週 シーケンス回路の構成
ストップウォッチ回路の概要
シーケンス回路であるストップウォッチ回路の概要が説明できる。
2週 ストップウォッチ回路設計及び演習
チャタリング除去回路(ハザードについて)
チャタリング除去回路(ハザード除去回路)を設計し、シミュレーションにて動作確認できる。
3週 ストップウォッチ回路設計及び演習
同期回路、前縁検出回路、制御回路
同期回路、前縁検出回路、制御回路を設計し、シミュレーションにて動作確認できる。
4週 ストップウォッチ回路設計及び演習
同期式n進バイナリカウンタ回路の設計
同期式n進バイナリカウンタ回路を設計し、シミュレーションにて動作確認できる。
5週 ストップウォッチ回路設計及び演習
7セグメントLEDデコーダ回路の設計
7セグメントLEDデコーダ回路を設計し、シミュレーションにて動作確認できる。
6週 ストップウォッチ回路設計及び演習
全体回路の入力
ストップウォッチ回路の全体回路を設計できる。
7週 ストップウォッチ回路設計及び演習
動作確認(シミュレーション)、デバッグ
ストップウォッチ回路の全体回路をシミュレーションにて動作確認できる。
8週 VHDL言語記述の基礎
基本構文、IF文、CASE文
VHDL言語記述の基本構文、IF文、CASE文について説明できる。
4thQ
9週 ストップウォッチ回路のVHDL記述及び演習
チャタリング除去回路
チャタリング除去回路をVHDL記述し、シミュレーションにて動作確認できる。
10週 ストップウォッチ回路のVHDL記述及び演習
同期回路、前縁検出回路、制御回路
同期式n進バイナリカウンタ回路をVHDL記述し、シミュレーションにて動作確認できる。
11週 ストップウォッチ回路のVHDL記述及び演習
同期式n進バイナリカウンタ回路
7セグメントLEDデコーダ回路をVHDL記述し、シミュレーションにて動作確認できる。
12週 ストップウォッチ回路のVHDL記述及び演習
7セグメントLEDデコーダ回路
7セグメントLEDデコーダ回路をVHDL記述し、シミュレーションにて動作確認できる。
13週 ストップウォッチ回路のVHDL記述及び演習
全体回路の入力
ストップウォッチの全体回路をVHDL記述にて構成できる。
14週 ストップウォッチ回路のVHDL記述及び演習
動作確認(シミュレーション)、デバッグ
ストップウォッチの全体回路のVHDL記述をシミュレーションにて動作確認できる。
15週 ストップウォッチ回路のVHDL記述及び演習
動作確認(シミュレーション)、デバッグ
ストップウォッチの全体回路のVHDL記述をシミュレーションにて動作確認できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学情報系分野計算機工学基数が異なる数の間で相互に変換できる。3前1
整数を2進数、10進数、16進数で表現できる。4前1
基本的な論理演算を行うことができる。4前8
基本的な論理演算を組合わせて、論理関数を論理式として表現できる。4前8
論理式の簡単化の概念を説明できる。4前8
簡単化の手法を用いて、与えられた論理関数を簡単化することができる。4前8
論理ゲートを用いて論理式を組合せ論理回路として表現することができる。4前9,前10,前11,前12
与えられた組合せ論理回路の機能を説明することができる。4前9,前10,前11,前12
組合せ論理回路を設計することができる。4前9,前10,前11,前12
フリップフロップなどの順序回路の基本素子について、その動作と特性を説明することができる。4前13,前14,前15
レジスタやカウンタなどの基本的な順序回路の動作について説明できる。4前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5
与えられた順序回路の機能を説明することができる。4前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5
順序回路を設計することができる。4前13,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後5,後6,後7
メモリシステムを実現するために考案された主要な技術を説明できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7
ハードウェア記述言語など標準的な手法を用いてハードウェアの設計、検証を行うことができる。4後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
分野別の工学実験・実習能力電気・電子系分野【実験・実習能力】電気・電子系【実験実習】論理回路の動作について実験結果を考察できる。3前9,前10,前12,前14,前15,後1,後2,後3,後4,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
ディジタルICの使用方法を習得する。3前4,前5

評価割合

試験課題合計
総合評価割合7030100
基礎的能力10515
専門的能力502070
分野横断的能力10515