品質工学

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 品質工学
科目番号 0031 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 5
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 入門タグチメソッド 立林和夫著 日科技連
担当教員 鄭 萬溶

到達目標

1.パラメータ設計・ロバスト設計の考え方を理解し,直交表を用いた設計技術を身につける.
2.実験計画法について理解し,Excelによる実験計画法を実施できる.
3.確率に基づいたシステムの性能評価、タグチメソッドの適用例について理解し,現場の問題解決能力を身につける.
4.許容差設計について理解し,コストと性能のトレードオフでの判断ができる.
5.マハラノビス距離の考え方を理解し,診断などで適用できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1パラメータ設計・ロバスト設計の考え方を理解し,直交表を用いた設計技術を理解し,実施できる.パラメータ設計・ロバスト設計の考え方を理解し,直交表を用いた設計技術を理解できるパラメータ設計・ロバスト設計の考え方を理解できない.
評価項目2実験計画法について理解し,Excelによる実験計画法を実施できる.ガイダンスに従い,Excelによる実験計画法を実施できる.実験計画法についての理解が不十分で,Excelによる実験計画法を実施できない.
評価項目3確率に基づいたシステムの性能評価、タグチメソッドの適用例について理解できる.確率に基づいたシステムの性能評価、タグチメソッドの適用例について一部理解できる.確率に基づいたシステムの性能評価、タグチメソッドの適用例についてほとんど理解できていない.
評価項目4許容差設計について理解し,コストと性能のトレードオフでの判断ができる.許容差設計についてある程度理解し,コストと性能のトレードオフについて議論できる.許容差設計についての理解が不十分で,コストと性能のトレードオフについて議論できない.
評価項目5マハラノビス距離の考え方を理解し,診断などで適用できる.マハラノビス距離の考え方を理解できる.マハラノビス距離の考え方を理解できない.

学科の到達目標項目との関係

【本校学習・教育目標(本科のみ)】 3 説明 閉じる
【本校学習・教育目標(本科のみ)】 5 説明 閉じる

教育方法等

概要:
近年,システムの高性能化と多機能化に伴い,高い品質を担保することが難しくなっている.品質問題が企業や社会に及ぼす影響は非常に大きく,場合によっては企業の存続に関わる問題にまで発展することが少なくない.そこで,より科学的に品質問題を解決するため,田口玄一博士によってタグチメソッドという手法が提案され広く利用されており,さまざまな分野で実績を上げている.この授業では,タグチメソッドを用いて統計論的に品質問題を解決する「パラメータ設計」を中心に講義し,工程をを少なくして品質を向上させる方法について学習する.
授業の進め方・方法:
実験計画法,タグチメソッド,回帰分析の概要と関連用語,回帰分析の概要とそのやり方,直交表の割りつけ方法などを身につけられるように,講義と演習を交えながら授業を進めていく.特に回帰分析とパラメータ設計による2段階設計については演習時間を十分に確保し理解を深め,実践できるレベルまで持っていく予定である.また,7週間に渡る「パラメータ設計の実践編」を通じて2段階設計を体験させる.
注意点:
1.試験や課題レポート等は,JABEE ,大学評価・学位授与機構、文部科学省の教育実施検査に使用することがあります.
2.授業参観される教員は当該授業が行われる少なくとも1週間前に教科目担当教員へ連絡してください.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
2週 システムとは 品質工学が生まれた背景,品質工学でのシステムの捉え方とその概念について理解する.
3週 ノイズとノイズ対策 ノイズの種類とその対策法について理解する.
4週 パラメータ設計 ノイズの影響を減らす方法としてのパラメータ設計の考え方とその評価法を理解できる.
5週 パラメータ設計の手順 実験計画法に基づいたパラメータ設計法手順とその事例を通じて2段階設計の考え方を理解できる.
6週 静特性のパラメータ設計 望目特性,ゼロ望目特性,望小特性,望大特性などの静特性について理解し,その評価法を理解できる.
7週 ロバストネスの改善 パラメータには出力変動(ばらつき)の大きさに影響を及ぼす因子とそれほど影響しない因子がある.影響の大きい因子を制御し,出力変動を小さくする方法について理解できる.
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 動特性とは 入出力関係の動特性について従来のシステムと違ってノイズを考慮したエンジニアードシステムとして扱うことの意味とその評価法を理解できる.
10週 動特性のパラメータ設計 相関係数とSN比と感度などの基本概念を理解できる.
11週 回帰分析 回帰分析の概要を理解できる.
12週 回帰分析 回帰分析の概要を理解し,Excelを用いて回帰分析を実践できる.
13週 動特性のパラメータ設計の手順と事例 動特性のパラメータ設計の手順と事例を通じて動特性のパラメータ設計について理解できる.
14週 品質不良と動特性 最終的な結果物の品質不良を測定することで品質管理ができるのではなく,システムの入出力関係がノイズによって乱れ,理想とする関係からずれてしまうか,入力が効率よく出力されないことが原因であることを理解できる.
15週 前期末試験
16週 目的機能によるパラメータ設計 使用者や企画者がその製品や技術に求める機能を目的機能と呼ぶ.製品や技術に要求される機能に関係するパラメータの設計について理解できる.
後期
3rdQ
1週 パラメータ設計の実践 紙ヘリコプターのパラメータ設計を通じて,静特性または動特性のパラメータ設計を実践し,実験計画法によるパラメータ設計によってノイズに強い高品質の紙ヘリコプターを設計・製作できる.
2週 パラメータ設計の実践 紙ヘリコプターのパラメータ設計を通じて,静特性または動特性のパラメータ設計を実践し,実験計画法によるパラメータ設計によってノイズに強い高品質の紙ヘリコプターを設計・製作できる.
3週 パラメータ設計の実践 紙ヘリコプターのパラメータ設計を通じて,静特性または動特性のパラメータ設計を実践し,実験計画法によるパラメータ設計によってノイズに強い高品質の紙ヘリコプターを設計・製作できる.
4週 パラメータ設計の実践 紙ヘリコプターのパラメータ設計を通じて,静特性または動特性のパラメータ設計を実践し,実験計画法によるパラメータ設計によってノイズに強い高品質の紙ヘリコプターを設計・製作できる.
5週 パラメータ設計の実践 紙ヘリコプターのパラメータ設計を通じて,静特性または動特性のパラメータ設計を実践し,実験計画法によるパラメータ設計によってノイズに強い高品質の紙ヘリコプターを設計・製作できる.
6週 パラメータ設計の実践 紙ヘリコプターのパラメータ設計を通じて,静特性または動特性のパラメータ設計を実践し,実験計画法によるパラメータ設計によってノイズに強い高品質の紙ヘリコプターを設計・製作できる.
7週 パラメータ設計の実践 紙ヘリコプターのパラメータ設計を通じて,静特性または動特性のパラメータ設計を実践し,実験計画法によるパラメータ設計によってノイズに強い高品質の紙ヘリコプターを設計・製作できる.
8週 後期中間試験
4thQ
9週 損失関数とその利用 品質をコストで評価する損失関数とそれを利用した許容差設計,生産ラインの管理方法について理解できる.
10週 基本機能によるパラメータ設計 目的機能を実現するための技術手段として採用する自然の原理を基本機能と呼ぶ.要素還元の法則により,システムの機能をいくつかの基本機能に分けて考え,パラメータを実施できることを理解する.
11週 非線形システムのパラメータ設計 入出力が非線形関係である場合のパラメータ設計では,線形に見立ててパラメータ設計を行うことができることをいくつかの事例を通じて理解できる.
12週 望小特性によるパラメータ設計 望小特性は,傷の大きさや数,摩耗,振動,騒音,有害成分などのように小さければ小さいほど良い特性を指す.その具体例を通じてそのやり方を理解できる.
13週 損失関数とその利用 品質をコストで評価する損失関数と,それを利用した許容差設計,生産ラインの管理方法などについて理解できる.
14週 MTシステム 診断,予測,パターン認識,検査における判定などの幅広い用途をもつMTシステムについて理解できる.
15週 学年末試験 診断,予測,パターン認識,検査における判定などの幅広い用途をもつMTシステムについて理解する.
16週 総括

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合7010100100100
基礎的能力501010010080
専門的能力100000010
分野横断的能力100000010