制御工学

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 制御工学
科目番号 0037 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 電子制御工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 フィードバック制御入門,杉江俊治・藤田政之著,コロナ社,1999
担当教員 青木 悠祐

到達目標

(1)制御系の標準的構成を理解し,フィードバック制御の利点について実例を挙げて説明できる.また,制御工学に関する用語を英語に変換できる
(2)ダイナミカルシステムの伝達関数表現を理解し,結合法則と等価変換を用いてブロック線図を簡単化することができる
(3)ラプラス変換を応用して,時不変線形システムの時間応答を求めることができる
(4)システムの過渡応答特性を理解し,極の位置との関係について説明できる.また,システムの安定性の概念を理解し,ラウス・フルビッツの方法により系が安定であるための必要十分条件を導くことができる
(5)フィードバック制御系の感度特性・定常特性について説明できる
(6)システムの周波数応答を理解し,ベクトル軌跡・ボード線図を描くことができる(C1-3)
(7)フィードバック系の内部安定性の概念を理解し,ナイキスト線図を描いて系の安定性を判別することができる.また安定余裕の概念を説明できる(C1-3)
(8)PID補償器および位相進み-遅れ補償器を用いて,設計仕様を満たすフィードバック制御系を設計できる(C1-3)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1.制御系の標準的構成を理解し,フォードバック制御の利点について実例を挙げて説明できる。また、制御工学に関する用語を英語にすることができる□フィードバック制御系とフィードフォワード制御系の例を挙げることができる。更に、それぞれの利点欠点を述べることができる。 □身近な例をブロック線図にすることができる。それに加えて、ブロック線図を変形させて表現することができる。 □制御工学に関する用語を英語にすることができる□フィードバック制御系とフィードフォワード制御系の例を挙げることができる。 □身近な例をブロック線図にすることができる。 □制御工学に関する用語を英語にすることができる□フィードバック制御系とフィードフォワード制御系の例を挙げることができない。 □身近な例をブロック線図にすることができない。 □制御工学に関する用語を英語にすることができない
2.ダイナミカルシステムの伝達関数表現を理解し,結合法則と等価変換を用いてブロック線図を簡単化することができる□ブロック線図の結合・等価変換を用いて、フィードフォーワード、フィードバックを含むブロック線図の閉ループ伝達関数を求めることができる。 □ブロック線図の結合ができる □ブロック線図の等価変換ができる □ブロック線図を簡単化して、閉ループ伝達関数を求めることができる□ブロック線図の結合ができない □ブロック線図の等価変換ができない □ブロック線図を簡単化して、閉ループ伝達関数を求めることができない。
3.ラプラス変換を応用して,時不変線形システムの時間応答を求めることができる  □システムの線形/非線形を判断でき、数式を用いて証明することができる □システムの時変/時不変を判断でき、数式を用いて証明することができる □インパルス応答・ステップ応答を求めることができ、その情報をもとに伝達関数を求めることができる □逆ラプラス変換を求めることができる □畳み込みのラプラス変換を証明することができる □システムの線形/非線形を判断できる □システムの時変/時不変を判断できる □インパルス応答を求めることができる □ステップ応答を求めることができる □逆ラプラス変換を求めることができる□システムの線形/非線形を判断できない □システムの時変/時不変を判断できない □インパルス応答を求めることができない □ステップ応答を求めることができない □逆ラプラス変換を求めることができない
4.システムの過渡応答特性を理解し,極の位置との関係について説明できる.また,システムの安定性の概念を理解し,ラウス・フルビッツの方法により系が安定であるための必要十分条件を導くことができる □漸近角、漸近線の実軸交点、軌跡の分離点、複素極からの進出角、虚軸との交点をもとに、一巡伝達関数の根軌跡を描くことができる □フィードバック制御系が安定となるコントローラの範囲をラウス・フルビッツの安定判別法により求めることができる。また、ラウス配列において計算を進めることができない際に、補助多項式を用いて求めることができる。 □伝達関数の根軌跡を描くことができる □フィードバック制御系が安定となるコントローラの範囲をラウス・フルビッツの安定判別法により求めることができる□伝達関数の根軌跡を描くことができない □フィードバック制御系が安定となるコントローラの範囲をラウス・フルビッツの安定判別法により求めることができない
5.フィードバック制御系の感度特性・定常特性について説明できる □制御対象とコントローラが与えられた際に感度関数を求めることができる □制御パラメータと感度の関係を考察することができる □伝達関数・入力が与えられた際に、定常位置偏差および定常値を求めることができる□制御対象とコントローラが与えられた際に感度関数を求めることができる □伝達関数・入力が与えられた際に、定常位置偏差および定常値を求めることができる□制御対象とコントローラが与えられた際に感度関数を求めることができない □伝達関数・入力が与えられた際に、定常位置偏差および定常値を求めることができない
6.システムの周波数応答を理解し,ベクトル軌跡・ボード線図を描くことができる(C1-3)□2次系のベクトル軌跡を描くことができる □2次系のボード線図を描くことができる □ボード線図からゲイン余裕、位相余裕を読み取ることができる □ベクトル軌跡とボード線図の違いを説明することができる□1次系のベクトル軌跡を描くことができる □1次系のボード線図を描くことができる □ボード線図からゲイン余裕、位相余裕を読み取ることができる□ベクトル軌跡を描くことができない □ボード線図を描くことができない □ボード線図からゲイン余裕、位相余裕を読み取ることができない
7.フィードバック系の内部安定性の概念を理解し,ナイキスト線図を描いて系の安定性を判別することができる.(C1-3)□伝達関数のゲイン、位相差を求め、それをもとにナイキスト線図を描くことができる □ナイキスト線図から制御系の安定判別ができる □安定余裕の概念を説明できる□ナイキスト線図を描くことができる □ナイキスト線図から制御系の安定判別ができる□ナイキスト線図を描くことができない □ナイキスト線図から制御系の安定判別ができない
8.PID補償器および位相進み-遅れ補償器を用いて,設計仕様を満たすフィードバック制御系を設計できる(C1-3)□MATLAB等を用いて、制御対象のインパルス応答、ステップ応答をグラフ化できる。また、制御対象の変化による影響を考察できる □MATLAB等を用いて、ボード線図、ナイキスト軌跡を描くことができる。また、ゲイン余裕・位相余裕を読み取ることができる。 □PID補償器、位相進み-遅れ補償器等、補償器を用いて、入力に対する応答を改善することができる。また、パラメータによる影響を考察することができる□MATLAB等を用いて、制御対象のインパルス応答、ステップ応答をグラフ化できる □MATLAB等を用いて、ボード線図、ナイキスト軌跡を描くことができる □PID補償器、位相進み-遅れ補償器等、補償器を用いて、入力に対する応答を改善することができる□MATLAB等を用いて、制御対象のインパルス応答、ステップ応答をグラフ化できない □MATLAB等を用いて、ボード線図、ナイキスト軌跡を描くことができない □PID補償器、位相進み-遅れ補償器等、補償器を用いて、入力に対する応答を改善することができない

学科の到達目標項目との関係

実践指針 (C1) 説明 閉じる
実践指針のレベル (C1-3) 説明 閉じる
【本校学習・教育目標(本科のみ)】 3 説明 閉じる
【プログラム学習・教育目標 】 C 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 制御とは「制し,御する」こと,すなわち動くモノを意図するように動かすことである.本講義では、「制御」に関する体系的な学問である制御理論の基礎において最も重要な概念である「フィードバック」の本質的利点について学習する.特に,種々の対象システムから,制御に関する特性を数学的モデルという形で抽出し,このモデルに基づいてシステムの挙動を解析し,制御系の設計理論を組み立てることを主眼に置く.中でも,1入力1出力システムの伝達関数表現に基づいて古典制御の枠組で扱われてきたフィードバック制御系の解析と設計に関する内容を中心に進める.
授業の進め方・方法:
授業は原則として講義を中心に行い、適宜課題演習、設計演習を行う。
講義は主に板書により進め、適宜例題や演習を交え、質問や議論をすることにより理解を深める。
注意点:
1.試験や課題レポート等は、JABEE 、大学評価・学位授与機構、文部科学省の教育実施検査に使用することがあります。
2.授業参観される教員は当該授業が行われる少なくとも1週間前に教科目担当教員へ連絡してください。
3.到達目標(6)(7)(8)(C1-3)が標準基準(6割)以上で、かつ科目全体で60点以上の場合に合格とする。評価項目については評価(ルーブリック)、評価基準については成績評価基準表(別紙)による。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 第1回(火):授業ガイダンス
第2回(水):ダイナミカルシステムの表現
フィードバック制御系とフィードフォワード制御系の例を挙げることができる
身近な例をブロック線図にすることができる。
2週 第3回(火):ラプラス変換
第4回(水):ラプラス変換 演習
ダイナミカルシステムの伝達関数表現を理解できる  
3週 第5回(火):制御系の表現
第6回(水):制御系の表現 演習
結合法則と等価変換を用いてブロック線図を簡単化することができる
4週 第7回(火):時間応答~インパルス応答、1次系の過渡応答~
第8回(火):時間応答~2次系の過渡応答~
ラプラス変換を応用して,時不変線形システムの時間応答を求めることができる
5週 第9回(水):システムの安定性 ~過渡応答、極・零点~
第10回(水):システムの安定性~ラウス・フルビッツの安定判別法~
システムの過渡応答特性を理解し,極の位置との関係について説明できる
システムの安定性の概念を理解し,ラウス・フルビッツの方法により系が安定であるための必要十分条件を導くことができる
6週 第11回(火):システムの安定性 演習
第12回(水):フィードバック制御系の特性 ~感度、感度関数~
フィードバック制御系の感度特性・定常特性について説明できる
7週 第13回(火):フィードバック制御系の特性 ~開ループ伝達関数、定常偏差~
第14回(水):制御系の特性 演習
フィードバック制御系の感度特性・定常特性について説明できる
8週 第15回:中間試験
2ndQ
9週 第16回(火):中間試験返却・解説
第17回(水):フィードバック制御系の安定性 ~根軌跡~
伝達関数の根軌跡を描くことができる
10週 第18回(火):周波数応答 ~周波数応答と伝達関数~
第19回(水):周波数応答 ~ベクトル軌跡~
システムの周波数応答を理解し,ベクトル軌跡を描くことができる
11週 第20回(火):周波数応答 ~ボード線図~
第21回(水):周波数応答 演習
システムの周波数応答を理解し,ボード線図を描くことができる
12週 第22回(火):フィードバック制御系の安定性 ~内部安定性~
第23回(水):フィードバック制御系の安定性 ~ナイキストの安定判別法~
フィードバック系の内部安定性の概念を理解し,ナイキスト線図を描いて系の安定性を判別することができる
13週 第24回(火):フィードバック制御系の安定性 
ゲイン余裕、位相余裕~
第25回(水):フィードバック制御系の安定性 演習
フィードバック系の内部安定性の概念を理解し,ナイキスト線図を描いて系の安定性を判別することができる
14週 第26回(火):制御系のロバスト性解析 ~不確かさとロバスト性、ロバスト安定性~
第27回(水):フィードバック制御系の設計法 ~設計手順と性能評価~
PID補償器および位相進み-遅れ補償器を用いて,設計仕様を満たすフィードバック制御系を設計できる
15週 第28回(火):フィードバック制御系の設計法 ~PID補償、位相進み-遅れ補償~
第29回(水):制御系設計 演習
PID補償器および位相進み-遅れ補償器を用いて,設計仕様を満たすフィードバック制御系を設計できる
16週 第30回(火):期末試験返却・解説
第31回(水):制御系設計 演習
PID補償器および位相進み-遅れ補償器を用いて,設計仕様を満たすフィードバック制御系を設計できる

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

中間試験期末試験総合演習レポートノート検査合計
総合評価割合3535151500100
基礎的能力0000000
専門的能力3535151500100
分野横断的能力0000000