情報学概論

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 情報学概論
科目番号 2021-524 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 制御情報工学科 対象学年 2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 徹底攻略 基本情報技術者教科書 令和3年度:インプレス
担当教員 横山 直幸

到達目標

1.コンピュータを構成するハードウェア、ソフトウェア、ネットワークの概要について理解し、他者に説明することができる
2.情報倫理の内容や意義について、他者へ説明することができる【学習・教育目標に対応】
3.コンピュータで扱うデータについて理解し、簡単な演算(基数変換、シフト演算など)や論理式の変換ができる
4.基本的なデータ構造(配列、リストなど)を理解し、アルゴリズムの概要について他者に説明することができる
5.システム開発やコンピュータシステム、マネジメントに関する専門用語を理解し、問いに答えることができる

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1:コンピュータを構成するハードウェア、ソフトウェア、ネットワークの概要について理解し、他者に説明することができる【ハードウェア】 □コンピュータを構成するハードウェアの名称を8割以上記憶しており、CPU・主記憶装置・補助記憶装置の間でやりとりされるデータの形式や方法を説明することができる 【ソフトウェア】 □役割により分類されたソフトウェアの名称や特徴、タスク管理、パスの概念に関して8割以上理解し、他者に説明することができる 【ネットワーク】 □通信プロトコルの種類や特徴に関して8割以上理解し、他者に説明することができる □ネットワーク機器や接続方法について理解し、それぞれの名称や特徴について説明することができる【ハードウェア】 □コンピュータを構成するハードウェアの名称を6割以上記憶しており、CPU・主記憶装置・補助記憶装置の間でやりとりされるデータの形式や方法に関する質問に答えることができる 【ソフトウェア】 □役割により分類されたソフトウェアの名称や特徴、タスク管理、パスの概念に関する質問に答えることができる 【ネットワーク】 □通信プロトコルの種類や特徴に関する質問に答えることができる □ネットワーク機器や接続方法について理解し、それぞれの名称を答えることができる【ハードウェア】 □コンピュータを構成するハードウェアの名称を記憶しておらず、CPU・主記憶装置・補助記憶装置の間でやりとりされるデータの形式や方法について質問に答えることができない 【ソフトウェア】 □役割により分類されたソフトウェアの名称や特徴、タスク管理、パスの概念に関する質問に答えることができない 【ネットワーク】 □通信プロトコルの種類や特徴に関する質問の5割以上に答えることができない □ネットワーク機器や接続方法について理解しておらず、それぞれの名称を答えることもできない
評価項目2:情報倫理の内容や意義について、他者へ説明することができる(学習・教育目標に対応)□ICTを介した社会的問題やそれが生じる原因(ハードウェア、ソフトウェア、人)、対策について他者へ説明することができ、情報倫理観に関する周知理解と徹底が最も効果的な対策であることを理解した上で、情報倫理教育に率先して取り組むことができる□情報倫理の意義や内容、情報セキュリティー保護を目的とした仕組みなどについて理解しており、自ら実行すると共に他者への説明ができる□情報を取り扱うものに必要な倫理観、情報セキュリティー保護の意義を理解しておらず、自己の情報機器や財産の保全ができないだけでなく、他者を情報犯罪の危険にさらしてしまう可能性がある
評価項目3:コンピュータで扱うデータについて理解し、簡単な演算(基数変換、シフト演算など)や論理式の変換ができる□基数変換や補数表現、小数点表記法、シフト演算の原理や方法を理解しており、情報の基礎理論に関する数値問題に対して80%以上の正答率で解答することができる□基数変換や補数表現、小数点表記法、シフト演算の方法を知っており、情報の基礎理論に関する数値問題に対して60%以上の正答率で解答することができる□基数変換や補数表現、小数点表記法、シフト演算に関する理解が不十分であり、情報の基礎理論に関する数値問題の半分程度に対して正しい解答ができない
評価項目4:基本的なデータ構造(配列、リストなど)を理解し、アルゴリズムの概要について他者に説明することができる□配列やリスト構造の概要について理解し、その特徴を問う選択式の問題に80%以上の正答率で答えることができる □簡単な探索・整列アルゴリズムを数種挙げ、それらの概要と優劣についてステップ数や実行時間を用いて説明することができる□配列やリスト構造の概要について理解し、その特徴を問う選択式の問題に60%以上の正答率で答えることができる □簡単な探索・整列アルゴリズムを挙げ、それらの概要について説明することができる□配列やリスト構造の概要について理解し、その特徴を問う選択式の問題の半分以上に答えることができない □簡単な探索・整列アルゴリズムを挙げることができない
評価項目5:システム開発やコンピュータシステム、マネジメントに関する専門用語を理解し、問いに答えることができる□情報学分野で用いられるシステム開発手法、プログラミング、システム信頼性、マネジメントに関する様々な専門用語の80%以上を記憶している□情報学分野で用いられるシステム開発手法、プログラミング、システム信頼性、マネジメントに関する様々な専門用語の60%を記憶しており、設問に回答することができる□情報学分野で用いられるシステム開発手法、プログラミング、システム信頼性、マネジメントに関する様々な専門用語のほとんどを記憶しておらず、これらを問う設問の半分以上に対して回答することができない

学科の到達目標項目との関係

【本校学習・教育目標(本科のみ)】 1 説明 閉じる

教育方法等

概要:
情報が諸資源と同等の価値として扱われる社会へと変容を遂げようとしている現代では、情報学に関する専門用語を十分理解した上で、これらを駆使していくことが最低限必要となる。制御情報工学科で学ぶ上ではさらに、コンピュータやネットワークを構成するハードウェアやデータ構造の詳細についても深く理解し、アルゴリズムを駆使することで、システム開発を行っていくことが求められる。本講義では、高学年で深く学ぶことになるコンピュータ技術やプログラミングに関して、最も基本的な知識を習得することを目的とする。
授業の進め方・方法:
本講義では、情報学分野で使用される専門用語の解説に重点を置き、社会人としてICTに関する専門的なコミュニケーションに不便を感じない基礎知識の修得を目指す。
同時に、情報社会に潜在する危険性や不確定要素について紹介することで、各人の問題意識を喚起する。
授業は教科書を基準に進行するものとし、スライドや動画を用いた補足説明と、小テストやレポートを実施する。
注意点:
評価については、評価割合に従って行います。ただし、適宜再試や追加課題を課し、加点することがあります。
中間試験を授業時間内に実施することがあります。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
  ドラッカーとトフラー
  基本情報技術者試験
ハードウェア-①
  ハードウェア、CPU
PCを構成するハードウェアの名称を覚え、各要素がどのようにデータのやり取りを行っているかを理解する
2週 ハードウェア-②
  入出力装置
  入出力インタフェース
ハードウェアに関する選択式の問題に回答することができる
3週 ハードウェア-③
  補助記憶装置
  主記憶とキャッシュメモリ
  CPUの高速化技術
ソフトウェアとOS、タスク管理に関して、その用語と特徴を理解する
4週 ハードウェア-④
  CPUの高速化技術
ソフトウェア-①
  ソフトウェアとOS
  タスク管理
ファイル管理の概要を理解し、ソフトウェアに関する選択式の問題に回答することができる
5週 ソフトウェア-②
  タスク管理
  記憶管理
基数変換と負数の概念について理解し、簡単な計算ができる
6週 ソフトウェア-③
  ファイル管理
コンピュータで扱うデータ- ①
  2進数(基数変換)
シフト演算、小数の表現、誤差はコンピュータ内でどのように扱われているのかを説明できる
7週 コンピュータで扱うデータ-②
  負数の表現
  シフト演算
ハードウェア、ソフトウェア、基数変換などの事項について、自己の習得状況を確認し、不足する知識について復習することができる
8週 コンピュータで扱うデータ-③
  小数の表現
  誤差
論理演算や論理回路について、簡単な問題を解くことができる
2ndQ
9週 前半のまとめと復習演習 配列の概要について理解し、プログラミング演習Ⅰで活用することができる
10週 コンピュータで扱うデータ-④
  論理演算と論理回路
  半加算器と全加算器
同じ問題を解く場合でも、様々なアルゴリズムが考えられることを理解し、それらの優劣を評価する方法として実行時間の概念を導入できる
11週 コンピュータで扱うデータ-⑤
  文字データの表現
  音声や動画などディジタルデータの表現
システム開発手法の種類を理解し、長所・短所について述べる事ができる
12週 アルゴリズムとデータ構造-①
  アルゴリズム
  配列
  キューとスタック
  リスト構造
オブジェクト、カプセル化、クラスなど、効率的なシステム開発を行うための考え方を理解し、各種専門用語に関する説明ができる
13週 アルゴリズムとデータ構造-②
  木構造
  探索アルゴリズム
  整列アルゴリズム
ネットワークの構成や通信プロトコルに関する設問に答えることができる
14週 セキュリティ
  情報セキュリティ
  コンピュータウイルス
  暗号化と認証
  ネットワークセキュリティ
機密性、完全性、可用性を維持するための仕組みやマネジメントシステムに関する説明ができる
15週 総まとめ 基本情報技術者試験(午前)にて要求されるレベルの情報学に関する知識を再確認し、不足している事項について自己学習することができる
16週 確認試験

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史技術者倫理(知的財産、法令順守、持続可能性を含む)および技術史説明責任、製造物責任、リスクマネジメントなど、技術者の行動に関する基本的な責任事項を説明できる。2前15
現代社会の具体的な諸問題を題材に、自ら専門とする工学分野に関連させ、技術者倫理観に基づいて、取るべきふさわしい行動を説明できる。3前15
技術者倫理が必要とされる社会的背景や重要性を認識している。3前15
社会における技術者の役割と責任を説明できる。3前15
情報技術の進展が社会に及ぼす影響、個人情報保護法、著作権などの法律について説明できる。3前15
高度情報通信ネットワーク社会の中核にある情報通信技術と倫理との関わりを説明できる。3前15
知的財産の社会的意義や重要性の観点から、知的財産に関する基本的な事項を説明できる。3前15
技術者の社会的責任、社会規範や法令を守ること、企業内の法令順守(コンプライアンス)の重要性について説明できる。3前15
科学技術が社会に与えてきた影響をもとに、技術者の役割や責任を説明できる。3前15
科学者や技術者が、様々な困難を克服しながら技術の発展に寄与した姿を通し、技術者の使命・重要性について説明できる。3前15
情報リテラシー情報リテラシー情報を適切に収集・処理・発信するための基礎的な知識を活用できる。3前15
論理演算と進数変換の仕組みを用いて基本的な演算ができる。3前8,前15
コンピュータのハードウェアに関する基礎的な知識を活用できる。3前1,前2,前7,前15
情報伝達システムやインターネットの基本的な仕組みを把握している。3前1,前2,前7,前15
同一の問題に対し、それを解決できる複数のアルゴリズムが存在しうることを知っている。3前9,前10,前15
情報セキュリティの必要性および守るべき情報を認識している。3前14,前15
個人情報とプライバシー保護の考え方についての基本的な配慮ができる。3前15
インターネット(SNSを含む)やコンピュータの利用における様々な脅威を認識している3前15
インターネット(SNSを含む)やコンピュータの利用における様々な脅威に対して実践すべき対策を説明できる。3前15
グローバリゼーション・異文化多文化理解グローバリゼーション・異文化多文化理解それぞれの国や地域の経済的・社会的な発展に対して科学技術が果たすべき役割や技術者の責任ある行動について説明できる。3前15
専門的能力分野別の専門工学機械系分野計測制御国際単位系の構成を理解し、SI単位およびSI接頭語を説明できる。3前5,前6,前7
情報系分野プログラミング主要な言語処理プロセッサの種類と特徴を説明できる。3前1,前2,前7
ソフトウェア開発に利用する標準的なツールの種類と機能を説明できる。3前3,前4,前7
ソフトウェアアルゴリズムの概念を説明できる。3前9,前10
同一の問題に対し、それを解決できる複数のアルゴリズムが存在しうることを説明できる。3前9,前10
整列、探索など、基本的なアルゴリズムについて説明できる。3前9,前10
時間計算量によってアルゴリズムを比較・評価できることを説明できる。3前9,前10
コンピュータ内部でデータを表現する方法(データ構造)にはバリエーションがあることを説明できる。3前9,前10
リスト構造、スタック、キュー、木構造などの基本的なデータ構造の概念と操作を説明できる。2前9,前10,前15
計算機工学基数が異なる数の間で相互に変換できる。4前5,前7
整数を2進数、10進数、16進数で表現できる。4前5,前7
小数を2進数、10進数、16進数で表現できる。4前5,前7
基本的な論理演算を行うことができる。4前5,前7,前15
コンピュータシステムデュアルシステムやマルチプロセッサシステムなど、コンピュータシステムの信頼性や機能を向上させるための代表的なシステム構成について説明できる。3前1,前2,前3,前4,前7,前15
システムプログラムコンピュータシステムにおけるオペレーティングシステムの位置づけを説明できる。3前3,前4,前7,前15
情報通信ネットワークプロトコルの概念を説明できる。3前3,前4,前7,前15
プロトコルの階層化の概念や利点を説明できる。3前3,前4,前7,前13,前15
ローカルエリアネットワークの概念を説明できる。3前13,前15
インターネットの概念を説明できる。3前13,前15
TCP/IPの4階層について、各層の役割を説明でき、各層に関係する具体的かつ標準的な規約や技術を説明できる。3前13,前15
ネットワークを構成するコンポーネントの基本的な設定内容について説明できる。3前13,前15
無線通信の仕組みと規格について説明できる。3前13,前15
有線通信の仕組みと規格について説明できる。3前13,前15
基本的なルーティング技術について説明できる。3前13,前15
基本的なフィルタリング技術について説明できる。3前13,前14,前15
情報数学・情報理論コンピュータ上での数値の表現方法が誤差に関係することを説明できる。3前6,前7
コンピュータ上で数値計算を行う際に発生する誤差の影響を説明できる。3前6,前7
その他の学習内容コンピュータウィルスやフィッシングなど、コンピュータを扱っている際に遭遇しうる代表的な脅威について説明できる。4前14,前15
コンピュータを扱っている際に遭遇しうる脅威に対する対策例について説明できる。4前14,前15
基本的な暗号化技術について説明できる。3前13,前14,前15
基本的なアクセス制御技術について説明できる。3前13,前14,前15
マルウェアやフィッシングなど、コンピュータを扱っている際に遭遇しうる代表的な脅威について説明できる。4前13,前14,前15
メディア情報の主要な表現形式や処理技法について説明できる。3前15
ディジタル信号とアナログ信号の特性について説明できる。4前15
情報を離散化する際に必要な技術ならびに生じる現象について説明できる。3前15
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。3前1,前2,前3,前4,前7
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。3前1,前2,前3,前4,前7
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。3前1,前2,前3,前4,前7
情報発信にあたっては、発信する内容及びその影響範囲について自己責任が発生することを知っている。3前1,前2,前3,前4,前7
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。3前1,前2,前3,前4,前7

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオレポート、小テスト合計
総合評価割合40000060100
評価項目1:コンピュータを構成するハードウェア、ソフトウェア、ネットワークの概要について理解し、他者に説明することができる1000001020
評価項目2:情報倫理の内容や意義について、他者へ説明することができる(学習・教育目標に対応)500001015
評価項目3:コンピュータで扱うデータについて理解し、簡単な演算(基数変換、シフト演算など)や論理式の変換ができる1000002030
評価項目4:基本的なデータ構造(配列、リストなど)を理解し、アルゴリズムの概要について他者に説明することができる500001015
評価項目5:システム開発やコンピュータシステム、マネジメントに関する専門用語を理解し、問いに答えることができる1000001020