分析化学Ⅱ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 分析化学Ⅱ
科目番号 2018-612 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 3
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 佐竹正忠,御堂義之,永廣徹著,分析化学の基礎,共立出版.
担当教員 藁科 知之

到達目標

(1)塩の加水分解反応の現象を理解し,溶液のpHを計算できる.
(2)溶液において活量,活量係数,イオン強度の概念を理解し,それぞれの数値計算ができる,
(3)難溶性塩の水溶液中での溶解平衡および沈殿生成の現象を理解し,溶解度や溶解度積を使って計算することができる.
(4)溶媒抽出の原理を学び,分配係数や分配比の数値を使って抽出される物質量を計算で求めることができる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標1より複雑な塩の加水分解反応の現象を理解し,溶液のpHを計算できる.基本的な塩の加水分解反応の現象を理解し,溶液のpHを計算できる.基本的な塩の加水分解反応の現象を理解できず,溶液のpHも計算できない.
到達目標2溶液において活量,活量係数,イオン強度の概念を理解し,それぞれのより複雑な数値計算ができる.溶液において活量,活量係数,イオン強度の概念を理解し,それぞれの基本的な数値計算ができる.溶液において活量,活量係数,イオン強度の概念を理解できず,それぞれの基本的な数値計算もできない.
到達目標3難溶性塩の水溶液中での溶解平衡および沈殿生成の現象を理解し,溶解度や溶解度積を使ってより複雑な計算をすることができる.難溶性塩の水溶液中での溶解平衡および沈殿生成の現象を理解し,溶解度や溶解度積を使って基本的な計算をすることができる.難溶性塩の水溶液中での溶解平衡および沈殿生成の現象を理解できず,溶解度や溶解度積を使って基本的な計算をすることもできない.
到達目標4より複雑な溶媒抽出において,その原理を学び,分配係数や分配比の数値を使って抽出される物質量を計算で求めることができる.基本的な溶媒抽出の原理を学び,分配係数や分配比の数値を使って抽出される物質量を計算で求めることができる.基本的な溶媒抽出の原理を理解できず,分配係数や分配比の数値を使って抽出される物質量も計算で求めることができない.

学科の到達目標項目との関係

【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
分析化学は,物質の化学組成を定性的あるいは定量的に解析することを目的として現在まで発展してきた.ここでは,主に水溶液中で起こる現象を考え,そこでの化学反応について丁寧に解析する.塩の加水分解,活量,活量係数,イオン強度,溶解平衡,溶媒抽出について学ぶ.
授業の進め方・方法:
授業は講義を中心に進めるが,学習内容を定着させるために適宜内容に応じた演習も授業内で行う.既習の授業内容に関する小テストも適宜行う.
注意点:
1.試験や課題レポート等は,JABEE ,大学評価・学位授与機構,文部科学省の教育実施検査に使用することがあります.
2.授業参観される教員は当該授業が行われる少なくとも1週間前に教科目担当教員へ連絡してください.

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス・酸と塩基の平衡(1):塩の加水分解① シラバス内容を理解することができる.
塩の加水分解反応を理解し説明できる.
塩の加水分解反応における加水分解度や溶液pHや化学種濃度を計算できる.
2週 酸と塩基の平衡(2):塩の加水分解②,pH緩衝溶液 塩の加水分解反応時の溶液中に含まれる化学種濃度やpHを計算できる.
pH緩衝溶液について理解できる.
任意のpH緩衝溶液系を設計できる(弱酸-弱酸の塩もしくは弱塩基-弱塩基の塩を組み合わせることによって,それぞれの濃度,溶液量,pHの関係性を理解できる).
3週 均一系イオン平衡(1):活量,活量係数,イオン強度① 電解質の濃厚溶液と希薄溶液の差異を理解できる.
活量の概念を理解できる.
活量と活量係数,化学種濃度との関係を理解し関係式を立式できる.
4週 均一系イオン平衡(2):活量,活量係数,イオン強度② イオン強度の定義を理解し計算できる.
デバイ-ヒュッケル式を理解し,活量係数とイオン強度との関係性を理解することができる.
熱力学的平衡定数の定義を理解し,活量,活量係数,化学種濃度,濃度平衡定数で表記できる.
5週 溶解平衡と沈殿生成(1):溶解度,溶解度積 難溶性塩の水溶液中での溶解平衡および沈殿生成の現象を理解することができる.
モル溶解度の定義を理解し計算できる.
溶解度積の定義を理解し計算できる.
溶液の過飽和,飽和,不飽和について理解し,溶解度積との関係性を説明できる.
6週 溶解平衡と沈殿生成(2):分別沈殿,溶解平衡に及ぼす様々な因子① 分別沈殿の概念を理解し,沈殿し始める化学種濃度を計算できる.
難溶性塩の溶解平衡に及ぼす諸因子を理解できる.
7週 演習 1~6週までの内容について演習を通して理解を深めることができる.
8週 溶解平衡と沈殿生成(3):溶解平衡に及ぼす様々な因子② 溶解平衡に及ぼす因子(共通イオン効果や異種イオン効果)を理解し説明できると同時に,電解質水溶液に対する難溶性塩の溶解度を計算できる.
4thQ
9週 溶解平衡と沈殿生成(4):溶解平衡に及ぼす様々な因子③ 熱力学的溶解度積と溶解度積の関係が理解できる.
10週 溶解平衡と沈殿生成(5):沈殿生成の例(水酸化物) 金属水酸化物に関する沈殿生成反応を理解し,沈殿し始めるpHを計算できる.
11週 溶媒抽出(1):分配平衡,分配係数 溶媒抽出の原理を理解できる.
分配平衡の状態を理解できる.
分配係数の定義を理解し計算できる.
12週 溶媒抽出(2):分配比,抽出率 分配比および抽出率の定義を理解し計算できる.
溶質が弱酸や弱塩基の場合の,分配係数,分配比,抽出率などを計算できる.
13週 溶媒抽出(3):多段階抽出 多段階抽出の原理を理解し,分配係数,分配比,抽出率などを計算できる.
14週 溶媒抽出(4):金属錯体の抽出 金属イオンと配位子との錯形成反応を理解し,金属錯体の抽出過程を理解することができる.
15週 演習 9~14週までの内容について理解を深めることができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3
分数式の加減乗除の計算ができる。3
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。3
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。3
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。3
簡単な連立方程式を解くことができる。3
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。3
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
自然科学化学(一般)化学(一般)水の状態変化が説明できる。3
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。3
価電子の働きについて説明できる。3
共有結合について説明できる。3
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。3
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。3
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。3
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。3
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。3
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。3
酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。3
酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。3
電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。3
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。3
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学配位結合の形成について説明できる。3
水素結合について説明できる。4
分析化学電離平衡と活量について理解し、物質量に関する計算ができる。4
溶解度・溶解度積について理解し必要な計算ができる。4
沈殿による物質の分離方法について理解し、化学量論から沈殿量の計算ができる。4
強酸、強塩基および弱酸、弱塩基についての各種平衡について説明できる。4
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。4
緩衝溶液とpHの関係について説明できる。4
錯体の生成について説明できる。4
陽イオンや陰イオンの関係した化学反応について理解し、溶液中の物質の濃度計算(定量計算)ができる。4
溶媒抽出を利用した分析法について説明できる。4
物理化学均一および不均一反応の平衡を説明できる。3

評価割合

中間試験期末試験演習ノート小テスト合計
総合評価割合40401010100
基礎的能力40401010100
専門的能力00000
分野横断的能力00000