有機化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 平成30年度 (2018年度)
授業科目 有機化学Ⅰ
科目番号 2018-644 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 2
開設期 通年 週時間数 2
教科書/教材 化学(東京書籍)、 ブルース有機化学概説(化学同人)、分子模型
担当教員 青山 陽子

到達目標

以下に示す9項目について修得する。
(1) アルカン、アルケン、アルキンの性質と反応 (2) アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトンの性質と反応、(3) ベンゼンの性質と反応、(4) フェノール類とアルコールの性質と反応 (5) アニリンの性質と反応、(6) sp3, sp2, sp混成軌道、(7) Newman 投影式、(8) シクロヘキサンの立体配座、(9) 立体異性の表記法

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1□アルカン、アルケン、アルキンの一般式が書け、それぞれの性質、代表的な反応を整理して説明できる。□アルカン、アルケン、アルキンの一般式が書け、それぞれの性質、代表的な反応が理解できる。□アルカン、アルケン、アルキンの一般式が書けない。
評価項目2□アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステルの一般式が書け、それぞれの性質、代表的な反応を説明できる。□アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステルの一般式が書け、それぞれの性質、代表的な反応が理解できる。□アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エステルの一般式が書けない。
評価項目3□ベンゼンの誘導体についてオルト、パラ、メタの構造異性体が書ける。代表的置換反応を書ける。□ベンゼンの誘導体についてオルト、パラ、メタの構造異性体が書ける。□ベンゼンの誘導体についてオルト、パラ、メタの構造異性体が書けない。
評価項目4□フェノール類とアルコールの性質の差が分かる。芳香族カルボン酸の代表的な反応を説明できる。□フェノール類とアルコールの性質の差が分かる。芳香族カルボン酸の代表的な反応が分かる。□フェノール類とアルコールの性質の差が分からない。
評価項目5□アニリンの構造、性質を理解し、その代表的反応を説明できる。□アニリンの構造が書け、その代表的反応を理解できる。□アニリンの構造が分からない。
評価項目6□sp3,sp2,sp混成軌道について理解し、その形が描ける。またシグマ結合、π結合の形成について説明できる。□sp3,sp2,sp混成軌道について理解し、シグマ結合、パイ結合が何を示しているか理解できる。□sp3,sp2,sp混成軌道について理解できない。
評価項目7□Newman投影式でアンチ、ゴーシュ、エクリプスの立体配座と安定性を説明できる。。□エタンのC-C結合のまわりの立体配座をNewman投影式で描ける。□Newman投影式が理解できない。
評価項目8□置換基を持つシクロヘキサンの安定性について理解できる。□シクロヘキサンの椅子形と舟形の立体配座の違いを理解でき、どちらが安定か説明できる。□シクロヘキサンの椅子形と舟形が描けない。
評価項目9□R,S表記によるエナンチオマーの命名ができる。□1つの不斉中心を持つ化合物は2つのエナンチオマーが立体的に書ける。□1つの不斉中心を持つ化合物が2つの立体異性体を持つことが理解できない。

学科の到達目標項目との関係

【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
有機化合物は生体を構成している重要な物質であり、身の回りの様々な製品も有機化合物で出来ている。第2学年では、まず高校の教科書で有機化合物の概説を学び、後半は大学の教科書を用いて原子の構造や原子軌道、酸と塩基の定義、有機化合物の構造や空間的配置を学ぶ。
授業の進め方・方法:
前半は、高校の教科書を用い、有機化合物の基礎を学ぶ。後半、ブルースの有機化学概説を用い、大学の有機化学の導入部を学習する。問題集の問題や章末問題は、各自で解くようにすること。小テストは理解度を確かめるために、授業の初めに適宜行なう予定である。
注意点:

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 シラバスの説明と有機化合物の特徴, 有機化合物の分類 有機化合物の多様性と特徴を理解できる。
炭化水素の分類を知る。
2週 有機化合物の分類, 異性体  官能基による分類、有機化合物の表し方を覚える。構造異性体、立体異性体の違いを理解する。
3週 アルカンとシクロアルカン アルカン、シクロアルカンの性質、反応を説明できる。
4週 アルケンとアルキン アルケン、アルキンの性質と製法が説明でき、付加反応、酸化反応を理解できる。
5週 酸素を含む有機化化合物-アルコールとエーテル、アルデヒド、ケトン アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトンの一般式が書ける。また、それらの性質、代表的な性質について説明できる。
6週 酸素を含む有機化化合物-カルボン酸とエステル カルボン酸とエステルの一般式が書ける。またそれらの性質、代表的な反応が説明できる。
7週 芳香族化合物 芳香族の安定性について理解でき、オルト、パラ、メタ位の構造異性体、代表的な置換反応を説明できる。
8週 酸素を含む芳香族化合物 フェノール類と芳香族カルボン酸の構造を知る。フェノールとアルコールの相違点、類似点が説明できる。芳香族カルボン酸の代表的な反応を説明できる。
2ndQ
9週 窒素を含む芳香族化合物と芳香族化合物の分離 アニリンの構造が書け、代表的な性質、反応を説明できる。芳香族化合物の混合物の分離について、理解できる。
10週 高校化学のおさらいと演習により知識の確認が出来る。
11週 電子構造と結合 原子の構造、原子軌道、オクテット則、ルイス構造式について理解できる。
12週 形式電荷について理解し、分子やイオン中の各原子の形式電荷を決めることが出来る。
13週 分子構造を書く表記法の種類を知り、結合を線で表す式を描ける。
14週 sp3,sp2,sp混成軌道について理解し、σ結合、π結合が何を示しているか知る。
15週 分子の形、メチルカチオン、メチルラジカル、メチルアニオンの形状が推測できる。
16週
後期
3rdQ
1週 酸と塩基 酸と塩基の定義、共役酸、共役塩基が何かを知る。
2週 pKa, pHについて理解できる。
3週 酸、塩基の強さと構造から判断できる。
4週 命名法、物理的性質、構造の表示法 アルカン、シクロアルカン、アルコールのIUPAC命名が出来る。
5週 ハロゲン化アルキル、アルコール、およびアミンの構造の分類が理解でき、物理的性質が説明できる。
6週 エタンのC-C結合のまわりの立体配座をNewman投影式で描ける。
7週 シクロヘキサンの椅子形と舟形の立体配座の違いを理解でき、どちらが安定か説明できる。
8週 シクロヘキサンのアキシアル結合とエクアトリアル結合が図示でき、二置換体のシスとトランス異性体が理解できる。
4thQ
9週 まとめと演習により知識の確認が出来る。
10週 原子の空間的配置 アルケンのシス・トランス異性体、EZ表記による命名ができる。
11週 アルケンの安定性、反応性、反応座標図が理解できる。
12週 RS表記によるエナンチオマーの命名ができる。
13週 光学活性化合物が偏光面を回転させ、特有の比旋光度を持つことが理解できる。
14週 化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示出来る。
15週 まとめと演習により知識の確認が出来る。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)洗剤や食品添加物等の化学物質の有効性、環境へのリスクについて説明できる。3
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。2
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。2
σ結合とπ結合について説明できる。2
混成軌道を用い物質の形を説明できる。2
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。2
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。2
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。2
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。1
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。2
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。2
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。2
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。1
高分子化合物がどのようなものか説明できる。1

評価割合

試験小テスト、課題等相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力80200000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000