分離工学Ⅰ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 分離工学Ⅰ
科目番号 2019-527 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 化学工学会編 「基礎化学工学」 培風館(1999)
担当教員 竹口 昌之

到達目標

 以下に示す4項目について修得する.(1) 拡散理論の基礎を理解し,拡散方程式を解くことができる(C1-3). (2) ガス吸収を理解し,吸収装置を設計できる(C1-3). (3) 吸着機構を理解し,吸着装置を設計できる(C1-3). (4) 蒸留操作を理解し,蒸留塔を設計できる(C1-3).

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1. 拡散理論の基礎を理解し,拡散方程式を解くことができる(C1-3)□拡散理論の基礎を理解し,拡散方程式を解くことができ,得られた結果を考察できる.□拡散理論の基礎を理解し,拡散方程式を解くことができる.□拡散理論の基礎を理解し,拡散方程式を解くことができない.
2. ガス吸収を理解し,吸収装置を設計できる(C1-3)□ガス吸収を理解し,吸収装置を設計でき,得られた結果を考察できる.□ガス吸収を理解し,吸収装置を設計できる.□ガス吸収を理解し,吸収装置を設計できない.
4. 吸着機構を理解し,吸着装置を設計できる(C1-3)□吸着機構を理解し,吸着装置を設計でき,得られた結果を考察できる.□吸着機構を理解し,吸着装置を設計できる.□吸着機構を理解し,吸着装置を設計できない.
4. 蒸留操作を理解し,蒸留塔を設計できる(C1-3)□蒸留操作を理解し,蒸留塔を設計でき,得られた結果を考察できる.□蒸留操作を理解し,蒸留塔を設計できる.□蒸留操作を理解し,蒸留塔を設計できない.

学科の到達目標項目との関係

実践指針 (C1) 説明 閉じる
実践指針のレベル (C1-3) 説明 閉じる
【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる
【プログラム学習・教育目標 】 C 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 化学工学は,実験室で得た発見・発明を工業化するために,輸送・熱交換・反応装置の設計を的確に行えるように,単位操作の設計法を習得する学問である.化学工学の単位操作は流動・伝熱をはじめ,拡散分離・機械的,化学的分離があり,化学工学I,II,IIIでその幾つかはすでに学んでいる.分離操作は化学プロセスに必須の単位操作であり,種々の分離操作やその原理を学修することは重要である.分離工学Iでは分離操作の基礎となる移動現象論を,ガス吸収や吸着操作を通して学び,また重要な分離操作である蒸留を学修する.
授業の進め方・方法:
授業は講義を中心に適宜学習内容について議論を行なう.講義中は集中して聴講すると共に,積極的に議論に参加すること.適宜,レポート・演習課題を課すので,翌週の授業開始時までに週番が回収し,番号順に並び替えて提出すること.
注意点:
1.評価については、評価割合に従って行います。ただし、適宜再試や追加課題を課し、加点することがあります。
2.中間試験を授業時間内に実施することがあります。
3.この科目は学修単位科目であり、1単位あたり15時間の対面授業を実施します。併せて1単位あたり30時間の事前学習・事後学習が必要となります。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業概要・目標,スケジュール,評価方法と基準等の説明,物質分離の原理と方法 ・物質分離の原理と方法について説明ができる.
2週 ガス吸収操作と装置(1):ガス吸収(Fickの拡散の法則)と放散,ガス溶解度(Henryの法則),吸収速度(二重境膜説,物質移動係数) ・Fickの拡散の法則について説明ができる
・ガスの溶解度について説明ができる.
・境膜物質移動係数について説明ができる.
・総括物質移動係数について説明ができ,境膜物質移動係数を用いて導出できる.
3週 ガス吸収操作と装置(2):吸収操作の解析(吸収塔の物質収支) ・吸収塔の物質収支について説明ができる.
4週 ガス吸収操作と装置(3):吸収速度(移動単位数の計算) ・ガス吸収装置について説明ができる.
・総括移動単位数,総括移動単位当たりの高さについて説明ができる.
5週 ガス吸収操作と装置(4):吸収塔の所要高さ ・充填塔の所要高さの計算ができる.
・段塔の所要理論段数の計算ができる.
6週 吸着操作と装置(1):吸着平衡、イオン交換,回分吸着 ・代表的な吸着等温式について説明ができる.
・イオン交換について説明できる.
7週 吸着操作と装置(2):固定層吸着(破過時間と吸着帯) ・回分層吸着について説明できる.
8週 吸着操作と装置(3):固定層吸着塔の設計 ・固定層吸着装置を設計できる.
2ndQ
9週 蒸留操作と装置(1):蒸留の概要 ・蒸留操作について説明できる.
10週 蒸留操作と装置(2):気液平衡(1) ・理想溶液とRaoultの法則について説明できる.
・2成分系の液相-気相状態図を作成し,蒸留操作を説明できる.
11週 蒸留操作と装置(3):気液平衡(2) ・x-y図を作成し,蒸留操作を説明できる.
・分離係数を求めることができる.
12週 蒸留操作と装置(4):単蒸留 ・単蒸留操作について説明ができ,単蒸留装置を設計できる.
13週 蒸留操作と装置(5):フラッシュ蒸留(連続単蒸留) ・連続単蒸留操作について説明ができ,フラッシュ蒸留装置を設計できる.
14週 蒸留操作と装置(6):連続蒸留における物質収支と操作線 ・連続蒸留装置における物質収支式から操作線を導出できる.
15週 蒸留操作と装置(7):連続蒸留の設計 ・連続蒸留装置を設計できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
分数式の加減乗除の計算ができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
簡単な連立方程式を解くことができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
1次不等式や2次不等式を解くことができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8
対数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前12,前13,前14,前15
自然科学化学(一般)化学(一般)混合物の分離法について理解でき、分離操作を行う場合、適切な分離法を選択できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野化学工学SI単位への単位換算ができる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
物質の流れと物質収支についての計算ができる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
蒸留の原理について理解できる。4前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
単蒸留、精留・蒸留装置について理解できる。4前9,前12,前13,前14,前15
蒸留についての計算ができる(ラウールの法則、マッケーブシール法等)。4前10,前11,前14,前15

評価割合

定期試験課題レポート合計
総合評価割合7030100
分離工学Ⅰの到達目標7030100