有機化学Ⅲ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 有機化学Ⅲ
科目番号 2019-562 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 Paula Y. Bruice 著 「ブルース有機化学概説第3版」 化学同人
担当教員 青山 陽子

到達目標

1. ハロゲン化アルキルのSN2反応、SN1反応、E1反応、E2反応の違いを理解し、反応機構が説明できる。
2. アルコール、エーテル、エポキシド、アミン、チオールを命名でき、一般的な性質、合成方法、および反応が説明できる。
3. 質量分析法、赤外分光法、NMRの原理が説明できる。
4. 有機化合物(芳香族、ハロゲン化アルキル,アルコール、エーテル)のいずれかの有機化学反応が説明できる。 (C1-2)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1□ハロゲン化アルキルのSN2反応、SN1反応、E1反応、E2反応の違いを理解し、反応機構が説明でき、さらに反応物、反応条件から生成物が推定できる。□ハロゲン化アルキルのSN2反応、SN1反応、E1反応、E2反応の違いを理解し、反応機構が説明できる。□ハロゲン化アルキルのSN2反応、SN1反応、E1反応、E2反応の違いを理解できず、反応機構が説明できない。
評価項目2□アルコール、エーテル、エポキシド、アミン、チオールの構造から命名でき、一般的な性質、合成方法、および反応機構が説明できる。□アルコール、エーテル、エポキシド、アミン、チオールの構造から命名でき、一般的な性質、合成方法、および反応を理解できる。□アルコール、エーテル、エポキシド、アミン、チオールの構造から命名でき、一般的な性質、合成方法、および反応を理解できない。
評価項目3□質量分析法、赤外分光法、NMRの原理が説明でき、分子式とスペクトルから有機化合物の構造が推定できる。□質量分析法、赤外分光法、NMRの原理が説明できる。□質量分析法、赤外分光法、NMRの原理が説明できない。

学科の到達目標項目との関係

実践指針 (C1) 説明 閉じる
実践指針のレベル (C1-2) 説明 閉じる
【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる
【プログラム学習・教育目標 】 C 説明 閉じる

教育方法等

概要:
有機化学は化学の根幹をなす分野の一つであり,生命はもとより材料においてもその知識が必要とされる。本講義では,有機化学の基礎的事項を理解することから始まり,有機化合物を官能基で分類し,それぞれの性質や合成法について学習を進める。 化学反応の反応機構を電子論の立場から理解し、各種反応から導かれる構造を推測できる力を養う。
この科目は企業で汎用プラスチックや機能性有機化合物の研究開発を担当していた教員が、その経験を活かし、教科書で学ぶ有機化合物や反応が実際工業的にどのように用いられているか紹介し、講義形式で授業を行うものである。
授業の進め方・方法:
授業の進め方は、講義のほか、理解度を確認するため小テスト、中間試験を授業の中で適宜行う。
注意点:
試験や課題レポート等は、JABEE 、大学評価・学位授与機構、文部科学省の教育実施検査に使用することがあります。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
ハロゲン化アルキルの置換反応と脱離反応: SN2反応機構
ハロゲン化アルキルの置換反応(SN2)の反応機構を理解できる。
2週 ハロゲン化アルキルの置換反応と脱離反応: SN1反応機構 ハロゲン化アルキルの置換反応(SN1)について理解できる。
3週 ハロゲン化アルキルの置換反応と脱離反応: E1脱離反応 ハロゲン化アルキルの脱離反応(E1)について理解できる。
4週 ハロゲン化アルキルの置換反応と脱離反応: E2脱離反応 ハロゲン化アルキルの脱離反応(E2)について理解できる。
5週 置換反応と脱離反応に及ぼす影響 ハロゲン化アルキルの構造、求核剤、溶媒、脱離基等の反応に与える影響
6週 置換反応と脱離反応の競争において、生成物を予想できる。
7週 まとめと中間試験
8週 アルコール・エーテル・エポキシド・アミンの反応: アルコール アルコール類の命名法、合成法、反応について説明できる。
2ndQ
9週 アルコール類の反応について説明できる。
10週 アルコール・エーテル・エポキシド・アミンの反応: エーテル エーテルの命名法、合成法、反応が説明できる。
11週 アルコール・エーテル・エポキシド・アミンの反応: エポキシド エポキシの合成方法、反応が説明できる。
12週 アルコール・アミン・エーテル・エポキシドの反応: アミン アミンの命名法、合成方法、反応が理解できる。
13週 有機化合物の構造決定ー質量分析法(MS) 質量分析法の原理を理解できる。
14週 有機化合物の構造決定ー赤外分光法(IR)
赤外分光スペクトル上で、代表的な官能基に基づく吸収帯がどこに現れるかわかる。
15週 有機化合物の構造決定ー核磁気共鳴(NMR)

NMRスペクトル上で、異なる種類のプロトンのおおよその化学シフト値がわかる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。4前13,前14
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。4前9,前10,前11,前12,前15
σ結合とπ結合について説明できる。4前14,前15
混成軌道を用い物質の形を説明できる。4前15
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。4前3,前14
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。4前4
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。4前3,前4
共鳴構造について説明できる。4前15
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。4前6
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。4前1
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。4前2
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。4前1
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。4前8,前9,前10,前11,前12
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。4前8,前9,前10,前11,前12
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。4前8,前9,前10,前11,前12
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。4前1,前2,前3,前4,前6
反応機構に基づき、生成物が予測できる。4前5,前6

評価割合

試験小テスト・課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力80200000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000