物理化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 平成31年度 (2019年度)
授業科目 物理化学Ⅰ
科目番号 2019-595 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 「アトキンス物理化学要論 第6版」千原・稲葉訳 東京化学同人
担当教員 稲津 晃司

到達目標

1.化学熱力学を用いて純物質の変化について定量的な取り扱いができる。
2.熱力学関数と化学変化との関与について理解する。
3.純物質の変化をギブズエネルギーという概念を含めて理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1.化学熱力学を用いて純物質の変化について定量的な取り扱いができる。□実在気体を含めた気体の状態量変化および純物質の変化を熱力学第一法則を用いる計算によって説明でき,化学熱力学的な説明を相変化についてできる。 □変化の自発性を熱力学第2法則に基づいて説明し,種々のエントロピー変化が計算できる。 □カルノーサイクルについて計算を用いた説明ができ,熱力学温度目盛の定義を示すことができる。□完全気体の状態量変化および純物質の変化を熱力学第一法則を用いる計算によって説明できる。 □変化の自発性を熱力学第2法則に基づいて説明し,エントロピー変化を計算できる。 □カルノーサイクルについて計算を用いた説明ができる。□完全気体の状態量変化および純物質の相変化を熱力学第一法則を用いる計算によって説明できない。 □変化の自発性を熱力学第2法則に基づいて説明し,エントロピー変化を計算できない。 □カルノーサイクルについて計算を用いた説明ができない。
2.熱力学関数と化学変化との関与について理解する。□化学変化におけるエンタルピー変化およびエントロピー変化を温度変化を含めた場合について計算できる。 □化学変化の自発性を熱力学関数に基づいて説明し,種々の反応に適用して計算できる。□化学変化におけるエンタルピー変化およびエントロピー変化を計算できる。 □化学変化の自発性を熱力学関数に基づいて説明し,計算できる。□化学変化におけるエンタルピー変化およびエントロピー変化を計算できない。 □化学変化の自発性を熱力学関数に基づいて説明し,計算できない。
3.純物質の変化をギブズエネルギーという概念を含めて理解する。□ギブズエネルギーの定義と性質を数式を用いて説明できる。 □純物質の複数の状態量が変化する場合のギブズエネルギー変化が計算できる。□ギブズエネルギーの定義と性質を説明できる。 □純物質の状態量変化におけるギブズエネルギー変化が計算できる。□ギブズエネルギーの定義と性質を説明できない。 □純物質の状態量変化におけるギブズエネルギー変化が計算できない。

学科の到達目標項目との関係

【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
化学と生物の理解において最も重要な基礎となる事柄を,物理化学という分野・科目として捉え,物質工学科の本科課程の学習内容,現代化学を理解する基礎を涵養する。本科目では,物質の成り立ちと変化を理解するための学習内容として,基礎化学熱力学および化学平衡を学習する。
授業の進め方・方法:
授業は講義中心で進め,必要に応じて授業内で口頭試問を行う.また,学習内容の重要度や区切りに応じて確認演習を行う.
授業内容は,化学と生物の必須基礎としての物理化学の基本を,おもに気体の性質,熱力学第一法則,熱力学第二法則について取り扱う.
注意点:
1. 評価については、評価割合に従って行います。ただし、適宜再試や追加課題を課し、加点することがあります。
2. 中間試験を授業時間内に実施することがあります。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス ・物理化学の位置付けと学習の意義を理解する.
・物理量の表記,単位の変換が適切に行える.
2週 気体の性質1 ・完全気体の定義と特徴を理解する.
3週 気体の性質2 ・実在気体を完全気体との差異について説明できる.
4週 第一法則1 ・化学熱力学の基本概念として,エネルギー,熱,仕事の説明ができる.
5週 第一法則2 ・内部エネルギーについて理解する.
・気体の膨張での仕事,熱の出入りを計算し,説明できる.
6週 第一法則3 ・エンタルピーの定義を説明でき,種々の変化におけるエンタルピー変化を計算できる.
・断熱過程における状態量の計算と関係式の導出ができる.
7週 第一法則4 ・化学熱力学における状態関数相互の関係を式で示すことができる.
8週 まとめの演習1 ・物理化学で扱う物理量の単位について定義と変換ができる.
・気体の性質を具体的に説明できる.
・第一法則を用いる計算ができる.
・エンタルピー変化を計算できる.
2ndQ
9週 第二法則1 ・自発的変化の方向をエントロピー変化と関係づけて説明できる.
10週 第二法則2 ・種々の変化におけるエントロピー変化を計算できる.
11週 第二法則3 ・状態関数としてのエントロピーについてカルノーサイクルを用いて説明できる.
12週 第二法則4 ・第一法則と第二法則の結合の一例として熱力学の基本式を示すことができる.
13週 ギブズエネルギー1 ・変化の方向を示す状態量としてのギブズエネルギーの定義を数式を用いて説明できる.
14週 ギブズエネルギー2 ・ギブズエネルギーの温度依存性,圧力依存性を数式を用いて説明し,計算できる.
15週 まとめの演習2 ・化学熱力学を用いて純物質の変化について定量的な取り扱いができる。
・熱力学関数と化学変化との関与について理解する。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3前2
分数式の加減乗除の計算ができる。3前2,前3,前8
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。3前3,前8
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。3前3,前8
簡単な連立方程式を解くことができる。3前3,前8
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。3前2
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3前2
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3前2
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3前6,前8
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3前6,前8
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。3前3
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。3前3
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。3前3
合成関数の導関数を求めることができる。3前7,前8,前12
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。3前3
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。3前5
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。3前5
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。3前5
簡単な場合について、曲線で囲まれた図形の面積を定積分で求めることができる。3前5,前8,前10
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。2前7,前8,前14
簡単な1階線形微分方程式を解くことができる。2前7,前8,前14
自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。2前1,前3,前8
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。2前3,前8
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。2前1,前3,前8
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。2前15
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。2前2
運動方程式を用いた計算ができる。2前2
運動の法則について説明できる。2前2
仕事と仕事率に関する計算ができる。2前1,前3,前4,前8,前14
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。2前1,前3,前4,前8
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。2前2
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。2前3,前4,前8
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。2前2
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。2前2
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。2前9,前10
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。2前9,前10
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。2前5,前8,前10,前12
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。2前5,前8,前10,前12
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。2前5,前8
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。2前3,前8,前12,前14
気体の内部エネルギーについて説明できる。2前5,前8,前12
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。2前6,前8,前10,前12
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。2前4,前8,前12
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。2前5,前8
熱機関の熱効率に関する計算ができる。2前11,前15
電気オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。2前4,前5,前8
ジュール熱や電力を求めることができる。2前4,前5,前8,前11
化学(一般)化学(一般)物質の三態とその状態変化を説明できる。3前3,前4,前8,前11,前15
ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。3前3,前4,前8
気体の状態方程式を説明でき、気体の状態方程式を使った計算ができる。3前2,前3,前4,前5,前8,前11
アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。3前2,前3,前4,前5,前8
気体の体積と物質量の関係を説明できる。3前2,前3,前4,前5,前8
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。3前6,前8
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。3前1,前2,前3,前4,前8
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。3前1,前2,前3,前4,前8
ライフサイエンス/アースサイエンスライフサイエンス/アースサイエンス大気圏の構造・成分を理解し、大気圧を説明できる。3前4,前8
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学気体の法則を理解して、理想気体の方程式を説明できる。4前2,前3,前4,前5,前8
気体の分子速度論から、圧力を定義して、理想気体の方程式を証明できる。4前3,前8
実在気体の特徴と状態方程式を説明できる。4前3,前8
臨界現象と臨界点近傍の特徴を説明できる。4前3,前8
混合気体の分圧の計算ができる。4前3,前4,前8
純物質の状態図(P-V、P-T)を理解して、蒸気圧曲線を説明できる。4前10,前13,前15
2成分の状態図(P-x、y、T-x、y)を理解して、気液平衡を説明できる。4前15
熱力学の第一法則の定義と適用方法を説明できる。4前4,前6,前8
エンタルピーの定義と適用方法を説明できる。4前6,前8
化合物の標準生成エンタルピーを計算できる。4前6,前7,前8
エンタルピーの温度依存性を計算できる。4前6,前8
内部エネルギー、熱容量の定義と適用方法を説明できる。4前6,前8,前11,前12
熱力学の第二・第三法則の定義と適用方法を説明できる。4前9,前11,前13,前15
純物質の絶対エントロピーを計算できる。4前12,前15
化学反応でのエントロピー変化を計算できる。4前10,前11,前13,前15
化合物の標準生成自由エネルギーを計算できる。4前14,前15
気体の等温、定圧、定容および断熱変化のdU、W、Qを計算できる。3前6,前11,前15

評価割合

試験確認演習相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合75200500100
基礎的能力75200500100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000