到達目標
高学年で開講される生物工学系の講義を理解する土台として、生命科学の基礎を身に着けることを到達目標とする。
・ 細胞の機能と構造について説明することができる。
・ DNAの構造と機能について説明できる。
・ 体細胞分裂のプロセスとその間のDNAの複製について説明できる。
・ 生物の多様性を生み出す減数分裂と生殖について説明できる。
・ 生殖ののちの個体の発生について説明できる。
・ 生体防御(免疫のシステム)と恒常性について説明できる。
・ 上述の項目にかかわる物質と細胞のかかわりについて概要を理解することができる。
ルーブリック
| 理想的な到達レベルの目安 | 標準的な到達レベルの目安 | 未到達レベルの目安 |
DNAの構造と機能 | DNAの構造と機能について説明でき、セントラルドグマについて言及できる。 | DNAの構造と機能について説明できる。 | DNAの構造と機能について説明できない。 |
体細胞分裂 | 体細胞分裂のプロセスとその間のDNAの複製について説明でき、 | 体細胞分裂のプロセスとその間のDNAの複製について説明できる。 | 体細胞分裂のプロセスとその間のDNAの複製について説明できない。 |
減数分裂と生殖 | 生物の多様性を生み出す減数分裂と生殖について説明でき、生物の多様性を生み出すことに言及できる。 | 生物の多様性を生み出す減数分裂と生殖について説明できる。 | 生物の多様性を生み出す減数分裂と生殖について説明できない。 |
発生 | 生殖ののちの個体の発生について説明でき、再生医療に関与する内容について述べることができる。 | 生殖ののちの個体の発生について説明できる。 | 生殖ののちの個体の発生について説明できない。 |
体内環境 | 生体防御と恒常性について、体液の機能から説明できる。 | 生体防御と恒常性について説明できる。 | 生体防御と恒常性について説明できない。 |
学科の到達目標項目との関係
【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2
説明
閉じる
教育方法等
概要:
21世紀は生命科学と情報科学の時代と言われている。急速に発展しつつある再生医療・個人遺伝子診断・ビッグデータを用いた生命現象の解明と医療への応用に対応することが未来の技術者にとり必須事項となる。本授業では、生命の仕組みについて細胞レベルで、遺伝子発現・発生・生体防御の大きく三つの観点から学習し、高学年における微生物学、分子生物学、遺伝子工学、培養工学、酵素工学を理解するための基礎を身につけることを目標とし、学習する。学生には、物事の理解をするために、多くの用語を覚える必要があるが、丸暗記ではなく生命現象を理解するセンスを身につけるよう、取り組む姿勢を養うことを求める。
授業の進め方・方法:
講義形式で授業を進める。高校生物の教科書を基礎としつつも高度な内容については適宜資料を配布して、生命科学を理解するために必要な教材を用いる。講義中は受け身にならず、絶えず疑問を持ちながら参加すること。講義中の質疑はいつでも受け付ける。2回の定期試験の平均点を90%、課題提出を10%とし、総合評価60点以上で合格とする。課題については別途指示をする。
注意点:
評価については、評価割合に従って行います。ただし、適宜再試や追加課題を課し、加点することがあります。
授業計画
|
|
週 |
授業内容 |
週ごとの到達目標 |
前期 |
1stQ |
1週 |
細胞生物学 |
原核生物と真核生物を通して生物の共通性と進化の関係について説明できる。葉緑体とミトコンドリアの進化説について説明できる。
|
2週 |
細胞生物学およびエネルギー代謝 |
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。特にエネルギー代謝にかかわる細胞小器官を理解することができる。
|
3週 |
遺伝情報
|
DNAの構成成分と構造を説明できる。DNA二重らせん構造を形成する、塩基の相補的結合を説明できる。
|
4週 |
遺伝情報 |
酵素等タンパク質はどこから来るのか、遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる解くことができる。セントラルドグマにおけるコドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。RNAの種類と働きを列記できる。
|
5週 |
細胞遺伝 |
体細胞分裂について、染色体の構造と遺伝所法の分配について説明できる。また、細胞周期について説明できる。
|
6週 |
細胞遺伝 |
体細胞分裂時におけるDNAの半保存的複製について説明できる。
|
7週 |
生物の多様性 |
様々な生殖に仕組みについて説明できる。
|
8週 |
生命の多様性 |
生命の多様性を生み出す減数分裂と遺伝子の組み合わせの変異の拡大を説明できる。
|
2ndQ |
9週 |
発生 |
iPS細胞の原理につながる動物の発生の仕組み及び卵割とは何かを説明できる。
|
10週 |
発生 |
ウニの発生プロセスを理解し、分化について説明できる。
|
11週 |
生体の恒常性:体内環境を一定に保つための仕組み |
体液・神経・ホルモンの役割について理解することができる。血液、神経、ホルモンの役割分担について理解できる。
|
12週 |
生体の恒常性:体内環境を一定に保つための物質 |
フィードバック制御による生体の恒常性の仕組みを理解し神経による調節について説明できるようになる。
|
13週 |
生体の恒常性:体内環境を一定に保つための物質 |
フィードバック制御による生体の恒常性の仕組みを理解し、内分泌系のフィードバック制御について例を示して説明できるようになる。
|
14週 |
生体の恒常性:生体防御 |
免疫系による生体防御の仕組みの概要を説明できる。細胞免疫の仕組みを説明できる。
|
15週 |
生体の恒常性:生体防御 |
体液性免疫の仕組みを説明できる。ワクチン・抗体について説明できる。
|
16週 |
|
|
モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標
分類 | 分野 | 学習内容 | 学習内容の到達目標 | 到達レベル | 授業週 |
基礎的能力 | 自然科学 | ライフサイエンス/アースサイエンス | ライフサイエンス/アースサイエンス | 生物に共通する性質について説明できる。 | 3 | 前1,前2,前3,前4 |
専門的能力 | 分野別の専門工学 | 化学・生物系分野 | 基礎生物 | 原核生物と真核生物の違いについて説明できる。 | 3 | 前1,前2 |
核、ミトコンドリア、葉緑体、細胞膜、細胞壁、液胞の構造と働きについて説明できる。 | 1 | 前2 |
葉緑体とミトコンドリアの進化の説について説明できる。 | 1 | 前1 |
代謝、異化、同化という語を理解しており、生命活動のエネルギーの通貨としてのATPの役割について説明できる。 | 1 | 前2 |
酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。 | 1 | 前4 |
光合成及び呼吸の大まかな過程を説明でき、2つの過程の関係を説明できる。 | 1 | 前2 |
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。 | 3 | 前3,前4 |
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。 | 3 | 前4 |
染色体の構造と遺伝情報の分配について説明できる。 | 3 | 前5,前6 |
細胞周期について説明できる。 | 3 | 前5 |
分化について説明できる。 | 3 | 前7,前10 |
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。 | 3 | 前4 |
細胞膜を通しての物質輸送による細胞の恒常性について説明できる。 | 1 | 前11,前13 |
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。 | 1 | 前12,前13 |
情報伝達物質とその受容体の働きを説明できる。 | 1 | 前12,前13,前14,前15 |
免疫系による生体防御のしくみを説明できる。 | 3 | 前14,前15 |
生物化学 | ヌクレオチドの構造を説明できる。 | 1 | 前3 |
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。 | 1 | 前3 |
DNAの半保存的複製を説明できる。 | 1 | 前6 |
RNAの種類と働きを列記できる。 | 1 | 前4 |
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。 | 2 | 前4 |
評価割合
| 中間試験 | 期末試験 | 課題 | 合計 |
総合評価割合 | 45 | 45 | 10 | 100 |
基礎知識の定着 | 45 | 45 | 0 | 90 |
知識の発展 | 0 | 0 | 10 | 10 |