化学基礎

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 化学基礎
科目番号 2020-625 科目区分 一般 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 1
開設期 前期 週時間数 4
教科書/教材 改訂 化学基礎(東京書籍),ニューアチーブ 化学基礎(東京書籍),ニューグローバル化学基礎+化学(東京書籍),フ ォトサイエンス化学図録(数研出版)
担当教員 小林 美学

到達目標

(1) 物質を化学結合の概念を用いて分類し,その性質を示すことができる 。
(2) 化学変化を「酸と塩基」の概念を用いて分類し,その役割を示すことができる。
(3) 化学変化を「酸化と還元」の概念を用いて分類し,その役割を示すことができる。
(4) 化学変化や化学的性質について定量的な扱いができる(物質量,反応の量的関係,中和滴定, pHの計算ができる)。
(5) 代表的なイオンや化学物質を名前や化学式で示す事ができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1具体的な物質について,原子間と分子間のそれぞれの結合を記述できる。また,その結合の種類からおよその性質を推測できる。5種類の化学結合の成り立ちや性質を理解できる5種類の化学結合の成り立ちや性質を理解できない
評価項目2水素イオンの移動による酸と塩基のはたらきから,化学反応を説明できる。化学反応における酸と塩基のはたらきを理解できる化学反応における酸と塩基のはたらきを理解できない
評価項目3酸化と還元のはたらきから,化学反応式を組み立てることができる化学反応における酸化と還元のはたらきを理解できる化学反応における酸化と還元のはたらきを理解できない。
評価項目4物質量,反応の量的関係,中和滴定, pHの計算などの応用的な計算ができる。 物質量,反応の量的関係,中和滴定, pHの計算などの基本的な計算ができる。物質量,反応の量的関係,中和滴定, pHの計算などの基本的な計算ができない。
評価項目5教科書で扱うイオンや化学物質を名前や化学式で示す事ができる。代表的なイオンや化学物質を名前や化学式で示す事ができる。代表的なイオンや化学物質を名前や化学式で示す事ができない。

学科の到達目標項目との関係

【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 中学校で学習した内容を基礎として,日常生活や社会との関連を図りながら物質とその変化への関心を高め,観察,実験などを通して,化学的に探究する能力と態度を育てるとともに,化学の基本的な概念や原理・法則,化学の果たす役割を理解させ,科学的な見方や考え方を養う。本講義を通して,化学の基本的な概念や原理・法則を工学分野に適用できることを学ぶ。
授業の進め方・方法:
 授業には遠隔形式で実施する。授業では講義と演習と確認問題を行う。試験は1回の定期試験として実施する。
注意点:
 評価については、評価割合に従って行います。ただし、適宜再試や追加課題を課し、加点することがあります。また遠隔授業により課題の提出が困難な場合があることに配慮して,試験が合格点に達している場合は合格にすることがあります。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 第1回:ガイダンス 物質の構成(純物質と混合物,物質の分離),
第2回:物質の成分と構成元素(元素,単体と化合物,元素の確認)
純物質と混合物の区別が説明できる。混合物の分離法について理解でき、分離操作を行う場合、適切な分離法を選択できる。
物質が原子からできていることを説明できる。単体と化合物がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。同素体がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。代表的な成分元素の検出方法について沈殿生成も含めて説明できる。
2週 第3回:物質の成分と構成元素(物質の三態と状態間の変化,粒子の熱運動),
第4回:原子の構造と元素の周期表(原子,同位体)
物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。物質の三態とその状態変化を説明できる。セルシウス温度と絶対温度の間で換算ができる。
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。同位体について説明できる。放射性同位体とその代表的な用途について説明できる。
3週 第5回:原子の構造と元素の周期表(原子の電子配置,元素の周期表)
第7回:化学結合(イオンの生成,イオンの種類)
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。価電子の働きについて説明できる。原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。
原子のイオン化について説明できる。
4週 第7回:化学結合(イオンの分類,イオン半径,イオン結合とイオン結晶),
第8回:化学結合(共有結合と分子の形成)
代表的なイオンを化学式で表すことができる。イオン式とイオンの名称を説明できる。イオン結合について説明できる。イオン結合性物質の性質を説明できる。イオン性結晶がどのようなものか説明できる。
共有結合について説明できる。構造式や電子式により分子を書き表すことができる。
5週 第9回:化学結合(配位結合,電気陰性度と分子の極性),
第10回:化学結合(水素結合,ファンデルワールス力,分子結晶)
配位結合の成り立ちについて理解できる。電気陰性度の概念を理解し,その値から結合の極性の大きさを説明できる。
分子間力と分子結晶の性質を説明できる。
6週 第11回:化学結合(共有結合の結晶,金属結晶,物質の分類)
第12回:物質量と化学反応式(原子の相対質量,原子量,分子量,式量)
共有結合の結晶の性質について説明できる。自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。金属の性質を説明できる。
原子の相対質量が説明できる。原子の相対質量が説明できる。天然に存在する原子が同位体の混合物であり、その相対質量の平均値として原子量を用いることを説明できる。分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。
7週 第13回:有効数字,物質量と化学反応式(アボガドロ数と物質量)
第14回:物質量と化学反応式(モル質量,モル体積)
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。物理量を有効数字を考慮して正しく表すことができる。アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。
物質の質量と物質量の関係を説明できる。気体の体積と物質量の関係を説明できる。
8週 第15回:物質量のいろいろな計算,物質量と化学反応式(溶液の濃度)
第16回:物質量と化学反応式(化学反応式),演習
粒子の個数,物質の質量,気体の体積を物質量を介して変換できる。質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。
2ndQ
9週 第17回:物質量と化学反応式(化学反応式の表す量的関係),
第18回:酸と塩基(酸と塩基の性質,酸と塩基の定義,広い意味の酸と塩基,酸と塩基の価数)
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。
酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。
10週 第19回:酸と塩基(酸・塩基の強弱,水素イオン濃度,水素イオン濃度とpH,pH指示薬とpHの測定,身近な物質のpH),
第20回:酸と塩基(中和反応と塩の生成,塩の種類,塩の性質)
電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。pH を説明でき、pH から水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。
中和反応がどのような反応であるか説明できる。塩を分類できる。塩の水溶液の性質を導くことができる。
11週 第21回:酸と塩基(中和反応の量的関係,中和滴定,滴定曲線),
第22回:酸化還元反応(酸化と還元,酸化数,酸化還元反応と酸化数)
中和滴定の計算ができる。中和滴定の操作や指示薬の選択について説明できる。
酸化還元反応について説明できる。原子に酸化数をわりあてることができる。酸化数の増減から反応を見分けることができる。
12週 第23回:酸化還元反応(酸化剤と還元剤,電子の授受と酸化還元反応),
第24回:酸化還元反応(酸化剤と還元剤のはたらきの強さ,酸化還元反応の量的関係)
酸化剤と還元剤の半反応式を記述できる。半反応式から酸化還元反応の化学反応式を組み立てることができる。
酸化剤と還元剤のはたらきの強さを説明できる。酸化還元滴定の計算ができる。
13週 第24回:酸化還元反応(金属のイオン化傾向,金属の反応性),
第25回:酸化還元反応(電池のしくみ,実用電池)
イオン化傾向について説明できる。金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。
ダニエル電池についてその反応を説明できる。鉛蓄電池についてその反応を説明できる。一次電池の種類を説明できる。二次電池の種類を説明できる。
14週 第27回:酸化還元反応(電気分解,電気分解の量的関係),
第28回:酸化還元反応(金属の製錬,電解精錬,溶融塩電解,水酸化ナトリウムの製造)
電気分解反応を説明できる。ファラデーの法則による計算ができる。
代表的な金属の製錬について説明できる。電気分解の利用として銅の精錬など,実社会における技術の利用例を説明できる。
15週 第29回:人間生活の中の化学,化学とその役割,対数を用いたpHの求め方
第30回:物質の状態(気体の圧力,気液平衡と蒸気圧,沸騰)
代表的な金属やプラスチックなど有機材料について、その性質、用途、また、その再利用など生活とのかかわりについて説明できる。洗剤や食品添加物等の化学物質の有効性、環境へのリスクについて説明できる。対数を用いてpHを求めることができる。
蒸気圧曲線から沸点など必要な情報を導き出すことができる。状態変化とエネルギーの関係を説明できる。水の状態変化が説明できる。
16週 第31回:物質の状態(状態図),気体の性質(ボイルの法則,シャルルの法則)
第32回:化学実験法(試薬の扱い,応急処置,試薬の調整法,気体の発生方法),演習
状態図から物質の状態を読み取ることができる。ボイルの法則,シャルルの法則を説明でき,必要な計算ができる。
実験の基礎知識を持っている。事故への対処の方法を理解し,対処できる。レポート作成の手順を理解し,レポート作成できる。ガラス器具の取り扱いができる。試薬の調整ができる。代表的な気体発生の実験ができる。代表的な無機化学反応により沈殿をつくり,ろ過できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)代表的な金属やプラスチックなど有機材料について、その性質、用途、また、その再利用など生活とのかかわりについて説明できる。3前15
洗剤や食品添加物等の化学物質の有効性、環境へのリスクについて説明できる。3前15
物質が原子からできていることを説明できる。3前1
単体と化合物がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。3前1
同素体がどのようなものか具体例を挙げて説明できる。3前1
純物質と混合物の区別が説明できる。3前1
混合物の分離法について理解でき、分離操作を行う場合、適切な分離法を選択できる。3前1
物質を構成する分子・原子が常に運動していることが説明できる。3前2
水の状態変化が説明できる。3
物質の三態とその状態変化を説明できる。3前2
ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。3
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。3前3
同位体について説明できる。3前3
放射性同位体とその代表的な用途について説明できる。3前3
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。3前3
価電子の働きについて説明できる。3前3
原子のイオン化について説明できる。3前4
代表的なイオンを化学式で表すことができる。3前4
原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。3前3
元素の性質を周期表(周期と族)と周期律から考えることができる。3前3
イオン式とイオンの名称を説明できる。3前4
イオン結合について説明できる。3前4
イオン結合性物質の性質を説明できる。3前4
イオン性結晶がどのようなものか説明できる。3前4
共有結合について説明できる。3
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。3
自由電子と金属結合がどのようなものか説明できる。3前6
金属の性質を説明できる。3前6
原子の相対質量が説明できる。3
天然に存在する原子が同位体の混合物であり、その相対質量の平均値として原子量を用いることを説明できる。3前6
アボガドロ定数を理解し、物質量(mol)を用い物質の量を表すことができる。3前7
分子量・式量がどのような意味をもつか説明できる。3前7
気体の体積と物質量の関係を説明できる。3前7
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。3前8
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。3前9
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。3前10
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。3前8
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。3前8
酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。3前10
酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。3前10
電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。3前10
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。3前10
中和反応がどのような反応であるか説明できる。3前11
中和滴定の計算ができる。3
酸化還元反応について説明できる。3
イオン化傾向について説明できる。3
金属の反応性についてイオン化傾向に基づき説明できる。3
ダニエル電池についてその反応を説明できる。3
鉛蓄電池についてその反応を説明できる。3
一次電池の種類を説明できる。3
二次電池の種類を説明できる。3
電気分解反応を説明できる。3
電気分解の利用として、例えば電解めっき、銅の精錬、金属のリサイクルへの適用など、実社会における技術の利用例を説明できる。3
ファラデーの法則による計算ができる。3
化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。3
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。3
測定と測定値の取り扱いができる。3
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。3前7
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。3
ガラス器具の取り扱いができる。3
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。3
試薬の調製ができる。3前12
代表的な気体発生の実験ができる。3
代表的な無機化学反応により沈殿を作り、ろ過ができる。3
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。1
元素の周期律を理解し、典型元素や遷移元素の一般的な性質を説明できる。3
イオン化エネルギー、電子親和力、電気陰性度について説明できる。3
イオン結合と共有結合について説明できる。3
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。1
金属結合の形成について理解できる。1
配位結合の形成について説明できる。1
水素結合について説明できる。1
分析化学中和滴定についての原理を理解し、酸及び塩基濃度の計算ができる。2
酸化還元滴定についての原理を理解し、酸化剤及び還元剤の濃度計算ができる。2
物理化学放射性元素の半減期と安定性を説明できる。1
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。3

評価割合

試験課題合計
総合評価割合8020100
基礎的能力8020100
専門的能力000
分野横断的能力000