有機化学実験

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 有機化学実験
科目番号 2021-648 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 物質工学科 対象学年 3
開設期 前期 週時間数 8
教科書/教材 学科で作成した実験書
担当教員 青山 陽子,山根 説子

到達目標

1. 実験の化学的原理について,反応式を用いて説明できる。                  
2. 実験器具や試薬の取り扱いに慣れ、安全に実験を行うことができる。
3. 実験結果について、論理的な考察ができる。
4. 行った実験について、適切な構成のレポートにまとめて期限内に提出することが出来る。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1□ 実験の化学的原理について,反応式を用いて反応機構を説明できる。□ 実験の化学的原理について,反応式を用いて説明できる□ 実験の化学的原理について,反応式を用いて説明できない
評価項目2□  実験器具や試薬を適切に取り扱い、安全に実験を行うことができる。□  実験器具や試薬の取り扱いに慣れ、安全に実験を行うことができる。□  実験器具や試薬の取り扱いに慣れ、安全に実験を行うことができない。
評価項目3□ 実験結果について、論理的な考察ができる。□ 実験結果について、考察ができる。□ 実験結果について、考察ができない。
評価項目4□ 行った実験について、適切な構成のレポートにまとめて期限内に提出することが出来る。□ 行った実験について、レポートにまとめて期限内に提出することが出来る。□ 行った実験について、レポートにまとめて提出することが出来ない。

学科の到達目標項目との関係

【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本授業は, 有機化学実験を行う。有機化学実験の基礎を修得することを目的とし,基礎実験操作と6つのテーマの実験を通し,物質工学的な見方,実験の進め方の理解へと発展させることが望まれる。具体的には,有機化学実験の基本である,ガラス細工,抽出,減圧蒸留,ろ過,再結晶,薄層クロマトグラフィー,融点測定,比旋光度測定の各操作を修得する。
授業の進め方・方法:
授業は物質工学棟学生実験室にて実施する。
本年度の有機化学実験は、A日程、B日程に学生を分け、対面の実験と遠隔授業を併用して行う。成績は、実験レポートと実験ノートで評価する。
注意点:
評価については、評価割合に従って行う。
ケガや病気により実験を実施できない場合は,後日に日を設けて実験を実施する。
レポートを原則期限内に全て提出することを合格の条件とする。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 オリエンテーション 実験安全教育と有機化学実験の基本操作を理解できる。
情報セキュリティに関し、情報の取扱について理解できる。
情報の改竄について理解できる。
試薬管理データの取扱について理解できる。
2週 ガラス細工 有機化学で用いるキャピラリー等のガラス細工が一人で製作できる。
3週 有機化学実験の基本操作① 抽出 抽出操作により芳香族化合物を分離できる。
4週 有機化学実験の基本操作② 再結晶 抽出、再結晶により、茶からのカフェインを単離できる。
5週 有機化学実験の基本操作③ クロマトグラフィー 薄層クロマトグラフィーにより、鎮痛剤の成分の分離ができる。
6週 安息香酸エステルの合成 エステル化反応に用いる冷却管、精製に用いる分液ろうと、蒸留装置を正しく使うことができる。
7週 ホストゲスト相互作用によるオレイン酸の単離 脂肪酸混合物から、オレイン酸を尿素包接化合物として分離することにより、分子構造と分子間力の関係を理解できる。
8週 アセトアニリドの合成 アニリンのアセチル化反応を行う。吸引ろ過、再結晶、融点測定の操作ができる。
2ndQ
9週 実験器具の入替え、ガイダンス Part 2 Part 2の実験に関する原理の説明と注意事項 を理解できる。
10週 安息香酸メチルエステルのニトロ化 求電子置換反応を理解しどの異性体が多く生成されるか予測できる。
11週 カニッツァロ反応 一人で全ての一連の反応と分離操作を行うことができる。
12週 旋光計による光学異性体の確認と観察
レモンの果皮からリモネンを抽出し、旋光計を使って旋光度を測定できる。また標準試料から検量線を作成し、比旋光度を求めることができる。
13週 実験ガイダンスPart 3 コンピュータを使った分子軌道計算の概要を理解できる。
14週 計算機化学 半経験的分子軌道法にて有機化合物の安定性、酸性度を比較できる。
15週 実験器具片付け 実験器具の片付けを行い、破損や数の足りない器具をチェックする。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3前1,前4,前7,前8,前10,前11,前12,前14
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3前1,前4,前7,前8,前10,前11,前12,前14
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3前1,前7,前8,前10,前11,前12,前14
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3前1,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前14
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3前1,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前14
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3前1,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前14
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3前1,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前14
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3前1,前3,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前14
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3前1,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前14
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3前1,前6,前7,前8,前10,前12,前14
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3前1,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前14
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。3前2,前7,前10,前12
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。3前2,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前14
σ結合とπ結合について説明できる。3前2,前10,前14
混成軌道を用い物質の形を説明できる。3前2
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。3前2,前10,前11
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。3前2
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。3前6,前10,前11
共鳴構造について説明できる。3前2,前10
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。3前7
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。3前2,前10,前12
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。3前2,前7,前10,前12
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。3前2,前10,前11,前12
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。3前6,前8,前10,前11
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。3前6,前8,前11
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。3前6,前8,前10,前11
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。2前2,前8,前10,前11
反応機構に基づき、生成物が予測できる。2前8,前10,前11
分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】有機化学実験加熱還流による反応ができる。4前6,前7
蒸留による精製ができる。4前6,前12
吸引ろ過ができる。4前4,前7,前8,前11
再結晶による精製ができる。4前4,前7,前8
分液漏斗による抽出ができる。4前4,前11,前12
薄層クロマトグラフィによる反応の追跡ができる。4前4,前6,前10,前12
融点または沸点から生成物の確認と純度の検討ができる。4前8,前10
収率の計算ができる。4前6,前7,前8,前10,前11,前12,前14
分析化学実験代表的な定性・定量分析装置としてクロマト分析(特にガスクロ、液クロ)や、物質の構造決定を目的とした機器(吸光光度法、X線回折、NMR等)、形態観察装置としての電子顕微鏡の中の代表的ないずれかについて、その原理を理解し、測定からデータ解析までの基本的なプロセスを行うことができる。4前6,前12,前14
固体、液体、気体の定性・定量・構造解析・組成分析等に関して必要な特定の分析装置に関して測定条件を選定し、得られたデータから考察をすることができる。3前6,前12,前14
分野横断的能力態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。2前6,前8,前10,前11,前12,前14
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。2前6,前7,前8,前10,前11,前12,前14
目標の実現に向けて計画ができる。2前1,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前14
目標の実現に向けて自らを律して行動できる。2前1,前6,前7,前8,前10,前11,前12,前14
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。2前6,前7,前8,前10,前12,前14
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。2前6,前7,前8,前10,前12,前14
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。2前6,前7,前8,前10,前12,前14
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。2前6,前7,前8,前10,前12,前14
適切な方向性に沿った協調行動を促すことができる。3前6,前7,前8,前10,前12,前14
リーダーシップを発揮する(させる)ためには情報収集やチーム内での相談が必要であることを知っている3前6,前7,前8,前10,前12,前14

評価割合

試験実験ノート小テストポートフォリオレポート合計
総合評価割合01000090100
基礎的能力01000090100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000