分析化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 分析化学Ⅰ
科目番号 2021-663 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 2
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 佐竹正忠,御堂義之,永廣徹著,分析化学の基礎,共立出版.
担当教員 藁科 知之

到達目標

(1)SI単位系,SI接頭語,単位換算,有効数字を理解し計算できる.
(2)溶液の濃度計算,pH計算,平衡定数の計算,指数関数・対数関数の計算ができる.
(3)酸塩基の定義,酸塩基平衡を理解し説明できる.
(4)塩を水に溶かした際の挙動を理解し化学種濃度や溶液の液性(酸性,中性,アルカリ性)を説明できる.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
到達目標1SI単位系,SI接頭語,単位換算,有効数字を理解し複雑な計算ができる.SI単位系,SI接頭語,単位換算,有効数字を理解し基本的な計算ができる.SI単位系,SI接頭語,単位換算,有効数字を理解し基本的な計算ができない.
到達目標2溶液の濃度計算,pH計算,平衡定数の計算,指数関数・対数関数の複雑な計算ができる.溶液の濃度計算,pH計算,平衡定数の計算,指数関数・対数関数の基本的な計算ができる.溶液の濃度計算,pH計算,平衡定数の計算,指数関数・対数関数の基本的な計算ができない.
到達目標3酸塩基の定義,より複雑な酸塩基平衡を理解し説明できる.酸塩基の定義,簡単な酸塩基平衡を理解し説明できる.酸塩基の定義,簡単な酸塩基平衡を理解できない.
到達目標4塩を水に溶かした際の挙動を理解し化学種濃度や溶液の液性(酸性,中性,アルカリ性)を説明し,簡単な計算ができる.塩を水に溶かした際の挙動を理解し化学種濃度や溶液の液性(酸性,中性,アルカリ性)を説明できる.塩を水に溶かした際の挙動,化学種濃度や溶液の液性(酸性,中性,アルカリ性)を説明できない.

学科の到達目標項目との関係

【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
分析化学は,物質の化学組成を定性的あるいは定量的に解析することを目的として現在まで発展してきた.ここでは,主に水溶液中で起こる現象を考え,そこでの化学反応について丁寧に解析する.基礎であるSI単位系および単位換算,単位におけるSI接頭語,溶液の濃度計算,溶液のpH,化学平衡,酸・塩基,塩の加水分解について学ぶ.
授業の進め方・方法:
授業は講義を中心に進めるが,学習内容を定着させるために適宜内容に応じた演習も授業内で行う.既習の授業内容に関する小テストも適宜行う.
注意点:
評価については,評価割合に従って行う.ただし,適宜再試や追加課題を課し,加点することがある.
中間試験を授業時間内に実施することがある.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス・分析化学の概要 シラバスの内容を理解することができる.
分析化学という学問のこれまでの歴史と,他の学問分野に対する位置付けを理解できる.
2週 物理量,SI単位系,SI接頭語,単位換算,有効数字 さまざまな物理量があることを理解できる.
国際単位系であるSI単位系(SI基本単位,SI補助単位,SI誘導単位)を理解できる.
SI接頭語の意味を理解できる.
異なる接頭語のついた単位間の換算ができる.
有効数字の意味を理解し記述できる.
3週 溶液の濃度(1) 溶液,溶媒,溶質の区別ができる.
溶液の濃度にはさまざまな表記があることが理解できる.
化学反応における化学量論が理解できる.
容量モル濃度および質量モル濃度の定義と両者の違いを理解でき,計算できる.
百分率(質量パーセント濃度および容量パーセント濃度)の定義と両者の違いを理解し,計算できる.
4週 溶液の濃度(2) 低濃度の表記方法として使われる百万分率ppm,十億分率ppb,一兆分率pptの定義を理解し,計算できる.
モル分率の定義を理解し計算できる.
グラム当量および規定濃度(規定度・当量濃度)の定義を理解し計算できる.
5週 溶質(電解質と非電解質)・水の特性 溶質において電解質および非電解質の分類ができる.
強電解質と弱電解質を区別できる.
溶媒としての水の特異性(高融点,高沸点,高誘電率)を理解できる.
水の特異性は構造に起因することを理解できる.
溶媒中の水分子同士の相互作用(水素結合)を理解できる.
極性分子と無極性分子を区別できる.
分極について説明できる.
6週 水溶液中における水分子と溶質との相互作用 水と氷の構造の差異を説明できる.
溶媒分子と溶質分子との相互作用について理解できる.
溶液中における溶媒和および水和の状態について理解し模式図を使って説明できる.
7週 反応速度と化学平衡 化学平衡の状態について理解し説明できる.
化学平衡の法則を理解し,化学種の濃度の関数で濃度平衡定数を表記できる.
化学反応(化学平衡)の前後の化学量論を理解し,濃度平衡定数を計算できる.
8週 酸と塩基(1) 酸と塩基の定義(アレニウス,ブレンステッド-ローリー)を理解し説明できる.
化学反応における共役酸塩基対を理解できる.
電子式を書くことができる.
4thQ
9週 酸と塩基(2) 酸と塩基の定義(ブレンステッド-ローリー,ルイス)を理解し説明できる.
酸解離平衡反応式を理解できる.
酸・塩基の強弱の違いを説明できる.
酸解離定数の定義を理解し計算できる.
電離度の定義を理解し計算できる.
10週 酸と塩基(3) 塩基解離定数の定義を理解し計算できる.
水の電離および水のイオン積を理解できる.
pHの定義を理解し計算できる.
11週 酸と塩基の平衡(1) 反応系内における電荷収支,物質収支を理解し説明できる.
12週 酸と塩基の平衡(2) 反応系内における電荷収支式,物質収支式を立てることができる.
強酸・強塩基水溶液の電離度や酸解離定数を計算できる.
13週 酸と塩基の平衡(3) 強酸・弱酸・強塩基・弱塩基の水溶液のpHおよび各種化学種濃度を計算できる.
14週 塩の加水分解 塩(強酸と弱塩基の塩,弱酸と強塩基の塩)の加水分解反応の現象を理解し説明できる.
塩水溶液の液性(酸性,中性,アルカリ性)を予測できる.
15週 演習 これまでの範囲の内容を演習を通して理解することができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3後2,後3,後4,後7,後9,後10,後12,後13,後15
分数式の加減乗除の計算ができる。3後2,後3,後4,後7,後9,後10,後12,後13,後15
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。3後2,後3,後4,後7,後9,後10,後12,後13,後15
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。3後9,後10,後12,後13,後15
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。3後9,後10,後12,後13,後15
簡単な連立方程式を解くことができる。3後9,後10,後12,後13,後15
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。3後2,後3,後4,後9,後10,後12,後13,後15
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3後2,後3,後4,後9,後10,後12,後13,後15
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3後10,後12,後13,後15
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3後10,後12,後13,後15
自然科学化学(一般)化学(一般)水の状態変化が説明できる。3後5,後6
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。3後8,後9
価電子の働きについて説明できる。3後8,後9
共有結合について説明できる。3後8,後9
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。3後8,後9
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。3後7,後9,後10,後12,後13,後14,後15
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。3後7,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。3後5
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。3後3
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。3後3,後9,後10,後12,後13,後15
酸・塩基の定義(ブレンステッドまで)を説明できる。3後8,後9
酸・塩基の化学式から酸・塩基の価数をつけることができる。3後13
電離度から酸・塩基の強弱を説明できる。3後9
pHを説明でき、pHから水素イオン濃度を計算できる。また、水素イオン濃度をpHに変換できる。3後10,後12,後13,後15
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野無機化学価電子について理解し、希ガス構造やイオンの生成について説明できる。1後5,後8,後9
基本的な化学結合の表し方として、電子配置をルイス構造で示すことができる。1後5,後8,後9
配位結合の形成について説明できる。2後8,後9
水素結合について説明できる。2後5
分析化学電離平衡と活量について理解し、物質量に関する計算ができる。1後9,後10
強酸、強塩基および弱酸、弱塩基についての各種平衡について説明できる。3後9,後10,後12,後13,後15
強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、弱酸の塩、弱塩基の塩のpHの計算ができる。3後12,後13,後15
緩衝溶液とpHの関係について説明できる。3後14,後15
陽イオンや陰イオンの関係した化学反応について理解し、溶液中の物質の濃度計算(定量計算)ができる。3後3,後4,後7,後9,後10,後11,後12,後15
物理化学平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。3後7,後8,後9
化学工学SI単位への単位換算ができる。1後1

評価割合

定期試験(中間+期末)演習課題クイズ合計
総合評価割合602020100
基礎的能力602020100
専門的能力0000
分野横断的能力0000