物理化学Ⅳ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 物理化学Ⅳ
科目番号 2022-593 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 「アトキンス物理化学要論 第6版」千原・稲葉訳 東京化学同人
担当教員 稲津 晃司,伊藤 拓哉

到達目標

以下に示す4項目について修得する。(1) 電極反応について、その速度と電流の関係を定量的あるいは反応機構的に説明できる。  (2) 平衡電極電位と起電力について、種々の電極について取り扱い、説明することができる。 (3) 電磁波と粒子の性質を量子化の概念を含めて理解し,エネルギー等を計算できる。(4) 基礎量子論を用いて簡単な原子の構造と粒子のエネルギー準位について計算例をあげて説明できる。(C1-3)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1.電極反応について、その速度と電流の関係を定量的あるいは反応機構的に説明できる。□電極反応について、その速度と電流の関係を定量的あるいは反応機構的に説明でき、得られた結果を考察できる。□電極反応について、その速度と電流の関係を定量的あるいは反応機構的に説明できる。□電極反応について、その速度と電流の関係を定量的あるいは反応機構的に説明できない
2.平衡電極電位と起電力について、種々の電極について取り扱い、説明することができる。□平衡電極電位と起電力について、種々の電極について取り扱い、説明することができ、得られた結果を考察できる。□平衡電極電位と起電力について、種々の電極について取り扱い、説明することができる。□平衡電極電位と起電力について、種々の電極について取り扱い、説明することができない。
3.電磁波と粒子の性質を量子化の概念を含めて理解し,エネルギー等を計算できる。□エネルギーの量子化を黒体放射について数式を用いて説明できる。 □ボーアの振動条件と関連付けた種々の光量子のエネルギー,波長,振動数,波数を計算することができる。 □物質波長や不確定性原理に基づく計算を正しくできる。□エネルギーの量子化を説明できる。 □種々の光量子のエネルギー,波長,振動数,波数を計算することができる。 □物質波長や不確定性原理に基づく計算をほぼ正しく行える。□エネルギーの量子化を説明できない。 □種々の光量子のエネルギー,波長,振動数,波数を計算することができない。 □物質波長やエネルギーおよび不確定性原理に基づく計算を正しく行えない。
4.基礎量子論を用いて簡単な原子の構造と粒子のエネルギー準位について計算例をあげて説明できる。(C1-3) □シュレーディンガーの波動方程式を用いた水素原子の複数の軌道の波動関数を計算例をあげて説明できる。 □トンネル現象を計算により説明ができる。□シュレーディンガーの波動方程式を用いた水素原子の1s軌道の波動関数を計算例をあげて説明できる。 □一次元井戸型ポテンシャルモデルによるエネルギー準位を計算により説明できる。□シュレーディンガーの波動方程式を用いた水素原子の1s軌道の波動関数を計算例をあげて説明できない。 □一次元井戸型ポテンシャルモデルによるエネルギー準位を計算により説明できない。

学科の到達目標項目との関係

【本校学習・教育目標(本科のみ)】 3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本科課程における物理化学系科目のまとめのひとつとして、今日、基礎科学でも応用科学でも重要な役割を果たしている電気化学を学ぶ。学習の主題は、(1)化学エネルギーと電気エネルギーの相互変換、(2)電極反応、(3)電極/溶液(固液)界面の構造、(4)電解質溶液内でのイオンの移動である。これらについて基本的な事柄を学習することで、電池に留まらず、機能材料の合成、生体内現象の解釈、分析・計測への応用を電子移動という観点から理解する。
授業の進め方・方法:
授業は講義中心で進め,学習内容の重要度や区切りに応じて確認演習を行う。後半では前期量子論を含めた原子の量子化学的表現について取り扱う。
注意点:
1.評価は評価割合に従って行います。
2.この科目は学修単位科目であり、1単位あたり15(30)時間の対面授業を実施 します.併せて1単位あたり30(15)時間の事前学習・事後学習が必要です.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 ガイダンス、化学反応と電気、電池の放電と充電、電極反応と標準電位 ・電気化学反応の概要を説明できる。
・電池の放電と充電について説明できる。
・電極反応と標準電位について説明できる。
2週 水の電気分解、電極反応速度と電流、電極反応速度定数の電極電位依存性 ・水の電気分解について説明できる。
・電極反応速度と電流について説明できる。
・電極反応速度と電極電位の関係を説明できる。
3週 電気二重層と電極反応機構、電極反応の解析 ・電気二重層と電極反応機構、電極反応の解析
・電極反応の解析について説明できる。
4週 電池の起電力、平衡電極電位 ・電池の起電力について説明できる。
・平衡電極電位について説明できる。
5週 溶液内の平衡と起電力、種々の電極の平衡電極電位 ・溶液内の平衡と起電力について説明できる。
・種々の電極の平衡電極電位について説明できる。
6週 溶液の電気伝導率、電解質の伝導率と濃度 ・溶液の電気伝導率について説明できる。
・電解質の伝導率と濃度について説明できる。
7週 電解質の伝導率と濃度、イオンの移動度と濃度依存性 ・電解質の伝導率と濃度について説明できる。
・イオンの移動度と濃度依存性について説明できる。
8週 まとめの演習:中間試験 ・電極反応について、その速度と電流の関係を定量的あるいは反応機構的に説明できる。     ・平衡電極電位と起電力について、種々の電極について取り扱い、説明することができる。。
4thQ
9週 ガイダンス2 ・量子化学の位置付けと現代科学技術における重要性を理解できる。 ・電磁波と量子力学の起源,黒体放射について簡単に説明できる。
10週 量子論:序論と原理1 ・古典物理学の破綻について簡単な例示をしながら説明できる。   ・波と粒子の二重性について説明できる。
11週 量子論:序論と原理2 ・微視的な系の力学の表現方法としてのシュレーディンガーの波動方程式を示すことができる。                 ・箱の中の粒子についてシュレーディンガーの波動方程式を用いて波動関数とエネルギー準位の計算ができる。
12週 量子論:序論と原理3 ・ボルンの解釈と不確定性原理について計算を用いて説明できる。   ・エネルギーとしての電磁波と微視的な系の取扱いの計算ができる。
13週 原子構造1 ・水素型原子のスペクトルを説明し,計算で示せる。        ・水素原子の量子化学的取扱いによるエネルギー準位の導出ができる。
14週 原子構造2 ・水素原子の波動関数をその導出過程を含めて理解し,量子数の説明ができる。                            ・水素型原子と多電子原子の量子化学的取扱いでの差異を説明できる。
15週 多電子原子 ・多電子原子の量子化学的取扱いができる。            ・浸透と遮蔽について説明できる。
16週 まとめの演習:量子化学 ・エネルギーとしての電磁波と微視的な系の取扱いの計算ができる。  ・シュレーディンガーの波動方程式を用いて原子のエネルギー準位の表現ができる。
・原子スペクトルの量子化学的説明ができる。
・オービタル近似が説明できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学放射線の種類と性質を説明できる。3
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。3
核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。3
電池反応と電気分解を理解し、実用例を説明できる。4

評価割合

試験課題合計
総合評価割合9010100
基礎的能力000
専門的能力9010100
分野横断的能力000