遺伝子工学

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 遺伝子工学
科目番号 2022-595 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 新バイオテクノロジーテキストシリーズ遺伝子工学第二版(村山洋 他著、講談社)
担当教員 古川 一実

到達目標

遺伝子の機能の解析方法と,遺伝子発現と物質生産の利用技術についての基礎的な方法を学び,最新の生命科学について理論を理解し応用できるようになる.そして遺伝子操作技術に対する社会的問題に正確に対応できうる能力を備える.遺伝子工学を利用した問題解決能力を養うための知識を身につけ,遺伝子工学の基礎を説明できるようになることを目標とする.

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
DNAの解析方法DNAの構造と機能を理解し、PCR等解析技術について説明でき、シークエンサーの原理を説明できる。NGSについても説明できる。DNAの構造と機能を理解し、PCR等解析技術について説明でき、シークエンサーの原理を大まかに説明できる。DNAの構造と機能を理解し、PCR等解析技術について説明できない。
遺伝子発現と物質生産の利用技術微生物の機能やセントラルドグマおよびベクターと宿主の利用について詳しく説明できる。微生物の機能やセントラルドグマおよびベクターと宿主の利用について大まかに説明できる。微生物の機能やセントラルドグマおよびベクターと宿主の利用について説明できない。
遺伝子操作技術に関する知識と問題解決への思考形質転換やゲノム編集の手法の原理について理解し、カルタヘナ法について詳しく説明できる。形質転換やゲノム編集の手法の原理について理解し、カルタヘナ法についておおまかに説明できる。形質転換やゲノム編集の手法の原理について理解し、カルタヘナ法について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
物質生産において,化学的な合成手法のみならず生物の設計図である遺伝子を利用した技術が利用されている.核酸としてのDNAあるいはRNAの構造と性質を理解したうえで,遺伝子を工学的に活用できるようになることを目的に,生命現象であるセントラルドグマが工学的にどのように利用されているのかを学ぶ.具体的には遺伝子工学に用いられる特殊機能を持つ酵素,ベクター,形質転換およびゲノム編集,遺伝子導入方法,ゲノム解読技術,PCRの原理について学ぶ.また,遺伝子工学に関する生命倫理やゲノム倫理についても考えるために必要な知識について学ぶ.
授業の進め方・方法:
評価の割合としては、中間試験は40%、期末試験は45%、課題を15%とする。課題はその都度課すが、
レポートの評価項目は下記の(1)(2)(3)を達成したうえで、それぞれについて内容の充実度を評価する。
なお、課題は、実験原理やプロトコルおよび文献調査についてその都度指定する。
(1)〆切を厳守していること
(2)指定されている項目がすべて記載されていること
(3)自分の考えが記載されていること

総合評価60点以上で本科目の合格とする.
注意点:
・評価については、評価割合に従って行います。
・この科目は学修単位科目であり、1単位あたり30時間の対面授業を実施します。併せて1単位あたり60時間の事前学習・事後学習が必要となります。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業
選択

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業ガイダンスと基礎知識 講義の目的・概要・評価方法の説明.遺伝子工学で何ができるのか講義の概要についての説明を理解できる.DNAの構造や変性など特性を説明することができる。さらにDNAがもつ遺伝情報の流れであるセントラルドグマについて説明できる。
2週 遺伝子の発現調節  遺伝子工学に利用する微生物の遺伝子発現の調節機構について理解し、オペロンについて説明できる。
3週 遺伝子組換え実験の基礎 遺伝子組換え実験の概要および必要条件について理解することができる。ベクターと宿主の組み合わせについて説明することができる。
4週 遺伝子組換え実験の基礎 実際の宿主とベクターの機能について理解し、具体的にはプラスミドの機能を説明できる。
5週 遺伝子組換え実験の基礎 遺伝子工学に使用される酵素(制限酵素・リガーゼなど)について説明することができる。
6週 遺伝子組換え実験の基礎 宿主へのベクターの導入方法について、宿主の特性とともに複数の手法について原理を説明することができる。
7週 遺伝子組換え実験の基礎 遺伝子ライブラリ―について理解する。また、一連の操作を規定するカルタヘナ法を説明することができる。
8週 ゲノム編集技術 ゲノム編集技術について、従来の形質転換と異なる点や原理について説明できる。
2ndQ
9週 遺伝子工学の基礎技術:PCRの基本 PCRにおけるDNA増幅を理解することができる。プライマーの条件について説明できる。
10週 遺伝子工学の基礎技術:PCRの応用 PCRの応用として、RT-PCRについて説明できる。
11週 遺伝子工学の基礎技術:PCRの応用 PCRの応用として、リアルタイムPCRについて説明することができる。
12週 DNA配列検出技術 ハイブリダイゼーション技術について理解することができる。ハイブリダイゼーション技術におけるパラメーターを理解することができる。
13週 DNA塩基配列(シークエンス)解析技術 シークエンス解析開発の歴史とともに、古典法であるマキサムギルバート法およびサンガー法を理解することができる。
14週 DNA塩基配列(シークエンス)解析技術 自動化されたシークエンス解析技術についてその原理を理解することができる。
15週 DNA塩基配列(シークエンス)解析技術 NGSの原理とデータベースの基礎について理解することができる。
16週    

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野生物化学ヌクレオチドの構造を説明できる。4前1,前3
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4前1
RNAの種類と働きを列記できる。4前1,前2
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。4前1,前2,前12

評価割合

中間試験期末試験レポート合計
総合評価割合404515100
基礎的能力(知識の定着度)4045085
専門的能力(知識の応用)001515