物理化学Ⅱ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 物理化学Ⅱ
科目番号 2022-602 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 前期:2
教科書/教材 「アトキンス物理化学要論 第7版」稲葉・千原訳 東京化学同人
担当教員 稲津 晃司

到達目標

1. 純物質および混合物の変化について化学熱力学を用いた定量的な取り扱いができる。
2.化学平衡を化学熱力学の観点から理解して,計算することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 純物質および混合物の変化について化学熱力学を用いた定量的な取り扱いができる。□純物質の相変化を化学ポテンシャルを用いる計算によって,温度依存性と圧力依存性を含めて説明できる。 □混合を熱力学的に説明し,成分の蒸気圧を種々の溶液について計算できる。 □溶液の束一的性質について計算を用いて,予測し,説明できる。□純物質の相変化を化学ポテンシャルを用いる計算によって説明できる。 □混合を熱力学的に説明し,成分の蒸気圧を計算できる。 □溶液の束一的性質について計算を用いた説明ができる。□純物質の相変化を化学ポテンシャルを用いる計算によって説明できない。 □混合を熱力学的に説明し,成分の蒸気圧を計算できない。 □溶液の束一的性質について計算を用いた説明ができない。
評価項目2 化学平衡を化学熱力学の観点から理解して,計算することができる。(C1-3)□複数成分が関与する反応ギブズエネルギーを計算できる。 □熱力学的平衡定数を異なる温度で計算し,反応エンタルピーや反応の特長を説明できる。 □ルシャトリエの原理を正しく説明し,熱力学的解釈を与えられる。□単純な反応ギブズエネルギーを計算できる。 □熱力学的平衡定数を異なる温度で計算できる。 □ルシャトリエの原理を正しく説明できる。□単純な反応ギブズエネルギーを計算できない。 □熱力学的平衡定数を異なる温度で計算できない。 □ルシャトリエの原理を正しく説明できない。

学科の到達目標項目との関係

実践指針 (C1) 説明 閉じる
実践指針のレベル (C1-3) 説明 閉じる
【本校学習・教育目標(本科のみ)】 3 説明 閉じる
【プログラム学習・教育目標 】 C 説明 閉じる

教育方法等

概要:
化学と生物の理解において最も重要な基礎となる事柄を,物理化学という分野・科目として捉え,物質工学科の本科課程の学習内容,現代化学を理解する基礎を涵養する。本科目では,物理化学Iに引き続いて,物質の成り立ちと変化を理解するための学習内容として,基礎化学熱力学および化学平衡を学修する.
授業の進め方・方法:
授業は講義中心で進め,必要に応じて授業内で口頭試問を行う.また,学習内容の重要度や区切りに応じて確認演習を行う.
授業内容は,化学と生物の必須基礎としての物理化学の基本を,おもに混合物とその変化についての化学熱力学を取り扱う.
注意点:
1. 評価基準については、成績評価基準表(ルーブリック)による.
2. 評価は評価割合に従って行います.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 前期ガイダンス ・「物理化学II」での教育目標・授業概要・評価方法等を理解するとともに,既習の化学熱力学関数の理解を確かめる.
2週 第二法則:復習 ・種々の過程についてのエントロピー変化の計算ができる.
・ギブズエネルギーの定義を説明できる.
3週 純物質の相平衡1 ・相転移を化学熱力学の観点から説明できる.
4週 純物質の相平衡2 ・純物質の相図について平衡状態を勘案した化学熱力学の観点から説明できる.
5週 混合物の性質1 ・部分モル量の概念と基本的な例示を計算とともにできる.
6週 混合物の性質2 ・混合という現象を化学熱力学の観点から説明し,計算できる.
7週 混合物の性質3 ・溶液の束一的性質を化学熱力学の観点から説明できる.
8週 まとめの演習1 ・純物質の物理的変態についての化学熱力学計算ができる.
・単純な混合物についての化学熱力学計算ができる.
2ndQ
9週 純物質の物理的変態と単純な混合物:復習 ・純物質の物理的変態と単純な混合物を化学熱力学の観点から説明ができる.
10週 化学平衡1 ・自発的な反応と平衡状態を化学熱力学的に説明できる.
11週 化学平衡2 ・温度と圧力が化学平衡に及ぼす影響について計算できる.
12週 化学平衡3 ・系の組成が化学平衡に及ぼす影響について計算し,説明できる.
13週 化学平衡4 ・溶液の化学平衡についての計算ができる.
14週 化学平衡5 ・化学平衡に関する熱力学計算ができる.
15週 まとめの演習2 ・異相,異成分,化学反応を含む種々の混合物についての化学熱力学計算ができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3前1
分数式の加減乗除の計算ができる。3前1
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。3前1,前2,前8,前9,前15
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。3前2,前7,前8,前9,前15
複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。3前6
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。3前2,前8,前9,前15
簡単な連立方程式を解くことができる。3前4,前8,前9,前15
無理方程式・分数方程式を解くことができる。3前6
1次不等式や2次不等式を解くことができる。3前2,前8,前9,前15
2次関数の性質を理解し、グラフをかくことができ、最大値・最小値を求めることができる。3前7
分数関数や無理関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3前7
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。3前8,前9,前15
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3前7
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3前7
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3前7
対数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3前7
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3前7
ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。3前8
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。3前6,前8,前9,前15
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。3前8
合成関数の導関数を求めることができる。3前8
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。3前8
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。3前2,前8,前9,前15
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。3前2,前8,前9,前15
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。3前2,前8,前9,前15
簡単な場合について、曲線で囲まれた図形の面積を定積分で求めることができる。3前2,前8,前9,前15
自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3前15
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3前15
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3前15
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3前15
物体に作用する力を図示することができる。3前15
力の合成と分解をすることができる。3前15
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3前15
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3前15
運動方程式を用いた計算ができる。3前15
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3前15
運動の法則について説明できる。3前15
仕事と仕事率に関する計算ができる。3前15
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3前15
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前15
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前15
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3前15
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3前15
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3前15
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3前15
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3前15
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3前15
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3前15
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3前15
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前15
力のモーメントを求めることができる。3前15
角運動量を求めることができる。3前15
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3前15
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3前15
重心に関する計算ができる。3前15
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3前15
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3前15
原子や分子の熱運動と絶対温度との関連について説明できる。3前2,前8,前9
時間の推移とともに、熱の移動によって熱平衡状態に達することを説明できる。3前2,前8,前9
物体の熱容量と比熱を用いた計算ができる。3前2,前3,前8,前9
熱量の保存則を表す式を立て、熱容量や比熱を求めることができる。3前2,前8,前9,前15
動摩擦力がする仕事は、一般に熱となることを説明できる。3前2,前8,前9
ボイル・シャルルの法則や理想気体の状態方程式を用いて、気体の圧力、温度、体積に関する計算ができる。3前2,前3,前8,前9
気体の内部エネルギーについて説明できる。3前2,前3,前8,前9
熱力学第一法則と定積変化・定圧変化・等温変化・断熱変化について説明できる。3前2,前3,前8,前9,前15
エネルギーには多くの形態があり互いに変換できることを具体例を挙げて説明できる。3前2,前3,前8,前9,前15
不可逆変化について理解し、具体例を挙げることができる。3前2,前8,前9
熱機関の熱効率に関する計算ができる。3前2,前8,前9
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3
波の重ね合わせの原理について説明できる。3前10
2つの波が干渉するとき、互いに強めあう条件と弱めあう条件について計算できる。3前10
定常波の特徴(節、腹の振動のようすなど)を説明できる。3前10
弦の長さと弦を伝わる波の速さから、弦の固有振動数を求めることができる。3前10
自然光と偏光の違いについて説明できる。3前10
波長の違いによる分散現象によってスペクトルが生じることを説明できる。3前10
電気電場・電位について説明できる。3前11
クーロンの法則が説明できる。3前11
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。3前11
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。3前12
ジュール熱や電力を求めることができる。3前1,前6,前8,前9
化学(一般)化学(一般)原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。3前12
放射性同位体とその代表的な用途について説明できる。3前12
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。3前13
価電子の働きについて説明できる。3前13
原子のイオン化について説明できる。3前13
代表的なイオンを化学式で表すことができる。3前13
原子番号から価電子の数を見積もることができ、価電子から原子の性質について考えることができる。3前13
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。3前1,前8,前9,前12,前13,前15
電離について説明でき、電解質と非電解質の区別ができる。3前14
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。3前1,前5,前6,前8,前9,前10,前14,前15
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。3前1,前5,前6,前8,前9,前10,前14,前15
イオン化傾向について説明できる。3前14
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学放射線の種類と性質を説明できる。4前14
束一的性質を説明できる。4前7,前8,前9
蒸気圧降下、沸点上昇より、溶質の分子量を計算できる。4前7,前8,前9
凝固点降下と浸透圧より、溶質の分子量を計算できる。4前7,前8,前9
相律の定義を理解して、純物質、混合物の自由度(温度、圧力、組成)を計算し、平衡状態を説明できる。4前6,前7,前8,前9,前14,前15
平衡の記述(質量作用の法則)を説明できる。4前4,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
諸条件の影響(ルシャトリエの法則)を説明できる。4前10,前11,前12,前13,前14,前15
均一および不均一反応の平衡を説明できる。4前10,前11,前12,前13,前14,前15
反応における自由エネルギー変化より、平衡定数・組成を計算できる。4前11,前12,前13,前14,前15
平衡定数の温度依存性を計算できる。4前11,前12,前13,前14,前15
気体の等温、定圧、定容および断熱変化のdU、W、Qを計算できる。4前2,前8,前9,前12

評価割合

試験演習・課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力80200000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000