応用物理Ⅱ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 応用物理Ⅱ
科目番号 2022-614 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 前期はテキスト配布。後期は「科学者と技術者のための物理学III(電磁気学)」サーウェイ著,学術図書を使用。
担当教員 住吉 光介,駒 佳明,設楽 恭平

到達目標

1.実験の内容,結果およびその背景にある物理現象について正しく理解し,関連する諸量を計算できる。
2.静電場における電荷と力の関係,電気力線や電位の概念を理解し,基本的な静電場およびコンデンサーに関する物理量を計算できる。定常電流と磁場に関連する諸法則を理解し,磁場,ローレンツ力に関する物理量を計算できる。電磁誘導など時間変化する電磁場の性質を理解し,関連する物理量を計算できる。(B1-3)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1□実験に関する物理現象について正しく説明でき,応用的な事例について関連する諸量の計算ができる。□実験に関する物理現象について正しく説明でき,関連する諸量の計算ができる。□実験に関する物理現象について正しく説明できない。
評価項目2(B1-3)□静電場に関する応用的な計算ができる。 □定常電流に関する応用的な計算ができる。 □定常電流と磁場に関する応用的な計算ができる。□静電場に関する計算ができる。 □定常電流に関する計算ができる。 □定常電流と磁場に関する計算ができる。□静電場に関する計算ができない。 □定常電流に関する計算ができない。 □定常電流と磁場に関する計算ができない。

学科の到達目標項目との関係

実践指針 (B1) 説明 閉じる
実践指針のレベル (B1-3) 説明 閉じる
【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる
【プログラム学習・教育目標 】 B 説明 閉じる

教育方法等

概要:
前期は,1-3年で履修した物理I,物理IIおよび工業力学を応用して,重要な物理現象に関する実験について学ぶ。同時に,実験データの解析や誤差の扱いについても学ぶ。後期は講義により電磁気学の基礎,電荷と静電場および定常電流と磁場に関する諸法則を中心に学ぶ。本講義を通して,物理の基礎知識を自らの工学分野に応用できることに加え,自らの専門分野の課題の解決に数学的手法を適用できることを学ぶ。
授業の進め方・方法:
前期は,実験の内容を中心に講義と演習を行う。後期は,講義および演習を中心に行う。
注意点:
この科目は学修単位科目であり、1単位あたり30時間の対面授業を実施します。併せて1単位あたり15時間の事前学習・事後学習が必要となります。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス,誤差論 安全に実験することの重要性について理解できる。誤差と有効数字の概念を理解できる。
2週 振動論
単振動,減衰振動,強制振動と共振の実験を理解し,結果の解析ができる。
3週 レーザー光の回折
レーザー光を用いた回折の実験を理解し,結果の解析ができる。
4週 電気抵抗の温度計数の測定
電気現象を電子の運動として理解できる。温度を変化させながら電気抵抗を測定する実験を理解し,結果の解析ができる。
5週 光電効果とプランク定数の測定
光の粒子性とプランク定数の関係を理解できる。光電効果に関する実験を理解し,プランク定数を求めることができる。
6週 電子の比電荷の測定
ローレンツ力による電子の等速円運動の実験を理解し,電子の比電荷を求めることができる。
7週 水素原子スペクトルとプランク定数の測定

水素原子のスペクトルを観測する実験を理解し,プランク定数を求めることができる。
8週 放射線基礎
放射線に関する基礎的な内容を理解できる。

2ndQ
9週 光速度の測定
光速度測定に関連する実験を理解できる。
10週 誤差論演習
誤差論について理解を深める。
11週 振動論演習 振動論について理解を深める。
12週 電気抵抗と電子の比電荷の演習 電気抵抗と電子の比電荷について理解を深める。
13週 光電効果と水素原子の演習
光電効果と水素原子について理解を深める。
14週 放射線の演習
放射線について理解を深める。
15週 前期総合演習
16週

後期
3rdQ
1週 電磁気学概要
2週 電磁気学における数学
スカラー場,ベクトル場の微分ができる
3週 電磁気学における数学
スカラー場,ベクトル場の積分ができる
4週 電荷と静電場
クーロンの法則を使った計算ができる
5週 電荷と静電場
ガウスの法則を使った計算ができる
6週 電荷と静電場
電荷分布と電位を計算できる
7週 静電場まとめ
一般的な電場計算ができる
8週 後期総合演習1
4thQ
9週 定常電流
オームの法則を使った計算ができる
10週 定常電流と磁場
磁場,磁束密度,ビオ・サバールの法則を使った計算ができる
11週 定常電流と磁場
アンペールの法則,ベクトルポテンシャルを使った計算ができる,ローレンツ力,磁場中の荷電粒子の運動の計算ができる
12週 時間変化する電磁場
変位電流,電磁誘導,ファラデーの法則に関する計算ができる
13週 時間変化する電磁場
電磁波の計算ができる
14週 電気回路
過渡現象の計算ができる
15週
後期総合演習1
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3
因数定理等を利用して、4次までの簡単な整式の因数分解ができる。3
分数式の加減乗除の計算ができる。3
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。3
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。3
複素数の相等を理解し、その加減乗除の計算ができる。3
解の公式等を利用して、2次方程式を解くことができる。3
因数定理等を利用して、基本的な高次方程式を解くことができる。3
簡単な連立方程式を解くことができる。3
無理方程式・分数方程式を解くことができる。3
1次不等式や2次不等式を解くことができる。3
恒等式と方程式の違いを区別できる。3
2次関数の性質を理解し、グラフをかくことができ、最大値・最小値を求めることができる。3
分数関数や無理関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
簡単な場合について、関数の逆関数を求め、そのグラフをかくことができる。3
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。3
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3
対数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
角を弧度法で表現することができる。3
三角関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3
加法定理および加法定理から導出される公式等を使うことができる。3
三角関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3
三角比を理解し、簡単な場合について、三角比を求めることができる。3
一般角の三角関数の値を求めることができる。3
2点間の距離を求めることができる。3
内分点の座標を求めることができる。3
2つの直線の平行・垂直条件を利用して、直線の方程式を求めることができる。3
簡単な場合について、円の方程式を求めることができる。3
放物線、楕円、双曲線の図形的な性質の違いを区別できる。3
簡単な場合について、不等式の表す領域を求めたり領域を不等式で表すことができる。3
等差数列・等比数列の一般項やその和を求めることができる。3
総和記号を用いた簡単な数列の和を求めることができる。3
不定形を含むいろいろな数列の極限を求めることができる。3
無限等比級数等の簡単な級数の収束・発散を調べ、その和を求めることができる。3
ベクトルの定義を理解し、ベクトルの基本的な計算(和・差・定数倍)ができ、大きさを求めることができる。3
平面および空間ベクトルの成分表示ができ、成分表示を利用して簡単な計算ができる。3
平面および空間ベクトルの内積を求めることができる。3
問題を解くために、ベクトルの平行・垂直条件を利用することができる。3
空間内の直線・平面・球の方程式を求めることができる(必要に応じてベクトル方程式も扱う)。3
行列の定義を理解し、行列の和・差・スカラーとの積、行列の積を求めることができる。3
逆行列の定義を理解し、2次の正方行列の逆行列を求めることができる。3
行列式の定義および性質を理解し、基本的な行列式の値を求めることができる。3
線形変換の定義を理解し、線形変換を表す行列を求めることができる。3
合成変換や逆変換を表す行列を求めることができる。3
平面内の回転に対応する線形変換を表す行列を求めることができる。3
簡単な場合について、関数の極限を求めることができる。3後2
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。3後2
積・商の導関数の公式を用いて、導関数を求めることがができる。3後2
合成関数の導関数を求めることができる。3後2
三角関数・指数関数・対数関数の導関数を求めることができる。3後2
逆三角関数を理解し、逆三角関数の導関数を求めることができる。3後2
関数の増減表を書いて、極値を求め、グラフの概形をかくことができる。3後2
極値を利用して、関数の最大値・最小値を求めることができる。3後2
簡単な場合について、関数の接線の方程式を求めることができる。3後2
2次の導関数を利用して、グラフの凹凸を調べることができる。3後2
関数の媒介変数表示を理解し、媒介変数を利用して、その導関数を求めることができる。3後2
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。3後3
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。3後3
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。3後3
分数関数・無理関数・三角関数・指数関数・対数関数の不定積分・定積分を求めることができる。3後3
簡単な場合について、曲線で囲まれた図形の面積を定積分で求めることができる。3後3
簡単な場合について、曲線の長さを定積分で求めることができる。3後3
簡単な場合について、立体の体積を定積分で求めることができる。3後3
2変数関数の定義域を理解し、不等式やグラフで表すことができる。3前3,後2,後3
合成関数の偏微分法を利用して、偏導関数を求めることができる。3前3,後2,後3
簡単な関数について、2次までの偏導関数を求めることができる。3前3,後2,後3
偏導関数を用いて、基本的な2変数関数の極値を求めることができる。3前3,後2,後3
2重積分の定義を理解し、簡単な2重積分を累次積分に直して求めることができる。3後3
極座標に変換することによって2重積分を求めることができる。3後3
2重積分を用いて、簡単な立体の体積を求めることができる。3後3
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。3前2
簡単な1階線形微分方程式を解くことができる。3前2
定数係数2階斉次線形微分方程式を解くことができる。3前2
1次元のデータを整理して、平均・分散・標準偏差を求めることができる。3前3
2次元のデータを整理して散布図を作成し、相関係数・回帰直線を求めることができる。3前3
簡単な1変数関数の局所的な1次近似式を求めることができる。3
1変数関数のテイラー展開を理解し、基本的な関数のマクローリン展開を求めることができる。3
オイラーの公式を用いて、複素数変数の指数関数の簡単な計算ができる。3
自然科学物理力学速度と加速度の概念を説明できる。3前2
直線および平面運動において、2物体の相対速度、合成速度を求めることができる。3前2
等加速度直線運動の公式を用いて、物体の座標、時間、速度に関する計算ができる。3前2
平面内を移動する質点の運動を位置ベクトルの変化として扱うことができる。3前2
物体の変位、速度、加速度を微分・積分を用いて相互に計算することができる。3前2
平均の速度、平均の加速度を計算することができる。3前2
自由落下、及び鉛直投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前2
水平投射、及び斜方投射した物体の座標、速度、時間に関する計算ができる。3前2
物体に作用する力を図示することができる。3前2
力の合成と分解をすることができる。3前2
重力、抗力、張力、圧力について説明できる。3前2
フックの法則を用いて、弾性力の大きさを求めることができる。3前2
質点にはたらく力のつりあいの問題を解くことができる。3前2
慣性の法則について説明できる。3前2
作用と反作用の関係について、具体例を挙げて説明できる。3前2
運動方程式を用いた計算ができる。3前2
簡単な運動について微分方程式の形で運動方程式を立て、初期値問題として解くことができる。3前2
運動の法則について説明できる。3前2
静止摩擦力がはたらいている場合の力のつりあいについて説明できる。3前2
最大摩擦力に関する計算ができる。3前2
動摩擦力に関する計算ができる。3前2
仕事と仕事率に関する計算ができる。3前2
物体の運動エネルギーに関する計算ができる。3前2
重力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前2
弾性力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前2
力学的エネルギー保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3前2
物体の質量と速度から運動量を求めることができる。3前2
運動量の差が力積に等しいことを利用して、様々な物理量の計算ができる。3前2
運動量保存則を様々な物理量の計算に利用できる。3前2
周期、振動数など単振動を特徴づける諸量を求めることができる。3前2
単振動における変位、速度、加速度、力の関係を説明できる。3前2
等速円運動をする物体の速度、角速度、加速度、向心力に関する計算ができる。3前2
万有引力の法則から物体間にはたらく万有引力を求めることができる.3前14
万有引力による位置エネルギーに関する計算ができる。3前14
力のモーメントを求めることができる。3前2
角運動量を求めることができる。3前2
角運動量保存則について具体的な例を挙げて説明できる。3前2
剛体における力のつり合いに関する計算ができる。3前2
重心に関する計算ができる。3前2
一様な棒などの簡単な形状に対する慣性モーメントを求めることができる。3前2
剛体の回転運動について、回転の運動方程式を立てて解くことができる。3前2
波動波の振幅、波長、周期、振動数、速さについて説明できる。3後14
横波と縦波の違いについて説明できる。3後14
電気導体と不導体の違いについて、自由電子と関連させて説明できる。3後4,後5,後6,後7
電場・電位について説明できる。3後4,後5,後6,後7
クーロンの法則が説明できる。3後4,後5,後6,後7
クーロンの法則から、点電荷の間にはたらく静電気力を求めることができる。3後4,後5,後6,後7
オームの法則から、電圧、電流、抵抗に関する計算ができる。3後9
抵抗を直列接続、及び並列接続したときの合成抵抗の値を求めることができる。3後9
ジュール熱や電力を求めることができる。3後9
物理実験物理実験測定機器などの取り扱い方を理解し、基本的な操作を行うことができる。3前1
安全を確保して、実験を行うことができる。3前1
実験報告書を決められた形式で作成できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前9,前10,前12,前13,前14
有効数字を考慮して、データを集計することができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前9,前10,前12,前13,前14
力学に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前2,前12
熱に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前4,前13
波に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前3,前5,前7,前10
光に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前3,前5,前7,前10
電磁気に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前4,前5,前6,前12,前13,後1
電子・原子に関する分野に関する実験に基づき、代表的な物理現象を説明できる。3前5,前6,前7,前8,前9,前12,前13,前14,前15,後1
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野物理化学放射線の種類と性質を説明できる。4前8,前9,前15
放射性元素の半減期と安定性を説明できる。4前8,前9,前15
年代測定の例として、C14による時代考証ができる。4前8,前9,前15
核分裂と核融合のエネルギー利用を説明できる。4前8,前9,前15

評価割合

レポート前期演習後期演習合計
総合評価割合1535500000100
基礎的能力1535500000100
専門的能力00000000
分野横断的能力00000000