微生物工学

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和04年度 (2022年度)
授業科目 微生物工学
科目番号 2022-623 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 後期 週時間数 後期:2
教科書/教材 基礎生物学テキストシリーズ4 微生物学・青木健次 編著・化学同人
担当教員 古川 一実,竹口 昌之

到達目標

【本科における教育領域の到達目標】
生物工学の基礎として、微生物の性質とその取扱い、微生物の代謝とその利用法について学習することを目標とする。
・アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。
・食品加工と微生物の関係について説明できる。
・抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。
・微生物を用いた廃水処理・バイオレメディエーションについて説明できる。
・さまざまな微生物の種類とその特徴を理解する。
・微生物の生育について理解し、培養方法について理解している。
・微生物の遺伝の仕組みについて理解し、微生物の育種の概要を理解する。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。アルコール発酵について詳しく説明でき、その醸造への利。用について詳しくに説明できるアルコール発酵について説明でき、その醸造への利用についておおまかに説明できる。アルコール発酵について説明できない。その醸造への利用についておおまかに説明できない。
食品加工と微生物の関係について説明できる。食品加工と微生物の関係について詳しく説明できる。食品加工と微生物の関係についておおまかに説明できる。食品加工と微生物の関係について説明できない。
抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。抗生物質や生理活性物質の例をいくつか挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について詳しく説明できる。抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法についておおまかに説明できる。抗生物質や生理活性物質の例を挙げることができない。微生物を用いたそれらの生産方法について説明でききない。
微生物を用いた廃水処理・バイオレメディエーションについて説明できる。微生物を用いた廃水処理・バイオレメディエーションについて詳しく説明できる。 微生物を用いた廃水処理・バイオレメディエーションについておおまかに説明できる。 微生物を用いた廃水処理・バイオレメディエーションについてお説明できない。
微生物について種類と生物としての基本的な特徴について説明できる。微生物に分類される生物について、原核生物と真核生物の種類や特徴について理解して詳しく説明できる。微生物に分類される生物について、原核生物と真核生物の種類や特徴について理解し、おおまかに説明できる。微生物に分類される生物について、原核生物と真核生物の種類や特徴について説明できない。
微生物の増殖と培養について知識を身につけ説明できる。微生物の増殖(増殖曲線)および培養方法について説明でき、安全対策についても詳しく説明できる。微生物の増殖(増殖曲線)および培養方法について説明でき、安全対策についておおまかに説明できる。微生物の増殖(増殖曲線)および培養方法について説明できない。安全対策についても説明できない。
微生物の育種のために必要な微生物の遺伝のしくみを説明できる。微生物の育種のために必要な遺伝および遺伝子発現について説明でき、微生物の育種方法について詳細を説明できる。微生物の育種のために必要な遺伝および遺伝子発現について説明でき、微生物の育種方法についておおまかに説明できる。微生物の育種のために必要な遺伝および遺伝子発現について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
目に見えないが確かに存在している微生物は、人類の想像以上にさまざまな機能を持ち、未知の微生物にはさらに無限の可能性を秘めている。微生物の働きの結果が、食中毒など人に害を及ぼす際にはその働きを「腐敗」と呼ぶが、食品として役に立つ際には「発酵」と呼ばれ、さまざまな物質生産に利用されてきた。この微生物について基本的な特徴を理解し、工学的に活用するための基礎知識を学習する。具体的には、発酵食品の製造過程など微生物の機能を生かした工業レベルのプロセスを理解した上で、分類と増殖特性および分子遺伝学の基礎に基づく育種法について学習する。
授業の進め方・方法:
【全体の進め方】
  ガイダンス後5週はアクティブラーニング(ディベート)形式で実施する。その後は講義形式で授業を進める。
【アクティブラーニング(ディベート)】
  詳細は授業中に説明する。評価はレポート課題20点、確認演習10点、計30点満点とする。
【講義】
  講義および講義内容に関する演習課題を実施する。
  講義内容の定着度を確認するため100点満点の試験を行う。2回の定期試験の平均点を60点満点、演習課題を10点満点として評価し、計70点とする。

アクティブラーニング(30点分)および講義(70点分)の評価を総合して100点満点のなかで、60点以上の得点で合格とする。
注意点:
・評価については、評価割合に従って行います。
・この科目は学修単位科目であり、1単位あたり15時間の対面授業を実施します。併せて1単位あたり30時間の事前学習・事後学習が必要となります。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業
必修

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 微生物学概論・ガイダンス 生物工学における微生物学の利用方法を学び、微生物学を学ぶ基本項目を理解することができる。
2週 ディベート(アクティブラーニング)手法の修得 第3週から第6週の単元はディベート(アクティブラーニング)を実施する。ディベートの基本的なルールとスキルを説明できる。
3週 食品加工と微生物の関係(グループワーク100分,報告書作成) 食品加工と微生物の関係ついて説明ができる。
4週 アルコール飲料の製造(グループワーク100分,報告書作成) アルコール飲料の製造過程を説明できる。
5週 抗生物質・生理活性物質(グループワーク100分,報告書作成) 抗生物質の特性について説明できる。
6週 廃水処理・バイオレメディエーション(グループワーク100分,報告書作成) 廃水処理とバイオレメディエーションについて説明できる。
7週 微生物の種類と分類および形態と細胞構造 微生物発見の歴史とともに微生物の種類と分類法について説明できる。微生物の学名を正しい表記方法で記述することができる。
8週 微生物の種類と分類および形態と細胞構造 細菌と古細菌の種類について理解し説明することができる。具体的には酸素要求性・形態。グラム染色・芽胞形成や栄養による分類について説明できる。
4thQ
9週 微生物の種類と分類および形態と細胞構造 具体的な細菌の種類について説明することができる。
10週 微生物の種類と分類および形態と細胞構造 古細菌の種類について説明することができる。真菌の種類について概要を説明することができる。
11週 微生物の種類と分類および形態と細胞構造 真菌類の種類について説明できる。
ウィルスと他の微生物の違いについて、およびウィルスの生活環を説明できる。
12週 微生物の増殖と取り扱い方 微生物の栄養と増殖特性を説明でき、増殖曲線について説明できる。滅菌方法についても説明できる。
13週 微生物の遺伝と育種 DNAの構造と遺伝情報の発現について説明できる。
14週 微生物の遺伝と育種 遺伝子発現について理解し、細菌・古細菌・真菌(真核)における共通点と相違点について説明できる。
15週 微生物の遺伝と育種 細菌の遺伝物質としてのプラスミドとその任意の改変手法について説明できる。
16週 微生物の遺伝と育種 細菌の育種と事例について説明でき、酵母の育種事例とそれを可能にする接合という育種法について説明できる。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物原核生物と真核生物の違いについて説明できる。4後7,後8,後14
DNAの構造について遺伝情報と結びつけて説明できる。3後13
遺伝情報とタンパク質の関係について説明できる。3後13
ゲノムと遺伝子の関係について説明できる。3後13
生物化学ヌクレオチドの構造を説明できる。4後13
DNAの二重らせん構造、塩基の相補的結合を説明できる。4後13
DNAの半保存的複製を説明できる。4後15
RNAの種類と働きを列記できる。4後13
コドンについて説明でき、転写と翻訳の概要を説明できる。4後13,後14
生物工学原核微生物の種類と特徴について説明できる。4後7,後8,後9,後10,後13
真核微生物(カビ、酵母)の種類と特徴について説明できる。4後7,後11
微生物の増殖(増殖曲線)について説明できる。4後12
微生物の育種方法について説明できる。4後15,後16
微生物の培養方法について説明でき、安全対策についても説明できる。4後12
アルコール発酵について説明でき、その醸造への利用について説明できる。4後4
食品加工と微生物の関係について説明できる。4後2
抗生物質や生理活性物質の例を挙げ、微生物を用いたそれらの生産方法について説明できる。4後3
微生物を用いた廃水処理・バイオレメディエーションについて説明できる。4後5,後6

評価割合

中間試験期末試験課題レポート演習課題確認演習合計
総合評価割合3030201010100
アクティブラーニング002001030
講義3030010070