酵素工学

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 酵素工学
科目番号 2023-531 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 酵素の科学, 藤本大三郎著, 裳華房
担当教員 後藤 孝信

到達目標

1.酵素とはどのようなものか(その構成成分,構造や物理化学的性質)について説明できる。
2.酵素の特異性や反応機構(化学触媒との違い)を説明できる。
3.代謝における酵素の存在意義と,その調節機構(フィードバック制御など)や補酵素の役割りについて説明できる。
4.酵素の製造方法(生体や培養液からの単離方法)やタンパク質量の定量法について,その基本的原理が説明できる。
5.産業界における酵素の利用について,幾つか例を挙げて説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
酵素の構成成分,およびその構造やその物理化学的性質について説明できる。酵素の構成成分,およびその構造やその物理化学的性質について詳しく説明できる。酵素の構成成分,およびその構造やその物理化学的性質について大まかに説明できる。酵素の構成成分,およびその構造やその物理化学的性質について説明できない。
酵素の特異性や反応機構(化学触媒との違い)を説明できる 。酵素の特異性や反応機構(化学触媒との違い)を有機化学的観点から説明できる 。酵素の特異性や反応機構(化学触媒との違い)を大まかに説明できる。 酵素の特異性や反応機構(化学触媒との違い)を説明できない。
生体における酵素の調節機構や補酵素の役割りについて説明できる。生体における酵素の調節機構や補酵素の役割りについて詳しく複数説明できる。生体における酵素の調節機構や補酵素の役割りについて幾つか説明できる。生体における酵素の調節機構や補酵素の役割りについて説明できない。
酵素の製造方法(生体や培養液からの単離方法)やタンパク質の分析法について,その基本的原理を説明できる。酵素の製造方法(生体や培養液からの単離方法)や分析法について,その基本的原理と共に沢山説明できる。代表的な酵素の製造方法(生体や培養液からの単離方法)や分析法について,その基本的原理と共に説明できる。酵素の製造方法(生体や培養液からの単離方法)やタンパク質の定量法や分析法について,その基本的原理が説明できない。
産業界における酵素の利用について,幾つか例を挙げて説明できる。産業界における酵素の利用について,あらゆる分野から幾つか例を挙げて説明できる。産業界における酵素の利用について,幾つか例を挙げて説明できる。産業界における酵素の利用について,例を挙げて説明できない。

学科の到達目標項目との関係

【本校学習・教育目標(本科のみ)】 3 説明 閉じる

教育方法等

概要:
酵素工学は,生物のみが作り得る触媒である酵素を工業製品の生産に利用することを目的とした学問である。その一方で,酵素は,代謝異常症などの各種疾患の原因でもあり,その阻害剤の開発は医薬品の中核を成しており,さらに,その高い基質特異性や反応特異性は分析試薬としても利用されている。本講義では,酵素の構成成分やその物理化学的性質などの基本的な内容を取り扱うと同時に,酵素の生産法,酵素を用いた工業(医薬)製品の生産,および診断薬としての酵素利用の現状を紹介・説明する。酵素は生体内で最も多いタンパク質であり利用価値も高いことから,本講義を通じて,タンパク質の基本的知識を始め,酵素タンパク質の取り扱い法や分析法の基本的事項にも精通していただきたい。
授業の進め方・方法:
1. 授業はスライドを用いた講義を中心に行う。また,授業の理解を深めるために,適宜,課題を出したり,小テストを実施する。
2. 演習と試験を行い,それぞれの得点の平均点が6割以上に対して単位を認定する。
注意点:

2.この科目は学修単位科目であり,1単位あたり15時間の対面授業を実施します。併せて1単位あたり30時間
の事前学習・事後学習が必要です。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
アミノ酸の化学
酵素の構成アミノ酸の化学構造の特徴と物理化学的な性質を説明できる。
2週 酵素の化学 酵素について,その構造や分子内の化学結合を変性と関連付けて説明できる。
3週 酵素の化学 酵素の分類,特異性,至適pH,至適温度,活性単位) を説明できる。酵素反応速度論(Km,Vmaxの説明と求め方)と酵素反応の物理化学を説明できる。
4週 酵素の化学 酵素の触媒機構(キモトリプシンのプロトンリレー) を説明できる。
5週 酵素の化学 酵素の阻害を分類できる。また,酵素の生合成の調節機構を説明できる。
6週 酵素の化学 代表的な補酵素の名称と,その役割について説明できる。
7週 演習問題 酵素の化学について説明できる。
8週 酵素の製造 代表的な組織の破壊方法と酵素の抽出方法 について説明できる。
2ndQ
9週 酵素の製造 代表的な酵素の分画法とカラムクロマトグラフィーによる酵素の分離を説明できる。
10週 酵素の製造 代表的なタンパク質量の測定方法と電気泳動法を説明できる。
11週 酵素の製造 酵素タンパク質の一次構造の解析法を説明できる。
12週 酵素の応用 代表的な酵素の固定化法とバイオリアクターを説明できる。
13週 酵素の応用 酵素を用いた糖質(主にデンプン)の加工と製造を例を挙げて説明できる。
14週 酵素の応用 酵素を用いたタンパク質,アミノ酸,および油脂の加工と製造を例を挙げて説明できる。
15週 酵素の応用 酵素を用いた医薬品の製造と臨床検査分析法を例を挙げて説明できる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野基礎生物酵素とは何か説明でき、代謝における酵素の役割を説明できる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6
フィードバック制御による体内の恒常性の仕組みを説明できる。4前5,前6
生物化学生体物質にとって重要な弱い化学結合(水素結合、イオン結合、疎水性相互作用など)を説明できる。4前1
タンパク質の機能をあげることができ、タンパク質が生命活動の中心であることを説明できる。4前1,前12
タンパク質を構成するアミノ酸をあげ、それらの側鎖の特徴を説明できる。4前1
アミノ酸の構造とペプチド結合の形成について構造式を用いて説明できる。4前2
タンパク質の高次構造について説明できる。4前2
酵素の構造と酵素-基質複合体について説明できる。4前3,前4,前5,前13,前14
酵素の性質(基質特異性、最適温度、最適pH、基質濃度)について説明できる。4前3,前15
補酵素や補欠因子の働きを例示できる。水溶性ビタミンとの関係を説明できる。4前7,前15

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合10000000100
基礎的能力0000000
専門的能力10000000100
分野横断的能力0000000