化学工学Ⅱ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 化学工学Ⅱ
科目番号 2023-571 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 前期:2 後期:2
教科書/教材 化学工学会編 「基礎化学工学(増補版)」 培風館(2021)
担当教員 竹口 昌之

到達目標

以下に示す10項目について修得する.(1)熱交換装置の設計ができる(C1-2),(2)膜分離について説明できる,(3) 蒸留操作を理解し,蒸留塔を設計できる(C1-2),(4)抽出操作を理論的に説明できる(C1-2),(5)反応率をもちいて反応速度を標記できる(C1-2),(6)定常状態近似法および律速段階近似法をもちいて反応速度式を導入できる(C1-2),(7)実験データより反応速度式を決定できる,(8)代表的な反応器の設計方程式を理解する(C1-2),(9)設計方程式を用いて反応器の設計ができる(C1-2),(10)吸着現象を説明できる(C1-2).

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1. 熱交換装置の設計ができる(C1-2)□熱交換装置の設計ができ,得られた結果を考察できる.□熱交換装置の設計ができる.□熱交換装置の設計ができない.
2.膜分離装置の概要を説明できる.☐膜分離装置の概要を理解し,分離膜の性能を評価できる.☐膜分離装置の概要を理解し,説明できる.☐膜分離装置の概要を理解し,説明できない.
3. 蒸留操作を理解し,蒸留塔を設計できる(C1-2)□蒸留操作を理解し,蒸留塔を設計でき,得られた結果を考察できる.□蒸留操作を理解し,蒸留塔を設計できる.□蒸留操作を理解し,蒸留塔を設計できない.
4. 抽出操作を理論的に説明できる(C1-2)□抽出操作を理論的に説明でき,得られた結果を考察できる.□抽出操作を理論的に説明できる.□抽出操作を理論的に説明できない.
5.反応率をもちいて反応速度を標記できる(C1-2)□反応率をもちいて反応速度を表記でき,得られた結果を考察できる.□反応率をもちいて反応速度を表記できる.□反応率をもちいて反応速度を表記できない.
6.定常状態近似法および律速段階近似法をもちいて反応速度式を導入できる(C1-2)□定常状態近似法および律速段階近似法をもちいて反応速度式を導入でき,得られた結果を考察できる.□定常状態近似法および律速段階近似法をもちいて反応速度式を導入できる.□定常状態近似法および律速段階近似法をもちいて反応速度式を導入できない.
7.実験データより反応速度式を決定できる(C1-2)□実験データより反応速度式を決定でき,得られた結果を考察できる.□実験データより反応速度式を決定できる.□実験データより反応速度式を決定できない.
8.代表的な反応器の設計方程式を理解する(C1-2)□代表的な反応器の設計方程式を理解し,その特徴を説明できる.□代表的な反応器の設計方程式を理解できる.□代表的な反応器の設計方程式を理解できない.
9.設計方程式を用いて反応器の設計ができる(C1-2)□設計方程式を用いて反応器の設計ができ,得られた結果を考察できる.□設計方程式を用いて反応器の設計ができる.□設計方程式を用いて反応器の設計ができない.
10.吸着現象を説明できる(C1-2)☐吸着現象を理解し,吸着特性を評価できる.☐吸着現象を理解し,吸着特性を説明できる.☐吸着現象を理解し,吸着特性を説明できない.

学科の到達目標項目との関係

実践指針 (C1) 説明 閉じる
実践指針のレベル (C1-2) 説明 閉じる
【本校学習・教育目標(本科のみ)】 3 説明 閉じる
【プログラム学習・教育目標 】 C 説明 閉じる

教育方法等

概要:
 化学工学を学ぶ目的は実験室で得た発見・発明を工業化することにある.具体的には,化学反応,分離・精製等のステップからなるプロセスを集約し,安全に運転させるための設計をおこなうものである.特に化学工学Ⅱではヒーターや熱媒体を用いた熱交換器の設計,膜分離操作,蒸留操作,抽出操作および吸着操作について学ぶ.さらに,後半では化学反応や生物化学反応の速度過程を,物質移動,熱移動などの物理現象を考慮して解析し,その結果に基づいて反応装置を安全かつ合理的に設計するための知識を体系化する.反応速度論を主に学び,それを均一反応を対象とした反応装置の設計に利用する.さらに代表的な3つの反応器の設計について理解する.
授業の進め方・方法:
授業は講義を中心に適宜学習内容について議論を行なう.講義中は集中して聴講すると共に,積極的に議論に参加すること.適宜,レポート・演習課題を課すので,翌週の授業開始時までに週番が回収し,番号順に並び替えて提出すること.
注意点:
1.評価については、評価割合に従って行います。
2.この科目は学修単位科目であり、1単位あたり30時間の対面授業を実施します。併せて1単位あたり15時間の事前学習・事後学習が必要となる。
3.社会状況(感染症等による)により講義内容を変更する場合がある。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 シラバスの説明
伝熱工学の基礎
・伝導伝熱,対流伝熱,放射伝熱が説明できる.
2週 二重管式熱交換器の設計 ・二重管式熱交換器に係るエネルギー収支計算ができる.
・並流型・向流型二重管式熱交換器の設計ができる.
3週 物質分離の原理と方法
Fickの法則
膜分離
・物質分離の原理と方法について説明ができる.
・Fickの拡散の法則について説明ができる.
・膜分離について説明ができる.
4週 気液平衡(1) ・理想溶液とRaoultの法則について説明できる.
・2成分系の液相-気相状態図を作成し,蒸留操作を説明できる.
5週 気液平衡(2) ・x-y図を作成し,蒸留操作を説明できる.
・分離係数を求めることができる.
6週 単蒸留 ・単蒸留操作について説明ができ,単蒸留装置を設計できる.
7週 フラッシュ蒸留(連続単蒸留)
・連続単蒸留操作について説明ができ,フラッシュ蒸留装置を設計できる.
8週 総合演習 ・前期前半部で実施した内容を演習を通して俯瞰する.
2ndQ
9週 連続蒸留における物質収支と操作線 ・連続蒸留装置における物質収支式から操作線を導出できる.
10週 連続蒸留の設計 ・連続蒸留装置を設計できる.
11週 液液平衡と溶解度曲線 ・3成分系の平衡関係について説明ができる.
・溶解度曲線を作成できる.
12週 てこの原理と単抽出 ・てこの原理について説明できる.
・抽出装置の特徴について説明できる.
・単抽出操作を溶解度曲線上で説明できる.
13週 並流多段抽出 ・並流多段抽出装置を設計できる.
14週 向流多段抽出 ・向流多段抽出装置を設計できる.
15週 抽出総合演習 ・Microsoft Excelを用いて抽出操作を検証できる.
16週
後期
3rdQ
1週 反応工学の体系 ・反応工学の体系を説明できる.
2週 反応速度式と反応次数 ・反応速度式を定義できる.
・反応次数と反応の分子数について説明できる.
3週 定常状態近似法による反応速度式の導入 ・定常状態近似法による反応速度式を導出できる.
4週 律速段階近似法による反応速度式の導入 ・律速段階近似法による反応速度式を導出できる.
5週 吸着平衡と吸着速度 ・代表的な吸着等温式について説明ができる.
6週 反応率と物質収支 ・反応率を用いて反応速度式を表記できる.
7週 回分反応器の設計方程式 ・反応器の物質収支より回分反応器の設計方程式を導出できる.
8週 総合演習 ・後期前半部で実施した内容を演習を通して俯瞰する.
4thQ
9週 連続槽型反応器と管型反応器の設計方程式 ・反応器の物質収支より管型反応器の設計方程式を導出できる.
・反応器の物質収支より連続槽型反応器の設計方程式を導出できる.
10週 化学反応速度解析:回分反応器による反応速度解析 ・回分反応器の設計方程式を用いて反応速度式を導出できる.
11週 回分反応器と管型反応器の設計と操作 ・回分反応器と管型反応器の設計方程式を用いて反応器を設計できる.
12週 連続槽型反応器の設計と操作 ・連続槽型反応器の設計方程式を用いて反応器を設計できる.
13週 直列多段連続槽型反応器の設計と操作 ・連続槽型反応器の設計方程式を応用して,直列多段連続槽型反応器を設計できる.
14週 自触媒反応の反応操作 ・連続槽型反応器と管型反応器の特性を理解し,自触媒反応の反応操作を提案できる.
15週 回分反応器の最適操作 ・回分反応器の最適操作を提案できる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力数学数学数学整式の加減乗除の計算や、式の展開ができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
分数式の加減乗除の計算ができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
実数・絶対値の意味を理解し、絶対値の簡単な計算ができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
平方根の基本的な計算ができる(分母の有理化も含む)。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
簡単な連立方程式を解くことができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
1次不等式や2次不等式を解くことができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
累乗根の意味を理解し、指数法則を拡張し、計算に利用することができる。3後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
指数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
指数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3後2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
対数の意味を理解し、対数を利用した計算ができる。3前1,前2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
対数関数の性質を理解し、グラフをかくことができる。3前1,前2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
対数関数を含む簡単な方程式を解くことができる。3前1,前2,後3,後4,後5,後6,後7,後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15
微分係数の意味や、導関数の定義を理解し、導関数を求めることができる。3前1,前2,前3,前10,後2,後3,後4,後8,後9,後11,後15
極値を利用して、関数の最大値・最小値を求めることができる。3後3,後4,後15
簡単な場合について、関数の接線の方程式を求めることができる。3後11,後15
不定積分の定義を理解し、簡単な不定積分を求めることができる。3前1,前2,前3,前10,後8,後9,後15
置換積分および部分積分を用いて、不定積分や定積分を求めることができる。3前1,前2,前3,前10,後8,後9,後12,後15
定積分の定義と微積分の基本定理を理解し、簡単な定積分を求めることができる。3前1,前2,前3,前10,後8,後9,後12,後15
簡単な場合について、曲線で囲まれた図形の面積を定積分で求めることができる。3前10,後8,後9,後15
微分方程式の意味を理解し、簡単な変数分離形の微分方程式を解くことができる。3後8,後9
簡単な1階線形微分方程式を解くことができる。3前3,後8,後9,後12
自然科学化学(一般)化学(一般)水の状態変化が説明できる。3前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10
ボイルの法則、シャルルの法則、ボイル-シャルルの法則を説明でき、必要な計算ができる。3前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,後2,後6,後8,後9,後12
気体の状態方程式を説明でき、気体の状態方程式を使った計算ができる。3前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,後2,後6,後8,後9,後12
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。3後1,後2,後3,後4,後6,後8,後9,後10
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。3後2,後3,後4,後6,後8,後9,後10
質量パーセント濃度の説明ができ、質量パーセント濃度の計算ができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後5,後12
モル濃度の説明ができ、モル濃度の計算ができる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15,後2,後3,後4,後5,後6,後8,後9,後10,後12,後13,後14,後15
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の反応を説明できる。2後3
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の特徴を説明できる。2後3
物理化学反応速度の定義を理解して、実験的決定方法を説明できる。4後1,後2,後3,後4,後6,後8,後9,後11
反応速度定数、反応次数の概念を理解して、計算により求めることができる。4後1,後2,後3,後4,後6,後8,後9,後11
微分式と積分式が相互に変換できて半減期が求められる。4後3,後4,後8,後9
連続反応、可逆反応、併発反応等を理解している。4後1,後2,後4
律速段階近似、定常状態近似等を理解し、応用できる。4後3,後4,後5
化学工学SI単位への単位換算ができる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,後6,後9,後15
物質の流れと物質収支についての計算ができる。4前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13,後9,後15
化学反応を伴う場合と伴わない場合のプロセスの物質収支の計算ができる。4後8,後9,後10,後15
蒸留の原理について理解できる。4前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10
単蒸留、精留・蒸留装置について理解できる。4前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10
蒸留についての計算ができる(ラウールの法則、マッケーブシール法等)。4前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10
基本的な抽出の目的や方法を理解し、抽出率など関係する計算ができる。4前11,前12,前13,前14,前15
吸着や膜分離の原理・目的・方法を理解できる。4前3,後5
バッチ式と連続式反応装置について特徴や用途を理解できる。4後8,後9,後10,後11,後12,後13,後14,後15

評価割合

定期試験・総合演習課題レポート合計
総合評価割合6040100
前期302050
後期302050