化学工学実験

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 化学工学実験
科目番号 2023-583 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・演習 単位の種別と単位数 履修単位: 4
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 前期 週時間数 8
教科書/教材 学生実験書
担当教員 竹口 昌之,伊藤 拓哉

到達目標

以下に示す8項目について修得する.
1. 伝導伝熱と対流伝熱の原理が理解でき、その応用計算ができる.(E1-3)
2. 物質乾燥の原理が理解でき,その応用計算ができる.(E1-3)
3. ろ過の原理が理解でき,その応用計算ができる.(E1-3)
4. 機械的エネルギー収支式が理解でき,その応用計算ができる.(E1-3)
5. 光学顕微鏡を取り扱うことができ,生物試料を顕微鏡下で観察することができる.(E1-3)
6. 滅菌・無菌操作をして,微生物を培養することができる.(E1-3)
7. 科学的データについて情報を収集し,適当な統計処理法を選択して,解析を行ない,発表することができる.(E1-3)
8.創造的活動の実践を通して成果物を提案できる.(E1-3)

ルーブリック

優秀基準標準基準未到達基準
伝導伝熱と対流伝熱の原理が理解でき,その応用計算ができる。(E1-3)□伝導伝熱と対流伝熱の原理が理解でき,その応用計算ができ,得られた結果を考察できる。□伝導伝熱と対流伝熱の原理が理解でき,その応用計算ができる。□伝導伝熱と対流伝熱の原理が理解でき,その応用計算ができない。
物質乾燥の原理が理解でき,その応用計算ができる。(E1-3)□物質乾燥の原理が理解でき,その応用計算ができ,得られた結果を考察できる。□物質乾燥の原理が理解でき,その応用計算ができる。□物質乾燥の原理が理解でき,その応用計算ができない。
ろ過の原理が理解でき,その応用計算ができる。(E1-3)□ろ過の原理が理解でき,その応用計算ができ,得られた結果を考察できる。□ろ過の原理が理解でき,その応用計算ができる。□ろ過の原理が理解でき,その応用計算ができない。
機械的エネルギー収支式が理解でき,その応用計算ができる。(E1-3)□機械的エネルギー収支式が理解でき,その応用計算ができ,得られた結果を考察できる。□機械的エネルギー収支式が理解でき,その応用計算ができる。□機械的エネルギー収支式が理解でき,その応用計算ができない。
光学顕微鏡を取り扱うことができ,生物試料を顕微鏡下で観察することができる。(E1-3)□光学顕微鏡を取り扱うことができ,生物試料を顕微鏡下で観察し,的確な情報を得ることができる。□光学顕微鏡を取り扱うことができ,生物試料を顕微鏡下で観察することができる。□光学顕微鏡を取り扱うことができ,生物試料を顕微鏡下で観察することができない。
滅菌・無菌操作をして,微生物を培養することができる。(E1-3)□滅菌・無菌操作をして,微生物を培養することができ,得られた結果を考察できる。□滅菌・無菌操作をして,微生物を培養することができる。□滅菌・無菌操作をして,微生物を培養することができない。
科学的データについて情報を収集し,適当な統計処理法を選択して,解析を行ない,発表することができる.(E1-3)科学的データについて情報を収集し,適当な統計処理法を選択して,解析を行ない,発表することができる.また,質問内容について的確な返答ができる.科学的データについて情報を収集し,適当な統計処理法を選択して,解析を行ない,発表することができる.科学的データについて情報を収集し,適当な統計処理法を選択して,解析を行ない,発表することができない.
創造的活動の実践を通して成果物を提案できる.(E1-3)創造的活動の実践を通して成果物を多くの人が理解できるかたちで提案できる創造的活動の実践を通して成果物を提案できる創造的活動の実践を通して成果物を提案できない

学科の到達目標項目との関係

実践指針 (E1) 説明 閉じる
実践指針のレベル (E1-3) 説明 閉じる
【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる
【プログラム学習・教育目標 】 E 説明 閉じる

教育方法等

概要:
化学工学実験は,講義により得られた知識を実験により把握することを目的としている。また,本実験では,ある限定された条件下で導かれた理論式が,多元的な因子を含む条件下から導かれた実験値と一致しないことを体験する。さらに,化学工業においては,数人の共同作業によって目的を達成することが多い。技術者として重要な共同作業における連絡,動作,態度などを本実験を通して訓練する。
授業の進め方・方法:
2または3名を1班とし,8テーマの実験を行なう.1テーマを4時間演習と4時間実験,計8時間で実施する。実験終了後,口頭による結果発表会を行なう.また,表計算ソフトを利用した数値計算法の演習,課題解決型学習(Project Based Learning,PBL)を実施する.評価は各実験(実験ノート,事前演習,レポート,実験操作),演習およびPBL成果報告書をそれぞれ95満点で評価し,PBL発表会を5点満点で評価し,その合計点を評価点とする。
レポートを原則期限内に全て提出することを合格の条件とする。
注意点:
評価については、評価割合に従って行う。社会状況(感染症等による)により講義内容を変更する場合がある。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 化学工学実験:オリエンテーション、実験内容の解説(1) 実験の目的,日程,テーマAからDの原理を理解できる。
工場内の技術情報の保護ができる。
2週 化学工学実験:実験の解説(2) テーマEからHの原理を理解できる。
製造技術の漏えい問題について説明できる。
3週 Excelを用いた数値計算(パラメータ推定,補間・微分・積分) 化学工学実験で使用するExcelを用いた数値計算ができる。
4週 化学工学実験:固体乾燥 乾燥操作を理解し,実験より乾燥速度を求めることができる。
5週 化学工学実験:微生物の増殖速度 酵母の菌体濃度を光学顕微鏡を用いた計数測定法により求めることができる。また、菌体の増殖速度を測定できる。
6週 化学工学実験:精留塔 精留塔の原理を理解し,実験より所要理論段数を求めることができる。エタノール濃度と粘度の関係を測定できる。
7週 単位操作改善プロジェクト(1)/Excelを用いた数値計算(2成分系気液平衡計算) 身近な単位操作の問題点を挙げ、グループワークにより解決案を提案する。また、Excelを用いた数値計算ができる。
工場見学時の機密情報・ノウハウ流出について注意を払うことができる。
8週 化学工学実験:固体の熱伝導率測定 伝導伝熱を理解し,定常状態の伝熱速度から熱伝導度を求めることができる。
2ndQ
9週 化学工学実験:円管内の境膜伝熱係数 伝導伝熱と対流伝熱を伴う伝熱過程を理解し,流動の状態から境膜伝熱係数を求めることができる。
10週 化学工学実験:定圧ろ過速度 液体からの粒子の分離操作を理解し,定圧ろ過における比抵抗を求めることができる。
11週 化学工学実験:流量測定と管内の圧力損失 機械的エネルギー収支式を理解し,直管による圧力損失より摩擦係数を求めることができる.また,絞り流量計の原理を理解し,流量測定から流出係数を求めることができる。
12週 化学工学実験:粉砕と粒度分布 粒度分布関数を理解し,任意条件で粉砕した米粉の積算残留率および積算通過率を求めることができる。
13週 単位操作改善プロジェクト(2)/Excelを用いた数値計算(精留) 身近な単位操作の問題点を挙げ、グループワークにより解決案を提案する。また、Excelを用いた数値計算ができる。
工場見学時の機密情報・ノウハウ流出について注意を払うことができる。
14週 単位操作改善プロジェクト(3・4) 身近な単位操作の問題点を挙げ、グループワークにより解決案を提案する。
15週 単位操作改善プロジェクト成果発表会 創造的活動の実践を通して成果物を提案できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学実験化学実験実験の基礎知識(安全防具の使用法、薬品、火気の取り扱い、整理整頓)を持っている。3前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
事故への対処の方法(薬品の付着、引火、火傷、切り傷)を理解し、対応ができる。3前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
測定と測定値の取り扱いができる。3前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
有効数字の概念・測定器具の精度が説明できる。3前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
レポート作成の手順を理解し、レポートを作成できる。3前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
ガラス器具の取り扱いができる。3前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
基本的な実験器具に関して、目的に応じて選択し正しく使うことができる。3前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
試薬の調製ができる。3前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
工学基礎工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)工学実験技術(各種測定方法、データ処理、考察方法)物理、化学、情報、工学における基礎的な原理や現象を明らかにするための実験手法、実験手順について説明できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13
実験装置や測定器の操作、及び実験器具・試薬・材料の正しい取扱を身に付け、安全に実験できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13
実験データの分析、誤差解析、有効桁数の評価、整理の仕方、考察の論理性に配慮して実践できる。3前1,前2,前3,前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13
実験テーマの目的に沿って実験・測定結果の妥当性など実験データについて論理的な考察ができる。3前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
実験ノートや実験レポートの記載方法に沿ってレポート作成を実践できる。3前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
実験データを適切なグラフや図、表など用いて表現できる。3前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
実験の考察などに必要な文献、参考資料などを収集できる。3前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
実験・実習を安全性や禁止事項など配慮して実践できる。3前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
個人・複数名での実験・実習であっても役割を意識して主体的に取り組むことができる。3前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
共同実験における基本的ルールを把握し、実践できる。3前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
レポートを期限内に提出できるように計画を立て、それを実践できる。3前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野化学工学SI単位への単位換算ができる。3前3,前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
物質の流れと物質収支についての計算ができる。3前3,前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
化学反応を伴う場合と伴わない場合のプロセスの物質収支の計算ができる。4前3,前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
管径と流速・流量・レイノルズ数の計算ができ、流れの状態(層流・乱流)の判断ができる。4前9,前11
流れの物質収支の計算ができる。4前6,前9,前10,前11
流れのエネルギー収支やエネルギー損失の計算ができる。4前4,前6,前9,前10,前11
流体輸送の動力の計算ができる。4前10,前11
蒸留の原理について理解できる。4前6
単蒸留、精留・蒸留装置について理解できる。4前6
蒸留についての計算ができる(ラウールの法則、マッケーブシール法等)。4前6
バッチ式と連続式反応装置について特徴や用途を理解できる。3前5
分野別の工学実験・実習能力化学・生物系分野【実験・実習能力】物理化学実験温度、圧力、容積、質量等を例にとり、測定誤差(個人差・器差)、実験精度、再現性、信頼性、有効数字の概念を説明できる。4前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
粘度計を用いて、各種液体・溶液の粘度を測定し、濃度依存性を説明できる。4
化学工学実験流量・流速の計測、温度測定など化学プラント等で計測される諸物性の測定方法を説明できる。4前4,前6,前8,前9,前10,前11
液体に関する単位操作として、特に蒸留操作の原理を理解しデータ解析の計算ができる。4前6
流体の関わる現象に関する実験を通して、気体あるいは液体の物質移動に関する原理・法則を理解し、物質収支やエネルギー収支の計算をすることができる。4前4,前6,前8,前9,前11
生物工学実験光学顕微鏡を取り扱うことができ、生物試料を顕微鏡下で観察することができる。4前5
滅菌・無菌操作をして、微生物を培養することができる。4前5
分野横断的能力汎用的技能汎用的技能汎用的技能書籍、インターネット、アンケート等により必要な情報を適切に収集することができる。3前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
収集した情報の取捨選択・整理・分類などにより、活用すべき情報を選択できる。3前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
収集した情報源や引用元などの信頼性・正確性に配慮する必要があることを知っている。3前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
情報発信にあたっては、個人情報および著作権への配慮が必要であることを知っている。3前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
目的や対象者に応じて適切なツールや手法を用いて正しく情報発信(プレゼンテーション)できる。3前14,前15
態度・志向性(人間力)態度・志向性態度・志向性周囲の状況と自身の立場に照らし、必要な行動をとることができる。2前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
自らの考えで責任を持ってものごとに取り組むことができる。2前4,前5,前6,前8,前9,前10,前11,前12
チームで協調・共同することの意義・効果を認識している。3前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13
チームで協調・共同するために自身の感情をコントロールし、他者の意見を尊重するためのコミュニケーションをとることができる。3前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13
当事者意識をもってチームでの作業・研究を進めることができる。3前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13
チームのメンバーとしての役割を把握した行動ができる。3前4,前5,前6,前7,前8,前9,前10,前11,前12,前13

評価割合

レポート等課題発表合計
総合評価割合955100
化学工学実験の到達目標955100