有機化学Ⅰ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和05年度 (2023年度)
授業科目 有機化学Ⅰ
科目番号 2023-625 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 2
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 化学(東京書籍)、クライン有機化学上(東京化学同人)、分子模型
担当教員 青山 陽子

到達目標

以下に示す8項目について修得する。
(1) Lewis 構造式 (2) 形式電荷 (3) 原子の混成軌道 (4) 有機化合物の表記法 (5) 酸・塩基 (6) Newman 投影式 (7) シクロヘキサンの立体配座 (8) 立体異性の表記法

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1□オクテット則を満たすように、有機化合物のLewis構造式を書ける。□小さな分子のLewis構造式を書ける。□小さな分子のLewis構造式を書けない。
評価項目2□Lewis 構造式中に必要な形式電荷を書き込むことが出来る。□原子が適切な価電子数を持たないときに形式電荷が生じることを理解できる。□原子が適切な価電子数を持たないときに形式電荷が生じることを理解できる。
評価項目3□sp3,sp2,sp混成軌道について理解し、その形が描ける。またシグマ結合、π結合の形成について説明できる。□sp3,sp2,sp混成軌道について理解し、シグマ結合、パイ結合が何を示しているか理解できる。□sp3,sp2,sp混成軌道について理解できない。
評価項目4□有機化合物の三次元的な構造をくさびや破線を用いた線結合構造式で表すことが出来る。□簡単な構造の有機化合物を線結合構造式で表すことが出来る。□簡単な構造の有機化合物を線結合構造式で表すことが出来る。
評価項目5□共役塩基の安定性を比べるときに4つの要因を考慮し、相対的な酸の強さを推定できる。□pKaの値から、相対的な酸の強さを推定できる。□pKaの値から、相対的な酸の強さを推定できない。
評価項目6□Newman投影式でアンチ、ゴーシュ、エクリプスの立体配座と安定性を説明できる。。□エタンのC-C結合のまわりの立体配座をNewman投影式で描ける。□Newman投影式が理解できない。
評価項目7□置換基を持つシクロヘキサンの安定性について理解できる。□シクロヘキサンの椅子形と舟形の立体配座の違いを理解でき、どちらが安定か説明できる。□シクロヘキサンの椅子形と舟形が描けない。
評価項目8□R,S表記によるエナンチオマーの命名ができる。□1つの不斉中心を持つ化合物は2つのエナンチオマーが立体的に書ける。□1つの不斉中心を持つ化合物が2つの立体異性体を持つことが理解できない。

学科の到達目標項目との関係

【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
有機化合物は生体を構成している重要な物質であり、身の回りの様々な製品も有機化合物で出来ている。大学の教科書を用いて原子の構造や原子軌道、酸と塩基の定義、有機化合物の構造や空間的配置を学ぶ。
授業の進め方・方法:
クライン有機化学(上)を用い、大学の有機化学の導入部を学習する。小テストや課題は理解度を確かめるために、授業中に適宜行う予定である。
注意点:
教科書の章末問題や問題集の問題は、積極的に自ら取り組み理解を確実なものにすること。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 シラバスの説明と一般化学の概説(クライン有機化学上 第1章) 原子の構造、原子軌道、オクテット則、ルイス構造式について理解できる。
2週 分子やイオン中の各原子の形式電荷を決めることができる。
3週 sp3, sp2, sp混成軌道を理解し、σ結合、π結合について説明できる。
4週 分子の表記法(クライン有機化学上 第1章第2節) 分子構造を書く表記法の種類を知り、線結合構造式を書けるようになる。
5週 巻矢印を使って共鳴構造式を書き、電子の非局在化を説明できる。
6週 酸と塩基(クライン有機化学上 第3章) Bronsted-Lowry、Lewisによる酸、塩基の定義を知る。また、共役酸、共役塩基が何かを説明できる。
7週 pKa, pHが何を示しているか理解でき、酸・塩基の相対的強さを構造から予想できる。
8週 アルカンとシクロアルカン(クライン有機化学上 第4章) アルカン、シクロアルカンのIUPAC命名(英語)ができる。
4thQ
9週 エタンのC-C結合のまわりの立体配座をNewman投影式で描ける。
10週 シクロヘキサンの椅子形と舟形の立体配座の違いを理解でき、どちらが安定か説明できる。
11週 シクロヘキサンのアキシアル結合とエクアトリアル結合が図示でき、二置換体のシスとトランス異性体が理解できる。
12週 立体異性(クライン有機化学上 第5章) アルケンのシス・トランス、E・Z表記による命名ができる。
13週 RS表記によるエナンチオマーの命名ができる。
14週 Fischer投影式による立体配置を表示する構造式を書ける。
15週 まとめ
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力自然科学化学(一般)化学(一般)代表的な金属やプラスチックなど有機材料について、その性質、用途、また、その再利用など生活とのかかわりについて説明できる。3後1
洗剤や食品添加物等の化学物質の有効性、環境へのリスクについて説明できる。3後1,後9
原子の構造(原子核・陽子・中性子・電子)や原子番号、質量数を説明できる。3後3
原子の電子配置について電子殻を用い書き表すことができる。3
価電子の働きについて説明できる。3
共有結合について説明できる。3後1,後3,後4,後13,後14
構造式や電子式により分子を書き表すことができる。3後3,後10,後14
化学反応を反応物、生成物、係数を理解して組み立てることができる。3後5,後6
化学反応を用いて化学量論的な計算ができる。3後5,後6
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。3後1,後2,後3,後4,後8
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。2後4,後6,後8
σ結合とπ結合について説明できる。3後3
混成軌道を用い物質の形を説明できる。3後3
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。3後5
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。3後3
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。2後1,後5
共鳴構造について説明できる。2後5
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。2後8
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。3後9,後10,後11,後12,後13,後14
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。3後10,後11,後12,後13
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。3後9,後10,後11,後12,後13,後14
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。2後6,後7
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。2後7
高分子化合物がどのようなものか説明できる。1後9

評価割合

試験小テスト、課題等相互評価態度ポートフォリオ合計
総合評価割合70300000100
基礎的能力70300000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000