有機化学Ⅴ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 有機化学Ⅴ
科目番号 2024-553 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 履修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 高分子科学 ー合成から物性まで 著:東信行,松本章一,西野孝 講談社
担当教員 山根 説子

到達目標

1. 高分子の定義、高分子の分子量および、形から発現する一般的な性質が説明できる。
2. 高分子合成反応(逐次重合、連鎖重合、開環重合、高分子の化学反応)に適した条件、モノマー、高分子が分類でき、反応機構が説明できる。
3. ラジカル共重合が説明でき、モノマーの組合せから共重合体の性質が推定できる。
4. 高分子の溶液中での大きさ、溶解しやすさが説明でき、分子量測定法とその原理が答えられる。
5. 高分子の一般的な熱的性質、力学的性質が説明できる。
6. 機能性高分子の性質、機能が説明できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1□ 逐次重合で得られる高分子の合成方法を例を挙げて説明できる。□ 逐次重合で得られる代表的な高分子の合成方法が理解できる。□ 逐次重合で得られる代表的な高分子の合成方法が理解できない。
評価項目2□ 連鎖重合で得られる高分子の合成方法を例を挙げて説明できる。□ 連鎖重合で得られる代表的な高分子の合成方法が理解できる。□ 連鎖重合で得られる代表的な高分子の合成方法が理解できない。
評価項目3□ 平均分子量の種類と分子量分布について、その測定方法も合わせて説明できる。□ 平均分子量の種類と分子量分布について理解できる。□ 平均分子量の種類と分子量分布について理解できない。
評価項目4□ 高分子の構造と熱的性質の関係を説明できる。□ 高分子の構造と熱的性質の関係を理解できる。□ 高分子の構造と熱的性質の関係を理解できない。

学科の到達目標項目との関係

教育方法等

概要:
私達の生活の必需品である高分子材料の原料は石油資源の約20%を占め、ポリエチレンの原料であるエチレンだけでも毎年約百万トン生産されている。本科目では高分子の概念から始まり、高分子の重合方法、溶解、熱的性質、力学的性質など高分子を扱う上で必要な性質について解説する。
授業の進め方・方法:
授業は講義形式で行います。
課題の内容、提出方法、提出期限は授業内で連絡します。
演習の範囲、実施日は授業内で連絡します。
注意点:
演習の予定、範囲は変更することがあります。
評価については、評価割合に従って行います。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス 
高分子の定義
高分子の定義を説明できる。
2週 立体規則性、平均分子量と分子量分布 高分子の立体規則性が説明できる。
高分子の平均分子量の求め方を説明できる。
3週 高分子合成1-逐次重合
重縮合、重付加、付加縮合
逐次重合である、重縮合、重付加、付加重合がどのような反応か説明できる。
4週 高分子合成2-逐次重合
重縮合、重付加、付加縮合
逐次重合である、重縮合、重付加、付加重合がどのような反応か説明できる。
逐次重合の数平均重合度と反応率の関係を説明できる。
5週 高分子合成3ー連鎖重合
ラジカル重合
連鎖重合の反応機構(開始反応、成長反応、停止反応)が説明できる。
6週 高分子合成4-連鎖重合
アニオン重合、カチオン重合
アニオン重合、カチオン重合を起こしやすい代表的なモノマー、開始剤がわかり、それぞれの重合の反応機構を書ける。
7週 高分子合成5-連鎖重合
アニオン重合、カチオン重合、演習
アニオン重合、カチオン重合を起こしやすい代表的なモノマー、開始剤がわかり、それぞれの重合の反応機構を書ける。
8週 高分子合成6-連鎖重合
配位重合、開環重合
触媒を用いた重合を説明できる。
開環重合を説明できる。
2ndQ
9週 高分子の溶液1 高分子溶液の性質を説明できる。
10週 高分子の溶液2 高分子の平均分子量の測定方法の種類とその原理を説明できる。
11週 高分子の状態変化1
結晶・非晶・ガラス転移点
結晶性高分子と非晶高分子の違い、ガラス転移点について説明できる。
12週 高分子の状態変化2
結晶・非晶・ガラス転移点
高分子固体の力学的性質について説明できる。
13週 高分子の状態変化3
結晶・非晶・ガラス転移点
高分子の粘弾性、ゴム弾性について説明できる。
14週 機能性高分子 代表的な電導性高分子、生体材料について例を挙げて説明できる。
15週 まとめ
試験返却
授業アンケート
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
専門的能力分野別の専門工学化学・生物系分野有機化学有機物が炭素骨格を持つ化合物であることを説明できる。4前1,前3,前4,前5,前6,前7,前8
代表的な官能基を有する化合物を含み、IUPACの命名法に基づき、構造から名前、名前から構造の変換ができる。4前1,前3,前4,前5,前6,前7,前8
σ結合とπ結合について説明できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8
混成軌道を用い物質の形を説明できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8
誘起効果と共鳴効果を理解し、結合の分極を予測できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8
σ結合とπ結合の違いを分子軌道を使い説明できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8
ルイス構造を書くことができ、それを利用して反応に結びつけることができる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8
共鳴構造について説明できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8
炭化水素の種類と、それらに関する性質および代表的な反応を説明できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8
芳香族性についてヒュッケル則に基づき説明できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8
分子の三次元的な構造がイメージでき、異性体について説明できる。4前2
構造異性体、シスートランス異性体、鏡像異性体などを説明できる。4前2
化合物の立体化学に関して、その表記法により正しく表示できる。4前2,前8
代表的な官能基に関して、その構造および性質を説明できる。4前3,前4,前6,前7
それらの官能基を含む化合物の合成法およびその反応を説明できる。4前3,前4,前6,前7
代表的な反応に関して、その反応機構を説明できる。4前3,前4,前6,前7
高分子化合物がどのようなものか説明できる。4前1,前2,前9,前10,前11,前12,前13,前14
代表的な高分子化合物の種類と、その性質について説明できる。4前2,前9,前10,前11,前12,前13,前14,前15
高分子の分子量、一次構造から高次構造、および構造から発現する性質を説明できる。4前2,前11,前12,前13
高分子の熱的性質を説明できる。4前11,前12,前13
重合反応について説明できる。4前3,前4,前7
重縮合・付加重合・重付加・開環重合などの代表的な高分子合成反応を説明でき、どのような高分子がこの反応によりできているか区別できる。4前3,前4
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の反応を説明できる。4前5,前6,前7,前8
ラジカル重合・カチオン重合・アニオン重合の特徴を説明できる。4前5,前6,前7,前8
電子論に立脚し、構造と反応性の関係が予測できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8
反応機構に基づき、生成物が予測できる。4前3,前4,前5,前6,前7,前8

評価割合

定期試験演習課題合計
総合評価割合504010100
専門的能力504010100