物理化学Ⅲ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 物理化学Ⅲ
科目番号 0001 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 1
開設学科 物質工学科 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 1
教科書/教材 「アトキンス物理化学要論 第5版」千原・稲葉訳 東京化学同人
担当教員 稲津 晃司

到達目標

1. 原子オービタルから簡単な分子の分子オービタルを組み立てることができる。
2.分子のエネルギー準位図から発光・吸光スペクトルの波長や振動数が計算できる。
3.簡単な直鎖および環状ポリエンの分子オービタルと軌道エネルギーを計算できる。
4.HOMOやLUMOの波動関数が与えられたら分子の反応性が予測できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1. 原子オービタルから簡単な分子の分子オービタルを組み立てることができる。□化学結合の量子化学的表現の種類を具体例をあげて説明できる。 □重ね合わせの原理と変分法に基づく分子オービタルの表現を数式を用いて導出し表現できる。□化学結合の量子化学的表現の種類を説明できる。 □重ね合わせの原理と変分法に基づく分子オービタルの表現ができる。□化学結合の量子化学的表現の種類を説明できない。 □重ね合わせの原理と変分法に基づく分子オービタルの表現ができない。
2.分子のエネルギー準位図から発光・吸光スペクトルの波長や振動数が計算できる。□分子のエネルギーを図示して数式を用いながら説明できる。 □電子遷移によるエネルギーの授受を発光・吸光スペクトルのピークの出現と関連付けてエネルギー計算ができる。□分子のエネルギーを図示して説明できる。 □電子遷移によるエネルギーの授受と発光・吸光スペクトルのピークのエネルギー計算ができる。□分子のエネルギーを図示して説明できない。 □電子遷移によるエネルギーの授受と発光・吸光スペクトルのピークのエネルギー計算ができない。
3.簡単な直鎖および環状ポリエンの分子オービタルと軌道エネルギーを計算できる。□単純ヒュッケル分子軌道法による分子オービタルの波動関数とエネルギー準位の決定ができ,分子図を作成することができる。 □分子オービタルの種類と性質を単純ヒュッケル法による計算結果と合わせて定量的に説明できる。□単純ヒュッケル分子軌道法による分子オービタルの波動関数とエネルギー準位の決定ができる。 □分子オービタルの種類と性質を単純ヒュッケル法による計算結果と合わせて説明できる。□単純ヒュッケル分子軌道法による分子オービタルの波動関数とエネルギー準位の決定ができない。 □分子オービタルの種類と性質を単純ヒュッケル法による計算結果と合わせて説明できない。
4.HOMOやLUMOの波動関数が与えられたら分子の反応性が予測できる。□HOMOとLUMOの性質をあげ,分子の反応性との関連を具体的な反応や実験方法をあげて説明できる。 □分子の反応性と性質をHOMO-LUMOのエネルギー準位差にもとづいて定量的に説明できる。□HOMOとLUMOの性質をあげ,分子の反応性との関連を説明できる。 □分子の反応性と性質をHOMO-LUMOのエネルギー準位差にもとづいて説明できる。□HOMOとLUMOの性質をあげ,分子の反応性との関連を説明できない。 □分子の反応性と性質をHOMO-LUMOのエネルギー準位差にもとづいて説明できない。

学科の到達目標項目との関係

【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる

教育方法等

概要:
物質工学科本科における科目「物理化学」の目標は、物理化学の基礎を理解し、基本的な計算ができるようになることである。物理化学I,IIでは,化学熱力学とその化学への応用および速度論の基礎,原子の性質の量子論的理解について学んだ。本科目では、分子の性質に関わる基本的な量子化学的な取り扱いとその応用として重要な分光法についての基本を演習などを通じながら理解する。
授業の進め方・方法:
授業は講義中心で進め,必要に応じて授業内で口頭試問を行う.また,学習内容の重要度や区切りに応じて確認演習を行う.
授業内容は,化学と生物の必須基礎としての物理化学の基本を,原子と単純な分子の量子化学的表現およびその応用としての分光法について取り扱う.
注意点:
1.試験や課題レポート等は、JABEE 、大学評価・学位授与機構、文部科学省の教育実施検査に使用することがあります。
2.授業参観される教員は当該授業が行われる少なくとも1週間前に教科目担当教員へ連絡してください。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス:前期量子論と原子構造の復習 ・「物理化学II」での教育目標・授業概要・評価方法等を理解するとともに,既習の量子論への理解を確かめる.
2週 多電子原子の構造 ・オービタル近似について説明できる.
・遮蔽と浸透について説明できる.
3週 化学結合1 ・ポテンシャルエネルギー曲線を描き,二粒子から成る系のエネルギー準位を説明できる.
4週 化学結合2 ・原子価結合法について説明できる.
・オービタルの混成と昇位について波動関数を用いて説明できる.
5週 化学結合3 ・分子軌道法について説明できる.
・LCAO近似について説明できる.
6週 化学結合4 ・等核二原子分子および異核二原子分子の構造とエネルギー準位を説明できる.
7週 化学結合5 ・単純ヒュッケル法を用いて簡単な有機分子の波動関数とエネルギー準位を求めることができる.
8週 中間試験 ・分子の量子化学的取扱いに必要な基礎事項について計算と説明ができる.
・分子軌道法を用いて等核二原子分子から簡単な有機化合物について波動関数,エネルギー準位およびオービタルを求め,説明することができる.
2ndQ
9週 分光法:電子遷移1 ・紫外可視近赤外分光について計算し,スペクトルの説明ができる.
10週 分光法:電子遷移2 ・蛍光とリン光を生じる電子遷移について説明できる.
・フランクーコンドンの原理を説明できる.
11週 分光法:振動遷移1 ・分子の振動にともなうエネルギーの授受を図を用いて説明できる.
12週 分光法:振動遷移2 ・振動スペクトルの解釈と計算ができる.
13週 分光法:回転遷移1 ・分子の回転に伴うエネルギーの授受について,波動関数を用いて説明できる.
14週 分光法:回転遷移2 ・回転スペクトルおよび回転−振動スペクトルの解釈と計算ができる.
15週 期末試験 ・多電子原子,分子の量子化学的表現ができる.
・単純ヒュッケル法を用いたエネルギー準位の計算ができる.
・回転,振動,電子遷移スペクトルの解釈と計算ができる.
16週 基礎量子化学のまとめ ・微視的な系の取扱に必要な概念と計算ができる.
・応用技術としての分光法にかかる計算ができる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合75200500100
基礎的能力75200500100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000