有機化学Ⅲ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 有機化学Ⅲ
科目番号 0003 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 Paula Y. Bruice 著 「ブルース有機化学概説第2版」 化学同人
担当教員 青山 陽子

到達目標

1. 芳香族性の定義、一般的性質を理解し、ベンゼンの求電子置換反応、および置換基の効果による配向性が説明できる。
2. ハロゲン化アルキルのSN2反応、SN1反応、E1反応、E2反応の違いを理解し、反応機構が説明できる。
3. アルコール、エーテルが命名でき、一般的な性質、合成方法、および反応が説明できる。
4. カルボン酸、カルボン酸誘導体、アルデヒド、ケトンが命名でき、一般的な反応と生成物、およびそれぞれの反応性の違いが説明できる。
5. 質量分析法、赤外分光法、NMRの原理が説明できる。
6. 糖の分類、および還元末端が認識でき、直鎖状から環状ヘミアセタールの構造が表記できる。
7. 有機化合物(芳香族、ハロゲン化アルキル,アルコール、エーテル、カルボン酸、カルボン酸誘導体、アルデヒド、ケトン)のいずれかの有機化学反応が説明できる。 (C1-2)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1□芳香族性の定義を理解し、芳香族化合物の一般的な性質、および命名法が説明でき、さらにベンゼン誘導体の誘起効果と共鳴効果が説明できる。 □ベンゼンの一般的な配向性、および置換基の化学的変換手法が答えられ、ベンゼンの置換基の効果から反応が説明でき、さらに置換ベンゼンの合成経路を組み立てられる。□芳香族性の定義を理解し、芳香族化合物の一般的な性質、および命名法が説明できる。 □ベンゼンの一般的な配向性が答えられ、ベンゼンの置換基の効果から反応が説明できる。 □芳香族性の定義を理解できず、芳香族化合物の一般的な性質、および命名法が説明できない。 □ベンゼンの一般的な配向性が答えられず、ベンゼンの置換基の効果から反応が説明できない。
評価項目2□ハロゲン化アルキルのSN2反応、SN1反応、E1反応、E2反応の違いを理解し、反応機構が説明でき、さらに反応物、反応条件から生成物が推定できる。□ハロゲン化アルキルのSN2反応、SN1反応、E1反応、E2反応の違いを理解し、反応機構が説明できる。□ハロゲン化アルキルのSN2反応、SN1反応、E1反応、E2反応の違いを理解できず、反応機構が説明できない。
評価項目3□アルコール、エーテルが命名でき、一般的な性質、合成方法、および反応が説明でき、さらにエポキシドの求核置換反応が推定できる。□アルコール、エーテルが命名でき、一般的な性質、合成方法、および反応が説明できる。□アルコール、エーテルが命名できず、一般的な性質、合成方法、および反応が説明できない。
評価項目4□カルボン酸、カルボン酸誘導体、アルデヒド、ケトンが命名でき、一般的な反応と生成物、およびそれぞれの合成方法、反応性の違いが説明でき、さらに反応条件から選択的反応を推定できる。 □カルボニル化合物のα水素が酸性であり、塩基との反応により生成したエノラートイオンが求電子剤との反応により置換反応することが説明でき、さらにアルドール、クライゼンなどの縮合が説明できる。□カルボン酸、カルボン酸誘導体、アルデヒド、ケトンが命名でき、一般的な反応と生成物、およびそれぞれの反応性の違いが説明できる。 □カルボニル化合物のα水素が酸性であり、塩基との反応により生成したエノラートイオンが求電子剤との反応により置換反応することが説明できる。□カルボン酸、カルボン酸誘導体、アルデヒド、ケトンが命名できず、一般的な反応と生成物、およびそれぞれの反応性の違いが説明できない。 □カルボニル化合物のα水素が酸性であり、塩基との反応により生成したエノラートイオンが求電子剤との反応により置換反応することが説明できない。
評価項目5□質量分析法、赤外分光法、NMRの原理が説明でき、分子式とスペクトルから有機化合物の構造が推定できる。□質量分析法、赤外分光法、NMRの原理が説明できる。□質量分析法、赤外分光法、NMRの原理が説明できない。
評価項目6□糖の分類、および還元末端が認識でき、直鎖状から環状ヘミアセタールの構造が表記でき、さらに炭素鎖の伸張反応が答えられる。□糖の分類、および還元末端が認識でき、直鎖状から環状ヘミアセタールの構造が表記できる。□糖の分類、および還元末端が認識できず、直鎖状から環状ヘミアセタールの構造が表記できない。
評価項目7□有機化合物(芳香族、ハロゲン化アルキル,アルコール、エーテル、カルボン酸、カルボン酸誘導体、アルデヒド、ケトン)のいずれかの有機化学反応がおおむね説明できる。□有機化合物(芳香族、ハロゲン化アルキル,アルコール、エーテル、カルボン酸、カルボン酸誘導体、アルデヒド、ケトン)のいずれかの有機化学反応がほぼ説明できる。□有機化合物(芳香族、ハロゲン化アルキル,アルコール、エーテル、カルボン酸、カルボン酸誘導体、アルデヒド、ケトン)のいずれかの有機化学反応がおおむね説明できる。

学科の到達目標項目との関係

実践指針 (C1) 説明 閉じる
実践指針のレベル (C1-2) 説明 閉じる
【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる
【プログラム学習・教育目標 】 C 説明 閉じる

教育方法等

概要:
有機化学は化学の根幹をなす分野の一つであり,生命はもとより材料においてもその知識が必要とされる。本講義では,有機化学の基礎的事項を理解することから始まり,有機化合物を官能基で分類し,それぞれの性質や合成法について学習を進める。 化学反応の反応機構を電子論の立場から理解し、各種反応から導かれる構造を推測できる力を養う。
授業の進め方・方法:
授業の進め方は、講義のほか理解度を確認するため小テストを授業の初めに適宜行う。
注意点:
1.試験や課題レポート等は、JABEE 、大学評価・学位授与機構、文部科学省の教育実施検査に使用することがあります。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス他
2週 芳香族性、芳香族の定義 芳香族化合物の命名、構造、共鳴、ヒュッケル則について理解できる。
3週 ベンゼンの反応 芳香族のハロゲン化、ニトロ化、スルホン化、フリーデルクラフツ反応について理解できる。
4週 置換基の効果 芳香族の反応性、電子効果、配向性について理解できるようにする
5週 ハロゲン化アルキルの置換反応と脱離反応: SN2反応機構 ハロゲン化アルキルの置換反応SN2反応について理解できる。
6週 ハロゲン化アルキルの置換反応と脱離反応: SN1反応機構 ハロゲン化アルキルの置換反応SN1反応について理解できる。
7週 ハロゲン化アルキルの置換反応と脱離反応: 脱離反応 ハロゲン化アルキルの脱離反応E1,E2反応について理解できる。
8週 前期中間試験
2ndQ
9週 試験答案返却と解説
10週 アルコール・アミン・エーテル・エポキシドの反応: アルコールの命名、置換反応 アルコール類の命名法、合成法、置換反応について理解できる。
11週 アルコール・アミン・エーテル・エポキシドの反応: アルコールの脱離反応、酸化反応 アルコール類の脱離反応、酸化反応について理解できる。
12週 アルコール・アミン・エーテル・エポキシドの反応: エーテルの命名、置換反応 エーテルの命名法、合成法、置換反応が理解できる。
13週 カルボニル化合物Ⅰ: アルデヒド・ケトンの反応① アルデヒド、ケトンの物理・化学的性質、合成方法を理解できる。
14週 カルボニル化合物Ⅰ: アルデヒド・ケトンの反応② アルデヒド、ケトンの反応性を理解できる。
15週 カルボニル化合物Ⅰ: アルデヒド・ケトンの反応③ アルデヒド、ケトンの反応性を理解できる。
16週 試験答案返却と説明
後期
3rdQ
1週 カルボニル化合物Ⅱ: カルボン酸とカルボン酸誘導体の反応① カルボン酸、カルボン酸誘導体の命名、合成方法を理解できる。
2週 カルボニル化合物Ⅱ: カルボン酸とカルボン酸誘導体の反応② 酸無水物、エステルの反応について理解できる。
3週 カルボニル化合物Ⅱ: カルボン酸とカルボン酸誘導体の反応③ エステル、アミドの化学について理解できる。
4週 カルボニル化合物Ⅲ: α炭素上での反応① ケト-エノール互変異性 エノールとエノラートイオンについて理解できる。
5週 カルボニル化合物Ⅲ: α炭素上での反応② アルドール付加 アルドール縮合反応について理解する
6週 カルボニル化合物Ⅲ: α炭素上での反応③ Claisen縮合 クライゼン縮合反応について理解する。
7週 後期中間試験
8週 試験答案返却と説明
4thQ
9週 カルボニル化合物 アルデヒド・ケトン・カルボン酸・ニトリル・カルボン酸誘導体についての理解を深める。
10週 カルボニル化合物 アルデヒド・ケトン・カルボン酸・ニトリル・カルボン酸誘導体についての理解を深める。
11週 質量分析(MS)法有機化合物の構造決定 質量分析(MS)法について学び理解できる。
12週 有機化合物の構造決定: 赤外(IR)分光法 赤外スペクトルについて学び理解できる。
13週 有機化合物の構造決定: 核磁気共鳴(NMR)分光法 プロトン核磁気共鳴スペクトルの解析方法を理解できるようにする
14週 有機化合物の構造決定 MS,IR,NMRを用いて未知の化合物の構造を決定できる。
15週 学年末試験
16週 試験答案返却、授業アンケート

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験小テスト相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力80200000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000