物理化学Ⅱ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 2017
授業科目 物理化学Ⅱ
科目番号 0004 科目区分 専門 / 必修
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 1
教科書/教材 「アトキンス物理化学要論 第6版」稲葉・千原訳 東京化学同人
担当教員 稲津 晃司

到達目標

1. 純物質および混合物の変化について化学熱力学を用いた定量的な取り扱いができる。
2.化学平衡を化学熱力学の観点から理解して,計算することができる。
3.電磁波と粒子の性質を量子化の概念を含めて理解し,エネルギー等を計算できる。
4.基礎量子論を用いて簡単な原子の構造とエネルギー準位について計算例をあげて説明できる。(C1-3)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 純物質および混合物の変化について化学熱力学を用いた定量的な取り扱いができる。□純物質の相変化を化学ポテンシャルを用いる計算によって,温度依存性と圧力依存性を含めて説明できる。 □混合を熱力学的に説明し,成分の蒸気圧を種々の溶液について計算できる。 □溶液の束一的性質について計算を用いて,予測し,説明できる。□純物質の相変化を化学ポテンシャルを用いる計算によって説明できる。 □混合を熱力学的に説明し,成分の蒸気圧を計算できる。 □溶液の束一的性質について計算を用いた説明ができる。□純物質の相変化を化学ポテンシャルを用いる計算によって説明できない。 □混合を熱力学的に説明し,成分の蒸気圧を計算できない。 □溶液の束一的性質について計算を用いた説明ができない。
評価項目2 化学平衡を化学熱力学の観点から理解して,計算することができる。□複数成分が関与する反応ギブズエネルギーを計算できる。 □熱力学的平衡定数を異なる温度で計算し,反応エンタルピーや反応の特長を説明できる。 □ルシャトリエの原理を正しく説明し,熱力学的解釈を与えられる。□単純な反応ギブズエネルギーを計算できる。 □熱力学的平衡定数を異なる温度で計算できる。 □ルシャトリエの原理を正しく説明できる。□単純な反応ギブズエネルギーを計算できない。 □熱力学的平衡定数を異なる温度で計算できない。 □ルシャトリエの原理を正しく説明できない。
評価項目3 電磁波と粒子の性質を量子化の概念を含めて理解し,エネルギー等を計算できる。 □エネルギーの量子化を黒体放射について数式を用いて説明できる。 □ボーアの振動条件と関連付けた種々の光量子のエネルギー,波長,振動数,波数を計算することができる。 □量子スケールの物質の運動に関する計算が正しく行える。□エネルギーの量子化を説明できる。 □種々の光量子のエネルギー,波長,振動数,波数を計算することができる。 □物質波長やエネルギーおよび不確定性原理に基づく計算をほぼ正しく行える。□エネルギーの量子化を説明できない。 □種々の光量子のエネルギー,波長,振動数,波数を計算することができない。 □物質波長やエネルギーおよび不確定性原理に基づく計算を正しく行えない。
評価項目4 基礎量子論を用いて簡単な原子の構造と粒子のエネルギー準位について計算例をあげて説明できる。(C1-3) □シュレーディンガーの波動方程式を用いた水素原子の複数の軌道の波動関数を計算例をあげて説明できる。 □トンネル現象を計算により説明ができる。□シュレーディンガーの波動方程式を用いた水素原子の1s軌道の波動関数を計算例をあげて説明できる。 □一次元井戸型ポテンシャルモデルによるエネルギー準位を計算により説明できる。□シュレーディンガーの波動方程式を用いた水素原子の1s軌道の波動関数を計算例をあげて説明できない。 □一次元井戸型ポテンシャルモデルによるエネルギー準位を計算により説明できない。

学科の到達目標項目との関係

実践指針 (C1) 説明 閉じる
実践指針のレベル (C1-3) 説明 閉じる
【本校学習・教育目標(本科のみ)】 3 説明 閉じる
【プログラム学習・教育目標 】 C 説明 閉じる

教育方法等

概要:
化学と生物の理解において最も重要な基礎となる事柄を,物理化学という分野・科目として捉え,物質工学科の本科課程の学習内容,現代化学を理解する基礎を涵養する。本科目では,物理化学Iに引き続いて,物質の成り立ちと変化を理解するための学習内容として,基礎化学熱力学および化学平衡を学習するとともに,原子および分子レベルで物質の性質や変化の理解の基礎となる量子化学の基礎を学ぶ。また,これを各専門科目と関連付けて応用する。学習内容はナノテクノロジーをはじめとする現代科学技術の基礎の理解に役立つ。
授業の進め方・方法:
授業は講義中心で進め,必要に応じて授業内で口頭試問を行う.また,学習内容の重要度や区切りに応じて確認演習を行う.
授業内容は,化学と生物の必須基礎としての物理化学の基本を,おもに混合物とその変化についての化学熱力学と前期量子論を含めた原子の量子化学的表現について取り扱う.
注意点:
1.試験や課題レポート等は、JABEE 、大学評価・学位授与機構、文部科学省の教育実施検査に使用することがあります。
2.授業参観される教員は当該授業が行われる少なくとも1週間前に教科目担当教員へ連絡してください。
3.(*実践指針)が標準基準(6割)以上で、かつ科目全体で60点以上の場合に合格とする。評価基準については、成績評価基準表(ルーブリック)による。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 前期ガイダンス ・「物理化学II」での教育目標・授業概要・評価方法等を理解するとともに,既習の化学熱力学関数の理解を確かめる.
2週 第二法則:復習 ・種々の過程についてのエントロピー変化の計算ができる.
・ギブズエネルギーの定義を説明できる.
3週 純物質の相平衡1 ・相転移を化学熱力学の観点から説明できる.
4週 純物質の相平衡2 ・純物質の相図について平衡状態を勘案した化学熱力学の観点から説明できる.
5週 混合物の性質1 ・部分モル量の概念と基本的な例示を計算とともにできる.
6週 混合物の性質2 ・混合という現象を化学熱力学の観点から説明し,計算できる.
7週 混合物の性質3 ・溶液の束一的性質を化学熱力学の観点から説明できる.
8週 前期中間試験 ・純物質の物理的変態についての化学熱力学計算ができる.
・単純な混合物についての化学熱力学計算ができる.
2ndQ
9週 純物質の物理的変態と単純な混合物:復習 ・純物質の物理的変態と単純な混合物を化学熱力学の観点から説明ができる.
10週 化学平衡1 ・自発的な反応と平衡状態を化学熱力学的に説明できる.
11週 化学平衡2 ・温度と圧力が化学平衡に及ぼす影響について計算できる.
12週 化学平衡3 ・系の組成が化学平衡に及ぼす影響について計算し,説明できる.
13週 化学平衡4 ・溶液の化学平衡についての計算ができる.
14週 化学平衡:まとめの演習 ・化学平衡に関する熱力学計算ができる.
15週 前期末試験 ・異相,異成分,化学反応を含む種々の混合物についての化学熱力学計算ができる.
16週 相平衡と化学平衡:復習 ・混合物と化学反応についての平衡を化学熱力学的に説明できる.
後期
3rdQ
1週 後期ガイダンス ・量子化学の位置付けと現代科学技術における重要性を理解する.
2週 量子論:序論と原理1 ・電磁波と量子力学の起源,黒体放射について簡単に説明できる.
3週 量子論:序論と原理2 ・古典物理学の破綻について簡単な例示をしながら説明できる.
4週 量子論:序論と原理3 ・波と粒子の二重性について説明できる.
5週 量子論:序論と原理4 微視的な系の力学の表現方法としてのシュレーディンガーの波動方程式を示すことができる.
6週 量子論:序論と原理5 ・箱の中の粒子についてシュレーディンガーの波動方程式を用いて波動関数とエネルギー準位の計算ができる.
7週 量子論:序論と原理6 ・ボルンの解釈と不確定性原理について計算を用いて説明できる.
8週 後期中間試験 ・エネルギーとしての電磁波と微視的な系の取扱いにおける計算ができる.
・微視的な系の動力学を数式を用いて例示することができる.
4thQ
9週 原子構造1 ・水素型原子のスペクトルを説明し,計算で示せる.
10週 原子構造2 ・水素原子の量子化学的取扱いによるエネルギー準位の導出ができる.
11週 原子構造3 ・水素原子の波動関数をその導出過程を含めて理解し,量子数の説明ができる.
12週 多電子原子1 ・水素型原子と他電子原子の量子化学的取扱いにおける差異を説明できる.
13週 多電子原子2 ・振盪と遮蔽について説明できる.
14週 原子の性質の周期性 ・イオン化エネルギーと電子親和力について量子化学的に説明できる.
15週 学年末試験 ・シュレーディンガーの波動方程式を用いて原子のエネルギー準位の表現ができる.
・原子スペクトルの量子化学的説明ができる.
・オービタル近似が説明できる.
16週 基本的な量子論のまとめ 電磁波,電子,原子の量子化学的な取扱いに必要な概念を説明できる.

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験演習・課題相互評価態度ポートフォリオその他合計
総合評価割合80200000100
基礎的能力80200000100
専門的能力0000000
分野横断的能力0000000