物質工学実験Ⅳ

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 平成29年度 (2017年度)
授業科目 物質工学実験Ⅳ
科目番号 0015 科目区分 専門 / 必修
授業形態 実験・実習 単位の種別と単位数 履修単位: 8
開設学科 物質工学科 対象学年 4
開設期 通年 週時間数 8
教科書/教材 学生実験書
担当教員 芳野 恭士,竹口 昌之,山根 説子

到達目標

1期:化学工学実験:4/10(月) - 6/26(月)
以下に示す5項目について修得する。
1. 伝導伝熱と対流伝熱の原理が理解でき,その応用計算ができる。(E1-3)
2. ガス吸収の原理が理解でき,その応用計算ができる。(E1-3)
3. 物質乾燥の原理が理解でき,その応用計算ができる。(E1-3)
4. ろ過の原理が理解でき,その応用計算ができる。(E1-3)
5. 機械的エネルギー収支式が理解でき,その応用計算ができる。(E1-3)

2期:生物工学実験Ⅰ:6/27(火) - 11/20(月)

3期:生物工学実験Ⅱ:11/21(火) - 2/27(月) 
1. 酵素の反応速度論的解析実験を遂行し、得られた学修成果をレポートにまとめて遅滞なく報告することができる。(E1-3)
2. HPLCを用いて、物質の定量分析実験を遂行し、得られた学修成果をレポートにまとめて遅滞なく報告することができる。(E1-3)
3. 科学的データについて、適当な統計処理法を選択して、解析を行うことができる。

ルーブリック

優秀基準標準基準未到達基準
伝導伝熱と対流伝熱の原理が理解でき,その応用計算ができる。(E1-3)□伝導伝熱と対流伝熱の原理が理解でき,その応用計算ができ,得られた結果を考察できる。□伝導伝熱と対流伝熱の原理が理解でき,その応用計算ができる。□伝導伝熱と対流伝熱の原理が理解でき,その応用計算ができない。
ガス吸収の原理が理解でき,その応用計算ができる。(E1-3)□ガス吸収の原理が理解でき,その応用計算ができ,得られた結果を考察できる。□ガス吸収の原理が理解でき,その応用計算ができる。□ガス吸収の原理が理解でき,その応用計算ができない。
物質乾燥の原理が理解でき,その応用計算ができる。(E1-3)□物質乾燥の原理が理解でき,その応用計算ができ,得られた結果を考察できる。□物質乾燥の原理が理解でき,その応用計算ができる。□物質乾燥の原理が理解でき,その応用計算ができない。
ろ過の原理が理解でき,その応用計算ができる。(E1-3)□ろ過の原理が理解でき,その応用計算ができ,得られた結果を考察できる。□ろ過の原理が理解でき,その応用計算ができる。□ろ過の原理が理解でき,その応用計算ができない。
機械的エネルギー収支式が理解でき,その応用計算ができる。(E1-3)□機械的エネルギー収支式が理解でき,その応用計算ができ,得られた結果を考察できる。□機械的エネルギー収支式が理解でき,その応用計算ができる。□機械的エネルギー収支式が理解でき,その応用計算ができない。
バイオテクニシャンに求められるDNAおよび遺伝子を扱う基本操作を身につける。そのために実験プロトコルを予習した上で実験を遂行する。□各実験テーマにおける実験操作を予習したうえで的確に遂行することができる。□各実験テーマにおける実験操作を予習した上で間違いなく遂行することができる。□各実験テーマにおける実験操作を予習し、遂行することができない。
実験を再現できる報告書としてのレポートを指定された形式で作成し、期限内に提出する。□実験課題に対する報告書を、指示された内容について過不足無く記述するとともに、図や表も用いて詳細を記載し、期限内に提出することができる。□実験課題に対する報告書を、指示された内容について記述し、期限内に提出することができる。□実験課題に対する報告書を、期限内に提出することができない。
形質転換実験について安全上の注意点を理解した上で実験を遂行し、その利点と注意点について考察し、技術の是非をディスカッションできるようになる。□形質転換実験についてカルタヘナ法の内容を理解し安全上の知識を身に付け、それらを説明することができる。実験を正確に遂行し、技術の是非について自分の意見を述べることができる。□形質転換実験について安全上の知識を身に付け、それを説明することができる。また、実験も正確に遂行することができる。□形質転換実験について安全上の知識を身に付けられず、実験も遂行することができない。
4.植物組織培養実験において、実験班チームに課せられた実験プロジェクトを立案実行し、その内容をプレゼンテーションで説明することができる。(E1-3).□植物組織培養の実験プロジェクトについて立案のための自分の意見を出すことができ、実験を遂行することができる。実験結果とともにプロジェクト立案にいたった根拠を過不足なく説明することができる。□植物組織培養の実験プロジェクトについて立案のための自分の意見を出すことができ、実験結果を発表することができる。□植物組織培養の実験プロジェクトについて立案のための自分の意見を出すことができない。また、実験結果についても発表することができない。
酵素の反応速度論的解析実験を遂行し、得られた学修成果をレポートにまとめて遅滞なく報告することができる。(E1-3)□酵素の反応速度論的解析実験を遂行し、得られた学修成果を優れた内容のレポートにまとめて遅滞なく報告することができる。□酵素の反応速度論的解析実験を遂行し、得られた学修成果をレポートにまとめて遅滞なく報告することができる。□酵素の反応速度論的解析実験を遂行し、得られた学修成果をレポートにまとめて遅滞なく報告することができない。
HPLCを用いて、物質の定量分析実験を遂行し、得られた学修成果をレポートにまとめて遅滞なく報告することができる。(E1-3)□HPLCを用いて、物質の定量分析実験を遂行し、得られた学修成果を優れた内容のレポートにまとめて遅滞なく報告することができる。□HPLCを用いて、物質の定量分析実験を遂行し、得られた学修成果をレポートにまとめて遅滞なく報告することができる。□HPLCを用いて、物質の定量分析実験を遂行し、得られた学修成果をレポートにまとめて遅滞なく報告することができない。
科学的データについて、適当な統計処理法を選択して、解析を行うことができる。□科学的データについて、適当な統計処理法を選択して、適切に解析と判断を行うことができる。□科学的データについて、適当な統計処理法を選択して、解析を行うことができる。□科学的データについて、適当な統計処理法を選択して、解析を行うことができない。

学科の到達目標項目との関係

実践指針 (E1) 説明 閉じる
実践指針のレベル (E1-3) 説明 閉じる
【本校学習・教育目標(本科のみ)】 2 説明 閉じる
【プログラム学習・教育目標 】 E 説明 閉じる

教育方法等

概要:
1期:化学工学実験:4/10(月) - 6/26(月)
化学工学実験は,講義により得られた知識を実験により把握することを目的としている。また,本実験では,ある限定された条件下で導かれた理論式が,多元的な因子を含む条件下から導かれた実験値と一致しないことを体験する。さらに,化学工業においては,数人の共同作業によって目的を達成することが多い。技術者として重要な共同作業における連絡,動作,態度などを本実験を通して訓練する。
2期:生物工学実験Ⅰ:6/27(火) - 11/20(月)
遺伝子工学技術を主体とした実験を学ぶことで,これらの技術を応用し,活用する能力を養うことで社会の要求に応えられるようになることを目標とする.
(1) バイオテクニシャンに求められるDNAおよび遺伝子を扱う基本操作を身につける.そのために実験プロトコルを予習した上で実験を遂行する.                          
(2) 実験を再現できる報告書としてのレポート作成を指定された形式でできるようになる.                                           
(3)形質転換実験について安全上の注意点を理解した上で実験を遂行し,その利点と注意点について考察し,技術の是非をディスカッションできるようになる.
(4) 植物組織培養実験において,実験班チームに課せられた実験プロジェクトを立案実行し,その内容をプレゼンテーションで説明することができる.(E1-3).
3期:生物工学実験Ⅱ:11/21(火) - 2/27(月) 
本科目では、酵素反応の速度論的解析の理論と技法を修得する。また、生物工学に必要な機器分析および統計処理技術についても修得する。
授業の進め方・方法:
1期:化学工学実験:4/10(月) - 6/26(月)
2または3名を1班とし,8テーマの実験を行なう.1テーマを4時間演習と4時間実験,計8時間で実施する。評価は各実験100満点とし,は各実験の平均点を1期化学工学実験の評価点とする。
2期:生物工学実験Ⅰ:6/27(火) - 11/20(月)
生物工学実験Ⅰでは、遺伝子を担う物質であるDNAの抽出など取り扱いと利用方法に関する実験を行い、バイオテクニシャンとしてマイクロレベルの実験操作技術を身につける.また,技術のみならず,生命科学の根幹となる物質DNAを扱う実験を通して,技術と社会問題について考察できるように知識を身につける.そのため,遺伝子組換え実験と遺伝子の検出実験を中心に行い,技術によりもたらされるベネフィットと伴うリスクを考察していく内容を踏まえた実験を行う.さらに,他者と協力する実習としてチームでプロジェクトを立案遂行し,実験過程における詳細を,指定された様式のレポートにまとめることでコミュニケーション能力あるいはプレゼンテーション能力を養成する.
3期:生物工学実験Ⅱ:11/21(火) - 2/27(月) 
生体中の化学反応は酵素によって触媒されているが、酵素は生物工学分野での物質生産にも応用され、その活性解析能力は、化学系技術者に必須の能力である。イソクエン酸脱水素酵素を用いて、酵素の取り扱いや活性の測定、反応速度論的解析方法について習熟する。実験の作業計画は各グループごとに立案し、得られたデータの解析結果から、次に行う作業内容を検討していく。従って、実験の進行程度は各グループに任され、誤差の多いデータで先に進まずに、必要に応じて再実験を繰り返すことがある。また、生物工学で多用される機器分析法として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法によるビタミンAの分析を行う。HPLCの原理を理解するとともに、その操作に習熟する。さらに、生物工学に関するデータの処理を適切に行う能力を修得するために、統計処理技術についての演習を行う。
評価方法:
1. 酵素の反応速度論的解析を行う能力、及びHPLCを用いて物質の定量分析を行う能力については、毎回の作業ごとに提出される報告レポートにより評価する。
2. データを統計学的に解析する能力については、演習課題の結果で評価する。
授業目標(1)(E1-3)は標準基準(6割)以上で、かつ科目全体で60点以上の場合に合格とする.
評価基準:
実験報告レポート80%, 統計演習課題20%
なお、物質工学実験Ⅳの評価は、化学工学実験、生物工学実験Ⅰおよび生物工学実験Ⅱのそれぞれの評価点を平均したものを100点満点で評価する。
注意点:
1.試験や課題レポート等は、JABEE 、大学評価・学位授与機構、文部科学省の教育実施検査に使用することがあります。
2.授業参観される教員は当該授業が行われる少なくとも1週間前に教科目担当教員へ連絡してください。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 化学工学実験:オリエンテーション、実験内容の解説(1) 実験の目的,日程,テーマAからDの原理を理解できる
2週 化学工学実験:実験の解説(2) テーマEからHの原理を理解できる
3週 化学工学実験:テーマA 固体乾燥 乾燥操作を理解し,実験より乾燥速度を求めることができる。
4週 化学工学実験:テーマB 酸素溶存移動係数 ガス吸収を理解し,実験より酸素移動容量係数を求めることができる。
5週 化学工学実験:テーマC 精留塔 精留塔の原理を理解し,実験より所要理論段数を求めることができる。
6週 化学工学実験:テーマD 固体の熱伝導率測定 伝導伝熱を理解し,定常状態の伝熱速度から熱伝導度を求めることができる。
7週 化学工学実験:テーマE 円管内の境膜伝熱係数 伝導伝熱と対流伝熱を伴う伝熱過程を理解し,流動の状態から境膜伝熱係数を求めることができる。
8週 化学工学実験:テーマF 定圧ろ過速度 液体からの粒子の分離操作を理解し,定圧ろ過における比抵抗を求めることができる。
2ndQ
9週 化学工学実験:テーマG 流量測定と管内の圧力損失 機械的エネルギー収支式を理解し,直管による圧力損失より摩擦係数を求めることができる.また,絞り流量計の原理を理解し,流量測定から流出係数を求めることができる。
10週 化学工学実験:テーマH 粉砕と粒度分布 粒度分布関数を理解し,任意条件で粉砕した米粉の積算残留率および積算通過率を求めることができる。
11週 生物工学実験Ⅰ: マイクロピペット講習 マイクロピペットの使用方法を学び、分解掃除やメンテナンスを行うことができる
12週 生物工学実験Ⅰ:授業ガイダンス 実験の目的、日程、基礎知識を理解できる
13週 生物工学実験Ⅰ:テーマ1 遺伝情報を利用したものづくり実習 カルタヘナ法を理解したうえで、組換え実験に必要な培地を作製する。
14週 生物工学実験Ⅰ:テーマ1 遺伝情報を利用したものづくり実習 ヒートショック法を用いて大腸菌にプラスミドを導入し、タンパク質GFPを生産させることができる。
15週 生物工学実験Ⅰ:テーマ2 植物組織培養実験 グループで立案した培養計画に基づき、MS培地を作製し、無菌操作をすることができる。また、結果をプレゼンテーションすることができる。
16週
後期
3rdQ
1週 生物工学実験Ⅰ:DNAを扱う実験ガイダンス DNAについて抽出や定量、増幅による検出について理解することができる
2週 生物工学実験Ⅰ:テーマ3 形質転換菌体からの物質抽出実験 形質転換した大腸菌の菌体よりタンパク質やプラスミドを分離精製することができる。
3週 生物工学実験Ⅰ:テーマ4 DNA抽出実験 様々な方法を用いてDNAを抽出し、吸光度を用いた定量をすることができる。
4週 生物工学実験Ⅰ:テーマ5 PCR実験 PCRにより特定のDNA塩基配列を増幅し、アガロースゲル電気泳動で結果を検出することができる。
5週 生物工学実験Ⅰ:テーマ6 DNAチップ実験 基板上のDNAプローブへのハイブリダイゼーション法により遺伝子型を解析できる。
6週 生物工学実験Ⅱ:オリエンテーション、実験内容の解説 実験の目的、日程、基礎知識を理解できる
7週 生物工学実験Ⅱ:実験内容の解説、試薬の調製 実験の基礎知識を理解できる、試薬を調製できる
8週 生物工学実験Ⅱ:酵素工学実験 酵素タンパク質の定量ができる、使用する酵素量の決定ができる
4thQ
9週 生物工学実験Ⅱ:酵素工学実験 酵素の至適pHと至適温度の決定ができる
10週 生物工学実験Ⅱ:酵素工学実験 酵素反応に対する基質濃度の影響を解析できる
11週 生物工学実験Ⅱ:酵素工学実験 酵素反応に対する阻害剤の影響を解析できる
12週 生物工学実験Ⅱ:酵素工学実験 酵素反応に対する活性化剤の影響を解析できる
13週 生物工学実験Ⅱ:酵素工学実験、生物工学機器分析 HPLCを用いて茶のカテキンの定量分析ができる
14週 生物工学実験Ⅱ:生物工学機器分析、生物統計学演習 HPLCを用いて茶のカテキンの定量分析ができる、生物統計学を用いてデータの解析ができる
15週 生物工学実験Ⅱ:生物統計学演習 生物統計学を用いてデータの解析ができる
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

化学工学実験生物工学実験Ⅰ生物工学実験Ⅱ合計
総合評価割合343333100
各実験評価343333100