化学データ解析

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和03年度 (2021年度)
授業科目 化学データ解析
科目番号 2021-878 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 医療福祉機器開発工学コース 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 プリント
担当教員 藁科 知之

到達目標

(1)実験から得られたデータには誤差が生じるものであることを理解し,その誤差の種類と内容を説明することができる.
(2)実験から得られたデータを解析する上で必要な基礎的な統計学を理解し,それら手法を用いて適切に解析・処理することができる.
(3)弱酸の電位差滴定から得られたデータを基に,種々の解析(あるpH条件下における各化学種の存在割合,酸解離定数の決定など)をすることができる.(C2-4)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目1 実験から得られたデータには誤差が生じるものであることを理解し,その誤差の種類と内容を説明することができる.実験から得られたデータには誤差が生じるものであることを理解でき,その原因をほぼ正しく説明できる. 誤差の種類とその内容についてすべて正しく説明できる.実験から得られたデータには誤差が生じるものであることを理解できる. 誤差の種類とその内容についてほぼ正しく説明できる.実験から得られたデータには誤差が生じるものであることを理解できない. 誤差の種類とその内容について正しく説明できない.
評価項目2 実験から得られたデータを解析する上で必要な基礎的な統計学を理解し,それら手法を用いて適切に解析・処理することができる.平均値・標準偏差値・分散値をすべて正しく計算できる. 実験で得られたデータの異常値についてすべて正しく検定できる.平均値・標準偏差値・分散値をほぼ正しく計算できる. 実験で得られたデータの異常値についてほぼ正しく検定できる.平均値・標準偏差値・分散値を正しく計算できない. 実験で得られたデータの異常値について正しく検定できない.
評価項目3 弱酸の電位差滴定から得られたデータを基に,種々の解析(あるpH条件下における各化学種の存在割合,酸解離定数の決定など)をすることができる.(C2-4)溶液中での複数の弱酸の挙動をほぼ正しく説明できる. 溶液のpHを計算でき,各pHにおける弱酸の各化学種形態を説明できる. 酸解離定数を実験データから正しく求めることができる.溶液中での1価の弱酸の挙動をほぼ正しく説明できる. 溶液のpHを計算できる. 酸解離定数を実験データからほぼ正しく求めることができる.溶液中での1価の弱酸の挙動を正しく説明できない. 溶液のpHを計算できない. 酸解離定数を実験データから正しく求めることができない.

学科の到達目標項目との関係

実践指針 (C2) 説明 閉じる
実践指針のレベル (C2-4) 説明 閉じる
【プログラム学習・教育目標 】 C 説明 閉じる

教育方法等

概要:
化学分野だけではなく,実験及びデータ収集により得られたサンプルを正しく解析することは,研究活動において重要である.ここでは,基礎となる解析の考え方として基礎統計学を学び,関連して化学の基礎事項およびその応用について学び,パーソナル・コンピューターに一般的に組み込まれているソフトを使用して実際に化学実験で得られたデータを多方面から解析する.具体的には,水溶液中における酸・塩基反応について,中和滴定実験データ(滴下量やpHなど)から各化学種濃度や酸解離定数の算出などの解析を行う.
授業の進め方・方法:
授業の前半は,実験誤差および簡単な統計学について学習する.授業の後半は,実際に化学実験で得られたデータを用いて,様々な切り口で解析を行う.
注意点:
1.試験や課題レポート等は,JABEE ,大学評価・学位授与機構,文部科学省の教育実施検査に使用することがあります.
2.授業参観される教員は当該授業が行われる少なくとも1週間前に教科目担当教員へ連絡してください.
3.試験を40%、課題レポート60%の重みとして評価する。授業目標(C2-4)が標準基準(6割)以上で、かつ科目全体で60点以上の場合に合格とする。評価基準については、成績評価基準表(ルーブリック)による。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス シラバスの内容を理解できる.
2週 誤差論 誤差の種類や要因について理解できる.
3週 統計学① 平均,標準偏差,相対標準偏差の意味を理解し,計算できる.
4週 統計学② 異常値の検定および棄却方法について理解し,計算処理できる.
5週 データ解析の実際~pHメーターを用いる弱酸の電位差滴定およびその解析① 弱酸と強酸の違いを説明できる.
酸解離定数の定義を理解できる.
滴定の原理を理解できる.
pHメーターの原理を理解できる.
電位差滴定の原理を理解できる.
6週 データ解析の実際~pHメーターを用いる弱酸の電位差滴定およびその解析② 電荷収支・物質収支の式を立てることができる.
7週 データ解析の実際~pHメーターを用いる弱酸の電位差滴定およびその解析③ 酢酸の酸解離定数を求めることができる.
8週 データ解析の実際~pHメーターを用いる弱酸の電位差滴定およびその解析④ リン酸の電位差滴定を理解できる.
2ndQ
9週 データ解析の実際~pHメーターを用いる弱酸の電位差滴定およびその解析⑤ リン酸の電位差滴定を理解し,電荷収支式や物質収支式を立て,各化学種濃度を計算することができる.
10週 データ解析の実際~pHメーターを用いる弱酸の電位差滴定およびその解析⑥ Excelによる解析(以下)ができる.
・微分法による第一および第二当量点の決定
・nH(リン酸イオンに結合している平均プロトン数) vs. pH曲線の作成
・log[ ] vs. pH曲線の作成
11週 試験および解説 2~9週までの内容を理解できる.
12週 データ解析の実際~リン酸水溶液中における各化学種濃度のpH依存性 リン酸水溶液中における各pHでの化学種濃度をExcelを使って図示できる.
13週 データ解析の実際~レポート課題:有機酸に関するデータ処理① ある有機酸に対して,構造式,酸解離平衡式を書くことができる.
各pHに対する有機酸濃度を図示できる.
14週 データ解析の実際~レポート課題:有機酸に関するデータ処理② ある有機酸に対して,構造式,酸解離平衡式を書くことができる.
各pHに対する有機酸濃度を図示できる.
15週 データ解析の実際~物質の光吸収を用いる有機分子の酸解離定数の決定方法 光吸収の原理が理解できる.
吸収スペクトルをデータをもとに描くことができる.
図より有機分子の酸解離定数を求めることができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験課題レポート合計
総合評価割合4060100
評価項目110010
評価項目210010
評価項目3206080