システム制御工学

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 システム制御工学
科目番号 2024-791 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 医療福祉機器開発工学コース 対象学年 専2
開設期 後期 週時間数 2
教科書/教材 なし
担当教員 三谷 祐一朗

到達目標

1. MIT適応則を用いたモデル規範型適応制御の数値シミュレーションができる.
2. リアプノフ安定定理による適応則を用いたモデル規範型適応制御の数値シミュレーションができる.
3. LMSアルゴリズムによるFIRモデルの導出ができる.
4. Filtered-X LMSアルゴリズムを用いた適応逆制御の数値シミュレーションができる.
5. 適応制御の数値シミュレーションにおいて,工学的観点から仮説を立て,パラメータの適切な値を設定できる(C3-4).

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
1.MIT適応則を用いたモデル規範型適応制御の数値シミュレーションができる.□MIT適応則の説明ができ,ブロック線図を描くことができる. □MIT適応則のアルゴリズムを数式化でき,パラメータの意味を説明できる. □MIT適応則の数値シミュレーションができ,結果を工学的に考察できる.□MIT適応則を説明できる. □MIT適応則のアルゴリズムを数式化できる. □MIT適応則の数値シミュレーションができる.□MIT適応則を説明できない. □MIT適応則のアルゴリズムを数式化できない. □MIT適応則の数値シミュレーションができない.
2.リアプノフ安定定理による適応則を用いたモデル規範型適応制御の数値シミュレーションができる.□リアプノフの安定定理を用いた適応則を説明でき,ブロック線図を描くことができる. □リアプノフの安定定理を用いた適応則を数式化でき,パラメータの意味を説明できる. □リアプノフの安定定理を用いた適応則の数値シミュレーションができ,結果を工学的に考察できる.□リアプノフの安定定理を用いた適応則を説明できる. □リアプノフの安定定理を用いた適応則を数式化できる. □リアプノフの安定定理を用いた適応則の数値シミュレーションができる.□リアプノフの安定定理を用いた適応則を説明できない. □リアプノフの安定定理を用いた適応則を数式化できない. □リアプノフの安定定理を用いた適応則の数値シミュレーションができない.
3.LMSアルゴリズムによるFIRモデルの導出ができる.□LMSアルゴリズムを説明でき,ブロック線図を描くことができる. □FIRモデルをIIRモデルと比較して説明できる. □FIRモデルを,LMSアルゴリズムを用いて導出でき,その結果を工学的に考察できる.□LMSアルゴリズムを説明できる. □FIRモデルを説明できる. □FIRモデルを,LMSアルゴリズムを用いて導出できる.□LMSアルゴリズムを説明できない. □FIRモデルを説明できない. □FIRモデルを,LMSアルゴリズムを用いて導出できない.
4.Filtered-ε LMSアルゴリズムを用いた適応逆制御の数値シミュレーションができる.□Filtered-ε LMSアルゴリズムを説明でき,ブロック線図を描くことができる. □Filtered-X LMSアルゴリズムを用いた数値シミュレーションができ,その結果を工学的に考察できる.□Filtered-ε LMSアルゴリズムを説明できる. □Filtered-X LMSアルゴリズムを用いた数値シミュレーションができる.□Filtered-ε LMSアルゴリズムを説明できない. □Filtered-X LMSアルゴリズムを用いた数値シミュレーションができない.
5.適応制御の数値シミュレーションにおいて,工学的観点から仮説を立て,パラメータの適切な値を設定できる(C3-4).□適切な適応制御系が構築でき,数値シミュレーションにおいて,その評価をすることができる.□適応制御の数値シミュレーションにおいて,各パラメータの意味を説明できる. □適応制御の数値シミュレーションに結果より,工学的観点から仮説を立てることができる. □適応制御の数値シミュレーションにおけるパラメータの適切な値を設定でできる.□適応制御の数値シミュレーションにおいて,各パラメータの意味を説明できない. □適応制御の数値シミュレーションに結果より,工学的観点から仮説を立てることができない. □適応制御の数値シミュレーションにおけるパラメータの適切な値を設定でできない.

学科の到達目標項目との関係

実践指針 (C3) 説明 閉じる
実践指針のレベル (C3-4) 説明 閉じる
【プログラム学習・教育目標 】 C 説明 閉じる

教育方法等

概要:
適応制御に焦点を当て,数値シミュレーションを通じて制御系の設計方法を習得し,使いこなせるようになる事を目標とする.適応制御は制御手法の一つに過ぎないが,適応制御を使い,その結果を考察することによって,制御システムを見渡せる能力を養成することを目指す.
授業の進め方・方法:
授業は以下の進め方とする.
1) 教員が講義を行う.
2) 適応制御に関する専門書(洋書)を学生が訳して説明する.
3) 数値シミュレーション結果を学生がレポートにまとめて配布し,説明する.
授業内容は主として,(1)モデル規範型適応制御,(2)LMSアルゴリズムによる適応制御の2分野とする.
注意点:
1.評価については、評価割合に従って行います。
2.中間試験を授業時間内に実施することがあります。
3. この科目は学修単位科目であり、1単位あたり15時間の対面授業を実施します.併せて1単位あたり30時間の事前学習・事後学習が必要となります.

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
後期
3rdQ
1週 シラバス・ルーブリック,レポートの作成方法,適応制御の概要,"Adaprive Control" pp.1-2の読み合わせ・解説 適応制御の概念および意義を説明できる.
2週 Adaptive Control
Chapter 1 What is adaptive control?
 1.1 Introduction
 1.2 Linear feedback
適応制御の概念および意義を説明できる.
3週 Adaptive Control
Chapter 5 Model-reference adaptive systems
 5.1 Introduction
 5.2 The MIT rule
モデル規範型適応制御の概念およびMIT適応則を説明できる.
4週 Adaptive Control
Chapter 5 Model-reference adaptive systems
 5.2 The MIT rule
 5.3 Determination of the adaptation gain
MIT適応則の適応ゲインの決定方法を説明できる.
5週 Adaptive Control
Chapter 5 Model-reference adaptive systems
 5.4 Lyapunov Theory
 5.5 Design of MRAS Using Lyapunov Theory
リアプノフの安定定理を用いたモデル規範型適応制御のアルゴリズムを説明できる.
6週 1)MRASを,MIT適応則・リアプノフの安定定理から求めた適応則の,2種類の適応制御のシミュレーション結果の報告
2)Adaptive Inverse Control に関する論文紹介
3)Adaptive Inverse Control の概要
MIT適応則およびリアプノフの安定定理を用いたモデル規範型適応制御を応用して,数値シミュレーションができる.
7週 1)MRASを,MIT適応則・リアプノフの安定定理から求めた適応則の,2種類の適応制御のシミュレーション追加課題
2)Adaptive Inverse Control
Chapter 1 The Adaptive Inverse Control Concept
 1.1 Inverse Control
適応逆制御の概念を説明できる.
8週 Adaptive Inverse Control
Chapter 1 The Adaptive Inverse Control Concept
 1.1 Inverse Control
 1.2 Sample Application of Adaptive Inverse Control
  1.2.1 Dynamic Control of a Minimum-Phase Plant
  1.2.2 Dynamic Control of a Nonminimum-Phase Plant
最小位相系・非最小位相系における,フィードバック制御の特徴を説明できる.
4thQ
9週 1)Adaptive Inverse Control
Chapter 1 The Adaptive Inverse Control Concept
 1.2 Sample Application of Adaptive Inverse Control
  1.2.3 Canceling Disturbance in the (Non)Minimum-Phase Plant
  1.2.4 Canceling Disturbance in the Minimum-Phase Plant
2)LMS Algorithm の概要説明
適応逆制御アルゴリズムを用いた外乱キャンセレーションのアルゴリズムを説明できる.
10週 Adaptive Inverse Control
Chapter 2 Wiener Filter
 2.0 Introduction
 2.1 Digital Filters, Correlation Functions, z-Transforms
FIRモデルおよびLMS Algorithm の導出
ウィナーフィルタの概念を説明できる.
11週 Adaptive Inverse Control
Chapter 3 Adaptive LMS Filter
 3.0 Introduction
 3.1 An Adaptive Filter
FIRモデルおよびLMS Algorithm の詳細(計算方法)
適応LMSフィルタの概念を説明できる.
12週 1)一次遅れ要素における,LMSアルゴリズムを用いたシステム同定のシミュレーション
2)LMSアルゴリズムを用いた逆モデルの推定方法
LMSアルゴリズムを用いた簡単なシステム同定のシミュレーションができる.
13週 1)逆モデルの推定シミュレーション結果報告
2)Filtered-εアルゴリズム
LMSアルゴリズムを用いた簡単な逆モデル同定のシミュレーションができる.
14週 Filtered-εアルゴリズムによる適応制御シミュレーション結果の報告 Filtered-εアルゴリズムを用いたシミュレーションができる.
15週 1)総評
2)授業アンケートの実施
授業アンケートを活用した,授業内容における教員へのフィードバックができる.
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

レポート課題発表合計
総合評価割合7030100
1.MIT適応則を用いたモデル規範型適応制御の数値シミュレーションができる.14620
2.リアプノフ安定定理による適応則を用いたモデル規範型適応制御の数値シミュレーションができる.14620
3.LMSアルゴリズムによるFIRモデルの導出ができる.14620
4.Filtered-ε LMSアルゴリズムを用いた適応逆制御の数値シミュレーションができる.14620
5.適応制御の数値シミュレーションにおいて,工学的観点から仮説を立て,パラメータの適切な値を設定できる(C3-4).14620