遺伝資源工学

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 遺伝資源工学
科目番号 2024-796 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 医療福祉機器開発工学コース 対象学年 専2
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 教科書は中井謙太著、Blue Backs 新しいゲノムの教科書(講談社1100円)を使用する。ほか配布資料を授業に用いる。主な参考文献:田村隆明・浦聖恵 編著、遺伝子発現制御機構 、東京化学同人;(独)農業生物資源研究所 著・丸善プラネット・分子生物学に支えられた農業生物資源の利用と将来
担当教員 古川 一実

到達目標

本授業の受講を通して、生物工学などの専門的技術を身につけ、これらの技術を複合的に活用して、環境エネルギー工学、新機能材料工学、医療福祉機器開発工学等の分野に創造的に応用することができる。
具体的には次の(1)~(5)についての知識や能力を身に付ける ことを授業目標とする。
授業で身につける項目:
(1)遺伝資源とはどのようなことか説明できる。(2)遺伝子の調節機構について説明できる。(3)遺伝情報の利活用について説明できる。(4)ゲノム編集技術の原理を説明できる。(5)遺伝資源を工学的に活用し社会問題を解決する手法として応用できる。(学習教育目標C1-4)

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
遺伝資源について、どの様なものか説明できる遺伝資源についてどのようなものか説明でき、知られている事例を紹介できる。名古屋議定書の内容についても説明できる。遺伝資源についてどのようなものか説明でき、知られている事例を紹介できる。名古屋議定書の内容についても説明できる。遺伝資源について説明できない。
遺伝子の調節機構について説明できる。基本的な遺伝子の機能と調節機構について詳細を説明することができ、新しいジェネティクスとしてしくみと事例を詳しく説明できる。基本的な遺伝子の機能と調節機構について説明することができ、新しいジェネティクスとしてしくみと事例を大まかに説明できる。基本的な遺伝子の機能と調節機構について、説明することができない。
遺伝情報の利活用について説明できる。遺伝情報の利用手法についてどのようなものがあるか説明でき、実際にデータベースやツールを使うことができる。遺伝情報の利用手法およびデータベースについてどのようなものが有るか得た経験を説明できる。遺伝情報の利用手法について説明することができない。
ゲノム編集技術について原理を説明できる。ゲノム編集技術の原理について詳しく説明することができる。ゲノム編集技術の原理について大まかに説明できる。ゲノム編集技術について説明できない。
遺伝資源を工学的に活用し社会問題を解決する手法として応用できる(C1-4)社会における遺伝資源の活用方法について、解決したい内容およびその解決法について詳しく説明でき社会における更なる貢献のために自分のアイデアを述べることア出来る。社会における遺伝資源の活用方法について、解決したい内容について例を挙げて説明でき、レポートで報告できる。社会における遺伝資源の活用について説明できない。

学科の到達目標項目との関係

実践指針 (C1) 説明 閉じる
実践指針のレベル (C1-4) 説明 閉じる
【プログラム学習・教育目標 】 C 説明 閉じる

教育方法等

概要:
本授業では、動物、植物および微生物の持つ遺伝的な能力と多様性を利用する生物工学分野について学習する。遺伝子工学を手法として生物を遺伝資源と捉え、どのように解析し利用するのか手法の原理を理解し、遺伝資源の開発の可能性および社会的な問題点についても考察する。また、本授業の遺伝資源の利用方法を通して、新しいジェネティクスについての知識を深める。具体的には、エピジェネティクス、ゲノム編集、可動遺伝子について学ぶ。さらに、遺伝資源の開発のみならず遺伝情報を利用するバイオインフォマティクスの基礎と遺伝子分析の開発研究の基礎をも学ぶ。
授業の進め方・方法:
試験・プレゼンテーション・レポート・演習により到達度を評価する。
下記の講義内容のうち、(1)(2)(5)については、自ら調査した内容を発表し、レポートにまとめたものを評価対象とする。(3)については演習を行い提出物を課す。(2)(4)については基礎知識の定着を試験で確認する。
(1)遺伝資源とはどのようなことか説明できる。(2)遺伝子の調節機構について説明できる。(3)遺伝情報の利活用について説明できる。(4)ゲノム編集技術の原理を説明できる。(5)遺伝資源を工学的に活用し社会問題を解決する手法として応用できる。
演習の具体的内容としては、演習1として遺伝資源としての生物の紹介、演習2としてエピジェネティクス事例、演習3としてゲノム編集事例、演習4として実践的な遺伝資源の活用事例を行う。
評価基準については、成績評価基準表による。
注意点:
評価については、評価割合に従って行います。この科目は学習単位科目であり、1単位当たり15時間の対面授業を実施します。併せて1単位当たり30時間の事前学習・事後学習が必要となります。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業
選択

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 授業概要説明・基礎復習 授業概要および評価方法を把握する。
「遺伝資源」の定義およびDNAの構造と機能について説明することができる。
2週 遺伝資源の利用 海外との遺伝資源の活用と関連法規である名古屋議定書について説明することができる。遺伝資源の活用について留意するべき点について説明できる。
3週 遺伝資源の利用(演習1) 具体的な活用事例を通して、遺伝資源としての生物の機能を説明することができる。自分自身にとっての遺伝資源について概要と利点を説明することができる。
4週 遺伝情報の構造 DNAの構造と機能・遺伝の法則・ゲノムの構成(主にヒト)について説明することができる。
5週 新しいジェノミクス:エピジェネティクス エピジェネティクスの仕組みの概要を説明することができる。
6週 新しいジェノミクス:可動因子 トランスポゾンについて種類と仕組みを説明することができる。
7週 新しいジェノミクス:エピジェネティクス(演習2) エピジェネティクスの仕組みについて具体的な事例を説明することができる。
8週 遺伝情報解読技術の向上 DNAシークエンシング技術の向上とその利用について説明できる。基本データベースの概要について説明できる。シーケンシングによるChip-Seqエピゲノム解析を説明できる。
2ndQ
9週 遺伝情報の利用方法(遺伝情報活用演習) バイオインフォマティクス実習・データベースの構造について理解することができる。
10週 遺伝情報の利用方法(遺伝情報活用演習) バイオインフォマティクス実習・アラインメント・BLASTなどの活用方法を習得し、活用することができる。
11週 遺伝情報の利用方法(遺伝情報活用演習) バイオインフォマティクス実習およびそれを支える次世代シークエンス技術について説明することができる。
12週 ゲノム編集技術(演習3) ゲノム編集事例について論文や記事を紹介する。これを通してゲノム編集が社会に貢献できる可能性を説明することができる。
13週 ゲノム編集技術 CRSPR/Cas9の基本原理について説明することができる。
14週 ゲノム編集技術 CRSPR/Cas9を利用したゲノム編集におけるノックインのしくみや応用技術について理解することができる。
15週 遺伝資源の利用(演習4) 自分が選んだ論文紹介を通して、社会問題における遺伝資源の活用方法について理解し説明することができる。
16週 試験・解説・授業アンケート 試験と解説により基礎知識の定着度を確認できる。授業アンケートにより振り返る。

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験演習レポート演習プレゼン合計
総合評価割合205525100
遺伝資源について、どの様なものか説明できる05510
遺伝子の調節機構について説明できる。1010525
遺伝情報の利活用について説明できる。010010
ゲノム編集技術について原理を説明できる。1010525
遺伝資源を工学的に活用し社会問題を解決する手法として応用できる(C1-4)0201030