医用生体工学

科目基礎情報

学校 沼津工業高等専門学校 開講年度 令和06年度 (2024年度)
授業科目 医用生体工学
科目番号 2024-809 科目区分 専門 / 選択
授業形態 授業 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 医療福祉機器開発工学コース 対象学年 専1
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 指定教科書は設けない、各回で資料を配布する
担当教員 小谷 進

到達目標

(1)臨床または基礎医学分野における工学の適応例について説明することができる。
(2)様々な物理エネルギーに対する生体の特性について理解することができる。
(3)生体の特性について、等価モデルを組み立てることができる。(C1-4)
(4)生体から得た情報を分析する方法について説明することができる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安(優)標準的な到達レベルの目安(良)未到達レベルの目安(不可)
1.医学・生命科学分野への工学の工学応用例について、レポートにまとめ説明することができる。□図表を交えて、適切かつ簡潔に記述できる。 □技術・知見についても交えて、質疑に対して的確な回答を行いうことができる。□適切な文章で記述できる。 □質疑に対して回答ができる。□明快な日本語で記述できない。 □質疑に対して回答ができない。
2.様々な物理エネルギーに対する生体の特性について理解することができる。□生体に影響を及ぼす物理エネルギーの種類について、具体的な影響を交えて記述できる。□生体に影響を及ぼす物理エネルギーの種類について記述できる。□生体に影響を及ぼす物理エネルギーの種類について記述できない。
3.生体の特性について、モデルを組み立てることができる。(C1-4)□生体の特性について、等価回路、ブロック線図などを用いて記述することができる。□生体の特性についてモデルを記述することができる。□生体の特性についてモデルを記述することができない。
4.生体から得た情報を分析する方法について説明することができる。□生体標本または生体から直接得た情報の分析方法を原理と応用例を交えて記述することができる。□生体標本または生体から直接得た情報の分析方法を列挙できる。□生体標本または生体から直接得た情報の分析方法を列挙できる。

学科の到達目標項目との関係

実践指針 (C1) 説明 閉じる
実践指針のレベル (C1-4) 説明 閉じる
【プログラム学習・教育目標 】 C 説明 閉じる

教育方法等

概要:
近年科学技術の発展は目覚ましく、その恩恵によって医学・医療分野においても客観的計測・診断技術や制御・治療技術あるいは情報処理技術が提供され、各種医療機器は著しく高度化した。医学は工学にとって新技術のいち応用分野という存在に過ぎなかったが、最近、工学において医学に関連したテーマが重要な研究対象となっている。すなわち、生体計測、医療機器開発、人工臓器開発、そして、生体機能や生体物性の解明と、これらの知見を礎にした臨床応用である。医用生体工学とは、この研究分野を総括する学問体系である。本講義では生体の解剖生理学的性質、生体の力学的特性、物理エネルギーへの応答特性を学習することで、医学と工学のかかわりについて講義する。
授業の進め方・方法:
プロジェクターで投影した資料をもとに講義を進める。最新の動向を紹介するため医療機器や研究機関などのプレスリリースや公開動画を使用する。
医療機器、生命科学研究における工学の応用例について各自が調べてきた技術、製品、サービスについて発表し、概要を記した課題を課す。
注意点:
中間試験を授業時間内に実施する場合があります。
この科目は学修単位科目であり、1単位あたり15時間の対面授業を実施します。併せて1単位あたり30時間の事前学習・事後学習が必要となります。

授業の属性・履修上の区分

アクティブラーニング
ICT 利用
遠隔授業対応
実務経験のある教員による授業

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 ガイダンス
生体を構成する要素(分子から器官系)
・生体を構成する分子
工学と医学の関係について概説できる。
生体を構成する要素(遺伝子から蛋白質)、水について生命科学の側面から特性を概説できる。
2週 分子生物学概要
・遺伝子からタンパク質合成まで
生体内での物質代謝
・異化と同化
細胞の機能と形を構成するタンパク質の生体内合成について概説できる。
異化と同化について概説できる。
3週 生体の機能を調節する機構(自律神経支配)
・神経性調節
・内分泌系調節
生体の状態を調節する機構について、具体例を挙げることができる。
4週 生体の電気的特性(受動的特性)
・細胞、組織の電気的等価回路(受動回路)
生体物性にかかわる生体物質、電気的等価回路と周波数特性について概説できる。
生体信号計測への応用例について、概説できる。
5週 生体の電気的特性(能動的特性)
・生体電気の発生機序
・細胞間電気信号の伝達様式
生体における電気現象について概説できる。
生体信号計測への応用例について、概説できる。
6週 生体の電気的特性(電流による影響)
・体外から流入した電流による生体への影響
電撃と生体への機能的作用について概説できる。
7週 電磁界と生体特性 電磁界による治療機器と生体特性について概説できる。
8週 光に対する特性
・遺伝子工学、分子生物学への応用
・生体計測への応用
眼球の光学特性、太陽光の生体への影響、研究用計測機器の光の応用例について概略できる。
2ndQ
9週 生体の力学的特性
・アクチュエータとしての筋肉
・力の伝達機構
・外力と応力
筋肉の機能と構造について概説できる。
生体組織の力学モデルについて概説できる。
10週 生体の流体力学的特性(流体としての血液)
・血液の流体特性
血液及び血球の特性、血管内の流れとレイノルズ数について概説できる。
11週 生体の流体力学的特性(循環器系) ポンプとしての心臓の特性、血圧の調節機構、循環器系の医療機器について概略できる。
12週 音波・超音波に対する特性 超音波の伝搬特性、反射と音響インピーダンスについて概説できる。
生体信号計測への応用例について、概説できる。
13週 熱に対する特性
・生体の熱産生
・組織による熱感受性の違い
生体内の熱収支、熱と生命現象のかかわりについて概説できる。
14週 放射線に対する特性 放射線の種類と吸収・透過特性、物理的半減期と生物学的半減期について概略できる。
15週 医用生体工学の研究動向 工学の医学(基礎・臨床)、生命科学分野における応用例についてまとめた結果をスライドを用いて発表できる。
発表の内容について概要を記述できる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週

評価割合

試験発表課題合計
総合評価割合702010100
基礎的能力0000
専門的能力702010100