文学特論

科目基礎情報

学校 豊田工業高等専門学校 開講年度 令和02年度 (2020年度)
授業科目 文学特論
科目番号 05104 科目区分 一般 / 選択
授業形態 講義 単位の種別と単位数 学修単位: 2
開設学科 一般教育 対象学年 5
開設期 前期 週時間数 2
教科書/教材 プリント  『常用国語便覧』/授業中、適宜指示する。
担当教員 加藤 彩

到達目標

(ア)文学史上の事項や議論を正しく理解し、その事項や議論を基にテクスト分析ができる
(イ)文学テクストを、作家や時代背景との関わりから分析し、身近な社会問題へと接続して考察することができる。
(ウ)印刷物やインターネットから、報告・論文の目的にふさわしい情報を収集できる。
(エ)収集した情報を分析して取捨選択し、報告・論文の目的に応じて整理できる。
(オ)整理した情報をもとに、主張が効果的に伝わるように論理構成や展開を工夫して、報告・論文を作成できる。

ルーブリック

理想的な到達レベルの目安標準的な到達レベルの目安未到達レベルの目安
評価項目(ア)文学史の理解に基づき、考察を深める論文作成にふさわしい情報を収集できる。文学史における基本的な事項や議論が理解できる。文学史における基本的な事項や議論が理解できない。
評価項目(イ)各文学テクストの理解に基づき、考察を深める論文作成にふさわしい情報を収集できる。各文学テクストに関する基本的な考え方や分析方法が理解できる。各文学テクストに関する基本的な考え方や分析方法が理解できない。
評価項目(ウ)収集した情報を分析・整理して、主張が効果的に伝わるよう工夫して論文を作成できる。収集した情報を論文の目的に応じて分析・整理できる。収集した情報を論文の目的に応じて分析・整理できない。

学科の到達目標項目との関係

本校教育目標 ⑤ 技術者倫理

教育方法等

概要:
本講義では、明治から昭和にかけての日本近代文学の小説と詩歌を、文学史を通して分析して行く。本講義における考察により、日本近代文学という専門分野から、現代に生きる我々が抱える問題へとつなぐ視点を見出し、人間という存在や人間社会に対する視野を広げることを目標とする。     
授業の進め方・方法:
本講義では、中島敦「山月記」を、文学史を通した分析の起点とする。「山月記」から抽出した6つのテーマを、それぞれ中島敦による他のテクストへとつないだ上で、文学史における事項や議論、時代背景を通して、小説や詩歌を分析する。最終的には、小説や詩歌の分析を、現代における身近な社会問題について考察するきっかけとして活用する。
注意点:
小説や詩歌を鑑賞するのではなく、文学史上の事項や議論を通して「分析」し、その分析を基に身近な社会問題について「考察」することが目的である。その目的を理解した上で受講すること。毎時間、その回の到達目標の達成度を評価するための課題テストを実施する。初回の講義において、講義全体の概要、課題などの詳細を説明するので、受講希望者は必ず出席すること。公的な理由なく初回の講義に欠席した者の履修登録は認めない。自学自習内容:指示したテキストは通読した上で受講すること。授業後は必ず復習し、学習内容の理解を深めること。

授業計画

授業内容 週ごとの到達目標
前期
1stQ
1週 イントロダクション ― 中島敦「山月記」/文学史と作家〔復習:授業で配布したプリントの理解を深める〕 文学史と作家について、その概要を理解できる。
2週 自我の問題1 ― 中島敦「過去帳」二篇/自意識過剰という在り方〔復習:授業で配布したプリントの理解を深める〕 中島敦によるテクストを通して自意識過剰という在り方について理解できる。
3週 自我の問題2 ― 夏目漱石と自意識/現代の生きづらさ〔復習:授業で配布したプリントの理解を深める〕 文学史上の夏目漱石と自意識の関係について理解できる。
4週 詩人の話1 ― 中島敦「狐憑」、「和歌でない歌」/詩人とは何か〔復習:授業で配布したプリントの理解を深める〕 中島敦によるテクストを通して詩人とは何かについて理解できる。
5週 詩人の話2 ― 近代詩の形成/歌の力〔復習:授業で配布したプリントの理解を深める〕 文学史上の近代詩の形成と歌の力について理解できる。
6週 知識人について1 ― 中島敦「文字禍」、「悟浄出世」/知るということ〔復習:授業で配布したプリントの理解を深める〕 中島敦によるテクストを通して知るということについて理解できる。
7週 知識人について2 ― 芥川龍之介と不安/ストレス社会〔復習:授業で配布したプリントの理解を深める〕 文学史上の芥川龍之介と不安について理解できる。
8週 前半まとめ ― 自我、詩人、知識人に関する学習項目のまとめ〔課題:これまでの授業を基に考察したことをレポートにまとめる〕 自我、詩人、知識人に関する知識の理解に基づき、自分の考えを論理的にまとめることができる
2ndQ
9週 変身の意味1 ― 中島敦「幸福」/立場の逆転〔復習:授業で配布したプリントの理解を深める〕 中島敦によるテクストを通して立場の逆転について理解できる。
10週 変身の意味2 ― カフカと不条理/災害〔復習:授業で配布したプリントの理解を深める〕 文学史上のカフカと不条理との関係について理解できる。
11週 語りの方法1 ― 中島敦「斗南先生」/他者を通して自己を見る〔復習:授業で配布したプリントの理解を深める〕 中島敦によるテクストを通して他者を通して自己を見ることについて理解できる。
12週 語りの方法2 ― 太宰治の方法/自己表現〔復習:授業で配布したプリントの理解を深める〕 文学史上の太宰治による表現方法について理解できる。
13週 社会との関わり1 ― 中島敦「章魚木の下で」/戦時下の態度〔復習:授業で配布したプリントの理解を深める〕 中島敦によるテクストを通して、作家たちの戦時下における態度について理解できる。
14週 社会との関わり2 ― 言論統制下の文学/国家と個人〔復習:授業で配布したプリントの理解を深める〕 文学史上の言論統制下の文学について理解できる。
15週 全体のまとめ(全学習内容・学習成果を振り返り、整理する)〔課題:これまでの授業を基に考察したことをレポートにまとめる〕 文学史を学ぶことの意味を理解して、自分の考えを論理的にまとめることができる。
16週

モデルコアカリキュラムの学習内容と到達目標

分類分野学習内容学習内容の到達目標到達レベル授業週
基礎的能力人文・社会科学国語国語報告・論文の目的に応じて、印刷物、インターネットから適切な情報を収集できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14
収集した情報を分析し、目的に応じて整理できる。3前2,前3,前4,前5,前6,前7,前9,前10,前11,前12,前13,前14
報告・論文を、整理した情報を基にして、主張が効果的に伝わるように論理の構成や展開を工夫し、作成することができる。3前8,前15

評価割合

定期試験課題合計
総合評価割合6040100
基礎的能力6040100